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nevadakagemiya 2017年12月24日(日) 02:25:41履歴
「名誉ある、されど栄光なき戦い。 残念ながらデルタグリーンでもウィルマース財団でもそれは変わらないね」
「ああ、名乗り忘れていた。 僕はウィルマース財団捕縛・先遣部隊所属、諜報員フランク・H・シンドーだ、よろしく頼む」
フリー素材
【氏名】フランク・H・シンドー
【性別】男
【年齢】98歳
【出身】アメリカマサチューセッツ州
【身長】175cm
【体重】72kg
【肌色】程よく日焼けした黄色系の肌
【髪色】黒
【瞳色】黒
【イメージカラー】銀
【好きなもの】カレー、ウィンゲート・ピースリー、友人、仲間
【苦手なもの】悪性神性、エイブラハム=フィンチ
【起源】?
【属性】空
【魔術特性】強化・操作
「ああ、名乗り忘れていた。 僕はウィルマース財団捕縛・先遣部隊所属、諜報員フランク・H・シンドーだ、よろしく頼む」
フリー素材
【氏名】フランク・H・シンドー
【性別】男
【年齢】98歳
【出身】アメリカマサチューセッツ州
【身長】175cm
【体重】72kg
【肌色】程よく日焼けした黄色系の肌
【髪色】黒
【瞳色】黒
【イメージカラー】銀
【好きなもの】カレー、ウィンゲート・ピースリー、友人、仲間
【苦手なもの】悪性神性、エイブラハム=フィンチ
【起源】?
【属性】空
【魔術特性】強化・操作
魔術により代謝機能を抑えることで見掛けとしては30代前半を維持している。
諜報員と言う役割から目立ちにくい黒いスーツに帽子をかぶっている。
寒い場合にはトレンチコートをスーツの上から着ることもある。
諜報員と言う役割から目立ちにくい黒いスーツに帽子をかぶっている。
寒い場合にはトレンチコートをスーツの上から着ることもある。
職務に忠実な軍人気質だが、全くの堅物と言うわけでなく親しい人間の前では冗談を言ったりユーモアも持ち合わせている。
かつて自分が命を救われた過去から力を持たない弱い人間に対しては庇護しなくてはいけないという義務感のようなものがあり、無茶な行動を取ることもある。
放浪癖があり、一箇所に留まれない性質から諜報員兼偵察要員としてあちこちを転々としており、ウィルマース財団大本部にいることはあまりない。
何故か、神性討伐部隊隊長であるエイブラハム=フィンチを苦手としているようだが…?
かつて自分が命を救われた過去から力を持たない弱い人間に対しては庇護しなくてはいけないという義務感のようなものがあり、無茶な行動を取ることもある。
放浪癖があり、一箇所に留まれない性質から諜報員兼偵察要員としてあちこちを転々としており、ウィルマース財団大本部にいることはあまりない。
何故か、神性討伐部隊隊長であるエイブラハム=フィンチを苦手としているようだが…?
ウィンゲート・ピースリー
直属の上司。
デルタグリーン解体後、行き場をなくした自分をウィルマース財団へとスカウトしてくれた恩人。
所属する捕縛・先遣部隊の隊長であることから親しみを込めキャップと呼んでいる。
知名まにま
捕縛・先遣部隊の同僚。
基本フィールドワークが多いフランクは財団にいるまにまと接触する機会が少ない。
だが、彼女の成り立ちなどに思うところがあるのか、孤立を心配しているのか、財団大本部に帰還すると彼女の住む一般の仮宿に土産を持って行ったりしている。
エイブラハム=フィンチ
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
なのだが、できるだけ接触を避けるような動きを取っているような節がある。
アーサー・マイヤー
ウィルマース財団の責任者。
敵対こそしていなかったが決して友好的ではなかった元デルタグリーンの自分を財団に受け入れてくれたことに感謝している。
ラインヒルデ・ライゼンシュタイン
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
フランクはウィルマース財団大本部にいる事が少ないため時々誰か忘れられる。
カリン・デイノヤーガ
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
ラインヒルデの忘れっぽさから諜報員として入手した情報をカリンに渡すことも少なくない。
ボールドウィン・オルブライト
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
陽気そうに見える態度の裏にあるかつての所属組織デルタグリーンや敵対していたカロテキアと同じ気配を感じている。
すなわち目的のためならば手段を選ばない人間性の欠如、警戒はすれど財団が容認している内は余計なことをするつもりはない。
タイタス・クロウ
元ウィルマース財団所属。
旧ウィルマース財団壊滅時にはフランクはウィルマース財団に所属ではなかった為、特に遺恨はない。
寧ろ連合軍の一員として共にナチス・ドイツと戦ったことを懐かしく思っている。
かつてイギリス軍でオカルト対策をしていたタイタスと抑止力の守護者であるタイタスが限りなく近い別人と知っていても。
ラバン・シュリュズベリィ
デルタグリーン在籍中、悪性神性や幻想種との戦いでラバンの論文やノウハウに非常に世話になった為、教授や先生と呼び尊敬している
直属の上司。
デルタグリーン解体後、行き場をなくした自分をウィルマース財団へとスカウトしてくれた恩人。
所属する捕縛・先遣部隊の隊長であることから親しみを込めキャップと呼んでいる。
知名まにま
捕縛・先遣部隊の同僚。
基本フィールドワークが多いフランクは財団にいるまにまと接触する機会が少ない。
だが、彼女の成り立ちなどに思うところがあるのか、孤立を心配しているのか、財団大本部に帰還すると彼女の住む一般の仮宿に土産を持って行ったりしている。
エイブラハム=フィンチ
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
なのだが、できるだけ接触を避けるような動きを取っているような節がある。
アーサー・マイヤー
ウィルマース財団の責任者。
敵対こそしていなかったが決して友好的ではなかった元デルタグリーンの自分を財団に受け入れてくれたことに感謝している。
ラインヒルデ・ライゼンシュタイン
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
フランクはウィルマース財団大本部にいる事が少ないため時々誰か忘れられる。
カリン・デイノヤーガ
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
ラインヒルデの忘れっぽさから諜報員として入手した情報をカリンに渡すことも少なくない。
ボールドウィン・オルブライト
隊こそ違えど同じウィルマース財団所属の上司。
陽気そうに見える態度の裏にあるかつての所属組織デルタグリーンや敵対していたカロテキアと同じ気配を感じている。
すなわち目的のためならば手段を選ばない人間性の欠如、警戒はすれど財団が容認している内は余計なことをするつもりはない。
タイタス・クロウ
元ウィルマース財団所属。
旧ウィルマース財団壊滅時にはフランクはウィルマース財団に所属ではなかった為、特に遺恨はない。
寧ろ連合軍の一員として共にナチス・ドイツと戦ったことを懐かしく思っている。
かつてイギリス軍でオカルト対策をしていたタイタスと抑止力の守護者であるタイタスが限りなく近い別人と知っていても。
ラバン・シュリュズベリィ
デルタグリーン在籍中、悪性神性や幻想種との戦いでラバンの論文やノウハウに非常に世話になった為、教授や先生と呼び尊敬している
1928年、アメリカはマサチューセッツ州のとある街に生まれたフランクは親戚の家に泊まりに行った際に未だ地上に残っていた幻想種に襲われ家族を失った。
家族を皆殺しにされ、あわやという所で通報を受け出動したアメリカ軍に命を救われる。、
やがて、成長したかつての青年は自分もアメリカ海軍に入隊し、厳しい訓練の末対魔術、対神秘部隊デルタグリーン所属となった。
フランクは魔術とは関係のない家系出身だったが魔術回路が見られた為、適正のある治療魔術と代謝機能活性化停滞の魔術を習得し、長年デルタグリーンのメディックとして最前線に立ち続けた。
デルタグリーンが壊滅的打撃を負った1969年の黒曜石作戦では重症を負い死にかけるも、自らの代謝機能を停滞させることで辛うじて命を繋いでいる。
1970年のデルタグリーン解散に際し、民間に降る者、新設される組織へと移るもの、デルタグリーンを密かに存続させようとする者、その全てに馴染めず悩んでいた所でウィルマース財団からのスカウトを受けた。
自身をスカウトしてくれたウィンゲートには恩義を感じておりキャップと呼び、慕っている。
以後はウィルマース財団捕縛・先遣部隊の諜報員として各地の情勢を探ったり、部隊の軍曹役としてウィンゲートの補佐を行っている。
家族を皆殺しにされ、あわやという所で通報を受け出動したアメリカ軍に命を救われる。、
やがて、成長したかつての青年は自分もアメリカ海軍に入隊し、厳しい訓練の末対魔術、対神秘部隊デルタグリーン所属となった。
フランクは魔術とは関係のない家系出身だったが魔術回路が見られた為、適正のある治療魔術と代謝機能活性化停滞の魔術を習得し、長年デルタグリーンのメディックとして最前線に立ち続けた。
デルタグリーンが壊滅的打撃を負った1969年の黒曜石作戦では重症を負い死にかけるも、自らの代謝機能を停滞させることで辛うじて命を繋いでいる。
1970年のデルタグリーン解散に際し、民間に降る者、新設される組織へと移るもの、デルタグリーンを密かに存続させようとする者、その全てに馴染めず悩んでいた所でウィルマース財団からのスカウトを受けた。
自身をスカウトしてくれたウィンゲートには恩義を感じておりキャップと呼び、慕っている。
以後はウィルマース財団捕縛・先遣部隊の諜報員として各地の情勢を探ったり、部隊の軍曹役としてウィンゲートの補佐を行っている。
自己紹介:「ウィルマース財団、捕縛・先遣部隊所属、フランク・H・シンドーだ、よろしく頼む」
口癖:「フフフ……ハハハ……」(答えに困る質問をされた時にごまかす笑い)
「名誉ある、されど栄光なき戦い。 ……それが僕達の戦いだ」
肯定:「ああ」「そうだね」
否定:「いや」「違うね」
喜ぶ:「良いじゃないか」
悲しむ:「そうか……」
驚く:「なっ…!」
憤る:「人間性を犠牲にしてきた僕、いや私とて人並みの義心は持ち合わせている」
恐れる:「僕も数々の幻想種や悪性神性を見てきたが震えが止まらないのは初めてだ」
照れる:「ははっ!照れるな、これは!」
─────────────2015年。 日本、千葉県夜刀浦市某所。
月の薄明かりと申し訳程度の街灯が寂れた漁村を照らす。
大通りを周囲を警戒しながら走る人影が一つ。
彼の名はウィルマース財団、諜報員フランク・H・シンドー。
深夜にも関わらず、温まったさと魚臭さが入り混じった風が吹く。
その不快な匂いに思わず僕は顔をしかめ、1929年のあの街を思い出していた。
魔術の世界に足を踏み入れる切っ掛けとなったあの街、もう100年近く前に地図から消えたマサチューセッツ州インスマスを。
この街の晴れているのに曇っているかのようなどんよりとした雰囲気と人を、よそ者を拒絶するような排他的な気配は幼い頃僅かとは言え過ごしたインスマスにそっくり…いや、そのものだった。
そもそも僕ががこの街へ立ち寄ったのには理由がある。
ここ夜刀浦沖にてテクスチャの綻びの兆候を発見したウィルマース財団は現地の詳細な情報を得るべく、僕を日本へと派遣。
財団の情報網で日本の魔術組織との渡りを付けた僕は日本の魔術組織と情報を交換すべく、かの組織の連絡員と現地にて待ち合わせた。
しかし、予定の時刻になっても組織の連絡員は現れなかった、接触に失敗した僕は連絡員の行方を探りたかったこともあり、この街に滞在する事を余儀なくされてしまったのだ。
流石に勝手の分からない土地で野宿することを戸惑った僕は街唯一のホテルに宿泊することに決めたが、そのホテルも夜刀浦独特の雰囲気が隠せない陰鬱とした場所だったが。
ホテルの支配人の夜には「街に出るな」と言う警告に素直に従った結果、滞在したホテルの一室は謎の集団に襲撃された。
連絡員との最後の交信内容──この街には滞在するならば最大限の警戒が必要だ──を心に留めていた為、密かに携えていた武器で返り討ちにしたのだが……集団の正体は恐るべきものであった。
暴漢の姿は程度の違いこそあるが半分以上は人と魚類──特に鬼虎魚に似た──の特徴が混雑した外見。
両目が大きく膨らみ、皮膚は鱗状、鼻は平らで、耳は異常に小さく、指には部分的に水かきがあり、首の周りはたるんでいる。
酷い者の中には頭蓋骨および骨盤の骨格が変化し、原始的なエラのように見えるものもいた。
魔術の世界に関わりのない見慣れぬ者が見たなら発狂してもおかしくはない。
……おそらくはこいつらは先祖が幻想種と交わった事で魔を宿した一族混血、その中でも魔の血が強い、先祖返り──日本の、遠野の一族で言う紅赤朱と言うやつだ──した者たちだったのだ。
僕は『それ』を知っていた、忘れられるはずもない。
その姿はデルタグリーン内で差別的ではあるが、所謂インスマス面と揶揄された、深きものどもと呼ばれた異形だった。
僕はその姿に外から気づかれないよう慎重に窓の外を覗き込む。
そこには街の大通りを練り歩く深きものどもの群れの姿。
本来であれば海の底や闇の中に潜む奴らが深夜とは言え堂々と町中を彷徨いている光景は、この街がテクスチャの綻びの影響を受け、幻想種と悪性神性に汚染されていると確信するには十分なものだった。
僕は最低限の荷物を抱え、窓から音を立てないように外へと下りると直ぐ様ウィルマース財団と日本の魔術組織に通信を送った。
後は僕が脱出するだけ……だったのだが。
「ゥォォォォォォォォォォォォォ!」
脇道を走っていた僕の耳に聞く物の不快感を煽るけたたましい叫び声が響く。
僕が混血の連中の手に負えないと感じた連中はどうも奴らのパパに泣き付いたようだ。
幻想種なら兎も角、流石に悪性神性相手に一人で『今の状態』ではどうにもならない。
そう考え全速力で逃げていたはずだが、連中にとっては無駄な足掻きだったらしい
「ウォォォォォォオォォオォォォォォ!」
僕の前には体長50mほどの蛸と烏賊に竜を混ぜた目のない姿に幾多の触手が蠢く冒涜的な姿が立ちはだかっていた。
「こいつが資料にあった夜刀神か……」
事前に日本の魔術組織から貰った資料によれば夜刀神とは夜刀浦市の由来となった神であり、夜刀浦を取り囲むようにある4ヶ所の神社の縁起書によれば、元明天皇の御代に津波に苦しむ民の祈りを聞き届け、一夜にして海岸一帯に石積みの塀を築いたとされる。
だが、その姿には見覚えがあった。
かつて財団が撃退した悪性神性、CCD=クトゥルフ眷属邪神群と呼称される存在の一柱、クトーニアンの王シャッド=メルに酷似していた。
「まさか……コードC!?」
ウィルマース財団内でコードC──仮称:クトゥルフ───と呼ばれる財団最大の仇敵の名を思い浮かべたが、僕の中の『彼』の知識が違うと否定する。
ならばかつてタイタス・クロウの所持していた魔道書、水神クタアトに記載されていた北の深淵ゲル=ホーを拠点とするCの騎士オトゥームや父なるダゴン、母なるハイドラと同じCの眷族か。
こいつがCの上位眷属であるならば『彼』の力が必要だ。
正義の味方への信仰がとりわけ厚い日本、神代の残滓が多く、テクスチャの綻びによりマナの多いこの場所であれば……そして前回から5年は経っている。 行ける筈だ。
「力を貸してくれ…………星の戦士っ!燃える瞳の五芒星 !」
右手を天に掲げる。
僕を中心に地面に奔るは五芒を持つ星、そして中心に燃える柱。
周囲が外界と隔絶され、天を衝くほどの高さの燃える柱に包まれたフランクは姿を変えていく。
やがて、炎が形を変えた。 それは……人形をした炎、光の巨人。
フランクのもう一つの姿、デミサーヴァント星の戦士の顕現。
口癖:「フフフ……ハハハ……」(答えに困る質問をされた時にごまかす笑い)
「名誉ある、されど栄光なき戦い。 ……それが僕達の戦いだ」
肯定:「ああ」「そうだね」
否定:「いや」「違うね」
喜ぶ:「良いじゃないか」
悲しむ:「そうか……」
驚く:「なっ…!」
憤る:「人間性を犠牲にしてきた僕、いや私とて人並みの義心は持ち合わせている」
恐れる:「僕も数々の幻想種や悪性神性を見てきたが震えが止まらないのは初めてだ」
照れる:「ははっ!照れるな、これは!」
─────────────2015年。 日本、千葉県夜刀浦市某所。
月の薄明かりと申し訳程度の街灯が寂れた漁村を照らす。
大通りを周囲を警戒しながら走る人影が一つ。
彼の名はウィルマース財団、諜報員フランク・H・シンドー。
深夜にも関わらず、温まったさと魚臭さが入り混じった風が吹く。
その不快な匂いに思わず僕は顔をしかめ、1929年のあの街を思い出していた。
魔術の世界に足を踏み入れる切っ掛けとなったあの街、もう100年近く前に地図から消えたマサチューセッツ州インスマスを。
この街の晴れているのに曇っているかのようなどんよりとした雰囲気と人を、よそ者を拒絶するような排他的な気配は幼い頃僅かとは言え過ごしたインスマスにそっくり…いや、そのものだった。
そもそも僕ががこの街へ立ち寄ったのには理由がある。
ここ夜刀浦沖にてテクスチャの綻びの兆候を発見したウィルマース財団は現地の詳細な情報を得るべく、僕を日本へと派遣。
財団の情報網で日本の魔術組織との渡りを付けた僕は日本の魔術組織と情報を交換すべく、かの組織の連絡員と現地にて待ち合わせた。
しかし、予定の時刻になっても組織の連絡員は現れなかった、接触に失敗した僕は連絡員の行方を探りたかったこともあり、この街に滞在する事を余儀なくされてしまったのだ。
流石に勝手の分からない土地で野宿することを戸惑った僕は街唯一のホテルに宿泊することに決めたが、そのホテルも夜刀浦独特の雰囲気が隠せない陰鬱とした場所だったが。
ホテルの支配人の夜には「街に出るな」と言う警告に素直に従った結果、滞在したホテルの一室は謎の集団に襲撃された。
連絡員との最後の交信内容──この街には滞在するならば最大限の警戒が必要だ──を心に留めていた為、密かに携えていた武器で返り討ちにしたのだが……集団の正体は恐るべきものであった。
暴漢の姿は程度の違いこそあるが半分以上は人と魚類──特に鬼虎魚に似た──の特徴が混雑した外見。
両目が大きく膨らみ、皮膚は鱗状、鼻は平らで、耳は異常に小さく、指には部分的に水かきがあり、首の周りはたるんでいる。
酷い者の中には頭蓋骨および骨盤の骨格が変化し、原始的なエラのように見えるものもいた。
魔術の世界に関わりのない見慣れぬ者が見たなら発狂してもおかしくはない。
……おそらくはこいつらは先祖が幻想種と交わった事で魔を宿した一族混血、その中でも魔の血が強い、先祖返り──日本の、遠野の一族で言う紅赤朱と言うやつだ──した者たちだったのだ。
僕は『それ』を知っていた、忘れられるはずもない。
その姿はデルタグリーン内で差別的ではあるが、所謂インスマス面と揶揄された、深きものどもと呼ばれた異形だった。
僕はその姿に外から気づかれないよう慎重に窓の外を覗き込む。
そこには街の大通りを練り歩く深きものどもの群れの姿。
本来であれば海の底や闇の中に潜む奴らが深夜とは言え堂々と町中を彷徨いている光景は、この街がテクスチャの綻びの影響を受け、幻想種と悪性神性に汚染されていると確信するには十分なものだった。
僕は最低限の荷物を抱え、窓から音を立てないように外へと下りると直ぐ様ウィルマース財団と日本の魔術組織に通信を送った。
後は僕が脱出するだけ……だったのだが。
「ゥォォォォォォォォォォォォォ!」
脇道を走っていた僕の耳に聞く物の不快感を煽るけたたましい叫び声が響く。
僕が混血の連中の手に負えないと感じた連中はどうも奴らのパパに泣き付いたようだ。
幻想種なら兎も角、流石に悪性神性相手に一人で『今の状態』ではどうにもならない。
そう考え全速力で逃げていたはずだが、連中にとっては無駄な足掻きだったらしい
「ウォォォォォォオォォオォォォォォ!」
僕の前には体長50mほどの蛸と烏賊に竜を混ぜた目のない姿に幾多の触手が蠢く冒涜的な姿が立ちはだかっていた。
「こいつが資料にあった夜刀神か……」
事前に日本の魔術組織から貰った資料によれば夜刀神とは夜刀浦市の由来となった神であり、夜刀浦を取り囲むようにある4ヶ所の神社の縁起書によれば、元明天皇の御代に津波に苦しむ民の祈りを聞き届け、一夜にして海岸一帯に石積みの塀を築いたとされる。
だが、その姿には見覚えがあった。
かつて財団が撃退した悪性神性、CCD=クトゥルフ眷属邪神群と呼称される存在の一柱、クトーニアンの王シャッド=メルに酷似していた。
「まさか……コードC!?」
ウィルマース財団内でコードC──仮称:クトゥルフ───と呼ばれる財団最大の仇敵の名を思い浮かべたが、僕の中の『彼』の知識が違うと否定する。
ならばかつてタイタス・クロウの所持していた魔道書、水神クタアトに記載されていた北の深淵ゲル=ホーを拠点とするCの騎士オトゥームや父なるダゴン、母なるハイドラと同じCの眷族か。
こいつがCの上位眷属であるならば『彼』の力が必要だ。
正義の味方への信仰がとりわけ厚い日本、神代の残滓が多く、テクスチャの綻びによりマナの多いこの場所であれば……そして前回から5年は経っている。 行ける筈だ。
「力を貸してくれ…………星の戦士っ!
右手を天に掲げる。
僕を中心に地面に奔るは五芒を持つ星、そして中心に燃える柱。
周囲が外界と隔絶され、天を衝くほどの高さの燃える柱に包まれたフランクは姿を変えていく。
やがて、炎が形を変えた。 それは……人形をした炎、光の巨人。
フランクのもう一つの姿、デミサーヴァント星の戦士の顕現。
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