ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

「みしゃぐち?」
「そう」

狂乱の喧騒が響き続ける夢幻の領域、水月砦の一角に於いて1人の男が疑問符を浮かべる。
男は顎を撫でながらその名を反芻するように何度か呟き、そして指を鳴らして合点を得たかのように何度か頷く。

「思いだした、思いだしたぞ。諏訪の土着信仰か。
 凶ツの神だった気がするが詳細は知らん……が、何故その名を?」
「この前に新しく水月砦に入った連中が口々にその名前を言っていたの。
 そういうの詳しいでしょアンタ? だからちょっと聞いてみたの」
「ほう」

興味深そうにその男は眼を見開き、口端を吊り上げる。

「最近招かれた喪月徒か……。諏訪の人間か?」
「いえ、土夏市とかいう所の人間らしいけど、諏訪……長野だっけ? とは離れてない?
 まぁ狂気に整合性を見出せるのかと言われれば、押し黙るしかないけれど」
「その通りではあるな」

呵々大笑しながら、狂気渦巻く幻想の砦にて歩を進めるその男は、どこか楽し気であった。
新しい狂気がこの砦に満たされた事を喜ぶ笑みか、あるいはその土着の神の名に興味を惹かれた故か

「それと……天王寺にいる安曇が妙なサーヴァント主従を見たとか……」
「サーヴァントなんぞこの再編されし世界では至極普通であろう。ゆえに奴も狂ったと言える」
「違う。むしろ逆。再編される以前の世界での当たり前だった人間を見た……という事よ」
「……………聖杯を持たぬ人間、か」

気だるげに首をコキリとならす男に対して、その隣にいる女性は続ける。

「それだけじゃない。モザイク市で呼ばれる英霊とは桁違いの力を持つサーヴァントもいたそうよ。
 まぁ私からすれば、サーヴァントなんて全部好き勝手やる際の邪魔ものでしかないんだけど、やっぱ違うものなの?」
「違い、違いねぇ……はぁ、ふん。なるほど。それはおそらく、戦前の英霊か?」
「戦前?」

どこか納得したように頷く男に対して、今度は女性側が疑問符を浮かべた。

「英霊が当たり前になる以前、即ち世界が再編される前のことだ。
 英霊……即ち境界記録帯共を人間が使う手段は限られていた。インヴォケーションによる憑依か、
 あるいは──────聖杯という超規格外の存在の力を借り受けて、使い魔として使役するか、そのどちらかだ」
「…………………聖杯戦争、かつて世界中で発生した大戦の影で起きていた、魔術的儀式ね」

肩を竦めながら、女性はため息をついた。
かつて行われていた大戦に対しての嫌悪を、彼女は全身で表現する。

「迷惑な話ね、争ってまで願いを叶えたいの? 魔術師って。
 願いを叶えたいのなら、ただ欲望のままにその四肢を動かすだけで良いというのに」
「そうは如何のが常人だ。常人は規律がなければ生きることが出来んのだから、規律から脱するわけにはいかんのだ」
「まるで家畜ね。清廉潔白を気取っている豚。全身小ぎれいに取り繕ってるけど、規律(えさ)がなければ身動き一つ取れやしないなんて」

クスクス、と口端を吊り上げながら笑う女性。
だが男はと言うと、少し真剣な顔つきのまま立っていた。
まるで何か、思考を続けているかのような雰囲気を醸し出している。

「どうしたの?」
「いや、何。少し考えていたまでのことよ。
 突如として、戦前のサーヴァントを持つ、聖杯無しのマスターが出現する事などあり得るのか? と」
「あー、そういえばそうね。こんな夢心地の空間にい続けるものだから、そんな現実的な思考忘れちゃったわ」
「天王寺……まぁ少し遠いが……梅田迷宮があるだろう。あそこには厄ネタが1つ埋まってるという」
「厄ネタ?」
「古い知り合いから言伝で聞いた老婆だ。時間と空間を支配するとも言われているが、まぁ眉唾ではある」
「ふぅん、それで」
「その老婆が、過去の聖杯戦争からその主従を呼びだしたとしたら?」
「ふぅーん………」

コツ、コツ、コツ、とこめかみを指でつつくこと三度。
女性は少し興味深そうに男の方を向いていたが、即座にどうでもよさげにそっぽを向いた。

「どうでもいい。面白そうな話だけど、でも興味はそそられないわね」
「ほう、ではそこからさらに発展させるとしよう」

ニカ、と男は微笑んで言葉を続ける。

「先にお前の言った、喪月徒が突如言った"みしゃぐち"、それも関係あるんじゃないか?」
「…………………で?」
「俺がかつて聞いた限りでは、その老婆の力は壮大だ。きっとその主従だけでなく、数多のその影響がこの世界に出るであろう。
 要は、その突然の支離滅裂にここ水月砦に出現した土着神の名も、偶然ではなくその老婆による魔術の何らかの影響ではないか……と推理する」
「荒唐無稽ね」

興味なさげに女性は男と距離を取る。
だが男はそんなことを露も悟らずに悠々と続ける。

「だが神……神か。神霊ならば珍しくも無いが……だがもし、もしも……。
 死していない神そのものだとしたら? 心躍らんと思わんか両石ィ! ……いないのか。
 なれば、俺一人でも行くとするか。えー、土夏といっていた、か」

そう言いながら男は懐から手帳を取り出し、何らかの備忘録を綴りながら狂騒と狂乱の夢幻の中へと溶けていった。





──────その頃、天王寺

「あれー……? ここ、どこだろう……。迷っちゃったかな」

一人の少女が、再編されし新世界の大阪・天王寺を歩いていた。
周囲にはサーヴァントを釣れた大勢の人々が歩いているが、彼女は誰も連れずにただ1人で歩いている。


それもそのはず、彼女はサーヴァントを連れていないのではなく、召喚していないゆえである。


「うぅ……誰かに聞こうにもみんな複数人でまとまってるから聞きづらいな……。
 新手の召喚獣かな? でもそれにしてもみんな人っぽくて整ってて……レベル高いんだなぁここいらのみんな」

おどおどしながら周囲に尊敬のまなざしを向けるという器用な事をしながら人だかりを縫うように少女は歩く。
そんな彼女の様子を見かねたのか、1人の少女が彼女の肩を叩いて声をかけた。

「あ、あの……何かお困りですか?」
「ぅえ? あ、すいません……ち、ちょっと道に迷ってしまって……」
「そうなんですか…。どちらまで向かわれるのでしょうか?」
「えっと、学園都市4番地区ってどこか分かりますか? 境界は超えてないから多分学園都市外に出ているとは思えないんですけど……。
 早く帰らないとファイ先輩やミナハナが心配しそうなので……」
「……学園都市?」
「あ、そうだ自己紹介しないとですね!」

パンと両の手を叩いて、少女は明るい太陽のように笑ってから自分の名を告げた。

「私はヴィクティ、ヴィクティ・トランスロードって言います! よろしくお願いいたします!」
「あ、えっと、影見。影見ツクシです」



to be continued...→

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