ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。


────────────1096年、ある聖地にて

『そっちはどうだー?』

『ダメだ、何一つありゃあしねぇ』

『全く教皇も無茶言いなさるぜ。在りもしねぇもんを探せなんてよぉ』

『ああその通りだ。だが俺達ゃ戦士であり修道士だ。あの人には逆らえねぇ』

『あーあ!こんなことならどっかその辺の農家にでも生まれたかったぜ!』

『それはそれで、大変そうだがねぇ』

『ん?そういやデモレーの奴は何処だ?』

『そういや姿が見えねぇな………。あいつだけサボってんじゃねぇか?』

『んだとぉ?真面目なアイツが…んなわけ………あり得るかもな』


『う、うわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!』


『どうした!?』

『なんだ!何があった!?』

『さ…………杯だ…………ッ!!』

『黄金の杯があったぞォォォォオオオオオオ!!!』





────────────2017年、東京某所

「やぁ、お久しぶりだね八雲君。いや……霊長総研最高責任者と呼んだ方がいいかな?」
一人の女性がベンチに座る。そのベンチには、既にスーツ姿の男性が座っていた。
「何の用で呼び出した空蝉?貴様ら弦糸五十四家と我ら数天の一族は不可侵と言ったはずだ。
まぁ、我々は一族と言っても私以外にもう残ってはいないがね」
「いやぁ、今日はちょっとした忠告だよ。それと、まぁ取り留めも無い世間話さ」
女性はニコニコと笑いながら男性に言う。
「なんだ、その程度か………。なんだ?出し抜かれるのが怖くなってきたのか?」
それに対し男性は、少し不機嫌そうな顔をしながら応対する。
「怖くない、と言えばウソになるかな。オリジンストーンが潰えて早数ヶ月。
あのアルターエゴ共の特異点騒動により我ら弦糸五十四家はてんてこまい
その騒乱に乗る形でとうとう桐壺の連中が動きを見せ始めた。これはまずい。非常にまずい。」
女性はわざとらしく肩を竦めながら言う。
「なんだ。貴様らもあれを見たのか。アレは凄いぞ。まさに人類の進化の究極点だ。
人間とサーヴァントの融合、共存、まさに私の思い浮かべた理想そのままだ!」
男はその女性とは対照的に、まるで本心からのように腕を拡げて力説する。
「まさにグロース紋章院の作品を超える出来栄えだ!いや、ヒトだけの手で作り上げた、
と言う点を考慮すれば、我々だけで辿り着ける理想と言う点でグロース紋章院の方が勝っているか。」
「理想、ねぇ………。」
その男性の言葉に、女性は空を見上げながらつぶやく。
「なんだ?その顔は」
「いや、ワタシも同じ物を追いかけていたが、”ある人物”から聞かされたんだ
その人類悪は失敗した、とね………。だから少し、今だにそれを追い続けている君が羨ましくなった。」
「貴様………、私を愚弄しているのか?」
「いや別に。まぁ私も諦めきっちゃいないがね?」
ふふん、と女性は何処か勝ち誇らしげに口端を釣り上げる。
「まぁ見ていろ。貴様は我らの計画の成功をそこで指をくわえて見ているんだな
我らの目指した理想は、貴様らのその先を行───────」

「零猛度男(れいもう たびお)。」

「──────────────ッ!!?」
その名が出たとたん、男はわずかに眉を吊り上げ、顔を強張らせた。
「図星かい?やはり噂は本当だったのか。連中とつるもうとしていたわけか。」
「貴様──────何故その名前を!?」
「何故も何も、奴をこの二本に引き入れてしまったのは我ら弦糸五十四家だからねぇー。」
はぁ、と一息ためいきをついて女性は語り始めた。
「失敗だったよ。恐らくは奴を強大な戦力にしようと桐壺は考えたんだろう。……だが奴は違った。
戦力なんてものじゃない。奴は敵も味方もぐちゃぐちゃにすりつぶすロードローラーみたいな奴だった。
危険を察した上の連中はすぐに奴を手放したが、だが呼んだ時点でもう手遅れだった。」
「手遅れ、だと?」
「そう。奴は知っちまった。この日本と言う抜群に旨い餌場を。
日本内部の連中が小突きあいしかしてないくせに資源は豊富なこの列島を………ね」
「まさか、その為に我々が利用されるとでも言いたいのか?」
男はまるで、荒唐無稽の噂話を冗談交じりに聞くように聞き返す。
「ああそうだね。単刀直入に言うとそうだった。
真藤麻夜って子が、自分のところの修験道組織にも来たって言ってた。
天宮の家系にもやって来たと言う話も来てたよ。で、その後に名前が入って来たのが君ん所だ。
恐らく奴は、この国での自分の寄生先を探している。いや、羽化するべくの隠れ蓑と言うべきかな?」
「驚いたな。弦糸の『中でも手段を選ばないような貴様がそこまで警戒するとは」
「私は弦糸のなかじゃあ真面目な方さ。まぁ柏木の姉弟とかには負けるかも知れないけど」
片腕で頬杖を突きながら、女性は真剣な顔つきで男に問う。
「で、どうする?逃げるなら今のうちだよ?手を引くなら、こんど美味しい洋風料理店に連れて言ってやろう
ラザーって知り合いの魔術の家系が営んでいるんだがね」
「ハッ!!くだらん!」
男は女性の提案を一笑に伏した。
「大方貴様らが逃した魚を、我らに捕われないように根回しに来たのだろう?
だが残念だったなぁ!我ら霊長総研が、その大魚頂くとしよう!!」
「そうか、そう考えてしまうかキミは。まぁキミは昔っから失敗に学ばず成功で調子に乗るタイプだったからねぇ
そんな君が彼にどんな顔にされるか楽しみに、イヤ間違えたそわそわしながら待っているよ」
女性はまたもやわざとらしく肩を竦めながら言った。今度は大きなため息もセットだ。
「どっちもおかしいだろ。時間がないので私は帰るとするよ。」
「おう、全てを失ったら私たちのところに来なさい
上海に良い旅館があるんだ。そこでゆっくりと話しを聞こう。女将さんが美人でねぇ」
「やかましいっ!私に失敗の二文字は無い!!」





────────────2017年、阿蘭陀
「ほいよ、これ今月の分の荷物ねぇー」
一人の運び屋が、ある探偵事務所にどさりと荷物を置く。
「あ、ありがとうございます!!いつも毎度どうもです西海さん!」
「いやぁ、礼を言いてぇのはこっちのほうさぁ。
あの倫敦の聖杯大戦以来裏の仕事からさっぱり足を洗った俺に真っ先に声をかけてくれたのぁアンタだった。
本当に感謝しているぜぇフローレンスさん」
男は笑いながら言う。男の名は東山西海。魔術関連の運び屋だ。
対する女性はニコレット・フローレンス。アムステルダムに居を構える探偵である。
「いえいえ私なんて何もしてませんよ!
ただ腕利きの運び屋がいるって取材の度にちょこっと宣伝してただけですよ!」
「俺が裏所属のままだったら確実に消されてそうだ………。
それはそうと、こんな小型扇風機なんて何に使うんですかい?」
ひょいと男が自分が運んできた機材を手に取りながら探偵少女に聞く。
「ああ、それはですねぇ。かのアメリカのうんちゃら財団が作った代物なんですよ
そこのサイボーグさんが全身に付けてるの見て、あ…これ私の鎌鼬流局地的遁走術に使えないかなって
とりあえず靴に付けてみようかなと思ってるんですがどうでしょうか」
「どうでしょうかって言われても………それにこのご時世にサイボーグだぁ?
んなサイバーでパンクな世界感じゃあるめぇし………。」
男は苦笑いしながら言う。
「まぁまぁあんまり深入りする物じゃないですよぉ。世界には知られたくない人はたくさんいますし!」
「お前がそれ言うかいパパラッチ探偵さんよぉ」

「この前なんか『お前を見ているぞ』って黒背景に赤字の手紙まで来ましたし!
まぁそんな手紙捨てちゃいましたけど!!最近迷宮入り事件多くて勘鈍ってきましたが私は止まりませんよ!」

「…………………………あからさまにそれヤバくねぇか?屑拾いの連中とか絡んでねぇか?」
男がただ事ではないと悟り、顔色を変えて聞く。
男は長年、あるきっかけでスタイルを変えるまで裏の世界で生きて来た。
故に、彼はそう言った”やばい世界”の雰囲気を肌で感じる事が出来る。
「葛拾い?なんですそれボランティアか何かです?ボランティアの方々は優しいですよね。
そう言えば最近事件現場に言った時の警察さん方の反応が妙によそよそしかったりしますがどうしたんでしょうね」
「どう…………よそよそしいんだい。それに、どんな事件よ?」
「そぉーですねぇ、基本殺人ですよ。超国家社会なんちゃら党の人が殺されてたりしましたね。
しかし殺され方がみんな不可解なんですよ。明らかに凄惨な殺人なのに争った形跡が全くないんです
深く調べようとするとオランダ王立保安隊の上の方々から『調べないで良いよ』って言われますし」
男はその話を聞くと、頭をぼりぼりと掻いてハァーと長く大きいため息を一息ついた。
「………………そうかい、ちょっとオジサンはその剣を頭の片隅に入れておくわ。
ああ、次の仕事が在るし、もう出るとするぜ」
「はぁーい、又ヨロシクお願いしますねぇー!」
そう言って男は、自分の商売道具たる鞄を抱えて事務所を後にした。
「(…………参ったねぇ、あのエリカとオデュッセウスの二人に出会ってから、
ああいう危険な子は、どーにも助けたくなっちまうぜ。)」





────────────2017年、マサチューセッツ州
「我ァがウィルマース財団の科学力はァァァァァアアアアア!!!」
『世界一ィィィィィィィイイイイイイ!!!』
周囲はまだ静寂に包まれている早朝。完全防音のミスカトニック大学地下の集会場に大勢の大声が響き渡る。
「いよォし!!朝礼終了ォ!!」
そう言って大勢の前の朝礼台から降りるのは、全身がサイボーグの男であった。
彼の名はウィンゲート・ピースリー。対幻想種組織ウィルマース財団の部隊長である。
『ピースリーさん!柏木フリージャーナルと名乗る物からお手紙が!』
「ほう!よォやく来たかァ!!」
そういって男は手紙を受け取り中を開き、文章を眼に搭載した超光学センサを用いて読み取る。
『何の内容でしょうか?』
「いやァな?この前特異点にてタイタスが見つかったろう。
その際に観測されたデータをカルデアより送ってもらい我々が解析した。
しかァし!我々だけでは不可解な部分があったので、その逆算をお願いしたんだよ!!」
『なるほど流石隊長!しかし何故そんな遠回りな事を?魔術協会に頼めば一発でしょうに』
「ヴァカ者がァァァアア!そんなことをしたら!うちは封印指定のオンパレードだろォがァァァァァアアアアア!!!」
『そ、そうでした!!申し訳ありません!!』
「ったく!…………えーっと?何々ぃ……………。
────────────────これは…………ッ!?」
男は手紙の内容を読むと目を見開き、すぐ様に集会場を後にし走り出した。
『あっ!隊長!?』

「所長は何処だァァァァァアアアアア!?」
『アーサー・マイヤー所長は長期休暇を取り、日本・冬木の温泉旅館に行っております!
なんでも、そこの女将がいたく気に入ったそうです!!』
「こんな時にィィィィィィィイイイイイイ!!!」
ピースリーが頭を抱えて思いっきりのけぞる。
「なんですか騒がしいですねぇピースリー・サン。子供たちが起きてしまうでしょう?」
「おおフィンチ!!お前がいてくれたか!!今すぐ各隊全隊長副隊長に告げェ!!
緊急収集だ!!」
「どぉしました?まるでルルイエが再び浮上したかのような顔をして」
「それ以上だァ!!」
ピースリーは凄まじい形相で叫ぶ。
「”奴ら”だ!!この前の特異点は”奴ら”が関わっているッ!!
我らがかのナイアルラを追い続けたのは全て目くらましだった!!やられた!!」
「──────────────────すぐに連中を集めよう。」

ビシッ、と規則正しく並ぶ14人の男女。
彼らは皆、ウィルマース財団を構成する7つの部隊の隊長と副隊長である。
「アーサー所長が原罪留守の為、私が臨時に指揮を取ろう。
概要はフィンチから聞かされていると思うが………ッ!単刀直入に言おう!
とうとう!コード・アドナイ=エロヒムが動きを開始したァッ!!」
その言葉に、14人の男女は少なからずの動揺を見せる。
『まさか………ッ!』
『連中が……?いや在り得ない!』
『19世紀には死滅したハズ!』
ざわざわと動揺する男女の喧騒を、一つの金属音が止める。
それはその男女のうちの1人である、一人の男が短剣を地面に突き立てた音だった。
「狼狽えるなぁッッ!!!」
「………フィンチ………ッ!」
「例え相手が十字教の神であろうと、我らの行う事はただ1つ。
火の如く焼き去り水のように洗い流す。そうだろうピースリー・サン?」
「………ッ、その通りだ!よくぞ言ったエイブラハム・フィンチ!!
今だ情報は少ないが!この情報を掴んだのは我らウィルマース財団と
裏付けを調べ上げた柏木フリージャーナルだけだ!!恐らく世界でこの2つだけの情報と言っていい!!
我らの協定組織にこの情報を共有しィ!奴らよりも先手を打たねばならない!!」
『でも協定組織に奴らのスパイがいるかもですよ?』
一人の女性の一言により、周囲に沈黙が走る。
『え、考えてなかったんですか』
「か、考えていたともォォォォオオオオオオ!!
だ、誰かァ!!我ら協定組織の中で信頼の行く組織は思い当たらぬかァ!?」
『ランディブルク大学』
『でもあそこ魔術協会の息がかかってるし………。』
『あとは………ゴリラの………。』
『色んな所からヒト来てるしなぁあそこ………。』
『え?人?』
「ええい!何処か良い所は無いのかぁ!?」

『はぁーい!あの日本の組織がいいと思いまーす!』

一人のメイド服を来た褐色の少女がぴょんぴょんと飛び跳ねながら手を上げて言う。
『ああ、あそこがあったか』
『そう言えば最近英霊が来たとか言ってたわね』
『連中の息がかかってるとしたら、そんな事言わんだろうしなぁ。
連中英霊探してるし見つけたら漏らすような真似はしない。』
「いよォしそれだ!!よくやったぞカリン!早速連絡を取って来る!!」
「やったぁー!!」
少女はぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを全身で表現する
「ちっ、年甲斐もねぇ振る舞いしてんじゃねぇよ」
「あぁー、そんな事言うーフィンチおじちゃん?私これでも現役ギムナジウム所属なんだよ?」
「臨時教師としてじゃあねぇか!!それに俺はお前におじちゃんと呼ばれる程歳とってねぇババァ!!」
「あーん!フィンチがいぢめるー!!」
ふぇぇと泣き真似をしながら少女が部屋の隅でいじける。
「えっ、何?俺が悪いの?」
『いや、悪いと言うか…………』
『彼女に逆らうと後が怖いので…………』
「えぇ〜?そんなの在りかよぉ………………。」
集会場に一人の男のつぶやきが虚しく響いた。




『はい、事は全て順調に運んでおります・』
ここはある魔術師が構えていた魔術の研究室。
その魔術師は名をルドルフ・フォイルナーと言い、魔術の歴史の中でもそこそこ長い歴史を持つ研究室だ。
現在、その部屋の中心で電話をしている男性以外その部屋には誰もいない。いや、正確には”生者は”誰もいない。
彼の周囲には、物言わぬ2,3人の死体が無残に転がっていた。
『はい………、はい、ここにも他の連中が入り込んでいるようです・
そのせいで無駄に手を汚す羽目になりました・死体処理の方々の派遣を要求します・』
男性は淡々と、ただ淡々とした口調で現状を述べる。
『フォイルナーの研究資料は既に残っておりません・
何者かが破棄したか、あるいは研究員が持ち去った可能性があると見て良いでしょう・』
『………………………はい、了解しました・はい、追加任務ですか・
了解しました・』

『では次のターゲットとして、この研究員の子孫たる黒咲恵梨佳・
並びにフィーネ・オブライエン・そしてネットワーク内で侵入を試みたそのカシワギと言う者・
合計三名を追跡、場合によっては殺害致します・』

「フッフッフ、こいつは驚きました………。」
「ッ!?何者!?」
男が突然の声に驚いて振り向くと、そこにはぼんやりと光を放つ液晶があった。
そこにはどうやら女性ら式アバターが映っている。
「壁に耳あり障子にメアリー!暇つぶしに時を超えて地上のネットワーク内にアクセスして
世界中に聞き耳を立てていたら聞き覚えのある名前が聞こえるとは!
誰かと思えばノワルナさんのオリジナルではありませんか!!」
「貴様………ウィルマース財団の者か?それともベロボーグか!?」
「ふむ、この状況でその2つの組織の名前を挙げると言う事は、
その2つの組織が主に敵に回るような組織、という認識でよろしいでしょうか?」
「チッ!!」
ダンダァン!!と銃声が響く。しかし液晶に傷が入るだけで少女にはダメージは無い。
「無駄無駄です!!私の本体は電脳世界の奥深くの更に奥のムーンセル!
地球にいるような貴方達の攻撃は遥か384,400 km遠い!!」
「貴様何者だ!?」
「よくぞ聞いてくれました!私の名前はアンビバレンス!!
月の聖杯戦争もひと段落着いたところですし、そちらにも首を突っ込む事としましょう!
良いですか!?私の名前はアンビバレンス!アンビバって覚えてくださいよ!」
「チッ!アンポンタンだかなんだか知らんが、我々に立てつくとどうなるか、
存分に思い知るが良い。」
そう言うと男は、まるで今までそこにいなかったかのように、スゥーっと光の粒子となり、消えた。
「アンビバレンスで──────────!!消えた…………?」
むぅ、と一言呟いて少女は画面から姿を消した。
「(むむむ、コレは大きなしのぎの匂いがしますねぇ。
 ムーンセルの力を利用し過去の地上を見たらこんな事が起きているとは!
 これはノワルナさんがいるうちも少し首を突っ込まなくてはなりませんね)」
そんな事を考えながら、彼女は電脳世界から月面のムーンセル上のデータへと戻る。
「はーい皆さーん、戻りましたよォ!?」
「あ、えーっと…………。」
部屋に入って来た少女が驚き、それに対して今にも消え入りそうな青年が気まずそうに振り向く。
驚くのも無理はない。いつもは3人しかいない部屋に、突然4人もの少女が増えていたのだから。
「いよォ、邪魔するぜぇ」
「あ、貴女たちは──────────ッ!?」
すぐに少女は自身と繋がっているムーンセル内のデータを探る。
その結果、目の前にいる4人の少女の正体はすぐにつかめた。
「なるほど、ちょうど私が見ていた時代の近くで起きた特異点にて発生した方々ですか………。」
「説明の手間が省けて助かりますわ。」
ニコリ、と少女達の中心にいるお嬢様のような雰囲気の少女が微笑む。
「それで、何故貴方がたがここへ?」
「よくぞ聞いてくれました。俺達ゃその特異点で満足して消えていったんだがよォ、
なーんか嫌な予感がしてこりゃ消えるのヤバくねぇ?って満場一致し消える寸前でストップした
だが、霊基はもうねぇから行き場がねぇと気付いたわ・け」
人相の悪いロリっ娘が悪い笑みを浮かべながら言う。
「そこで英霊の座を通じて知ったんだ。次々とアルターエゴが集まる
アルターエゴにとって天国のような場所があると、ね」
フフフっ、と優しい笑みを浮かべながら、眼を包帯で隠している以外全裸の女性が言う。
「は、はぁ…………別に好きでアルターエゴを集めているわけではないんですが…………歓迎は致しましょう。」
「それで、その嫌な予感って?」
今にも消え入りそうな青年が4人に問う。その質問に、中心にいる少女が神妙な顔つきで答える。
「この……………まま、じゃ─────、お、兄ちゃん─────が……………、
死ん─────じゃう……………。止め、無いと………。」
「嗚呼、それもそうでしたが…………。そうじゃないでしょうヴォイド?」
「あ───────────────、ごめん」
その少女はしょんぼりとした感じで丸くうずくまる。
「良いですよ。確かにあの人は我々のオリジナルのお兄様ですもの。
確かに、心配をしたくなる気持ちも分かりますわ。」
「え、えーっと、話が見えないのですが?」
「ああ、申し訳ございません。ではワタクシがお話いたしましょう」
そう言い少女はコホンと小さく咳払いをする。そして、その彼女らが此処に来た本来の理由を話し始めた。

「ワタクシ達の元となった英霊……………、アークエネミーという概念が、滅び去ろうとしています」




「そんでもーっ!命からがら4人の妹から逃げてきたわけですよ!
まったくあんなの最強じゃねぇですよー!聞いてますー!?織本さぁーん!!」
とある店の裏側にて、一人の青年が酒を飲みながらぐでんぐでんに酔っぱらっている。
それと対面する形で机に座り、酒を同じく飲んでいる一人の男性がいた。
「はっはっは、聞いているよ。それで、キミの妹はどうなったんだい?
えーっと………、ディーティームちゃんだっけ?」
「ああはい、妹なら聖ギールスティック女学院の方へ引き取られました。
もう色んな組織の連中から狙われまくってるので、大金叩いてボディガードも付けました」
青年はへらへらと笑いながら話す。それを同じく男は笑いながら聞いている。
「へぇ、そりゃ安全だねぇ。」
「でっしょー!?何と言ってもかの私兵組織ベロボーグの人ですよ!
こりゃあもう安全ですよ!だって妹が変な連中の手に渡ったらそりゃ場合に寄っちゃ世界の危機ですもの!
動いてくれましたよ!まぁ交渉の際はちょっとドギマギしましたけど」
「そりゃあ良い。」
うんうん、と男は青年の言葉に笑いながら頷く。
「まっ!!俺はコレからも最強を探し求めるだけですがねぇ!!
取り合えずは目的は霊長総研か、はたまたスペース・オーバーシアーへの潜入か!ですかねぇ!?
霊長総研は良く分かんないですけどスペース・オーバーシアーは期待できますねぇ!だって宇宙ですよ!?
うちの遠い過去の親戚も宇宙に最強がいると論文を書いてますし!こりゃあ期待大です!!」
「ハハハ、そりゃあ良いねぇ。」
男は朗らかに笑う。朗らかに笑いながら、ニィと口端を釣り上げて語り始めた。
「でもねアビエル君。最強なんて、本当は意味がないんだ」
「へ?」
「最強なんて、その時々の状況に場所、人数や思考・思想によって変化していくんだ。
違うんだ。そんな最強なんて最強じゃない。”絶対”じゃなきゃダメなんだよ。」
「あぁー、つまり、どういうことです織本さん」
青年が頭の上に疑問符を浮かべながら聞き返す。
「例えば、『多い』と言ってもそれは人によって違うだろう?それと同じさ。
こう言う商売をしていると、ヒトと人の間に在る絶対的な価値観の違いにいつも悩ませられる」
「は、はぁ…………なるほど」
「国々の間にもそう言うのは在ってね。知り合いの金融会社をやっている南原と言う奴も、いつも苦労してた。
最強も同じなんだ。人によって違う。必要なのは”絶対”だ。」
男は朗らかに笑いながら、しかし真剣に語る。
「人類悪なんかじゃない。そんなモノ、究極の一の前じゃあ歯も立たない」
「き、究極?」
人類悪、何故男がそんな単語を知っているのかに気付かず、青年は別の部分を問う。
「そうだ。最強だのなんだのと言葉を無駄に並べ立てた所で、
絶対的な”究極”の一文字のまえじゃあ何も出来ない。そう言うものなんだ、世界は。」
「あ、あぁー……………なんとなく分かったような分かんないような」
へらへらしながら青年は少し知ったかぶったような真似をする。
「そうか、この説明だけで少しでも分かると言う事は、君には才能が有るのかも知れないな」
ガタリ、と男は笑いながら立ち上がる。
「さ、才能?それってつまり?」

「”分かりすぎる才能”だよ」

ドッ、と鈍い音が響いた。
その後どさりと青年が倒れ込む。対面する男の手には、血に染まった金属製のバットが握られていた。
「最強だのなんだのとくだらない。まぁ…君の創り出した人類悪は非常に楽しませてもらったが……もう潮時だ」
先程までの朗らかな笑みをひっこめ、男は冷たくも恐ろしい笑みを浮かべている。
「前座はひっこめメアリー・スー。何が理想の英霊だ、笑わせるぜ」
男は侮蔑するような視線で倒れ込んでいる青年を………別世界の可能性で、ある人類悪を作り上げた男、
最強の求道者アビエル・オリジンストーンを見つめていた。
「お前は……………お前”たち”は、あの人の餌に過ぎねぇんだよ」
そう呟きながら男はスマートフォンを取り出し、どこかへと電話をかける。
「あぁー、こちらゲブラー。処理完了しました。はい、人類悪の芽です。
はい、はい………、了解しました。すぐに向かいましょう。」
そう電話を終えるとすぐに、男のスマートフォンは着信を察知し震えはじめた。
発信者の名前が画面に表示される。それは彼が昔から親交のある運び屋だった。
「……………………………………悪いな西海。お前は表に戻れたようだが」
ハァ、と男は一息溜め息をつき、その着信を拒否する。
「俺はもう、そっちに戻れねぇんだ」
そう言いながら男は、商品棚の一番奥底に眠っているイチジクの葉を握りしめて外へと出て行った。





『状況は?』
「はい、現在順調に進んでおります」
光の存在しないどこか。厳格な声と男の声が会話をする。
『協会』
「現在13学部の内9のロードを掌握しました。
現代魔術科が少々難航しておりますが、時間の問題でしょう
アトラス院と彷徨海は………まぁ同じく時間の問題ですな」
『教会』
「我々の胃袋の中と言っていいでしょう。我々と同じキリスト教ですので。
トップのヴァチカンに少し圧力をかければ、すぐにで」
『油断をするな。』
厳格な声が男の声を遮る。
『例え相手が蚤であろうと全力を出せ。そんなに代替わりをしたいか?』
「し、失礼しました。全力を以って取り組みます」
『良い。次だ。…幻想種』
「竜の血を継ぐ者を何人か発見いたしました。それを参考に。
ウィルマース財団の邪魔も有るでしょうが。まぁそこは霊長総研を焚き付けましょう」
『抑止力』
「実験として行った、神霊に対する抑止力の抑え込みには成功しました。
外的要因により封鎖はかないませんでしたが、これを徐々に応用していきます。」
『大敵』
「データ不足に今まで苦戦しておりましたが、先のオリジンストーンによりデータが取れました。
スペース・オーバーシアーとの提携により、”手段”を確立致します」
『神代』
「平氏の残党を焚き付けようと接触を図りましたが、失敗しました。
次の手段として、陰陽師のプランを用意しております」
『人類悪』
「先程、ゲブラーより芽は摘み取ったと報告が。
ただ他の獣の兆候は今だつかめていません。」
『幻霊』
「日本・新宿にて発生した特異点を元に研究を進めております。
英霊、やがては人間にその能力を付与できるようにするべく研究しております。」
『英霊』
「万全でございます」
パチン、と男が指を鳴らした。
するとライトが灯り、そこには老若男女様々な人々がいた。
彼らは全て、人類史を形作りそして信仰された、『英霊』と呼ばれる存在である。
「アレイスター・クロウリーめは非常に良い例を示してくれました。
英霊をクラスでは無く”そうあれかし”という形に当てはめる。まさに我々の目指した召喚術と言えるでしょう」
『良い』
グッ、と何者かが立ち上がる音がした。
『最後に懸念すべきは──────────奴だ。
─────影を追う者………………、歴史の裏の、更に奥底に在りし者。』
「ハッ………、奴については、細心の注意を以ってして調べます」
『良い。そのまま歩みを続けよ。我が子等よ』
「……………ハイ。」
『実を結ばぬ果実に意味はない。腐り果てるだけの過日に意義は無い。
”そう”仰せになられた。ならば我らは応えねばならない』
「故に、人類は人類の手で清算を。人類を人類により凄惨と。」
『そうだ。それこそが我らの使命。それこそが──────────』


『我らフリーメイソンの使命(グランドオーダー)也』





────────────────────物語は収束する。
今、分かたれし枝葉が1つとなる。過去も、未来も、そして現在も、全てが1つとなる。


魔術師よ踊れ、英霊よ謡え。此より紡がれるは人類への鎮魂歌。


永劫続きし物語は、いま完結する。




『Fate/Last chaser』

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計算式ソース:
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