南方熊楠
最終更新：ID:W9nEF42rIQ 2022年11月23日(水) 09:16:13履歴
基本情報 
【元ネタ】史実
【CLASS】アーチャー
【マスター】
【真名】南方熊楠
【異名・別名・表記揺れ】てんぎゃん*1、反芻、金粟王
【性別】男性
【身長・体重】169cm・64kg
【肌色】日本人なりで日に焼けている 【髪色】白髪が混じった黒 【瞳色】黒
【スリーサイズ】
【外見・容姿】目鼻立ちのはっきりした丸刈りの中年男性。着物に角帯姿でタバコをくわえている。
【地域】日本
【年代】近代
【属性】混沌・善
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力：D 耐久：C 敏捷：C 魔力：E 幸運：C 宝具：C+
【CLASS】アーチャー
【マスター】
【真名】南方熊楠
【異名・別名・表記揺れ】てんぎゃん*1、反芻、金粟王
【性別】男性
【身長・体重】169cm・64kg
【肌色】日本人なりで日に焼けている 【髪色】白髪が混じった黒 【瞳色】黒
【スリーサイズ】
【外見・容姿】目鼻立ちのはっきりした丸刈りの中年男性。着物に角帯姿でタバコをくわえている。
【地域】日本
【年代】近代
【属性】混沌・善
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力：D 耐久：C 敏捷：C 魔力：E 幸運：C 宝具：C+
【クラス別スキル】
対魔力：E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
単独行動：C
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
【保有スキル】
博覧強記：A+
幼少期から「歩く百科事典」と呼ばれるほどの超人的な記憶力を持ち、極めて広範に学際的知識を身に着けたことに由来するスキル。
知識判定、情報収集、真名看破、推理などにおいて大幅なボーナスを得る。
知識判定、情報収集、真名看破、推理などにおいて大幅なボーナスを得る。
脳力：A
熊楠特有の並外れた集中力を指す言葉がスキルとなったもの。
高ランクの観察眼（自然）が基本となるが、その最大の特性は、自己と対象物の境界が曖昧になるほどの没入。
これは知性というより、熊楠が持つ稀有な感性によるものであり、自然物に対する極めて精緻な観察力と直感を有し、知識の学習効率が大幅に向上する。
また、しばしば夢と現実の区別がつかず、幽霊を見ることも頻繁であったことから、その直感は霊的存在に対しても機能する。
高ランクの観察眼（自然）が基本となるが、その最大の特性は、自己と対象物の境界が曖昧になるほどの没入。
これは知性というより、熊楠が持つ稀有な感性によるものであり、自然物に対する極めて精緻な観察力と直感を有し、知識の学習効率が大幅に向上する。
また、しばしば夢と現実の区別がつかず、幽霊を見ることも頻繁であったことから、その直感は霊的存在に対しても機能する。
日本人の可能性の極限：EX
「我が南方先生ばかりは、どこの隅を尋ねて見ても、是だけが世間竝 みといういうふものが、ちょつと捜し出せさうにも無いのである。七十何年の一生の殆と全部が、普通の人の為し得ないことのみを以て構成せられて居る。私などは、是を日本人の可能性の極限かとも思ひ、又時としては更にそれよりなほ、一つ向ふかと思ふことさへある」*2
「日本人の可能性の極限」とは、柳田國男が熊楠のあらゆる面において並外れた様を称した言葉。
熊楠はいかなる状況においても「不可能」となることがない。
判定において成功率が0%以下になった場合、成功率が1%以上となる最低保証を得た上で再判定が可能となる。
「日本人の可能性の極限」とは、柳田國男が熊楠のあらゆる面において並外れた様を称した言葉。
熊楠はいかなる状況においても「不可能」となることがない。
判定において成功率が0%以下になった場合、成功率が1%以上となる最低保証を得た上で再判定が可能となる。
【宝具】
『大日大不思議根本曼荼羅 』
ランク：C+ 種別：対理宝具 レンジ：1〜5 最大捕捉：20人
類まれな知性と感性によって熊楠が思い至り、完成を目指し、そしておそらく未完に終わった、西洋的な科学の限界を超克するレンマの思想体系の発露。
「ここに一言す。不思議ということあり、事不思議あり。物不思議あり。心不思議あり。理不思議あり。大日如来の大不思議あり*3」
西洋科学においては、生物は死んでいるか生きているかのいずれかである。
しかし粘菌を見よ。生きているようにみえるときこそそれは死んでおり、死んでいるように見えるときこそ、それはもっとも豊かに生命力をはらむ。部分が生き、部分が死にながら全体として動き続ける。部分の死がより大きい生の部分あるいは全体を助ける。この部分の生死は一斉に起こらず一斉に休まず、生死は錯雑している。本質的に生死を分かつことはできず、生と死が全体として混ざり合い、影響を与え合いながら運動を続ける。生命の本質は仏が言うように不生不滅である。科学の基礎たる同一律・矛盾律・排中律は絶対ではない。あれとこれ、主と客が分かれるのは事法界についてであり、事事無礙法界にては理と事は相即相入・一即一切・一切即一にして円融無礙なり。この世は物不思議と心不思議が事不思議にて交わり、それは理不思議に支えられている。そしてそのすべては人智を超えた大日如来の大不思議によって包まれている。大不思議は内も外もなく、無にして完全である。
「万物悉く大日より出、諸力悉く大日より出る*4」
範囲内においては、他者の知覚と熊楠の思想世界を強制的に近づけることで、対象はなんらかの知覚的干渉を受ける。
それによっていかなる影響を受けるかは人によってまったく異なる。
同時に、範囲内ではあらゆる「理」が熊楠のそれに塗り替えられる。
そのため、熊楠の思想から遠く離れた理による宝具・スキル・魔術などはことごとく機能不全に陥ってしまう。
この宝具の効果は熊楠と対象の思想の差の摩擦によるものなので、対象が熊楠の思想に対する理解を深めるほど、これらの効果は軽減される。
類まれな知性と感性によって熊楠が思い至り、完成を目指し、そしておそらく未完に終わった、西洋的な科学の限界を超克するレンマの思想体系の発露。
「ここに一言す。不思議ということあり、事不思議あり。物不思議あり。心不思議あり。理不思議あり。大日如来の大不思議あり*3」
西洋科学においては、生物は死んでいるか生きているかのいずれかである。
しかし粘菌を見よ。生きているようにみえるときこそそれは死んでおり、死んでいるように見えるときこそ、それはもっとも豊かに生命力をはらむ。部分が生き、部分が死にながら全体として動き続ける。部分の死がより大きい生の部分あるいは全体を助ける。この部分の生死は一斉に起こらず一斉に休まず、生死は錯雑している。本質的に生死を分かつことはできず、生と死が全体として混ざり合い、影響を与え合いながら運動を続ける。生命の本質は仏が言うように不生不滅である。科学の基礎たる同一律・矛盾律・排中律は絶対ではない。あれとこれ、主と客が分かれるのは事法界についてであり、事事無礙法界にては理と事は相即相入・一即一切・一切即一にして円融無礙なり。この世は物不思議と心不思議が事不思議にて交わり、それは理不思議に支えられている。そしてそのすべては人智を超えた大日如来の大不思議によって包まれている。大不思議は内も外もなく、無にして完全である。
「万物悉く大日より出、諸力悉く大日より出る*4」
範囲内においては、他者の知覚と熊楠の思想世界を強制的に近づけることで、対象はなんらかの知覚的干渉を受ける。
それによっていかなる影響を受けるかは人によってまったく異なる。
同時に、範囲内ではあらゆる「理」が熊楠のそれに塗り替えられる。
そのため、熊楠の思想から遠く離れた理による宝具・スキル・魔術などはことごとく機能不全に陥ってしまう。
この宝具の効果は熊楠と対象の思想の差の摩擦によるものなので、対象が熊楠の思想に対する理解を深めるほど、これらの効果は軽減される。
【Weapon】
『顕微鏡』
現代のものと比べるとはるかに古式な代物。
『酒』
どこからともなく出てくる。
『反吐』
嘔吐物、ゲロ。
熊楠は自由自在に反吐を吐くことができたという。
攻撃として使えるものではないので、主に抗議の意思表示や嫌がらせに使われる。
熊楠は自由自在に反吐を吐くことができたという。
攻撃として使えるものではないので、主に抗議の意思表示や嫌がらせに使われる。
【解説】
その天才性と奇人ぶりで知られる、近代日本を代表する博物学者、植物学者、民俗学者、粘菌研究者(1867〜1941)。
現在の和歌山県に生まれ、幼少期から人並み外れた記憶力で知られる。
東京の大学予備門*5に進むも、落第や心身の不調から退学する。
その後はアメリカからイギリス、ロンドンにわたり、動植物の採集活動や独学に励む。
後に日本に戻り、那智で粘菌などの採集をしながら思索を深める。田辺町に移ってからは、粘菌の採集や著作活動に加え、神社合祀反対運動も行う。
膨大な動植物の標本、スケッチ、民俗学・人類学・その他はば広い知識や論文から、熊楠が何学者であるかすら定かではない。
そして「南方曼荼羅」に代表される熊楠の思想は、いまだにその全貌が明らかになっていない。
卓抜な記憶力、最大22ヵ国語を解したともいわれる語学力*6、世界最高峰の学術誌に論考が掲載されること史上最多、あまりに広範にわたる学術的成果など、熊楠の並外れた知性をあらわす事績は枚挙に暇がない。
さらに、抗議のために反吐を吐いた、大英博物館で乱闘騒ぎを起こして出禁にされた、毎日裸で過ごして*7酒二升を飲んだ、神社合祀反対運動のために講習会に乱入して逮捕された*8、後の昭和天皇との謁見でキャラメル箱に入れた粘菌標本を献上したといった、豪放磊落で型にはまらないエピソードも多く知られる。
現在の和歌山県に生まれ、幼少期から人並み外れた記憶力で知られる。
東京の大学予備門*5に進むも、落第や心身の不調から退学する。
その後はアメリカからイギリス、ロンドンにわたり、動植物の採集活動や独学に励む。
後に日本に戻り、那智で粘菌などの採集をしながら思索を深める。田辺町に移ってからは、粘菌の採集や著作活動に加え、神社合祀反対運動も行う。
膨大な動植物の標本、スケッチ、民俗学・人類学・その他はば広い知識や論文から、熊楠が何学者であるかすら定かではない。
そして「南方曼荼羅」に代表される熊楠の思想は、いまだにその全貌が明らかになっていない。
卓抜な記憶力、最大22ヵ国語を解したともいわれる語学力*6、世界最高峰の学術誌に論考が掲載されること史上最多、あまりに広範にわたる学術的成果など、熊楠の並外れた知性をあらわす事績は枚挙に暇がない。
さらに、抗議のために反吐を吐いた、大英博物館で乱闘騒ぎを起こして出禁にされた、毎日裸で過ごして*7酒二升を飲んだ、神社合祀反対運動のために講習会に乱入して逮捕された*8、後の昭和天皇との謁見でキャラメル箱に入れた粘菌標本を献上したといった、豪放磊落で型にはまらないエピソードも多く知られる。
詳細な経歴など
【人物・性格】
繊細で人見知り、そのわりに寂しがり屋。
初対面の人間は大の苦手で、それこそ酒を飲んで緊張をほぐさないと目を見て話せないほど。
しかしいちど親しくなると、とたんに遠慮がなくなる。
相手の事情を考えずに長々と話したいことを話したり、長文の手紙を1日に何通も送りつけたりする。
一方で相手に何か困り事があると、それこそ我が事のように気を揉み、本気で悩んでしまう。
いわば、相手との距離感が極端に遠いか極端に近いかのどちらかしかない人。
世間知らずで常識がなく、自分がやりたいことしかしない。
そしてやりたいことにはとてつもない集中力を発揮する。
粘菌の観察や勉強などは寝る間も惜しんで猛烈に取り組むが、家事などの日常的な問題については一切興味がなく、完全に人任せになる。
金の問題を考えることも嫌い。
良くも悪くも子供のような純粋さを持ったまま大人になったといえる。
かなり神経質な部分があり、大きな音やうるさい人間が苦手。
とにかく自分なりのやり方に口を挟まれたり手を出されることが我慢ならない。
自分なりの秩序を崩されることも大嫌いで、一見バラバラなようでも自分にだけは分かるように置かれた資料を勝手に整理されるとものすごく腹を立てる。
さらに奔放に見えて実は礼儀にうるさく、無礼で礼節に欠けた人間を嫌う面がある。
ちなみに、本人に子供っぽさが多分に残っているせいか子供好きでもある。
学問についての態度は厳しく、自分の頭で考えて納得しない限り、絶対に妥協しない。
とはいえ学術的な頑固さを持っているというわけでもない。
もともと「癇癪が激しく、狂人にならないように遊びの代わりに学問に取り組んだ」という出発点があり、熊楠にとっての研究活動は、言ってしまえば遊戯がわりの気晴らしである。
子供が遊びにただ熱中するように、熊楠は学問について限りない熱意と同時に遊び心を持ち、型にとらわれない自由な姿勢で取り組む。
狷介で付き合いづらい面もあった熊楠だが、芸者遊びは大好き。
知人を引き連れては芸者を集めて飲み騒ぐことも多かった。そこでは都々逸や大津絵といった芸を披露したという。
また、父親や自分の事績を（しばしば誇張しながら）話すことも好んだ。特に酒が入ると延々と語り出す。
その常人離れした能力と生き様から様々な「伝説」を生んだ熊楠だが、それは一部の研究者や伝記作者のみによるものでなく、熊楠本人によっても生み出された部分があるといえる。
イメージカラー：深緑
特技：言語習得・反吐を吐く
好きなもの：酒・猥談・あんぱん・猫
嫌いなもの：うるさい人間・自然破壊
天敵：南方常楠
願い：さらに学びを深め、完成することなく終わった思想を完全な形にすること
【一人称】わし 【二人称】君、お前、あんた 【三人称】やつ、あいつ
初対面の人間は大の苦手で、それこそ酒を飲んで緊張をほぐさないと目を見て話せないほど。
しかしいちど親しくなると、とたんに遠慮がなくなる。
相手の事情を考えずに長々と話したいことを話したり、長文の手紙を1日に何通も送りつけたりする。
一方で相手に何か困り事があると、それこそ我が事のように気を揉み、本気で悩んでしまう。
いわば、相手との距離感が極端に遠いか極端に近いかのどちらかしかない人。
世間知らずで常識がなく、自分がやりたいことしかしない。
そしてやりたいことにはとてつもない集中力を発揮する。
粘菌の観察や勉強などは寝る間も惜しんで猛烈に取り組むが、家事などの日常的な問題については一切興味がなく、完全に人任せになる。
金の問題を考えることも嫌い。
良くも悪くも子供のような純粋さを持ったまま大人になったといえる。
かなり神経質な部分があり、大きな音やうるさい人間が苦手。
とにかく自分なりのやり方に口を挟まれたり手を出されることが我慢ならない。
自分なりの秩序を崩されることも大嫌いで、一見バラバラなようでも自分にだけは分かるように置かれた資料を勝手に整理されるとものすごく腹を立てる。
さらに奔放に見えて実は礼儀にうるさく、無礼で礼節に欠けた人間を嫌う面がある。
ちなみに、本人に子供っぽさが多分に残っているせいか子供好きでもある。
学問についての態度は厳しく、自分の頭で考えて納得しない限り、絶対に妥協しない。
とはいえ学術的な頑固さを持っているというわけでもない。
もともと「癇癪が激しく、狂人にならないように遊びの代わりに学問に取り組んだ」という出発点があり、熊楠にとっての研究活動は、言ってしまえば遊戯がわりの気晴らしである。
子供が遊びにただ熱中するように、熊楠は学問について限りない熱意と同時に遊び心を持ち、型にとらわれない自由な姿勢で取り組む。
狷介で付き合いづらい面もあった熊楠だが、芸者遊びは大好き。
知人を引き連れては芸者を集めて飲み騒ぐことも多かった。そこでは都々逸や大津絵といった芸を披露したという。
また、父親や自分の事績を（しばしば誇張しながら）話すことも好んだ。特に酒が入ると延々と語り出す。
その常人離れした能力と生き様から様々な「伝説」を生んだ熊楠だが、それは一部の研究者や伝記作者のみによるものでなく、熊楠本人によっても生み出された部分があるといえる。
妖怪についての考え方
イメージカラー：深緑
特技：言語習得・反吐を吐く
好きなもの：酒・猥談・あんぱん・猫
嫌いなもの：うるさい人間・自然破壊
天敵：南方常楠
願い：さらに学びを深め、完成することなく終わった思想を完全な形にすること
【一人称】わし 【二人称】君、お前、あんた 【三人称】やつ、あいつ
【因縁キャラ】 ※一部追記予定
・土宜法龍：尊敬し、そしてもっとも心を許した人間のひとり。
優れた仏教研究者であるだけでなく、1893年に米国シカゴで開催された万国宗教会議に日本仏教代表者のひとりとして参加するなど、非常に先進的な人物でもあった。
会議終了後に訪れたロンドンで熊楠と出会い、意気投合する。
熊楠が日本に帰国してからも文通は続き、法龍との書面での交流は熊楠の思想に大きく影響を与えた。
法龍なくしては、熊楠の思想がこれほど成熟することはなかったかもしれない。
・柳田国男?：学者として非常に高く評価していると同時に、どうしても相容れない部分がある。
神社合祀反対運動で入監した際に、出版されたばかりの柳田の「遠野物語」を読む。
1911年には、熊楠が「山神オコゼ魚を好むということ」という論文を「東京人類学会雑誌」に発表した。
それを読んで大いに感激した柳田が熊楠に手紙を出したことがきっかけで、15年に及ぶ書簡のやり取りが始まる。
1913年には、柳田が予告なしに熊楠のもとを訪ねるも、熊楠は直前に飲み屋をはしごして、戻ってからも柳田たちの前で飲んで泥酔してしまう。
熊楠はまともに目も開かず、横になったまま話すという有り様だったという。
翌日、あらためて柳田が熊楠を訪ねるも、二日酔いで布団から出ることもできず、この日も横になったまま話した。
これが最初で最後の対面だった。
熊楠は柳田を学者として評価すると同時に、官僚として中央に影響力を持つ人間として頼っていた。
神社合祀反対運動をする上で、中央政府への働きかけは不可欠だったのだ。
手紙を介して長年関係を続けたが、意見の対立が強まったことで1915年頃から徐々に疎遠になり、最終的には決別してしまう。
一つの大きな理由としては、柳田の理想主義的な面が挙げられる。事実より理想が先行する傾向といえる。
たとえば柳田は、今の大和民族が日本に来る前に日本には先住民族がいて、それが追われて山に入って山人となったと考えていた。
その山人の文化を調べることで日本の文化の起源が分かると考えた。
柳田が資料を集めてから熊楠に手紙を送ると、熊楠はそれは考えづらいと批判的に応じた。
最終的に、山人の伝承はそれほど数が集まらず、熊楠の批判もあって山人研究は挫折してしまう。
それ以外にも、柳田が性的で卑猥なものを嫌った一方で、熊楠はセクソロジーや猥談を非常に好み、そもそも人間の歴史や文化などはそうした猥雑物ばかりだと考えた。
柳田は農村や漁村で非常に広く行われている「よばい」を取り上げようとしなかったが、熊楠にとってそうした問題は現実と密接した重大な問題だった。
ともに優れた学才を持ちながらも、米英をめぐり、世界中の文献を渉猟した国際的な視野を持つ熊楠と、あくまでも思想の中心に日本人論があった柳田では、最初から見ているものがズレていたのかもしれない。
・折口信夫：
（柳田国男と違って本で言及されることがないので、直接の関係はなかった可能性が高い。熊楠は和歌山にいて学術界の主流からは外れており、柳田とすらほぼ文通の関係だったことを考えると、深い関係性はないだろう。とはいえ柳田の弟子としての折口の作品に目を通している可能性はあるか。全集を総ざらいすれば名前が出るかもしれないが、その余力はない。二人の関係性を示す資料を知っている人がいたら教えてください。）
・井上円了：大学予備門の頃から注目していた学者。わりと評価している。
ロンドン時代に「妖怪学講義」を取り寄せていた。
また、大英博物館で井上円了の講義録の序文を引いて「化け物についての学問はまだイギリスにはないだろう」と演説をしたら、すでに多くの研究がされていることを指摘され恥をかいたことがあると日記に記している。
・宮沢賢治：同時代の人間。
・エレナ・ブラヴァツキー：本を読んで感銘を受けた。
イギリス時代の熊楠はオカルティズムに批判的だったが、帰国してからは大いに興味を持っていた。
優れた仏教研究者であるだけでなく、1893年に米国シカゴで開催された万国宗教会議に日本仏教代表者のひとりとして参加するなど、非常に先進的な人物でもあった。
会議終了後に訪れたロンドンで熊楠と出会い、意気投合する。
熊楠が日本に帰国してからも文通は続き、法龍との書面での交流は熊楠の思想に大きく影響を与えた。
法龍なくしては、熊楠の思想がこれほど成熟することはなかったかもしれない。
・柳田国男?：学者として非常に高く評価していると同時に、どうしても相容れない部分がある。
神社合祀反対運動で入監した際に、出版されたばかりの柳田の「遠野物語」を読む。
1911年には、熊楠が「山神オコゼ魚を好むということ」という論文を「東京人類学会雑誌」に発表した。
それを読んで大いに感激した柳田が熊楠に手紙を出したことがきっかけで、15年に及ぶ書簡のやり取りが始まる。
1913年には、柳田が予告なしに熊楠のもとを訪ねるも、熊楠は直前に飲み屋をはしごして、戻ってからも柳田たちの前で飲んで泥酔してしまう。
熊楠はまともに目も開かず、横になったまま話すという有り様だったという。
翌日、あらためて柳田が熊楠を訪ねるも、二日酔いで布団から出ることもできず、この日も横になったまま話した。
これが最初で最後の対面だった。
熊楠は柳田を学者として評価すると同時に、官僚として中央に影響力を持つ人間として頼っていた。
神社合祀反対運動をする上で、中央政府への働きかけは不可欠だったのだ。
手紙を介して長年関係を続けたが、意見の対立が強まったことで1915年頃から徐々に疎遠になり、最終的には決別してしまう。
一つの大きな理由としては、柳田の理想主義的な面が挙げられる。事実より理想が先行する傾向といえる。
たとえば柳田は、今の大和民族が日本に来る前に日本には先住民族がいて、それが追われて山に入って山人となったと考えていた。
その山人の文化を調べることで日本の文化の起源が分かると考えた。
柳田が資料を集めてから熊楠に手紙を送ると、熊楠はそれは考えづらいと批判的に応じた。
最終的に、山人の伝承はそれほど数が集まらず、熊楠の批判もあって山人研究は挫折してしまう。
それ以外にも、柳田が性的で卑猥なものを嫌った一方で、熊楠はセクソロジーや猥談を非常に好み、そもそも人間の歴史や文化などはそうした猥雑物ばかりだと考えた。
柳田は農村や漁村で非常に広く行われている「よばい」を取り上げようとしなかったが、熊楠にとってそうした問題は現実と密接した重大な問題だった。
ともに優れた学才を持ちながらも、米英をめぐり、世界中の文献を渉猟した国際的な視野を持つ熊楠と、あくまでも思想の中心に日本人論があった柳田では、最初から見ているものがズレていたのかもしれない。
・折口信夫：
（柳田国男と違って本で言及されることがないので、直接の関係はなかった可能性が高い。熊楠は和歌山にいて学術界の主流からは外れており、柳田とすらほぼ文通の関係だったことを考えると、深い関係性はないだろう。とはいえ柳田の弟子としての折口の作品に目を通している可能性はあるか。全集を総ざらいすれば名前が出るかもしれないが、その余力はない。二人の関係性を示す資料を知っている人がいたら教えてください。）
・井上円了：大学予備門の頃から注目していた学者。わりと評価している。
ロンドン時代に「妖怪学講義」を取り寄せていた。
また、大英博物館で井上円了の講義録の序文を引いて「化け物についての学問はまだイギリスにはないだろう」と演説をしたら、すでに多くの研究がされていることを指摘され恥をかいたことがあると日記に記している。
・宮沢賢治：同時代の人間。
・エレナ・ブラヴァツキー：本を読んで感銘を受けた。
イギリス時代の熊楠はオカルティズムに批判的だったが、帰国してからは大いに興味を持っていた。
【コメント】
反吐を吐くからアーチャー
ではなく、野山を歩き回る姿がレンジャーに近いような気がしたのでアーチャー
水木しげるの名作漫画「猫楠」にちなんで動物会話（猫）を持たせようかと思ったけどやめた
参考文献
唐沢太輔「南方熊楠 日本人の可能性の極限」中央公論新社、2015
中沢新一「熊楠の星の時間」講談社、2016
松井五竜 編「南方熊楠の謎 鶴見和子との対話」藤原書店、2015
谷川健一 編「父を語る 柳田国男と南方熊楠」冨山房インターナショナル、2010
飯倉照平 編「柳田国男・南方熊楠往復書簡集(上)」平凡社、1994
松井五竜「クマグスの森 南方熊楠の見た宇宙」新潮社、ワタリウム美術館 編、2007
伊藤慎吾 他「怪人熊楠、妖怪を語る」三弥井書店、2019
志村真幸「熊楠と幽霊」集英社、2021
ではなく、野山を歩き回る姿がレンジャーに近いような気がしたのでアーチャー
水木しげるの名作漫画「猫楠」にちなんで動物会話（猫）を持たせようかと思ったけどやめた
参考文献
唐沢太輔「南方熊楠 日本人の可能性の極限」中央公論新社、2015
中沢新一「熊楠の星の時間」講談社、2016
松井五竜 編「南方熊楠の謎 鶴見和子との対話」藤原書店、2015
谷川健一 編「父を語る 柳田国男と南方熊楠」冨山房インターナショナル、2010
飯倉照平 編「柳田国男・南方熊楠往復書簡集(上)」平凡社、1994
松井五竜「クマグスの森 南方熊楠の見た宇宙」新潮社、ワタリウム美術館 編、2007
伊藤慎吾 他「怪人熊楠、妖怪を語る」三弥井書店、2019
志村真幸「熊楠と幽霊」集英社、2021
nevadakagemiya
コメントをかく