架空国家を作ろう

連合部族スーは、ヌナブト連邦共和国との戦争を「神に導かれし戦い」「聖戦」と位置づけ、ネイティブ・アメリカン部族同士の抗争とは別の種類の戦争であると認識していた(注)。

連合部族スーはヌナブト連邦共和国の国境警備隊員や官僚を殺害した後、ヌナブト連邦共和国を奇襲攻撃した。アメリカ北西部における他の部族からは連合部族スーと共通の敵を持つイロコイ連邦や、連合部族スーによって捉えらられた人々が連合部族スーの戦士たちに加わった。

開戦当初、ヌナブト連邦共和国国境警備隊が大敗を喫したこともあり、連邦政府に不満を抱いていたヨーロッパ系白人や民族共和国の政策から東アジア系は、連合部族スーを「連邦政府の理不尽な支配からの解放軍」と歓迎し、連合部族スーの戦士に志願したり敗残兵を引き渡すなど自ら進んで連合部族スーの支配に協力する住民も現れた。また反イヌイット主義者はカナダ国民解放軍や大光正義軍としてヌナブト連邦共和国と戦った。しかし、ヌナブト連邦共和国の領域を自分たちの新たな居住地としていた連合部族スーは、彼らの独立を認める考えはなく、こうした動きをほとんど利用しようとしなかった。ダコタ族やワイアンドット族は自部族を占領地に移住させようと計画し、一部実行された。

この戦いにおいて、特にヌナブト連邦共和国側の死者は大規模である。なお、北米先住民戦争の犠牲者は、ヌナブト連邦共和国が20〜30万人が死亡し、ネイティブ・アメリカン側は約6〜10万人である。両国の捕虜、民間人に対する扱いも苛酷を極め、占領地の住民や捕虜は強制労働に従事させられるなど極めて厳しい扱いを受けた。連合部族スーが戦争初期に捕らえたヌナブト連邦共和国国境警備隊の捕虜2500人はほとんど死亡している。またネイティブ・アメリカンの捕虜3000人の多くはそのままヌナブト連邦共和国によって強制労働に従事させられ、およそ1000人が死亡した。

開戦からセント・ジョンズの戦いまでは主にネイティブ・アメリカン側の攻勢とヌナブト連邦共和国の防御という展開であったが、セント・ジョンズの戦いの後は攻守が逆転し、アメリカ北西部一帯がヌナブト連邦共和国の占領地域となり、最終的には連合部族スーの構成部族の一つラコタ族のマエルク族長が無条件降伏文書の批准手続きを行ったことにより、戦争は終結した。