リィースロータ・メルアステア・カルトゥロム

「今日は晴れです。絶好の採掘日和なのです」

基本情報

【氏名】リィースロータ・メルアステア・カルトゥロム(Lysróta・Meluastea・Kaldtrom)
【性別】女性
【年齢】18歳
【出身】ノルウェー
【身長・体重】153cm・45kg
【肌色】白【髪色】緑【瞳色】翡翠色
【スリーサイズ】72/60/76
【外見・容姿】深い緑色の短髪と透き通った翠色の瞳が印象的な小柄な少女
【令呪の位置】左手甲
【属性】中立・中庸
【魔術系統】独自の結界魔術、セイズ、ルーン魔術
【魔術属性】水、風
【魔術特性】凍結、保存
【魔術回路】質：A 量：C 編成：正常(微かに変質の兆しあり)
【起源】『愛蔵』
【所属】時計塔・考古学科
【階位・称号・二つ名】秘宝管理職員ミスティック・キュレーター、雪人形ちゃんスノードール

魔術・特殊技能・特性など

凍結筐体クリオスフィア・キャビネット

「Iskaldt悠久の夢を」

　古き遺物を保管する為に作り出された魔術であり、現代の環境から隔絶された領域を作り出す結界の一種。
　保存対象となる遺物の表面を「凍結」の性質を持つ結界で覆い、外界の空気、光源、衝撃から防護しつつ、摩耗、劣化の原因となる成分や魔力を取り出した後に密閉して固定する。
　内部の遺物を基点として結界が張られている為、持ち運びも可能。魔術錠ミスティック・ロックによる盗難セキュリティも万全*1。
　限定的な結界内部に於ける時間流の停滞も術式に組み込まれており、事実上これに封じられた遺物の劣化を限りなくゼロにしつつ、安全な神秘保全を行うことを可能としている。
　無論、超長期保存時には遺物の性質に応じた術式の細かな調整や結界そのものの維持と管理も必要となる。
　なお、生きたままの人間や生物の保存も不可能でないらしいが、その場合はバイタルチェックや生命維持などに莫大な手間と費用が掛かる為、ごく短期的な緊急保存ならともかく、長期間の生命凍結保存を行う事は現実的ではない。

　戦闘時などでは上記の詠唱により、自身に向けられた魔術式を「凍結」し「停滞」させる事で威力を大幅に削ぐ、氷の防御結界として展開させる事も可能。
　生物を凍り付かせる事は難しいが、数の暴力を取り柄とする小型の使い魔の群れ程度は一瞬で機能停止に追い込める。
　また、魔術式そのものを氷で封じ込め、結界が溶けると同時に起動させる「魔術時限爆弾」を作り出すといった裏技もある。

巫術セイズ

　北欧の魔術系統の一つ。一説には女神フレイヤを開祖とする、北欧において魔女や巫女の使う魔術。
　シャーマンのように精神を高揚させ憑依状態となる巫術的系統と、儀式によって対象を呪う呪術的系統の二つを主軸とする。
　天候変化や変身術、呪的治療などもセイズに含まれる。
　リィースロータの場合、天候変化と災害の予知に優れる。
　ここでの「予知」とは高次存在から賜る「預言」というよりも、大気中のマナの流れなどから素早く自然災害の発生を察知する、魔力感知技術といった方が正確。
　天性の霊的感受力を持つリィースロータは「感覚の鋭い魔術師なら気づく」一段階前、精密な魔力計が微かに反応するレベルの魔力の流れをも感知する直感性を有しており、魔術への素早い対応能力には目を見張るものがある。
　大規模な天候魔術の行使には当然ながら大人数による儀式を必要とするが、個人でも雹混じりの冷風を発生させるくらいは可能。
　本気を出すと凝縮された氷塊が大量に飛んでくるので、シンプルながら相当な脅威である。

ルーン魔術

　北欧の魔術系統の一つ。ルーン文字を刻む事で一工程シングルアクションで魔術的神秘を発現させる。
　詠唱が短くて済むのが強みであり、文字毎に様々な効果を発揮する。
　リィースロータの場合は、やはり寒冷系のルーンを好んで使用する。逆に火炎系のルーンは業務上の都合もありまったく使えない。
　探知や発掘など考古学研究に役立つ様なルーンも多数習得している。
　...因みに、彼女の家系が抱え込んでいる遺物の中には「原初のルーン」が刻まれた物も存在するらしいが、実用可能となるほど復元・解析が進んでいないので、今の所は使用されない。

礼装・装備など

魔槍・氷華翠月ペネレイト・アイシクル

　透き通った翡翠のような物質で構成された槍型の魔術礼装。普段は小型化させて服の中に忍ばせている。
　これは「氷河」の概念を軸に据えた礼装であり、複数の遺物や呪体の破片を魔氷で閉じ込める事で構成されている。
　使用された遺物の例を挙げると「霜氷の巨人の外殻化石」「原初の牝牛の系譜を組む幻獣の体毛」「ドヴェルグが鍛えた"真の銀"の破片」など。
　聖柩アークに匹敵する遺物をいくつも抱え込んでいる考古学科メルアステアの強みを活かした礼装は、下手な英霊の武具にも比類し得る。
　内部の遺物に干渉する事で性質を自在に変化させ、身の丈程の硬く鋭い槍にも、伸縮性に富む鞭にも、採掘用のスコップやクレーンにもなる。
　そして勿論、魔術行使を補助する杖テインとしても機能し、結界の多重展開や氷の刃を構成しての斬撃、ルーンの並列同時刻印などを行う。

外見・容姿の詳細など

　年齢の割には小柄であるが、肉付きはよく健康的な少女。
　北欧の森林のように深い緑色の髪を綺麗に左右に分けて、黒いリボンで纏めており、翡翠色の透き通った大きな瞳と雪の如く白い肌も相まって妖精アールヴと見紛う可憐さを醸し出している。
　落ち着いた黒のゴシックファッション服を好んで着る。
　その為、収蔵庫で仮眠を取っていると収蔵品の磁気人形ビスクドールと間違われる事も。

人物像

　時計塔・考古学科メルアステアに所属する魔術師。
　遺物の保存に適した結界魔術を行使する、うら若き秘宝管理職員ミスティック・キュレーター。

イメージカラー：透明な氷に閉じ込められた若草の翠
特技：冷凍保存、とても寒さに強い、8割当たる肌感覚天気予報
好きなもの：ふわふわのぬいぐるみ、解凍したてでシャリシャリしてるお刺身、アイスをたっぷり乗せたワッフル、トナカイのロースト肉、フィスクシュッペ*2
苦手なもの：伝承科の人、地球温暖化、誰にも知られずに忘れ去られる事
天敵：北欧の魔術を複数習得し、秘宝を用いた神秘行使やしなやかな身体能力、第六感にも優れるオールラウンダーだが、使用する魔術の性質が氷結や寒冷に偏っている為、強力な炎熱系の魔術や異能は苦手とする。最も並み以下の火炎魔術であれば「炎を凍り付かせて」無効化する事は容易い*3。

【一人称】わたし【二人称】あなた、〇〇さん、〇〇様【三人称】〇〇さん、〇〇様

来歴

　名前に『メルアステア』とある通り、カルトゥロム家は考古学科メルアステアの君主ロードの分家...厳密に言えば、ノルウェーの土着の魔術家系が、ロードの庇護下に入った末に分家として取り込まれた、という経歴を持つ一族である。

　考古学科メルアステアに取り込まれる前のカルトゥロム家はノルウェー南部スカンディナヴィア山脈のヨトゥンヘイム山地周辺の霊地を拠点とする、北欧の神々を祀る神官ゴーズィと巫女ヴォルヴァたちの一族であった。
　九世紀頃から続く、ノルウェーでも指折りの歴史を誇る大家であり、その起源は零落した霜氷の巨人種ヨトゥンの末裔である巨怪妖種トロールの魔女が、失われ逝く古き神秘を儚んで巫女と神官を呼び集めて作り出した資料館兼神殿であるとされる。
　十二世紀までのスカンディナヴィアのキリスト教化からも逃れて存続してきた彼らは、大源マナの流れを読む事による天候の予知(言ってしまえば魔術を用いた天気予報)や山奥の秘境や氷河からの古き遺物を蒐集し、それらを用いた儀式を執り行うなど、魔術師というよりは実践的な魔術を取り入れた宗教集団として密やかに活動を続けていた。
　しかしある時、古き資料を読み解き、日々天候や気温の変化を記録していた神官ゴーズィの研究により「理由は不明であるが、少しずつ地球の地表温度が上昇しており、この気温上昇が進む事で氷河に閉じ込められていた希少な遺物が溶け出し、喪われる可能性がある」という事実を、近代科学者たちに先んじて知る事となる。
　この当時に於いて未知なる現象を世界終極ラグナロクの再演の兆しと解釈した...かどうかは定かではないが、これを機にカルトゥロム家は遺物の蒐集・保存を専業とする方針へと舵を切る。
　遺物の劣化と摩耗を防ぐ独自の結界魔術を考案し、カトラ山の大規模噴火による消失を免れた希少な秘宝の数々を氷河や永久凍土から採掘し、凍結処理により保管し続けた。
　だが、協会に属していない小規模な一族では膨大な量の遺物管理に限界が生じ、一族の精神的支柱でもあった小さき始祖、フリムヴァエティル・カルトゥロムが現代での活動限界を迎えて大地へ還ったのを機に、少しずつ衰退していった。
　しかし、滅亡が秒読みとなったカルトゥロム家に、魔術協会に所属するとある魔術師が接触を行う。
　その魔術師は当時の考古学科メルアステアの君主ロードであり、北欧圏の発掘調査に来ていたところ、山奥に隠れ住む一族の話を聞きつけてやって来たのだ。
　彼はカルトゥロム家の先見の明と遺物管理技術を評価し、これが喪われるのは惜しいと、魔術協会への所属と引き換えに支援と庇護を持ち掛けた。
　無論、時計塔のロードの庇護下に入る事の利益とその代償も、当時のカルトゥロム家の当主は理解していたが、このまま遺物を抱えたまま滅び去る事だけはどうしても避けねばならない、とこれを承諾。
　結果として幾らかの魔術利権は奪われて時計塔・考古学科の懐に入ったものの、意外にも直ちに問答無用で全ての秘宝や霊地を奪い去るような真似はされなかった。
　これは雑に利権を食い荒らすのではなく、遺物、霊地、北欧の秘宝を保管するノウハウといったカルトゥロム家の全てを、時間を掛けてでも考古学科メルアステアに取り込む方が利益となるし、それだけの価値があるという判断からであり、また、カルトゥロム家の家系魔術は零落したものとはいえ「妖精」という時計塔でも全貌が把握できない超自然的存在の手が加わっており、それに保護された遺物を無理矢理掠奪する事は何らかの呪的リスクがあると懸念された為である。
　その後、魔術協会に所属したカルトゥロム家は画期的な遺物保管技術の考案や、始祖が伝えた古き口碑サガを元に纏めた北欧神代終焉についての考察論文が多くの権威に支持されるなどの成果を上げ、現在では多くの希少遺物の管理を任される程の、メルアステアの有力な分家の一つとして君臨している。

性格

　内向的・陽気・能動的。

内向的：中立派閥メルアステア派。千年以上の歴史ある権威と君主ロードの有力な分家としての権力を併せ持つ名門だが、考古学科らしく魔術協会内での縄張り争いには然程積極的ではない、純粋な研究者に近しいタイプ。しかし、資金の必要性や最弱に近い十一科である考古学科が潰されぬように立場を確立する必要もあると理解している。
故に学部長カルマグリフが貴族主義の席の一つ、鉱石科の学部長の地位を奪った事には概ね肯定的。
陽気：穏やかで丁寧な口調。居るだけで自然と場が和む、生きた空気清浄機。
学部長にも似たゆるふわな雰囲気もあるが、希少な遺物を管理する立場の人間としての責任感と判断力がある。
...ただし、必要とあらば遺物を"使い潰す"事にはまだ少し抵抗があるようだ。
紙の資料を扱う魔導書司書の顔もあり、北欧の魔術に関するレポート執筆を行う魔術師が彼女の世話になる事も多い。
とても丁寧に資料の相性や流派の違いを教えてくれるのに止まらず、併せて目を通すべき文献まで薦めてくれるなど、至れり尽くせりだと評判。
小柄な体躯で年若い為、見くびられる事も多いが、この歳で数多の秘宝管理を任される程に膨大な知識を持つことと、ふわふわな雰囲気からは想像も付かない権威を持つ事を知れば誰も彼女を侮る事は無くなるだろう。
ちなみに、カルトゥロム家所有のお屋敷の、彼女の自室にはびっくりするくらいぬいぐるみが沢山ある。しかもそれが全部魔術でもふもふの感触を維持したままに「凍っている」
本人曰く「こうすればひんやり気持ちいいし、ぬいぐるみさんたちもずっと劣化しないのです」.....つまり、お気に入りのものを冷凍したがる悪癖がある。怖いですね。
能動的：基本は時計塔かノルウェーの拠点に篭っての魔術研究と遺物管理がメインだが、主に北欧圏の発掘調査に赴く事もある。温暖化や猛暑による氷河融解は魔術世界にとっても深刻な問題であり、溶けた氷から露出した希少な考古物を酸素や日光に晒されるなどの原因により劣化する前に確保し、保管、研究する事がカルトゥロム家の使命である。
ちなみに、表社会ではカルトゥロム家は北欧の文化遺産研究所、考古学者、博物館学芸員への資金支援を行う富豪である。
リィースロータも表向きは若きキュレーターの卵として活動している（美術品の収集や保全、管理を職務とするキュレーターは、魔術師との技術的相性がよく、社会的な立場として選んでいる者が多い*4）。
自由な時間があるとノルウェーのオスロ周辺をぶらついてお茶や食事を楽しんだり、博物館や美術館に立ち寄ったり、森林浴をしている事が多い。家系の影響か、自然環境下での瞑想メディテーションの効果が高いらしい。

行動規範・行動方針

　前述した通り、魔術師としては研究を優先し、遺物の発掘、保管、研究の三柱に沿って行動する。
　ロード・メルアステアの指示により、遠方の地の採掘や調査に赴く事もあるようだ。

参戦理由

　一応「地球温暖化により失われる遺物を保護する」という願いはあるが、積極的に聖杯戦争に参加する気はない。

サーヴァントへの態度

　魔術的な知識として、彼らが人類史に刻まれた影法師に過ぎない事は知っているが、失われ逝くものを未来へと遺すことを使命とするリィースロータは、現世に舞い戻っても叶えたい彼らの「願い」に一定の理解を示す。
　そのサーヴァントの性質にも依るが、基本的に親しげに接し、円滑なコミュニケーションを取ろうとする。
　北欧圏のサーヴァントを召喚した場合は、テンションが上がって早口になる。

役どころ・コンセプトなど

　戦えるキュレーターさん。
　名前の由来は明るいlys、雹と嵐の乙女róta。

因縁キャラ

フリムヴァエティル・カルトゥロム：

　カルトゥロム家の始祖。なごり雪の魔女。
　神理終極ラグナロクを生き延び、神代終了後も残留した霧氷の巨人と雪の妖精が混ざり合って産まれた儚き生命。
　少女型の巨怪妖種トロールであり、巨人種よりも精霊種としての特質が強く残った個体であると思われる。
　直射日光を浴びると忽ち溶けて消える。
　暗く寂しい雪山の洞窟内で目を覚ました彼女は、居場所を求めて長きに渡り各地を放浪するが、どう足掻いても自分が消え逝く存在であると悟り、故郷である雪山... スカンディナヴィア山脈へと帰り、せめて自分たちが存在した痕跡を残したいと地元の神官と巫女を呼び集め、古き神秘を祀る神殿を作り出したという。
　神官と巫女の協力の下、氷に特化した地形具象化トロールドームルにて作り出された神殿は儀式を行う祭儀場であり、遺物を蒐集する資料館であり、溶けかけた彼女の體を冷やし止める氷室Kaldtromであったとも。
　無口かつ無表情だが、巨人種の破壊的性質も、妖精種の残酷な性質もすっかり薄れた寂しがり屋であり、人間たちに古の口碑サガを語り聞かせている時だけ暖かく微笑んだという。
　現在、この世界には存在していない。
　ある日、スカンディナヴィア山脈の高地へと登り、夜明けと共に降り注ぐ陽光を浴びて、ひとひらの雪へと変じて溶け消えたと伝えられている。

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