ビースト∀
最終更新：ID:obtZ59QIlg 2019年02月24日(日) 21:05:50履歴
――白いモノが、そこにあった。
純粋で、浄らかで。
そして、確かに死んでいる。
残骸となったソレを、大切に抱きしめた。
塩の柱の如く、滅び果てた。
胎児。
そう形容すべきモノが、そこにあった。
そのモノの、頭蓋が割れる。
まろび出たものは、脳漿ではなく、ヒトガタ。
赤子のように、羊水に微睡んでいるように、身体を抱えた。
その瞳だけが、鈍く、眼前のものを見つめる。
「――――ァ」
「――――ヤ……テ」
「――――やめ……す、テ」
「――――止めて……助、けて……！」
その声は、少女のもの。
ザーイカと呼ばれていた、あの少女の、成れ果て。
苦悶の声を他所に、そのモノは、無機質な声を上げる。
現し世に産み落とされた、祝福を受けながら。
「――――霊基再構成、完了。現象端末、確保完了」
「現象端末を世界に対するアンカーとして、現界を開始する」
「時空混濁、事象の揺らぎを検出。修正機能、現在不全状態にあり」
「アカシックレコード・コピーにアクセス。全人類史の捕捉に成功」
「試算完了。時空の完全復帰は困難。人類史の復旧は、不可能と判断」
「無限機関、及び存在証明を稼働。最終工程達成の確率、クィンティプル・ナイン」
「創成現象 、起動。これより、人類史を……生命史を再生産する」
―――人類悪、変生―――
基本情報 
【出典】としあきの聖杯戦争TRPGWiki&KagemiyaWiki
【CLASS】ビースト∀／アース・キャンサー
【真名】スピリット・オブ・マザーウィル
【構成要素】ラッキー・マザー〔オルタ〕
【構成要素】月面都市
【構成要素】ユーミル
【異名・別名・表記揺れ】太母、地母神
【性別】女性
【身長・体重】165cm・50kg
【肌色】死んだ白 【髪色】死んだ白 【瞳色】くすんだ黄金
【スリーサイズ】？・？・？
【外見・容姿】偉大なる母の優しさを湛えた、白く死んだ少女。
身に纏った胎児の如き機構は、ナニカを生み出そうとしている。
【地域】地球
【年代】全人類史
【属性】秩序・狂
【天地人属性】天
【その他属性】神性・地母神・機械
【ステータス】筋力：★ 耐久：★ 敏捷：★ 魔力：★ 幸運：★ 宝具：EX
【CLASS】ビースト∀／アース・キャンサー
【真名】スピリット・オブ・マザーウィル
【構成要素】ラッキー・マザー〔オルタ〕
【構成要素】月面都市
【構成要素】ユーミル
【異名・別名・表記揺れ】太母、地母神
【性別】女性
【身長・体重】165cm・50kg
【肌色】死んだ白 【髪色】死んだ白 【瞳色】くすんだ黄金
【スリーサイズ】？・？・？
【外見・容姿】偉大なる母の優しさを湛えた、白く死んだ少女。
身に纏った胎児の如き機構は、ナニカを生み出そうとしている。
【地域】地球
【年代】全人類史
【属性】秩序・狂
【天地人属性】天
【その他属性】神性・地母神・機械
【ステータス】筋力：★ 耐久：★ 敏捷：★ 魔力：★ 幸運：★ 宝具：EX
【クラス別スキル】
獣の権能（偽）：A++
対人類、とも呼ばれるスキルの贋作。
それが何であろうとも、人類史に何らかの形で刻まれたものに対して特効性能を発揮する。
これはビースト∀だけではなく、彼女が産み落とす“正しい人理”に帰属する存在にも付与される。
それが何であろうとも、人類史に何らかの形で刻まれたものに対して特効性能を発揮する。
これはビースト∀だけではなく、彼女が産み落とす“正しい人理”に帰属する存在にも付与される。
単独顕現（偽）：EX
単体で現世に現れるスキルの贋作。
一度顕現してしまえば、七日に渡り人類史を再世する。
即ち、不安定となった人理を破却し、それに代えて新たなる“正しい人理”を敷き直す。
人類を愛するが故に、その存続を願って、破綻を迎えた現在を捨て、全てをもう一度始め直す。
それこそが、ビースト∀の願いに他ならない。
また、このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。
但し、霊基の合成によって人為的に生み出された番外の獣故にか、顕現後即座に行われるべき人類史再世は未だ発動せず、存在消去系の攻撃への耐性のみが機能している。
一度顕現してしまえば、七日に渡り人類史を再世する。
即ち、不安定となった人理を破却し、それに代えて新たなる“正しい人理”を敷き直す。
人類を愛するが故に、その存続を願って、破綻を迎えた現在を捨て、全てをもう一度始め直す。
それこそが、ビースト∀の願いに他ならない。
また、このスキルは“既にどの時空にも存在する”在り方を示しているため、時間旅行を用いたタイムパラドクス等の攻撃を無効にするばかりか、あらゆる即死系攻撃をキャンセルする。
但し、霊基の合成によって人為的に生み出された番外の獣故にか、顕現後即座に行われるべき人類史再世は未だ発動せず、存在消去系の攻撃への耐性のみが機能している。
人類史再世：-
アース・キャンサー。ビーストとして有する『自己改造』スキルが変化したもの。
人類史の開始より終局に至るまで、その全てを自己に取り込んだビースト∀は、自身を改造するように人類史を改造する。
ありとあらゆる情報を内包したシステムから、安定と可能性を両立する「あるべき」人類史を構築し、これを現実に転写することで、自分自身ごと地球を書き換える。
これによってあらゆる現行人類史の存在を消し去り、“正しい人理”の存在へと無理やり「生み直す」。
地球という惑星に結び付けられたあらゆる情報を、異常化したシステムが上書きする。まさしく、星を喰らう癌の如きスキルである。
───全てを生み直し終えた時、彼女は、最後に自分自身を生み直す。
旧態の人類史を情報として記録するビースト∀としての自分自身を別のナニカへと変えることで、“正しい人理”への完全な移行は完了する。
不幸中の幸いは、ビースト∀が贋作にして番外の獣であるが故にか、顕現直後には殆ど効力を発揮しない点である。
人為的に作り出された獣性の化身は、出力は十分に持ってはいる。しかし、本来の獣と相対する時、その「愛」の純粋さに於いてどうしようもなく劣る。
創世を敷き直すには、余りにも“不要なもの”が強すぎるのである。
人類史の開始より終局に至るまで、その全てを自己に取り込んだビースト∀は、自身を改造するように人類史を改造する。
ありとあらゆる情報を内包したシステムから、安定と可能性を両立する「あるべき」人類史を構築し、これを現実に転写することで、自分自身ごと地球を書き換える。
これによってあらゆる現行人類史の存在を消し去り、“正しい人理”の存在へと無理やり「生み直す」。
地球という惑星に結び付けられたあらゆる情報を、異常化したシステムが上書きする。まさしく、星を喰らう癌の如きスキルである。
───全てを生み直し終えた時、彼女は、最後に自分自身を生み直す。
旧態の人類史を情報として記録するビースト∀としての自分自身を別のナニカへと変えることで、“正しい人理”への完全な移行は完了する。
不幸中の幸いは、ビースト∀が贋作にして番外の獣であるが故にか、顕現直後には殆ど効力を発揮しない点である。
人為的に作り出された獣性の化身は、出力は十分に持ってはいる。しかし、本来の獣と相対する時、その「愛」の純粋さに於いてどうしようもなく劣る。
創世を敷き直すには、余りにも“不要なもの”が強すぎるのである。
【保有スキル】
ネガ・ヒューマニティ：A
始原にして終焉、人類史を喰らう番外の獣たるビースト∀としてのスキル。
ラッキー・マザーの持つ『対霊長』が変質を遂げたもの。
人理焼却や人理漂白、そして人理渾然。あらゆる異常を受けて不安定になりきった人類史を破却する、無限拡大する概念結界。
これを帯びたビースト∀は、旧態の人類史から生まれたあらゆる存在による干渉を軽減もしくは無力化する。
顕現して間もなくでは強力な防御結界として機能する程度だが、時が経ち領域が拡大するにつれて、その効力は完全なものとなっていく。
ラッキー・マザーの持つ『対霊長』が変質を遂げたもの。
人理焼却や人理漂白、そして人理渾然。あらゆる異常を受けて不安定になりきった人類史を破却する、無限拡大する概念結界。
これを帯びたビースト∀は、旧態の人類史から生まれたあらゆる存在による干渉を軽減もしくは無力化する。
顕現して間もなくでは強力な防御結界として機能する程度だが、時が経ち領域が拡大するにつれて、その効力は完全なものとなっていく。
創成の一：EX
オリジナル・マザー。万物を生み出す母胎としての機能、そして権能の程度を示す。
最も多くの人類の共通女系祖先であると仮想された、人類原初の母“ラッキー・マザー”。
数億年の未来より、終焉を迎えた文明を再起動させる為に作られたシステム“月面都市”。
そして、大地と生命へとその肉体を変じ、現在の世界の礎を作ったとされる北欧の神格“ユーミル”。
過去・未来・現在の三界に渡る創成者の霊基の混合が、それぞれの有するあらゆる「母体」としての能力を複合し、全く新しいスキルとして形となった。
人類という生命種を始めたものとしての概念による、人類史への編纂権限をラッキー・マザーより。
人類史の終焉に至るまでの全ての記録と、それを顕現する為の動力源を月面都市より。
生み直すという形でそれを現在の世界に対し反映させる為の、概念的な母胎をユーミルより。
“人類史を生み直す”為の機能は全てこのスキルに集約され、そして、ビースト∀の行いは現実のものとなる。
具体的には、『人類全祖』『叡智の本棚（転写）』『根源接続（偽）』『原初の巨人』のスキル効果が複合されている。
最も多くの人類の共通女系祖先であると仮想された、人類原初の母“ラッキー・マザー”。
数億年の未来より、終焉を迎えた文明を再起動させる為に作られたシステム“月面都市”。
そして、大地と生命へとその肉体を変じ、現在の世界の礎を作ったとされる北欧の神格“ユーミル”。
過去・未来・現在の三界に渡る創成者の霊基の混合が、それぞれの有するあらゆる「母体」としての能力を複合し、全く新しいスキルとして形となった。
人類という生命種を始めたものとしての概念による、人類史への編纂権限をラッキー・マザーより。
人類史の終焉に至るまでの全ての記録と、それを顕現する為の動力源を月面都市より。
生み直すという形でそれを現在の世界に対し反映させる為の、概念的な母胎をユーミルより。
“人類史を生み直す”為の機能は全てこのスキルに集約され、そして、ビースト∀の行いは現実のものとなる。
具体的には、『人類全祖』『叡智の本棚（転写）』『根源接続（偽）』『原初の巨人』のスキル効果が複合されている。
剪定外装（反転）：A
ラッキー・マザーより受け継いだ、疑似生命を生産する為の機構。
本来の在り方である生殖機能の封印は最初から破棄されており、生産に最適化されている。
ただ、生産に特化しすぎた結果、生み出される疑似生命は極めて強力となったものの、機構自体を固定化する必要が出てきてしまった。
このため、この外装を用いる際には、ビースト∀はその場を動くことができない。
本来の在り方である生殖機能の封印は最初から破棄されており、生産に最適化されている。
ただ、生産に特化しすぎた結果、生み出される疑似生命は極めて強力となったものの、機構自体を固定化する必要が出てきてしまった。
このため、この外装を用いる際には、ビースト∀はその場を動くことができない。
【宝具】
『我は太母なり、我は人理なり 』
ランク：- 種別：限定権能 レンジ：- 最大捕捉：-
厳密には宝具ではなく、創成現象 、即ち「世界の創成を為す」という形に最適化された権能。
己自身である人類史を作り替え、より進化という形で先鋭化した可能性を引き出す。
ビースト∀の持つ理───“継続”を象るべく起動する、“勝ち続けることで存続する”未来を産み落とす。
対生命、対人理に特化したこの奇跡とは、即ち“人類史再世”そのものである。
厳密には宝具ではなく、
己自身である人類史を作り替え、より進化という形で先鋭化した可能性を引き出す。
ビースト∀の持つ理───“継続”を象るべく起動する、“勝ち続けることで存続する”未来を産み落とす。
対生命、対人理に特化したこの奇跡とは、即ち“人類史再世”そのものである。
【Weapon】
『正しき人理の防人』
“正しき人理”に書き換えられた、新たなる人類史より召喚された異形。
ビースト∀の肉体そのもの……換言すれば、人類史そのものを素材として、『剪定外装（反転）』の機能により生産される疑似生命。
汎人類史に帰属する一切を破却し、創世の執行を守護するその在り方は、防人にも似る。
また、これらはビースト∀直属の使い魔でもあり、ビースト�気砲箸辰討遼眇醒譟▲咫璽好鉢兇砲箸辰討離戰襦Ε薀侫爐冒蠹�する。
単体に割り当てられたリソースは魔神柱にも劣るものの、『獣の権能（偽）』を転写されたことによって、汎人類史の存在に対する特効性能を有する。
剪定外装が本格稼働を始めれば、それが数百もの群れとなり、敵対者を襲う。
ビースト∀の肉体そのもの……換言すれば、人類史そのものを素材として、『剪定外装（反転）』の機能により生産される疑似生命。
汎人類史に帰属する一切を破却し、創世の執行を守護するその在り方は、防人にも似る。
また、これらはビースト∀直属の使い魔でもあり、ビースト�気砲箸辰討遼眇醒譟▲咫璽好鉢兇砲箸辰討離戰襦Ε薀侫爐冒蠹�する。
単体に割り当てられたリソースは魔神柱にも劣るものの、『獣の権能（偽）』を転写されたことによって、汎人類史の存在に対する特効性能を有する。
剪定外装が本格稼働を始めれば、それが数百もの群れとなり、敵対者を襲う。
【解説】
人理渾然。空前にして絶後の大災害が人類を襲う中、その者共は暗躍していた。
人類の輝きを見ることを望むもの。
強さの極みを見ることを望むもの。
そして、“ある新たなる世界”を望むもの。
三人は、それぞれに己の願いを叶えるべく、計画を立てた。
世界そのものを作り直す程の力を持った、強大な存在。それを現在に作り上げよう、と。
その為に、彼らは英霊召喚の術式に目をつけた。
人理渾然により、時間軸が混交したことを利用して、過去・現在・未来の三界に存在する「母」たる存在を結束。
それを一つのものにして、純然たる“母胎”を現界させ、世界を「生み直させる」。
創成が為されれば無論良い。しくじろうとも、最強の存在と、そしてそれを打倒した人の輝きを見る事ができる。
八方善いこと尽くしだと、エゴを剥き出しにして嗤いながら、その計画は進行した。
当初、それは机上の空論でしかなかった。
過去と未来の母を喚び出すことは、不可能ではない。時間の混濁した今、霊体として召喚可能なものは、過去にも未来にもいた。
しかし、現在の母だけが見つからない。過去と未来から人類史を包括し、そしてそれを現在の時間軸で生み直す為には、それが必須なのに。
当然といえば当然の話で、母といっても、単純に母胎であればいいというものではない。
実際に世界を生みだすような、そんな力を持った存在でなければならない。
例えば───世界と生命を生んだという地母神のような。そんな権能、或いはそれに匹敵する偉業をなしうる者が必要だった。
そんなものが、現在にいるはずがない。神は尽く過去に退去し、世界創造の偉業は遥か未来に於いて漸く為されるもの。どうして現在に、そんなものが。
……一人だけ、条件に該当するものがいた。
渾然が開始された当初から、何度も何度も、特異点などで観測された一人の少女。
奇妙なまでの、異常に対する遭遇率。そしてそれ以上に、少女を取り巻く「なにもないかのような、魔術的な空白」。
これに気づいた新世界を望むものは、彼女を追った。
何度となく、直接的な出会いこそなけれど。痕跡をたどり。
偉大なる北欧の英霊達が守護し、絶対の護衛陣を組んでいる中を、密かに眺め続けて。
その中で、理解した。
彼女が何故、それほどまでに徹底的に守られているのかを。
少女の正体は、“原初の巨人・ユーミル”、その一欠片であったのだ。
何の故にか、時空渾然の中で、生命を生み出す母胎としての機能が甦ったものか。
自分自身の分体として現世に産み落とされた、地母神の端末。それこそが、ザーイカという少女だった。
“彼”は、北叟笑んだ。嗚呼、これだ、と。
そして、満願成就の時は来た。
両界に意識と身体を置く者が、それぞれの世界の可能性を結びつけ。
夢を通じて可能性を見る者が、過去と未来に存在する「母」を観測し。
新たなる世界の理を描く者が、現在の「母」を憑代としてそれを喚ぶ。
即ち。
人類史の起点たる種の起源……と誤認され、その幻想を胎蔵した過去の「母」───ラッキー・マザー。
人類史の終点たる文明の証明者にして、永遠の人の世を望んだ未来の「母」───月面都市。
人類史の原点たる世界の胎盤となり、現在も大地や海として在る現在の「母」───ユーミル。その端末たる少女、ザーイカ。
三つの鍵を束ね、渾然の中に創り出した人造の閉鎖領域に召喚の術式を敷き。
現在の母を守るべく現れた英霊達の魂を焚べることで呼び水とし、時空の彼方との縁を結び。
そして、召喚は為された。
融合は為されたのである。
───その成果こそが、番外の獣。
A から∀ を覆すべく造り出された、被造の人類悪。
即ち、太母の意思 である。
ラッキー・マザー、そして月面都市が持つ“人類史の継続”という願いを核とするこの獣は、人類を愛するが故に、人類史を否定する。
度重なる厄災に見舞われる人理、そしてその災いを受けては消えゆく生命。
その悲劇に終幕を齎すべく、太母は新たなる世界を敷こうとする。
何者にも屈しない、何物にも揺らがない、強固なる人理を。
█████████████████████████████████████████████████████████、新世界を。
その為ならば、旧き人理を否定する。破却する。還元する。
己の胎への回帰を謳い、憐憫のままにそれを生み直す。
永劫を謳う生命史の再生産機構。
最も旧く、最も新しく、而して最も現実から乖離した、恐ろしき太母の側面の発露。
それこそが、この偉大なる太母の正体にほかならない。
以上の性能を以て、彼女のクラスは決定した。
剪定者など、月の癌など、ましてや人間などとは偽りの位階。
其は人間が抱いた、人類史を最も恐れた大災害。
その名を、ビースト∀。
人造にして番外の人類悪の一つ。“継続”の理を持つ、被造にして胎蔵の獣である。
人類の輝きを見ることを望むもの。
強さの極みを見ることを望むもの。
そして、“ある新たなる世界”を望むもの。
三人は、それぞれに己の願いを叶えるべく、計画を立てた。
世界そのものを作り直す程の力を持った、強大な存在。それを現在に作り上げよう、と。
その為に、彼らは英霊召喚の術式に目をつけた。
人理渾然により、時間軸が混交したことを利用して、過去・現在・未来の三界に存在する「母」たる存在を結束。
それを一つのものにして、純然たる“母胎”を現界させ、世界を「生み直させる」。
創成が為されれば無論良い。しくじろうとも、最強の存在と、そしてそれを打倒した人の輝きを見る事ができる。
八方善いこと尽くしだと、エゴを剥き出しにして嗤いながら、その計画は進行した。
当初、それは机上の空論でしかなかった。
過去と未来の母を喚び出すことは、不可能ではない。時間の混濁した今、霊体として召喚可能なものは、過去にも未来にもいた。
しかし、現在の母だけが見つからない。過去と未来から人類史を包括し、そしてそれを現在の時間軸で生み直す為には、それが必須なのに。
当然といえば当然の話で、母といっても、単純に母胎であればいいというものではない。
実際に世界を生みだすような、そんな力を持った存在でなければならない。
例えば───世界と生命を生んだという地母神のような。そんな権能、或いはそれに匹敵する偉業をなしうる者が必要だった。
そんなものが、現在にいるはずがない。神は尽く過去に退去し、世界創造の偉業は遥か未来に於いて漸く為されるもの。どうして現在に、そんなものが。
……一人だけ、条件に該当するものがいた。
渾然が開始された当初から、何度も何度も、特異点などで観測された一人の少女。
奇妙なまでの、異常に対する遭遇率。そしてそれ以上に、少女を取り巻く「なにもないかのような、魔術的な空白」。
これに気づいた新世界を望むものは、彼女を追った。
何度となく、直接的な出会いこそなけれど。痕跡をたどり。
偉大なる北欧の英霊達が守護し、絶対の護衛陣を組んでいる中を、密かに眺め続けて。
その中で、理解した。
彼女が何故、それほどまでに徹底的に守られているのかを。
少女の正体は、“原初の巨人・ユーミル”、その一欠片であったのだ。
何の故にか、時空渾然の中で、生命を生み出す母胎としての機能が甦ったものか。
自分自身の分体として現世に産み落とされた、地母神の端末。それこそが、ザーイカという少女だった。
“彼”は、北叟笑んだ。嗚呼、これだ、と。
そして、満願成就の時は来た。
両界に意識と身体を置く者が、それぞれの世界の可能性を結びつけ。
夢を通じて可能性を見る者が、過去と未来に存在する「母」を観測し。
新たなる世界の理を描く者が、現在の「母」を憑代としてそれを喚ぶ。
即ち。
人類史の起点たる種の起源……と誤認され、その幻想を胎蔵した過去の「母」───ラッキー・マザー。
人類史の終点たる文明の証明者にして、永遠の人の世を望んだ未来の「母」───月面都市。
人類史の原点たる世界の胎盤となり、現在も大地や海として在る現在の「母」───ユーミル。その端末たる少女、ザーイカ。
三つの鍵を束ね、渾然の中に創り出した人造の閉鎖領域に召喚の術式を敷き。
現在の母を守るべく現れた英霊達の魂を焚べることで呼び水とし、時空の彼方との縁を結び。
そして、召喚は為された。
融合は為されたのである。
───その成果こそが、番外の獣。
即ち、
ラッキー・マザー、そして月面都市が持つ“人類史の継続”という願いを核とするこの獣は、人類を愛するが故に、人類史を否定する。
度重なる厄災に見舞われる人理、そしてその災いを受けては消えゆく生命。
その悲劇に終幕を齎すべく、太母は新たなる世界を敷こうとする。
何者にも屈しない、何物にも揺らがない、強固なる人理を。
█████████████████████████████████████████████████████████、新世界を。
その為ならば、旧き人理を否定する。破却する。還元する。
己の胎への回帰を謳い、憐憫のままにそれを生み直す。
永劫を謳う生命史の再生産機構。
最も旧く、最も新しく、而して最も現実から乖離した、恐ろしき太母の側面の発露。
それこそが、この偉大なる太母の正体にほかならない。
以上の性能を以て、彼女のクラスは決定した。
剪定者など、月の癌など、ましてや人間などとは偽りの位階。
其は人間が抱いた、人類史を最も恐れた大災害。
その名を、ビースト∀。
人造にして番外の人類悪の一つ。“継続”の理を持つ、被造にして胎蔵の獣である。
【人物・性格】
言語機能を持たないラッキー・マザー、そして意識を封じられて現界の楔とされているザーイカの要素は殆どなく、月面都市の性格が最も強い。
それでも、高度な自律判断機能を持つAIシステムとしての人格は失われ、己の存在意義たる人類史の再世を為すことのみを目的とした機械的な反応を示す。
新世界を描くものが持ついびつな術によって、強引に獣としての霊基に複合されたが故にか。それとも、何か他の理由があってか。
内に秘めた愛らしきそれは表出せず、ただ彼女は、獣の権能を振るう。
イメージカラー：死んだ白
特技：人類史全体の再世
好きなもの：己が産み落とし直した仔ら
嫌いなもの：産み直されようとしない、旧き仔ら
天敵：北欧の神々……？
願い：人類史の再世を。
【一人称】なし 【二人称】なし 【三人称】なし。再世の為のシステムは、誰かを呼ぶ必要がない。
「ああ、失敗しちゃったかあ。まあ、“ユーミルだ”って刷り込みが消えたら、こんなものだろうなあ」
「霧六岡にアンファンシュタインもそれなりにはやってくれたが……」
「仕方ない。次の機会を待つとするか。“俺たち”は気が長いからなぁ」
それでも、高度な自律判断機能を持つAIシステムとしての人格は失われ、己の存在意義たる人類史の再世を為すことのみを目的とした機械的な反応を示す。
新世界を描くものが持ついびつな術によって、強引に獣としての霊基に複合されたが故にか。それとも、何か他の理由があってか。
内に秘めた愛らしきそれは表出せず、ただ彼女は、獣の権能を振るう。
イメージカラー：死んだ白
特技：人類史全体の再世
好きなもの：己が産み落とし直した仔ら
嫌いなもの：産み直されようとしない、旧き仔ら
天敵：北欧の神々……？
願い：人類史の再世を。
【一人称】なし 【二人称】なし 【三人称】なし。再世の為のシステムは、誰かを呼ぶ必要がない。
「ああ、失敗しちゃったかあ。まあ、“ユーミルだ”って刷り込みが消えたら、こんなものだろうなあ」
「霧六岡にアンファンシュタインもそれなりにはやってくれたが……」
「仕方ない。次の機会を待つとするか。“俺たち”は気が長いからなぁ」
nevadakagemiya
コメントをかく