ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

『料理人とロスト』



…聖杯戦争。
7人のマスターが7体のサーヴァントを召喚し、万能の願望器を奪い合う…何というのだろう。行事?
ともかく、知識としては知っていても、それが現実に、しかも近所で起こると聞くと中々、緊迫感のようなものが生まれてくるものだ。
が。

「…ま、でも、ワタシには関係ないかナー」

ワタシも魔術師の端くれ…とはいえ、根源とかそういうのはとうに捨てた身。
何代目が始めたのかは知らないけれど、今のワタシの家は魔術を人のために…料理に使っている。
その生活は気に入っているし、不満もない。

「という事で、監督役さン!ワタシには参加の意志はありませン!もちろんパパにもネ!ラザー家はこの件不干渉ヨ!」
『了解しました』

返事をすると、すぐさま使い魔は夕焼けの空へと飛び立った。
話では、参加の可能性があるマスター候補はワタシを含めて9人いるらしいから、他の人の元に行ったのだろうか。

「願いを叶えたい…のはやまやまだけど、命あっての物種だもんネー」

…チャンスを逃したようなものではあるけれど、今の生活を失うリスクを侵すくらいなら、危なくない方がいいと思った。
ただそれだけの話である。

「…パパーー!お話終わったヨーー!」

さて、定休日も終わることだし、明日の仕込みをしないと。

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

次の定休日…あれから一週間。
パパから、聖杯戦争が始まったらしい、という話を聞いた。
どうも、お客さんが一人、参加しているらしい。

「せっかくだしその人が勝ったらいいかナー」

…いや。どんな願いを持っているか分からないのに、そんな事を言う物でもないか。

「一人分儲けが減るのは…そんなに問題じゃないけど…悲しいネ」

人が死ぬのは仕方のない事だが、それが人によるもの、というのはあまり推奨できた話ではない。

「動物に食べられるとかならネー」

なんて言ってみる。仕方のなさなら上だがその分痛そうだ。

「ネリア、今日は独り言多いナ」
「エッ!?そうパパ!?気をつけるネ!?」
「…まぁ、そんなに気にするナ。客が一人少ないのは難だが、ウチはそれ以外は関係ないんだから」
「………そうだネー!パパは何でもお見通しネ!」
「HAHAHAHAHA、父親だからな!」

パパはいつも通りだ。
ワタシとは見てきたものが違うんだろうけど、何が起きても全然動じない。
早く、パパみたいな立派な人間に、そしてマジックコックにならなければ。

「…ッ痛!…なニ?」

そんな時、なぜか身体…胸のあたりに痛みが走る。
なんとか、物を取り落としたりはしていないのは幸いだったが。

「大丈夫カ?」
「あ、うン。なんか軽くつったみたイ、平気ヨ」
「気をつけろヨ?」
「ありがト」

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

そんなこんなで今日分の仕込みも終わり、明日からまたいつもの仕事…と思っていたのだが。

「えっト…」
「………」

…何でワタシの部屋に女の子がいるの?
しかもなんか剣持ってるし。裸だし。

「…はじめまして」
「!?…は、はじめましテ」
「私は死です」

「……ハ?」

「クラスを保有せざる、八体目のサーヴァントとして、あなたの元へと至りました」
「ちょ、ちょっとまっテ?シ?シってホワイ?サーヴァント?エ?」
「…アメリカの方ですか。なら…DEATH、と言った方がいいですかね」
「あぁ…はイ、日本語でお願いしまス」
「…では、これからお願いします、マスター。あと、身体のどこかに令呪が浮かんでいるはずですから、一応後で確認させて下さい」
「う、うン」

…これは、困った。
体裁的にも、私的にもすごく困った。
だが、とりあえずこういう場合にするべきことは。

「…お下がりだけど、服着ル?」
「…あ、はい。ありがとうございます」

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

…色々と説明はしてもらった。
哲学的すぎてよくわからない所はあったが、つまるところ彼女もサーヴァントであり、ワタシが聖杯戦争に巻き込まれたことは確からしい。
あと令呪は左胸にあった。
先ほどの痛みはこのせいだったようだ。
ちなみに図案はそのまま『一』『タ』『ヒ』で『死』とかすごい。本当にすごい。

「なるほどネ…」
「…すみません、私のせいで」
「いエ?なっちゃった事は仕方がないし、アナタが悪いんじゃないでしょウ?」
「…はい、マスター」
「…そのマスターっていうのハ、何とかならなイ?」

なんか料理人じゃなくてバーテンダーみたいだし、できれば御免被りたいが。

「…そうでした。名前を聞いていませんでした」
「ア、そういえばそうネ。ワタシはマギネリア。マギネリア・ラザーって言うのヨ」
「…では、マギネリアと…」
「ノンノン」チッチッ

そういえばこのチッチッ、ってやつ初めてやったわ。
人生で一回はやりたいわよね、コレ。

「ネリアって呼んデ?常連さんとパパからはそう呼ばれてるノ」
「常連…。あ、分かりました、ネリア」
「うン!いい感じヨ!」


「…あの」
「ン?何?」
「私にも、その…料理を、してくれませんか」
「あラ?サーヴァントには必要ないんじゃないノ?」
「…いえ。娯楽として…と言うと難ですが、趣向品として、楽しみたいのです」

吃驚する。
先程の会話では、彼女は世界を知って間もないと聞くのに、好奇心が先に出るものか、と。
それは、自分には失われてしまった物のような気がして。

「…うン!……そういう事なら頑張っちゃうわヨ!けど、その前にパパを何とか説得しないト…」
「…使いますか?」ジャキッ
「駄目ヨ。…あ、あとソレ、何とか小さくできなイ?」
「できます」シュッ

『死』の剣が、一瞬にしてペンのようなサイズに縮小する。
身から離せない、と言うことは先程聞いたので、なんとか目立たないようにできればいいのだが。

「ンー…ブレスレットとかにできればいいかもネ?」
「なるほど」シュッグネッカチン
「うぉウ、なっタ」
「…これなら持ち運びもしやすいですし、いいですね」

うーん、まるでアサシン。

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

「…意外に、パパはあっさり承認してくれたネー…で、何食べル?」

自分で言うのもアレだけど愛されてるなぁワタシ。
話の途中で遮るように「オマエのやることなら何も止めないサ!ただ美味い飯作ってやれヨ!」
ってどうなのだろうか。
まじまじと考えると放任されてる気としないでもないが、まぁ聖杯戦争の話は聞いてもらえただけいいか。

「おすすめで」
「アハハハ、それ一番困るやツ」
「…ではネリアの一番好きなものを」
「オッケ!」

うん。それならやりやすい。
特に私の好物なら、割と簡単に作れる方だからそちらの面でもありがたいところだ。

「じゃ、パパッと作っちゃうネ!」
「はい、お願いします!」

今初めて感嘆符つけたねこの子!
わかりやすい性格で何より!

・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

「ほい一丁上がリ!」
「おぉ…これは何という?」
「アーリオオーリオペペロンチーニ!大体はペペロンチーノって言うやつだネ!パスタヨ!」
「なるほど、これが…では、いただきます」
「おゥ、そこは聖杯キチンと教えてくれてるのね、感激感激」
「はむ、…おいひいれふ!」
「あんまり食べながら喋らなイ!」
「ふみ……んく、すみません」
「いいのヨ。まぁ自分がいいように食べなさいナ」
「あ、はい。あむ、んくんく…」

こうしていると普通の女の子…いや、実際に身体はほぼ普通の女の子なのだろう。
魔術師を見た経験は多いが、そういう者達にあった殺気じみた雰囲気も、熟練者のような身運びも彼女にはない。
むしろ普通の行動に少しおぼつかない所があるくらいで、なんというか庇護欲をそそられる。或いは母性なのだろうか。

「…ごちそうさまでした」
「早いネ!?」
「すごくおいしかったです。…今は満腹ですが、もっと色々な料理も食べてみたくなりました」
「あら、照れるワ」
「なので、これからよろしくお願いします、ネリア」
「うン!よろしくネ!」

…聖杯戦争への参加。
不安や危険はもちろんあるけれど、ワタシにも叶えたい願いが出来てしまった。

「ねェ」
「何ですか?」
「勝ち残れば、それから先も一緒にいられるよネ?」
「…!はい、恐らくは!」
「…だよネ!…じゃあ、ワタシも頑張るからサ、一緒に勝ち残ロ!」
「…了解しました!」

この子に、もっと世界の楽しさを教えてあげたい。
その為に、今は前に進んでみよう。

何事も、Enjoyの精神で!
タグ

コメントをかく


利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

【初めて来た人へ】

【TRPG】

【ボードゲーム】

【動画】

 

泥ガチャ
(現在カード18種)

Wiki内検索

News

泥HPATK計算機

レア度
クラス
ステータス傾向
筋力
魔力
敏捷
耐久

※小数点以下切り捨て
 HP
初期HP
最大HP

 物理タイプATK
初期ATK
最大ATK

 魔術タイプATK
初期ATK
最大ATK

DL版HPATK計算機
計算式ソース:
https://www9.atwiki.jp/f_go/pages/1341.html
Java Scriptソース:
http://www.hajimeteno.ne.jp/dhtml/dist/js06.html

どなたでも編集できます