kagemiya@ふたば

彼女の内に宿るモノ。
鱗壊熱核リアクタ・祆ゼロのさらに内側に在る“神の心臓”の――なり損ない。
それでも無限に近しいエネルギーを供給し続ける魔力核融合炉。
まさしく太陽のかけらとも呼ぶべきものである。

この起源はアンナの故郷――と共に存在していた邪教の聖地。
アンナの欠如した記憶の始まりと終わり、その間で彼女に植え付けられたモノ。
狂信者達が自らの信仰する神を降臨させようと強行した結果、唯一この世に残ったモノ。
一説に謳われるデミ・サーヴァントの要領で神を降臨させようとした名残りにして、その失敗例である。
しかし実際に（彼らが信仰していた神本人という保証はないが）神の一部、さらにその断片を降臨させ、存在を固定出来ている事は確か。
断片的ながら、狂信者が神を降臨させたのは事実である。
だが結果として、彼らはその断片でさえ制御するのも至らず暴走。
狂信者達は周囲十数km圏内の物体と共に、消し炭さえ残らずに焼滅した。
全てが燃え尽きた後、力を一時的に失ったアンナは聖堂教会に確保され、その特異性から魔術協会による凍結をもって封印される――

はずだった。

凍結されるはずだった彼女の身柄は、突如としてアクシア聖団に引き渡される事となる。
この際、神核の外殻として熱核が取り付けられる。
熱核のおかげでアンナの中の神核は安定し、熱核が破壊されない限り暴走することはなくなった。
しかし、これらの行為は決して安全性を考慮して付けられた物ではない。
熱核は聖堂教会が秘匿する術式によりいつでも解除が可能なのだ。
解除されれば、無論暴走の危険性は極限まで高まる。

『聖団が教会に対し、何かしらの叛意を見せた場合のファストカウンタ』

いわば歩く核弾頭。
それが彼女に与えられた、彼女さえ知らない彼女の役目なのである。
アクシア聖団側でもこの事実を知るものは少ない。