kagemiya@ふたば

「あ、はい私は大学で文化人類学の講師をしています春日部泰典と申します。少々お時間よろしいでしょうか」

「いやいや私などそんな大したものではないですよ」

「少し鍛えてますからね……」

「水野くぅん！それは危ないんじゃないですかぁ！？」

「なんだってぇ！？水野くん、それはドッペルゲンガーというやつじゃないかねぇ」

「2つの川をここから眺めてご覧なさい。まるで双子のように左右対称でそっくりに見えるじゃありませんか。
　ですから恵悟川と幃戸川にはこんな伝承がありましてね……」

「金猫山ですか。私も8年前に友達と登りましたよ。写真、見ますか？」

「この家は安全ですよ！霊験あらたかなお札もありますしね！」

「ああもうわかりません……どうしてこうなったのか……あの時、ちゃんとしていれば……」

「ちょっと待ったー！！それ私のだから返してください！！」

「うわっ、びっくりした……え？なんでしょうこれ……」

2019年6月4日にレビュー
『転生したんだけど妖怪の世界は想像以上にヤバい』は、民俗学者である主人公が妖怪の世界に転生してしまう、という物語である。
主人公は民俗学者としての知識を活かして妖怪の世界の解明を目指すが、そこに待ち受けていたのは想像を絶するような過酷な運命だった――というストーリーである。
主人公の口調は特徴があり、その独特な喋り方で読者を引き込んでいく。また、妖怪の生態についても詳しく書かれており、その点でも読み応えがある。
また、主人公を取り巻く環境の過酷さについて触れることで、今後の展開に期待を持たせるという効果もあるだろう。
その反面、情報量が多いため、読むのに時間がかかるという欠点もあり、その点を改善できればより完成度が高まったと思われる。
しかし、その分だけ面白さが増しているので、一概に悪いとは言えない。
また、妖怪の世界についての描写が丁寧で、リアリティがあるため、その点で評価できる。
作者の人柄が滲み出ているような文体からは、作者が真剣に取り組んでこの作品を書いたことが伝わってくる。その点は素晴らしいと思う。
全体的に見ると、良い作品に仕上がっているが、まだ荒削りで、細かい部分で詰めが甘いところがある。
そのため、もう少し丁寧に仕上げれば、さらに面白くなるはずだ。
また、文章にはクセがあり、それが気になる人もいるかもしれない。しかし、そういった部分も含めて、面白い作品であることは間違いないだろう。
最後にもう一度、この作品は非常に完成度の高い作品であり、多くの人に読んでもらいたい。

2019年7月21日にレビュー
まずはレビューを書かせていただきますm（__）m この本は、民俗学者を主人公にした小説です。
民俗学者と聞くだけで、堅苦しいイメージを抱かれるかもしれませんが、本書は硬派な雰囲気はなく、むしろコメディタッチの作品です。
しかし、内容はしっかりとしており、民俗学者ならではの視点で語られる怪異の数々は、とても興味深いものでした。
特に、民俗学の視点というのは、他のジャンルでは得られないものであり、その点から見ても、大変興味深く感じられました。
そして、怪異がテーマということで、登場する人物たちも個性豊かであり、それぞれのキャラクター性も上手く表現されています。
例えば、主人公である田沼雄介については、ひょうきんな性格でありながらも、物事の本質を見抜く鋭い観察眼を持っているという設定となっています。
こういった設定によって、登場人物の魅力を引き出すことに成功しており、この点からも著者の才能が感じられると思います。
また、ヒロインであり助手でもある小鳥遊美郷は、オカルトマニアの少女として描かれており、彼女のオカルト好きぶりが、作品の随所にちらりと見え隠れしています。
このように、様々な魅力を持ったキャラクターが、物語の各所に登場することによって、作品に広がりが生まれ、全体としてみると、一つの大きな流れになっているように思えます。
私はこのような作風は好みなのですが、人によっては苦手という人もいそうですね。
まぁ、そこはご愛敬といったところでしょうね（笑）。
とにかく、これは間違いなく傑作と言える作品でした！ぜひ皆さんにもオススメしたいです！