ImgCell-Automaton。 ここはimgにおけるいわゆる「僕鯖wiki」です。 オランダ&ネバダの座と並行して数多の泥鯖を、そして泥鱒をも記録し続けます。

[泥の残骸]
[フリー素材]

獅子王と名乗るアーサー王とその部下である円卓の騎士達。
皮肉にも円卓の騎士は再度二つに分かたれた。
獅子王に従う者と、それを止めようとする者。

獅子王の招集に応じずこの場に現れなかったのはギャラハッドとベディヴィエールの2名
獅子王に従うのはランスロット、ガウェイン、トリスタン、アグラヴェイン、モードレッド、ガレスの6人。
獅子王を止めるべく、その意に背いたのはケイ、ボールス、パロミデス、ガヘリス、ペリノア王、そしてパーシヴァルの6人。

期限の日没となり、両陣営は対峙する。
その先にあるものが栄光と勝利ではなく悲嘆と哀しみである事を飲み込んで。


砂漠の中、騎士たちが向かい合う。
東側に立ち、獅子王を守るように立ちはだかるのはランスロット、ガウェイン、アグラヴェイン、モードレッド。
西側でそれに対峙するケイ、ボールス、ガヘリス、パーシヴァル。
人数こそ同数だがトリスタン、ガレスはその姿を見せていない。
それは西側はここで東側の4人を倒したとしても、消耗した状態で直衛についたか伏兵となっている二人を倒し、その状態で獅子王と戦わねばならないことを意味していた。

ケイ「しかもランスロットとガウェインを相手にして、だ。 んな事出来るか、馬鹿馬鹿しい……」

そう言って早々に真正面からぶつかり合うことを否定したのはケイだった。
日没でガウェインがその真価を発揮できないとは言え、円卓最強のランスロットに傷負わずのアグラヴェイン、反逆の騎士モードレッドまでいる。
トリスタンは遠方からの狙撃をしてくるだろう。
戦力で劣る西側ははじめから単騎駆けによる獅子王の一点狙いしか無いと決めていた。
そしてその獅子王への刺客へと選ばれたのはパーシヴァルだった。



ケイ「行け、パーシヴァル! 行って、獅子王を……アーサーだったものを討て! やれるのはお前の聖槍だけだ!」

パーシヴァル「はい! 行きます!」

ペリノア王「これで私たちの相手はランスロット、ガウェイン、アグラヴェイン、モードレッドだ」

ボールス「よりによって円卓の二枚看板かぁ…」

ケイ「こっちは聖杯の三騎士がいるんだイーブンだろ?」

ボールス「聖杯の三騎士筆頭は音沙汰なしで、二番目は獅子王討ちにいったから残ったのはオマケの俺だけですけどね!」

ケイ「謙遜するんじゃねえ、お前はランスロットでさえたどり着けなかった聖杯に辿り着いて、円卓崩壊後も生き残っただろうが!」

ガヘリス「サー・ケイ、どういう布陣で行きますか?」

ケイ「……ガヘリス、ガウェインを止めろ。 俺はモードレッドのバカ野郎を殺る、ペリノアのおっさんはアグラヴェインを頼む。 ボールス! お前はランスロットを何としてでも足止めしろ!」

ガヘリス「身内相手ですか…!」

ケイ「身内相手なら少しは剣が鈍るかも知れないからな!……クソッタレ!」

ボールス「我が従兄弟の穀潰しの剣は鈍らないでしょうけどね……」

ガヘリス「兄も容赦はしないでしょうね。 しかし……」

ペリノア王「言いたいことは分かるが今は飲み込んでくれ。 生き残ったら私を好きにしてくれていい」

ガヘリス「あんたに言われないでもそのくらいの分別は付きますよ……!」

ケイ「そこまでだ、バカ野郎ども! 来るぞ!」


場面転換



対峙するは太陽の騎士ガウェイン、その妹白き手ガレスとガヘリス。

「ガヘリス……」

苦虫を噛み潰したような表情で対峙する相手、弟ガヘリスを見据えるガウェイン。
その後ろに控えるガレスもまた同じ表情を見せている。
二人とも奥歯を痛いほど噛み締めているのはガヘリスから見ても分かった。

「まさか私がペリノア王のいる此方側に付くことはないと、そう思った?」
「……っ!」

ガヘリスの言葉に明らかな動揺を見せるガウェイン。

「言っておくけどランスロット卿への恨みが原因ってわけじゃないから」
「じゃあ何故……」

我が兄妹ながら分かり易いと内心苦笑しながら、淡々とガヘリスは続けた。
そんなガヘリスの言葉にガレスは思わず声を上げる。……本当に姉は戦いに向いていない。、

「…………」

ガウェインは何も言わずにガヘリスの言葉を待つ。

「兄さん、姉さん。 私は一人の騎士として、人間として獅子王と対峙する道を選んだ。 これは私の意志と私が考えた末の結論。 ……だから、遠慮も容赦もいらない」

一旦言葉を切ると目を瞑り、大きく深呼吸をする。 心のなかで家族への別れを告げる。
そして、目を見開くとともに剣を抜いた。 眼の前にいるのは敵だ。

「ガヘリス……いいいでしょう、ならば全力で挑んできなさい!」

ガヘリスの覚悟を受け入れたのかガウェインの表情と雰囲気が一変する、普段の温和なそれから戦闘時の顔つきへと。
ガヘリスはガウェインの気迫に呑まれないように思わず両足に力を込め、地を踏みしめていた。

「兄さ……ガウェイン卿、私も……!」
「ガレス卿、貴女はパーシヴァルを追いなさい!」

剣を抜いてガウェインに加勢しようとしたガレスだが、ガウェインの一喝で足が止まる。 
言われて周囲を見渡すと獅子王側の騎士と対峙する反獅子王側の騎士たちの姿の中に、彼女の友人パーシヴァルの姿は見えない。

「……分かりました」
「考えましたね、パーシヴァルを先行させて消耗無しで獅子王の元へと送るとは」
「…………」

反転し、獅子王のいる場所へと戻るガレス。
ガウェインの言葉に、ガレスの姿を目で追っていたガヘリスは答えない。
出来れば姉を追いかけたいが、それをすれば、いや一瞬でも目を離せばガウェインは躊躇いなく斬り掛かってきただろう。
悔しいがガヘリスではガウェインと対峙し、この場に張り付けておくのが精一杯だった。

(生前お互いの両親の因縁で距離が合った為、あまり親しいとは言える仲ではなかったが、それでも彼女は私を信じた。 なら、私も彼女を信じよう)

彼女はパーシヴァルは最も尊敬し、慕っていたかの王を討ちに向かったのだから。

「円卓の騎士が一人、ガヘリス参る!」





対峙するは湖の騎士ランスロットとボールス。

「よう、従兄弟殿」

ボールスはいつもと変わらず朝の挨拶をするかのように軽い調子でランスロットの前に立ちはだかった。

「ボールス、君が相手か」

ランスロットは顔色どころか眉一つ動かさずに言った。
既に此方を敵と認識して臨戦態勢にある事は長い付き合いのボールスには手に取るように分かった。

「ああ、俺が相手だ」
「君が私に敵うとでも?」

ランスロットならそう言うと確信していたが、面と向かって言われるとやはり腹が立つ。
敵わないのだから獅子王に付けと言いたいのだろうが、その物言いに生前から溜め込んでいた物に火が付いた。

「アンタはホント無意識に喧嘩売るよな……。そんなんだから円卓崩壊の原因作って、息子にも説教されるんだよ!」
「何っ!」

ランスロットの声が怒気を含み、表情が怒りに染まる。
ボールスはランスロットと付き合いが長い、だからこそ言われたくないことも一番良く知っている。
ランスロットに精神攻撃など意味はないが、この際だから言いたいことは全部言ってやろう、ボールスは決心した。

「おーおー珍しい、湖の騎士様が怒ってやがる。 この際だからはっきり言わせてもらうとな! 幾ら従兄弟で付き合いも長いからって何でもかんでも言う事聞くと思うなよ!」

「なんで俺がアンタの遺言に従って聖地奪還に行かなきゃなんねーんだよ! おかしいだろあの伝承!」

「このエエカッコシイ! 何が最悪の中の最善だよ、自分が居心地のいい場所探してるだけにしか見えねぇんだよ!」

「円卓崩壊の原因もアンタかアグラヴェインが大人になって譲歩してりゃ起きなかったんじゃねぇの!? しかも不倫暴露されて激昂してアグラヴェイン斬ってんじゃねぇよ!」

「その後、俺の所に逃げ込んでくるんじゃねぇよ! 王を裏切る気なんてなかったのに勝手にアンタ側にされたじゃねぇか!」

「その前にも勝手に発狂したり、ふらっと出かけて消息不明になりやがって! 毎回探しに行かされるのは俺かマリスだったんだぞ! 」

「何時だったかの時なんてギャラハッドはそのまま居なくなってくれねぇかな…とか野垂れ死んでればいいのに…とか言って挙句の果てに見つけたら殺しといてくれとまで言ってたんだぞ!」 

「不貞隠しの兜が必要なのはモードレッドじゃなくてアンタだろ、不倫野郎!」


ボールスは散々悪口を言ってスッキリしたが、ランスロットに精神的ダメージが合ったとしても戦闘には何ら影響しないのが最悪だ。

「…………ほざいたな、ボールス!」
「ふん、また逆ギレかよ!  まぁいいさ、円卓の騎士が一人、次期十一席ボールス! いざ尋常に勝負!」





対峙するは叛逆の騎士モードレッドとケイ。

「待ちな、モードレッド。 お前の相手は俺だ」

敵を求め、周囲を見渡していた赤い鎧に異形の兜を被った騎士の前にケイが立ちはだかる。
騎士の名はモードレッド、アーサー王とその姉モルガンの間に創られた不義の子、そして王に対して反乱を起こしブリテン崩壊、その直接の引き金を引いた騎士。

「サー・ケイか」

ケイの姿を確認したモードレッドは剣に手を掛ける。

「お前がアーサー、獅子王に付くとはな。 ブリテン崩壊の元凶がどんな心境の変化だ?」

隠せない憎悪を滲ませながらケイは言った。
既に剣を抜き、何時でも斬り掛かれる体勢に入っている。

「ハハハ、心境の変化……? はは……ふぅ、何故か、なんて決まっている」 
ケイの言葉にモードレッドは心底おかしそうに笑った。
一仕切り笑ったモードレッドは、夢から覚めたように冷静な口調へと戻り、剣を鞘へと収め、兜に手をかけた。

「アーサー王の後を継ぐのは、オレだからだ」

兜を取ったその顔は、ケイの知るアーサー、義妹アルトリアと瓜二つだった。

「チッ、そんな事だろうと思ったぜ。 裏にいるのは……いや、『いた』のはモルガン辺りか。 あのクソビッチめ……!」

モードレッドの素顔を見た瞬間、ケイの表情が凍りつき、そしてそれは憤怒へと変わった。

「アーサー王とモルガンの間に生まれた正統なる王威を継ぐも……」

「……もういい、黙れ」

「あっ…?」

「いい機会だ、はっきり言ってやる。 お前に王の資格はねぇ。 王には王にふさわしい器ってもんがある……少なくともアイツは王に相応しい器になろうと精一杯の背伸びと努力をして、滅びの運命にある国を背負う覚悟をした」

「なに!?」

「テメェにはそれを行う気概さえねぇ! 駄々っ子以下の我儘なクソガキめ。 かかってきなモードレッド、礼儀ってもんを叩き込んでやる!」

「ガ、ガキだと───! 殺してやる、ケイ!」

「そうやって物事が上手く行かないとグズるのがガキなんだよ!」




対峙するは鉄の腕アグラヴェインとペリノア王。

「貴方ですか」

「ああ、私だ」

「血は争えんか」






荒野に不釣り合いな琴の音が響く、


トリスタン「パーシヴァルが来ましたか、ですが行かせません……」

パロミデス「それは此方の台詞だ」

トリスタン「その声、貴方は……」

パロミデス「目を潰したのか……友よ。 しかし、悪いがあの子が目的を果たすまでここにいてもらう」

トリスタン「……あの子に、あれ程王を慕っていたあの優しいパーシヴァルに王を討てると?」

パロミデス「討てるさ! そうか、お前は知らんのだな、あの子の槍の正体を」

トリスタン「槍…?まさか!」

パロミデス「行かせないと言ったはずだ」

トリスタン「再び貴方と女性を巡って刃を交わすことになるとは……」

パロミデス「……皮肉だな、しかも前と時と違って恋も愛もロマンもない」

トリスタン、パロミデス「では始めようか!」


場面転換




パーシヴァル「獅子王、お覚悟を!」

獅子王「お前か、パーシヴァル……」

パーシヴァル「はい! 私です!」

獅子王「お前が来るとは意外だな……」

パーシヴァル「「いいえ! 意外などではありません、必然です! 王よ、一つお教え願いたい! ここにはいない円卓の騎士二人の事を憶えておいでですか?」 

獅子王「二人……? ここに居ないのはギャラハッドだけの筈だが……?」

パーシヴァル「やはり、そうなのですね……。 貴方はもう……」
──────かつての貴方ではなく、もはや人、英霊でさえ無いのですね。

獅子王「何を言っている?」


パーシヴァル「べディさんを、ベディヴィエール卿をお忘れになった貴女は覚えていらっしゃらないでしょうが! 私はこの槍を賜った時に、貴女とマーリンと約束したのです!」


獅子王「約束?」


パーシヴァル「ええ、今の貴女は覚えていないでしょう! だから私がこの槍と共に来たのです!」  
パーシヴァル「私はロンゴミニアドオルタナティブを預かった時に約束しました! 貴女がその槍に呑み込まれた時! ……人では、人ではなくなった時! 安全装置であるロンゴミニアドオルタナティブが! その使い手である私が! 貴女をどんな手段を使ってでも止めると!」

獅子王「そんな事を未だに覚えていたか……」


パーシヴァル「そんなこと……? ……あの時の王が、どんな思いでッ!」


獅子王「全ては遠き過去の彼方、ブリテンとともに消え去った過去の話だ」


パーシヴァル「黙りなさい、獅子王! 我が名はブリテンの王、騎士王アーサー、いえ! アルトリア・ペンドラゴンに仕える円卓の騎士が第二席、赤の騎士パーシヴァル!」
パーシヴァル「我が王との古き盟約に従い…貴様を討つ!」


獅子王「面白い、やってみるがいい……!」

パーシヴァル「言われずとも!」


戦闘


パーシヴァル「馬上だから有利だとは思わないで下さい!」


獅子王「ほう……腕を上げたな、パーシヴァル」


パーシヴァル「くっ……流石に強い。 ……ギャラハッド、私に力を貸して……! 仮初めの聖杯よ!」


獅子王「聖杯だと…?」


場面転換


オジマンディアス「むっ! これは……」

ニトクリス「ファラオ オジマンディアス、如何がなさいました?」

オジマンディアス「何者かが、聖杯と地脈から魔力を吸い上げている……しかしこれほどの魔力、一体何を相手にしている?」

ニトクリス「一体、如何なる不敬者ですか!?」

オジマンディアス「分からん……だが、おそらくは聖杯に選ばれたかそれに限りなく近い者」

オジマンディアス「偽の十字軍でも、この地の者たちでもない……第四の勢力がいるか。 ふはははっ!面白い!」

ニトクリス「ふぁ、ファラオ……?」


場面転換


パーシヴァル「拘束術式解除……真なる姿を現せ、十三の牙より分かたれし四の牙!」

獅子王「我が手にオリジナルがあると言うのに……何故だ?」

本来なら外部安全装置であるロンゴミニアドオルタナティブはロンゴミニアドがある状態では真名開放ができない。
だが、それには例外が存在する。 オリジナルロンゴミニアドの側にあるロンゴミニアドオルタナティブはいわばエンジンの始動に制限がかけられている車のようなものだ
エンジンが掛からないなら外部エンジンで動力、電力を送ってやればいい。
パーシヴァルの場合は外部エンジンとして疑似聖杯を用いることでロンゴミニアドオルタナティブを宝具として起動させたのだ。
これはアルトリアにも知らせなかったマーリンの秘策。 アルトリアがロンゴミニアドに呑まれた際の奥の手。


パーシヴァル「感謝します、マーリン!  揮え、我が聖槍! ロンゴミニアド・オルタナティブっ!」

ガレス「獅子王は討たせない!」

パーシヴァル「ガレスちゃん…! ……ロンゴミニアドオルタナティブ最大出力!」

ガレス「黒の力よ!」

ひひーーん!

パーシヴァル「ドゥンスタリオンだけ? 獅子王は……上ですね!」

獅子王「ガレス、お前の身を張った献身をここで使い潰すには惜しい。 生きて仕えよ……そしてパーシヴァル、惜しかったな」

パーシヴァル「まだです、ロンゴミニアドオルタナティブデコレーション!」

獅子王「魔槍を模した聖槍、その仮初めの姿。 それでは私には届かない、ロンゴミニアド!」



ガレス「何故狙いを逸らしたの?」

パーシヴァル「私がガレスちゃんを殺せるわけ無いじゃないですか……」

パーシヴァル「また…ケイさんに怒られちゃう…な……」

獅子王「パーシヴァルよ、お前の負けだ。 そして、これが人の思いの限界だ」



……いや、そんなことはないよ。 アルトリア、パーシヴァル。



────────デッドエンド、アガトラーム!

────────顕現せよ……ロード・キャメロットっ!

       

パーシヴァル「マーリン……そうなんですね……ええ、でも貴女はその人の思いに負ける……」

獅子王「まだ口が聞けるか」

パーシヴァル「頑丈なのも取り柄の一つでしてね……」

ガレス「王、彼女は私が……」

パーシヴァル「すみません……自殺が出来きない信仰は少し不便ですね。 ありがとう、ガレスちゃん……」

────────ギャラハッド、べディさんあとは……

獅子王「征くぞ、ガレス。 軍を起こし、聖地を取り、キャメロットを再建する」

ガレス「はい。 王、パーシヴァルちゃん、わたしは……」

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