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スターシップ戦闘/Starship Combat

宇宙の底知れぬ深さは経験豊富な乗員たちにとっても危険であるが、何の準備もなく星々を彷徨う者にとっては致命的だ。惑星を破壊するブラックホール、目に見えない放射線帯、混沌とした流星嵐は、どの星系にも存在する。しかし、星々の間で遭遇する多くの障害の中でも、敵対的な船は圧倒的に多い。次のルールはスターシップ同士の戦闘、あるいは稀に発生し得る宇宙を動き回る巨大なクリーチャー同士の戦闘に適用される。

役割/Roles

スターシップの乗員が行うことのできるアクションは、その役割によって異なる。ほとんどの役割ではラウンド毎に複数人でアクションを行うことができる。それ以外の役割においては、その役割に該当するのは1人だけであり、その役割のアクションはラウンド毎に1回しか行うことができない。また、戦闘で行動する機会も役割に応じて決定される。スターシップ戦闘では以下の5つの役割を使用する。これらの役割は乗船時に宣言する(もし君が"乗客"であると宣言した場合、役割を引き受けない限りは戦闘で特別なアクションを行うことができない)ことが基本となるが、戦闘中に役割を変更することもできる(322ページを参照)。スターシップの専門用語、システム、データ・ブロックについては292ページの"スターシップの建造"を参照。
船長/Captain
戦闘における"船長"の役割は、敵の致命的な失敗を嘲笑しながら乗員を励ますことである。スターシップに配置できる船長は1人のみで、キャラクターは"船長"の役割が現在空席の場合にのみ引き受けることができる。艦長だけが戦闘のどのフェイズでも行動できる。"船長"が実行できるアクションについては322ページからの説明を参照すること。
機関士/Engineer
スターシップのパワーコアや機関を操作して最大効率を発揮させたり、必要な時に余分なパワーを供給し、必要に応じて重要なシステムにパワーを配分する。また、損傷したシステムを修理することもできる。スターシップに乗船できる"機関士"の数に制限はない。"機関士"は"整備フェイズ"(317ページを参照)でアクションを実行できる。"機関士"が行えるアクションについては、323ページからの説明を参照すること。
砲手/Gunner
スターシップの様々な武器システムを操り、敵船を無力化および破壊する。スターシップには1つ武器架台毎に、最大で1人の"砲手"(または砲手チーム)を配置できる。砲手は"砲術フェイズ"(317ページを参照)でアクションを実行できる。砲手が行えるアクションについては、324ページからの説明を参照すること。
操縦者/Pilot
"操縦者"は船の進路を計画する。各スターシップには移動速度と機動性が設定されているが、十分な技量があれば、その限界を超えてスターシップを動かすことができる。スターシップに乗船できる"操縦者"は1人に限られ、キャラクターは"操縦者"の役割が現在空席の場合にのみ引き受けることができる。"操縦者"は戦闘の"操舵フェイズ"(317ページを参照)でアクションを実行できる。"操縦者"が行えるアクションについては、324ページからの説明を参照すること。
科学士官/Science Officer
スターシップのコンピューターや走査機器、その他のシステムを使って脅威を特定し、敵を特定して障害を回避する。スターシップに乗船できる"科学士官"の数に制限はない。科学士官は戦闘の"操舵フェイズ"(317ページを参照)でアクションを実行できる。"科学士官"が行えるアクションについては、324ページからの説明を参照すること。
乗員の最小数と最大数/Large and Small Crews
スターシップの基本フレームは、当該の船の運用に必要な乗員の最小数および最大数を決定する。最小の乗員数に達しないスターシップは航行できない。しかし、NPCの大型スターシップが最大乗員数でスターシップ戦闘に参加する場合、乗員は個別に通常のアクションを行わない。これは、1ラウンドを解決するのに何時間も掛かってしまうからだ。このような場合、大型サイズ以上のスターシップでは、ほとんどの役割はチーム全体の人員を表現する。当該の役割で判定を試みる1人の乗員を支援するのに必要な乗員の人数は、スターシップのデータ・ブロックの役割名の後に記載されている。この人数はスターシップによって異なり、1つの役割で複数の判定を行えるほど乗員が多い場合もある。例えば、ドレッドノートには"機関士"や"砲手"のチームが複数あるかもしれない。

スターシップ戦闘の準備/Preparing for Starship Combat

スターシップ戦闘はヘックス・グリッド上で行われ、戦闘に参加するスターシップを表すフィギュアを配置する。"スターファインダー・フリップ・マット:ベーシック・スターフィールド"と、"スターファインダー・コア・ルール・ブック:ポーン・コレクション"に収録されているスターシップのポーンは、このゲームに最適なアクセサリーとなる。

スターファインダーの三次元空間における移動と戦闘の描写は現実的というよりは流動的かつ叙述的に示しており、ヘックスは特定の距離を表しているわけではない。特に指定がない限り、各船はサイズに関係なく1ヘックスを占める。

スターシップ戦闘の始まり/Beginning Starship Combat

スターシップの乗員が他の船に対して敵意を持った場合、乗員たちは戦闘配置につき、スターシップの目標補足システムを起動する。これは周辺のセンサーが作動している他の全てのスターシップにとって明白となるが、GMが許可すれば敵対するスターシップを説得できる可能性はある。

一般的にGMはスターシップ戦闘が始まる次期、戦闘参加者の位置、そしてそれぞれのスターシップがどちらを向いているかを決定する。これは双方がグリッドの反対側から向かい合うことを意味するかもしれない。しかし、両者の相対的な位置と向きをランダムに決定することもできる。3d6+5をロールし、双方が何ヘックス離れているかを決定する。どちらか一方が複数のスターシップで構成されている場合、この結果は戦闘に参加する一方の最もティアの高いスターシップと、もう一方のスターシップとの間の距離となる。他のスターシップは味方のスターシップから3ヘックス以内に配置する。次に、各スターシップのグループ毎に1d6をロールし、そのグループに属するスターシップの向きを決定する。ロールした結果が1であればスターシップがグリッドの上を向いていることを意味し、2から6はヘックスを時計回りにその数値の分だけ回っていることを意味する。

ラウンドとフェイズ/Rounds and Phases

キャラクター同士の戦闘と同様に、スターシップ戦闘は一方が逃げるか降伏する、あるいは敗北するまで数ラウンドに渡って行われる。キャラクター同士の戦闘のラウンドとは異なり、スターシップ戦闘のラウンドは特定の時間に限定されない。スターシップ戦闘の各ラウンドは3つのフェイズに分けられ、順番に解決される。スターシップに乗船している各キャラクターは、スターシップにおける役割に応じて、通常これらのフェイズのいずれか1つで行動する。
1. 整備フェイズ/Engineering
全ての船の"機関士"(存在する場合)はそれぞれスターシップのシステムを修理したり、増進させるアクションをおこなう。これらのアクションは同時に発生するため、どの順番で解決してもよい。
2. 操舵フェイズ/Helm
スターシップの"操縦者"はそれぞれ〈操縦〉判定を試みる。その結果が最も低い"操縦者"がまず自分のスターシップを移動させ、それ以降は二番目に低い"操縦者"から移動を行う。この判定は各ラウンドの"操舵フェイズ"で解決されるため、ラウンドによって移動の順番が変わることになるだろう。スターシップに"操縦者"が乗船していない場合、そのスターシップは"操縦者"のロール結果が0であったものとして扱う。結果が同点であった場合、〈操縦〉技能のランクが低いほうが先にスターシップを動かさなければならない。さらにランクでも同点であった場合、該当する2人の"操縦者"はそれぞれもう一度〈操縦〉判定を行い、その結果を比較する。

スターシップを移動させる際、"操縦者"は危険を伴う機動を行う、あるいは仕様を超えて動かすために、追加の技能判定を試みることができる。

また、このフェイズ中に"科学士官"の役割を担うキャラクターは、スターシップのシステムを使って船を走査したり、敵を目標補足することができる。"科学士官"は自分のスターシップの"操縦者"の前後で行動する必要があるが、行動順はまとめて決定することができる。
3. 砲術フェイズ/Gunnery
"砲術フェイズ"中に、"砲手"は自分のスターシップの武器を発射する。スターシップは当該ラウンドの"操舵フェイズ"で"操縦者"が行動したものと同じ順番で射撃を行うが、ダメージの影響はフェイズが終わるまで考慮されない。つまり、このフェイズ中に戦闘不能または破壊される程のダメージを受けたとしても、全てのスターシップが射撃できる。

全てのフェイズが解決された後、まだ交戦中の戦闘参加者が残っている場合、次のラウンドが開始され、新たな"整備フェイズ"から始まる。

移動/Moving

スターシップの"操縦者"は様々なアクション(324ページを参照)を行うことができ、スターシップを冷たく広大な宇宙空間に導くことができる。キャラクター同士の戦闘とは異なりスターシップは特定の方向を向いており、その方向によって射界やシールドの象限、移動方向が決定される。
ヘックスの面/HEX EDGES
スターシップ戦闘におけるヘックスの6つの面は、当該のヘックスにいるスターシップが向いている方向に関連して異なる呼称を持っている。スターシップが向いている面を前方面と呼び、後部は後方面と呼ぶ。スターシップの前方の左右に隣接する2つの面はそれぞれ前方左舷面と前方右舷面と呼び、後方の左右に隣接する2つの面はそれぞれ後方左舷面と後方右舷面と呼ぶ。

移動速度/speed

スターシップの移動速度は、1ラウンドで移動できる基本的なヘックス数を示す。代わりに、"操縦者"の判断により、この数より少ないヘックスを移動することもできる。この移動はスターシップが向いている方向に一直線に進むが、スターシップの向きは移動中に"回頭"(下記参照)することで変更することができる。スターシップの最高速度は当該のスターシップの〈操縦〉判定を修正する。
移動速度〈操縦〉判定修正値
4以下+2
6+1
8-10-
12-1
14以上-2

回頭/Turns

スターシップは移動中に"回頭"を行うことで進行方向、射界、シールドの象限を変更することができる。1回の"回頭"でスターシップの進行方向は60度、つまり1ヘックス面分変わる。スターシップはラウンド毎に"回頭"する前に、"機動性"によって決定される一定のヘックス数を移動しなければならない(以下の表を参照)。例えば、標準の機動性を持つスターシップが1ラウンド中に2回の"回頭"を行う場合、最初の"回頭"の前に最低でも2ヘックス移動し、2回目の"回頭"の前にさらに最低でも2ヘックス移動しなければならない。もしスターシップが完璧な機動性(回頭中の移動距離が0)を持つ場合、当該のスターシップは1ヘックス移動する毎に2回の"回頭"を行うことができる(一箇所で旋回できる)。
スターシップの1ラウンドあたりの"回頭"数は、"移動速度"と"機動性"によってのみ制限される。"回頭"はスターシップの移動速度に含めない。標準の機動性を持つスターシップの"移動速度"が8の場合、通常では1ラウンド中に合計で4回の"回頭"を行うことができる。
スターシップの操縦性は当該の船の〈操縦〉判定にも影響する。
機動性/Maneuverability回頭中の移動距離〈操縦〉判定修正値
劣悪/Clumsy4-2
貧弱/Poor3-1
標準/Average20
良好/Good1+1
完璧/Perfect0(上記を参照)+2

他のスターシップを通過する/Moving Through Other Starships

スターシップ戦闘におけるヘックスは3次元的な距離を表すものではないため、スターシップは他のスターシップが存在するヘックスを通過することはできるが、そこで移動を終了することはできない。スターシップが敵のスターシップが存在するヘックスを通過した場合、敵のスターシップは移動中のスターシップに対し、その後方の象限を目標として任意の射界から直射武器を発射できる。この"機会攻撃"は、敵のスターシップに適用されている他のアクション("転用"や"目標補足"など)によるボーナスや追加能力の利益を受けない。現在"砲手"の役割を担っているキャラクターは誰でもこの攻撃を行うことができる。"砲手"に指定されているキャラクターがいない場合(乗員が1人しかいないスターシップではよくある)、敵のスターシップは"機会攻撃"を行えない。この"機会攻撃"に使用された武器は、当該のラウンド内で通常通り使用することができる。

曲芸飛行/Stunts

通常の移動の代わりに、"操縦者"は自分の操るスターシップで"曲芸飛行"(324ページの"曲芸飛行"を参照)を試みることができ、船体の設計仕様の枠を超えて大胆な技を繰り出すことができる。一部の"曲芸飛行"はスターシップのアーマー・クラス(AC)および目標補足(TL)に影響する。
後進/Back Off
スターシップは方向を変えずに後方に移動速度の半分までを上限に移動する。この移動の間は"回頭"することはできない。この"曲芸飛行"を行うには〈操縦〉判定(難易度 = 10 + 1.5 × 君のスターシップのティア)に成功しなければならない。この判定に失敗した場合、君のスターシップは1ヘックスだけ後方に移動する。判定に5以上の差で失敗した場合、君のスターシップは全く移動せず、次のラウンド開始時までACと目標補足(TL)に-4のペナルティを受ける。
バレルロール/Barrel Roll
スターシップは速度の移動速度の半分までを上限に移動し、中心軸に沿って横転する。次の砲術フェイズにおいて、スターシップの左舷にあるシールドと武器は右舷の射界にある場合と同様に機能し、その逆も同様である。次のラウンドの開始時には通常の状態に戻る。この"曲芸飛行"を行うにはスターシップは大型サイズ以下でなければならず、〈操縦〉判定(難易度 = 10 + 1.5 × 君のスターシップのティア)に成功する必要がある。この判定に失敗した場合、スターシップは移動速度の半分までを上限に移動するが横転はしない。判定に5以上の差で失敗した場合、君のスターシップは移動速度の半分までを上限に移動するが横転はせず、次のラウンド開始時までACと目標補足(TL)に-4のペナルティを受ける。
回避運動/Evade
スターシップは移動速度までを上限に移動して通常通り"回頭"でき、次のラウンド開始時までACと目標補足(TL)に+2の状況ボーナスを得る。この"曲芸飛行"を行うには〈操縦〉判定(難易度 = 10 + 1.5 × 君のスターシップのティア)に成功しなければならない。この判定に失敗した場合、スターシップは通常通り移動する。判定に5以上の差で失敗した場合、スターシップは通常通り移動するが、次のラウンドの開始時までACと目標補足(TL)に-2のペナルティを受ける。
反転噴射/Flip and Burn
スターシップは移動速度の半分までを上限に("回頭"せずに)前進し、移動終了時に後方面に向くよう180度"回頭"する。この"曲芸飛行"を行うには〈操縦〉判定(難易度 = 15 + 1.5 × 君のスターシップのティア)に成功しなければならない。この判定に失敗した場合、スターシップは移動速度の半分までを上限に前進するが、"回頭"はしない。
フライバイ(接近通過)/Flyby
スターシップは通常通り移動するが、"機会攻撃"("他のスターシップを通過する"を参照)を誘発することなく敵スターシップが存在する1つのヘックスを通過することができる。次の砲術フェイズの間、自スターシップの武器から1つの射界を選択し、敵スターシップが至近距離(距離は1ヘックスとして扱う)にいるものとして扱い、敵スターシップの任意の象限に対して射撃することができる。この"曲芸飛行"を行うには〈操縦〉判定(難易度 = 15 + 1.5 × 敵スターシップのティア)に成功しなければならない。この判定に失敗した場合、スターシップは通常通り移動するが、"機会攻撃"については君のスターシップの最終的な位置と距離に基づいて通常の攻撃ルールに従う。
スライド/Slide
スターシップは方向を変えずに、前方左舷面または前方右舷面のいずれかの方向に移動速度までを上限に移動する。この"曲芸飛行"を行うには〈操縦〉判定(難易度 = 10 + 1.5 × 君のスターシップのティア)に成功しなければならない。この判定に失敗した場合、スターシップは移動速度の半分までを上限に前進し、"回頭"することはできない。
急旋回/Turn in Place
スターシップは移動せず、代わりに任意の方向に"回頭"することができる。機動性が"劣悪"な場合、次のラウンド開始時までACと目標補足(TL)に-4のペナルティを受ける。機動性が"貧弱"な場合、次のラウンド開始時までACと目標補足(TL)に-2のペナルティを受ける。"標準"以上の機動性を持つ船はペナルティを受けない。この"曲芸飛行"は技能判定を必要としない。

攻撃/Attacking

スターシップが他のスターシップに武器を発射する場合、そのアクションは砲術判定によって解決される。攻撃は操舵フェイズ中に決定された順番に従い、戦闘の砲術フェイズ中に行われる。ただし、ダメージと"致命的ダメージ"効果(321ページを参照)は全ての攻撃が行われた後に適用される。つまり、同一の砲術フェイズ中に起こった攻撃によって破壊されたり機能不全に陥ったとしても、全てのスターシップが攻撃を行う。ごく稀な例外を除き、スターシップの武器を発射できるのは、それぞれ1ラウンド毎に1回に限られる。攻撃は次の手順で行う。
距離と射界/Range And Arc
最初に2隻のスターシップの距離(ヘックス数)と攻撃を行う射界を決定する。最初の射程単位を超える毎に、砲術判定に対して累積する-2のペナルティを受ける。攻撃側のスターシップはその武器と同じ射界にいる艦船に対してのみ武器を発射することができる(下の図を参照)。攻撃を受けるスターシップが2つの射界に含まれるヘックス(図中の斜線部に該当するヘックス)にいる場合、どちらの射界の武器で攻撃するかを砲手が決定する。2つの射界に存在する武器を両方使用して攻撃することはできない。


砲術判定/Gunnery Check
目標に対して発射された武器毎に、個別に砲術判定を試みる。ただし、"連装武器"については1回のアクションと1回の砲術判定で解決する(301ページの補足を参照)。
砲術判定 = 1d20 + 砲手の基本攻撃ボーナスまたは砲手の〈操縦〉技能ランク + 砲手の【敏捷力】修正値 + コンピュータ・システムによるボーナス + 船長および科学士官によるボーナス + 射程ペナルティ
成果の決定/Determining the Outcome
使用する武器に応じ、砲術判定の結果を目標のアーマー・クラス(AC)または目標補足(TL)と比較する。直射武器(303ページを参照)で攻撃した場合、砲術判定の結果が対象のAC以上であれば、攻撃は対象に命中し、通常通りダメージが決定される(次の"ダメージ"を参照)。目標のACは以下の式を用いて決定される。
アーマー・クラス(AC) = 10 + 操縦者の〈操縦〉技能ランク + スターシップの装甲ボーナス + スターシップのサイズに基づく修正値 + 曲芸飛行とアクションの成否によるボーナスおよびペナルティ

ミサイル・ランチャーのような"追尾武器"(303ページを参照)で攻撃し、砲術判定の結果が目標の目標補足(TL)以上であれば、"追尾武器"の射出体は目標に向かって移動速度の距離を移動し、その移動中に必要に応じて"回頭"を行なう("追尾武器"の射出体は"完璧"な機動性を持つ)。もし移動の終点に到達する前に目標を捕捉した場合、通常通り爆発してダメージを与える(次の"ダメージ"を参照)。そうでない場合、次の砲術フェイズ開始時に新たな砲術判定を試み、射出体が目標に向かって移動を続けるかどうかを判定する。前のラウンドまたは現在のラウンドのコンピュータ・システムや乗員のアクションによるボーナスは受けないが、敵の"科学士官"の"上級対抗策"アクション(325ページを参照)などによるペナルティは受ける。"追尾武器"の砲術判定の結果が目標の目標補足(TL)を下回った場合、その武器の射出体は破壊され、プレイから取り除かれる。目標の目標補足(TL)は以下の式を用いて決定される。
目標補足(TL) = 10 + 操縦者の〈操縦〉技能ランク + スターシップの防御対抗策ボーナス + スターシップのサイズに基づく修正値 + スターシップの装甲ペナルティ + 曲芸飛行とアクションの成否によるボーナスおよびペナルティ

ダメージ/Damage

宇宙空間での戦闘は、スターシップとその乗員にとって極めて危険である。ひとたびスターシップが損傷を受ければ、重要なシステムが機能不全に陥ったり、完全にシャットダウンしたりする可能性がある。これにより乗員は電源も重力、そして空気さえも失ってしまう。このような損傷によって、スターシップはセンサーや推進力、武器システムを失う可能性もある。これは戦闘における敗北を意味する。

"砲手"の攻撃が命中した際、"砲手"は使用した武器が与えるダメージをロールし、命中させたスターシップのどの象限に命中させるかを決定する。スターシップのシールドの象限は射界(318ページの図を参照)と同様である。最初に攻撃によって命中した象限に該当するシールドにダメージを与え、与えたダメージ量に等しいシールド・ポイント(SP)を減少させる。当該の象限のシールド・ポイント(SP)が0になった場合、シールドは完全に消失し、余剰のダメージは対象のスターシップの船体ポイント(HP)に適用される。スターシップが対象の象限にシールドを持たない場合、またはその象限のシールドが既に消失している場合、ダメージは全て対象の船体ポイント(HP)に直接適用される。

対象のスターシップがダメージ閾値(DT)(292ページを参照)を有している場合、そのスターシップの船体ポイント(HP)に与えるダメージがダメージ閾値(DT)以下の攻撃は対象のスターシップの船体ポイント(HP)にダメージを与えることができない。ダメージがダメージ閾値(DT)より大きい場合、対象の船体ポイント(HP)に全てのダメージを与える。

船体ポイント(HP)が0以下になった場合、当該のスターシップは航行不能となり、修理されるか救助される、あるいは破壊されるまで、現在の進行方向のまま移動速度の半分で浮遊する。当該のスターシップに乗っている乗員は、生命維持システムが破壊されない限り直ちに危険に曝されることはないが、船を修理する方法がない場合、最終的に飢えと渇きで死に至るかもしれない。

船体ポイント(HP)の2倍を超えるダメージを受けた場合、当該のスターシップは破壊され、修理することはできない。全てのシステムは機能しなくなり、船体は損なわれる。乗員は短期間であれば生存できるかもしれないが、保護がなければ長くは生きられない。

致命的ダメージ/Critical Damage

スターシップのシステムは致命的なダメージを受けて機能が低下し、最終的には完全に機能しなくなる可能性がある。

"致命的ダメージ"は砲術判定の結果が出目20であった場合、および対象の船体ポイント(HP)がダメージを受ける毎に増加する。目標のスターシップが"システム捕捉"科学士官アクション(325ページを参照)で成功した対象であった場合、"致命的ダメージ"の判定範囲はダイスの出目19〜20に拡大される。

"致命的ダメージ"はまた、対象のスターシップの船体が受けたダメージの総量がクリティカル閾値(CT)(292ページを参照)または閾値の倍数を超えるダメージを受ける毎に増加する。例えば、船体ポイント(HP)が100でクリティカル閾値(CT)が20のスターシップは、船体ポイント(HP)に受けたダメージの総量が20、40、60、80、100(以降は同様)ポイントを超える毎に"致命的ダメージ"を受ける。このスターシップに"致命的ダメージ"を与えるためには、個々の攻撃で20以上のダメージを与える必要はなく、スターシップの総ダメージをクリティカル閾値(CT)の倍数以上に押し上げる攻撃であればよい。

スターシップは船体ポイント(HP)の合計が0以下でも"致命的ダメージ"を受ける。
シールド/Shields
スターシップが攻撃によって"致命的ダメージ"を受けるのは、当該の攻撃がスターシップの船体ポイント(HP)にダメージを与えた場合のみである(例え砲術判定の結果が出目20であったとしても)。攻撃のダメージがスターシップのシールド・ポイント(SP)を減少させるだけであれば、"致命的ダメージ"は発生しない。
致命的ダメージ効果/Critical Damage Effect
"致命的ダメージ"が発生した場合、攻撃側のPCは以下の表でロールを行い、対象のスターシップの主要システムのいずれに命中したかをランダムに決定する。対象のシステムは"致命的ダメージ状態"(下記参照)を得ることになり、その効果は表に記載されている。システムが現段階で"致命的ダメージ"を受けていない場合は"故障状態"となる。そのシステムが再び"致命的ダメージ"を受けた場合、その"致命的ダメージ状態"は深刻度が1段階ずつ変化("故障状態"は"機能障害状態"となり、"機能障害状態"は"破壊状態"となる)する。これらの状態と乗員アクションへの影響については"致命的ダメージ状態"を参照すること。

どのシステムが影響を受けるかを決定するにはd100をロールし、以下の表を参照する。当該のシステムが既に"破壊状態"(武器統制システムの場合、全ての射界の武器が"破壊状態")である場合、その"致命的ダメージ"を表中の次のシステムに適用する。表の最下部に到達した場合、代わりに乗員の1人にダメージを与える("乗員ダメージ"を参照)。
d100システム効果
1-10生命維持この状態は全ての船長アクションに適用される。
11-30センサーこの状態は全ての科学士官アクションに適用される。
31-60武器統制武器を含む射界をランダムに1つ決定する。この状態は対象の射界の武器を使用する全ての砲手アクションに適用される(砲塔は全ての射界内にあるものとして扱う)。
61-80機関この状態は全ての操縦アクションに適用される。
81-100パワーコアこの状態は"応急保守"および"パッチ"以外の全ての機関士アクションに適用される。"機能障害状態"および"破壊状態"のパワーコアは、他の乗員のアクションに影響を与える(以下の"致命的ダメージ状態"を参照)。
乗員ダメージ/Crew Damage
スターシップのパワーコアが"破壊状態"で、さらにパワーコアに"致命的ダメージ"を受けた場合、そのスターシップには"致命的ダメージ状態"は適用されない。その代わり、乗員の1人(ランダムに決定される)が負傷し、攻撃によって受けた船体ポイント(HP)へのダメージに等しい量のダメージをヒット・ポイントに受ける(人型生物の目標に対するスターシップ武器の増加分は含まない。292ページの"スターシップへの射撃"を参照)。当該の乗員は難易度20の反応セーヴに成功することで、ダメージを半減させることができる。

致命的ダメージ状態/Critical Damage Conditions

以下は"致命的ダメージ状態"とその効果を、深刻度順に並べたものである。これらの効果は主にスターシップ戦闘に適用され、非戦闘時のプレイに影響することはほとんどない。例えば、"破壊状態"の機関を使ってスターシップを安全な場所まで移動し、修理することは可能である。ただし、GMは通常よりも時間が必要になると裁定するかもしれない。
故障状態/Glitching
"故障状態"にあるシステムは最高の性能で動作していない。そのシステムに関わる乗員アクション("応急保守"および"パッチ"アクションを除く。323ページを参照)は-2のペナルティを受ける。
機能障害状態/Malfunctioning
"機能障害状態"にあるシステムは制御が困難である。そのシステムに関わる乗員アクション("応急保守"および"パッチ"アクションを除く)は-4のペナルティを受ける。また、乗員は当該のシステムを使って"推進"アクション (322ページを参照)を行うことができない。パワーコアが"機能障害状態"となっている場合、パワーコアに関係しないスターシップ内の全てのアクションは-2のペナルティを受ける。このペナルティは他のシステムに影響する"致命的ダメージ状態"によるペナルティと累積する。
破壊状態/Wrecked
"破壊状態"にあるシステムは最低限の機能を留めるのみである。そのシステムに関わる乗員アクション("応急保守"および"パッチ"機関士アクション、"限定乗員"アクションを除く。326ページを参照)は自動的に失敗する。パワーコアが"破壊状態"となっている場合、パワーコアに関係しないスターシップ内の全てのアクションは-4のペナルティを受ける。このペナルティは他のシステムに影響する"致命的ダメージ状態"によるペナルティと累積する。

シールドの回復とダメージの修復/Restoring Shields And Repairing Damage

スターシップ戦闘遭遇が終了すると、スターシップが破壊されておらず、かつ捕虜になっていない限り、乗員はスターシップが受けた損傷を修復することができる。シールドは、スターシップのパワーコアが"破壊状態"となっていない限り、一定の割合(シールドの種類による。302ページを参照)でシールド・ポイント(SP)を回復する。1分間掛けて〈工学〉判定(難易度 = 15 + 1.5 × スターシップのティア)に成功すれば、10分間この再チャージ速度を2倍にすることができる。この判定には"致命的ダメージ状態"によるペナルティが適用される。

10分かけて〈工学〉判定に成功すれば、システムから"致命的ダメージ状態"を取り除くことができる。この難易度は状態の深刻度によって異なる("故障状態"の場合は難易度15、"機能障害状態"は難易度20、"破壊状態"は難易度25)。システムは"致命的ダメージ状態"ではなくなり、通常どおり機能する。

船体の損傷を修復(失われた船体ポイントの回復)することはより難しい。まずスターシップを安全な場所(例えば、敵意のない大気のある星や宇宙ステーションのドックなど)で完全に停止させ、修理するキャラクターが船体の外側に到達できなければならない。パクト・ワールドのほとんどでは、乗員はメカニックに代金を支払うことでスターシップを修理することができる。この費用と時間はGMの裁量による。乗員が未知の領域で単独行動している場合でも、船体の修理は可能である。その場合、修理する船体ポイント(HP)のダメージ1毎に10UPB(233ページを参照)を要し、修理を行うHPに関係なく5時間の作業が必要となる。〈工学〉判定(難易度 = 15 + 1.5 × スターシップのティア)に成功したキャラクターは、コストまたは時間を半減させることができる。難易度を10上回る毎に、これらの要因のどちらかを半減させる(またはもう一度半減させることもできる)ことができるが、1ダメージにつき最低1UPB、1時間までが下限となる。任意の数の味方が、この〈工学〉判定を補助するために"援護"アクション(133ページを参照)を使用できる。時間およびコストを減らすための判定に失敗した場合、代わりに1ダメージ毎に5UPB増加する。
スターシップ戦闘でのその他のアクション/Other Actions in Starship Combat
スターシップ戦闘遭遇において、君がどのようなアクションを行えるかは役割に応じて決定されるが、時には呪文の発動やクラス特徴を使用したりといった、他の種類のアクションを行いたくなることもあるだろう。君がどのような通常アクションを行えるかについてはGMが最終的な裁量権を持つが、基本的に1ラウンド中に1つの移動アクションまたは標準アクションしか行うことができず、そのラウンド中に行えるのは"限定乗員"アクション(326ページを参照)に限られる。スターシップ戦闘中、君は味方に隣接しているとはみなされないため、能力や呪文で味方に影響を与えるのに十分な距離まで近付くために追加のラウンドが必要であるとGMが決定することもあるだろう。これらのアクションは当該のラウンド開始時に、整備フェイズの前に解決される。
NPCスターシップの砲術判定ボーナス/NPC SHIP GUNNERY BONUSES
ティア9以下のNPCスターシップの砲術判定ボーナスは、当該のスターシップのティアに、そのスターシップのティアと同等の脅威度(CR)を持つNPCの最も高い能力修正値を足したものに等しい(エイリアン・アーカイブ 129ページの表を参照)。

ティア10以上のNPCスターシップの場合も同様の計算を適用するが、代わりに2番目に高い能力修正値を代入する。

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