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宇宙飛行/Space Travel

いずれのパクト・ワールドが初の宇宙飛行を実現したかは誰も知らないが、近代に入る頃には、ほぼ全ての世界が何らかの形で惑星間航行を実現していた。一部の世界では、これを純粋に魔法的な方法で実現し、強力な呪文やアーティファクトを使ったり、他の存在する次元界を短時間で跳躍することで、旅人たちは目的の世界に到達することができたのだ。しかし、他の人々にとって空気の存在しない宇宙空間は渡るべき海の一つに過ぎず、彼らは魔法から機械、生物から神までと、様々な手段を使って実現した。

科学技術が進歩するに連れて世界を股に掛けた移動に要する時間は数ヶ月から数日へと短縮され、惑星間の最適な航路はスターシップで混雑するようになった。しかし、この宇宙飛行の新時代においても太陽系を超える航行は依然として稀であり、最も近い恒星まで通常の速度で移動するには何世代もの時間を必要とする。少数のスターシップはこの障害を回避できる機関を備えていたが、どれも非常に高価な魔法と科学技術を用いており、多くの場合は教会やその他の組織によって管理されている。アスモデウスのヘルドライブからクーソンズ・シャドウ・エンジン、アイオメデイ・カテドラルシップの祈力コアに至るまで、これらの技術のほとんどは船を別の次元界に運ぶだけでなく、神の直接的な支援によって動作しているのだ。そのため、常に高額な対価がついて回る。空間を折り曲げたり、安定したワームホールを作り出したり、物理法則を曲げるといった航行技術も理論化されてはいたが、パクト・ワールドにおいてそれらが作り上げたことは未だかつてない。

そして、ギャップの終結から3年後に"信号"が発せられた。ある世界では放送として受信され、またある世界では発明家や狂人の夢の中で受け取り、ある世界では故障した組み立てロボットが床に刻み込んだ。他にも墜落した宇宙探査機の内部からそれを掘り出したり、都市の中心部のモノリスに彫られているのを発見したり、あるいは空に浮かぶ炎の輪の中の存在から鳴り響くのを耳にした者もいる。その方法を問わず同じ瞬間に、物質界の幾千もの文明が同じ情報を受け取った。それは、星々の間に存在する距離を安価かつ効率的に短縮できる新しい種類のスターシップ推進装置の仕様だった。

一部の学者は全ての文明がこの情報を受け取ったと主張しているが、多くの受信者はそれに気付くことも、利用することもできなかった。場合によっては、文明が情報を解釈できるほど技術的に発達していなかったこともある。探検家たちは洞窟の壁に描かれたこれらの設計図を、理解に至らなかった旧石器時代の文明の中に発見した。また、情報に恵まれた発明家がそれを共有する前に窓から落ちてしまったというように、単純な事故によって情報が失われてしまった事例もある。

"信号"が発せられてすぐ、新たな神トゥライユーン(490ページを参照)がパクト・ワールドに姿を現し、その知識は新しい定命の子らに祝福として与えられたのだと訴えた。以前はそれぞれ機械とロボット工学の3つの下級の神格だったが、現在はネットワークで結ばれて一つの存在となった。そして、この神格の集合体は現実世界の基層を覗き、未知の次元界の存在を発見したと主張した。"ドリフト"と呼ばれるこの次元界は、魔法ではなく科学技術によってのみ到達することが可能で、定命の者たちが銀河のあらゆる地点間を安価で簡単に移動できるようになるのだという。この発見を世界に与えたことで、トゥライユーンは恒星間航行の新たな神として、一夜にして多次元宇宙における最も強力な存在のひとつとなった。

"ドリフト機関"は以前の恒星間航行と同様に別の実体のある次元界へと跳躍し、物質界の別の地点に戻るという動作をする。そのため、実際に光の速度が示す厳しい制限に直面することはない。過去においては強力な魔法を使い、"ヘヴン"や"ヘル"、"メールシュトローム"、あるいは"始まりの世界"など、時に好ましからざる態度や欲求を持つクリーチャーや神々が住む場所に移動することを意味していた。一方、"ドリフト"は異なる種類の次元である。実体のない渦巻く色彩の空虚な空間であり、変化しやすい法則を持つほとんど何もない場所である。あらゆる創造の根底にある量子の泡だと考える者もいるほどだ。"ドリフト"内部では魔法がまだ有効であるが、現実との間を隔てる膜を突き破ることができるのは科学技術だけである。トゥライユーンが門番としての役割を担っていることもあり、他の神格や組織がこの場所を独占することは叶わない。

ほとんどの懐疑論者や他の宗教の信者でさえ、トゥライユーンが平等主義的な提案を実行に移し、安価で簡単な恒星間航行を誰にでも提供するようになったことを認めざるを得ない。ただし、ドリフトを使用する際には注意すべきことがある。"ドリフト機関"が使われる度、無作為に次元界の極一部が元の場所から切り取られてドリフト界に追加され、永遠にそこに浮かぶようになる。跳躍の距離が遠いほど、その物質の塊は大きくなり、跳躍する船の近くに現れることもあるため危険性が増す。いつ長距離跳躍がヘル界の塊を引き剥がし、怒り狂うデヴィルの群れの中を飛ぶ羽目になるのか判らないのだ。安全対策が施された跳躍を行う者でさえ、以前の航行でドリフト界に閉じ込められた奇妙な獣に遭遇する可能性がある。なぜこの科学技術にこのような副作用があるのかは不明だが、陰謀論者の中にはドリフト界の大きさが徐々に拡大し、それに伴って他の実体のある次元界が縮小しているのは、トゥライユーン自身がもたらす不可解な力の一環だと考える者もいる。

標準航行と星間航行/Standard Navigation and Astrogation

哨戒艇であれ戦闘艦であれ、全てのスターシップはスラスターによって宇宙空間を航行する。この機関の正確な構造はスターシップによって異なり、技術的なものもあれば魔法と機械が融合したものもある。正しい航路を進むための技能については、〈操縦〉技能の"航行"(145ページ)を参照すること。移動したいおおよその距離を決め、以下の移動時間を用いて移動し、目的地に到着するまでの所要時間を確認する。ただし、移動時間の最終的な決定者はゲームマスターであり、キャンペーンの必要に応じて、ゲームマスターが望むように移動時間を短縮または延長することがある。
スラスター始動(サイズ分類毎に1分)/Start Thrusters:ほとんど問題になることはないが、スターシップのスラスターが使用可能になるまでには、準備のための短い時間が必要となる。ほとんどの格納庫や宇宙ドックでは、スターシップが着陸またはドックに入った後にスラスターを停止させる必要がある。しかし、軌道上のスターシップは常にスラスターが動作している。また、"ドリフト機関"(下記参照)を使用する際にも、スラスターを停止させる必要がある。
惑星内航行(1d4時間)/Travel Point-to-Point on a Planet:大型サイズ以下のスターシップは惑星や小惑星の大気圏内で行動することが可能で、理にかなった範囲内で同じ惑星上の2つの地域間を移動することができる(例えば、スターシップは一般的に水中に潜るような装備は備えていない)。移動時間は2地点間の距離に応じて変動する。この時間は、同じ惑星を周回する異なる軌道にある2つの船の間を移動する場合にも適用できる。
軌道への上昇、または惑星への降下(1d2時間)/Go into Orbit or Land:大型サイズ以下のスターシップが惑星および小惑星の地表から離陸して軌道上に乗ったり、軌道上から制御された状態で着陸する際に要する時間は僅かである。超大型サイズ以上のスターシップは、惑星および小惑星を周回する軌道上に乗ることができ、その乗員が地表に降り立つにはシャトルなどの輸送手段が必要になる。
衛星への航行(1d8時間)/Reach Satellite:惑星の軌道上から、スターシップがその惑星の衛星に到達する(またはその逆)には、着陸するよりも若干多くの時間を要する。この所要時間は惑星の大きさや衛星軌道にもよる。
星系内航行(1d6+2日分)/Travel In-System:同じ星系内にある2つの惑星間の移動は、移動時の惑星の相対位置に応じて変動する。
星系間航行/Travel Between Systems:通常のスラスターで2つの星系間を移動するのは大変なことで、少なくとも数十年はかかる。そのような旅を試みるのは大型のコロニー船か、仮死状態の乗員を乗せた船だけだろう。

ドリフト航法/Drift Navigation

ドリフト技術は通常の宇宙飛行とは異なり、ワールド間の距離は跳躍の正確な目標設定の難しさよりも重要ではない。太陽系内では跳躍は比較的手軽で簡単だが、この方法は通常のスラスターによるワールド間の航行よりも僅かに速い程度である。特定の星系を除き、ドリフト技術において銀河系は"周辺宙域"と"ヴァスト宙域"の2つの宙域に分けられる。"周辺宙域"は銀河系中心部に近く(パクト・ワールドとも近い)、"ヴァスト"星系は中心から離れている傾向があるが、両宙域の実際の違いはいわゆる"ドリフト・ビーコン"の密度にある。この謎めいた物体は時には自然発生的に、時にはトゥライユーンの司祭によって設置され、航法システムがドリフト内において船の方向を定める際に用いられる。一つの"ドリフト・ビーコン"を設置しただけではヴァスト宙域を周辺宙域に移行させることはできないが、対象宙域の一般的な領域に多数設置することで移行を引き起こすことができる。従って、銀河の外縁部に至るまで周辺宙域に移行された空間を見つけることができ、銀河の中心付近でもヴァスト宙域の一部とみなされる未開拓の区域も存在する。

ドリフトで宇宙を移動する場合、目的地が同じ星系にあるのか、周辺宙域にあるのか、それともヴァスト宙域にあるのかを判断する。旅の始まりと終わりの距離は関係なく、どの種類の宇宙から出発するかも関係ない。ヴァスト宙域から周辺宙域への移動は、周辺宙域同士の移動ほど難しくはない。次の移動時間に応じてロールし、その結果を君のスターシップのドリフト機関の出力で割り、目的地までの所要時間を決定する。例えば、ドリフト機関の出力が2のスターシップがヴァスト宙域へと移動する場合は5d6をロールし、その結果を2で割る。結果が15であれば、その行程は7.5日かかることになる。ドリフト航行のロール結果は切り捨てないことに注意すること。これは、複数のスターシップが目的地まで競争するような場合、この端数が非常に重要になるからだ。また、ドリフトは次元界を通過することになるため、跳躍の途中で一旦停止することも可能である。浮遊している地形の塊に着陸したり、スターシップ戦闘を行ったりすることもできる。このように停止している間は目的地に接近しないため、必要な移動時間には含まれていない。ドリフト中に経過する時間の流れは通常の宇宙空間で経過する際と変わらず、乗員たちは通常通りアイテムの作成や治癒、その他の行動をとることができる。

アブサロム・ステーションについては、上記ルールの例外となる。理由は定かでないが、その中核にあるスターストーンは非常に強力なドリフト・ビーコンとして機能し、銀河系のどこからでも1d6日でアブサロム・ステーションに跳躍することができる。

ドリフト界を航行する間、スターシップは通常のスラスターを使用する。スターシップがドリフト機関でドリフト界に進入する、または退出する際には通常のスラスターを1分間停止しなければならない。

星系内跳躍(1d6日分)/Travel In-System:同じ太陽系内の2地点間を跳躍するのは、現実空間での移動よりもそこそこ速く、ドリフトでランダム遭遇となる確率は1%に過ぎないほど短い。
アブサロム・ステーションへの跳躍(1d6日分)/Travel to Absalom Station:アブサロム・ステーションへの跳躍は、スターストーンの恩恵により常に1d6日しか必要としない。
周辺宙域への跳躍(3d6日分)/Travel to Near Space:周辺宙域にはパクト・ワールド星系と、探検家たちがこれまでに植民地化して接触した世界のほとんどが含まれているが、まだ調査されていない周辺宙域の世界は幾千も存在する。周辺宙域へ跳躍する際のドリフト中に発生するランダム遭遇の確率が、10%を超えることはほとんどない。
ヴァスト宙域への跳躍(5d6日分)/Travel to the Vast:数百万ほどもあるヴァスト宙域は、周辺宙域よりも到達が難しく、ドリフト中にランダム遭遇が発生する危険は25%から50%にもなる。
銀河系外への跳躍/Travel beyond the Rim:他の銀河系の存在は認識されているが、パクト・ワールドのある銀河系との距離は非常に大きく、ドリフト技術を用いた銀河間移動はまだ確認されていない。移動に要する時間が極端に長いためなのか、ドリフト自体の到達範囲に限界があるためなのか、あるいはそのような試みが行われた際にドリフト内で遭遇した危険のためなのか、その理由はまだ判っていない。

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