kagemiya@ふたば

納屋備駅前を歩いていると、強めの魔術の気配がする。その方向へ向かうとちょっとした揉め事が起きていた。
「嫌です。この子は問題のない子です……！」
じたばたと暴れる、スクラップでできたような人形を抱きしめて離そうとしない銀髪の少女。
「いや、それには霊が憑いている。祓わなければなら……ぐおっ、やめろ毛玉！なんだお前！」
その人形を奪取しようと手を伸ばし、なぜか動いている黒いテディベアにげしげしと足を殴られている黒髪の少女。
「単にこういう自動人形なのではなくて？というか、そもそもアナタの自作なんじゃ……」
その騒動を傍から見ながら、肩を竦める動きをする人形と共に呆れたような言葉を投げかける大人びた少女。
「ええい黙れ！確かにその通りだがこれが今の私の仕事なのだ！」
「やっぱりそうなんじゃない。なかなかの腕のようなのに自作自演なんて……まぁ、ワタシは寧ろそのクマさんの方が気になりますけど」
「あーっ！勝手に触らないでください！斬りま……あ、…うぅ、大人！大人を呼びますよ！」
貴方はこの騒動を収めようとしてもいいし、別に放置して眺めていても良い。
放置しようとしまいと結局最後は黒髪の少女が折れ、銀髪の少女のお友達が「一つ」増え、ドール店の店長にはお得意様が二人増える、という結末に着地する。
一連の流れに関わるか、見守るかした貴方は自然と、「魔術で動く人形」、「何かが乗り移って動く人形」、「自動人形」の区別がつくようになるだろう。

　偶々通りかかったか、或いは山に用があったのか。あなたは月影山に入り、磐座の群れの近くを通りかかる。
　そうするとあなたは見るだろう。その内の一つの上で膝を抱え、俯き気味に丸くなった少女───エルナの姿を。何を見るでもなくただ地面の方に視線を向けて、あなたの方には目もくれない。ただどこか、現状に納得していないような、或いはそんな自分に納得していないような気配は感じ取れるかもしれない。
　そして見るだろう。その側の磐の上に寝転がる少女───レヴェの姿を。その顔には喜も哀もない、ただの無が横たわっているのを。その人物はあなたに目をくれる事もなく、ただ宙空を見つめたまま、少しも動く事なく磐と一体化している。

　話しかければ、膝を抱えた少女の方は口を開くだろう。物憂げに名乗って、特に理由もやりたい事もなく座っているという話を聞ける。

　横になっている方にも、話しかければ返事は返ってくる。抑揚なく名前を名乗り、ただ時間が過ぎるのを待っていると語る。

　たったそれだけ。この街に住む人々のように、毎日何かを目指して何かをするわけでもなく、そこにいるだけ。彼女らを見てどう思うかはあなた次第。彼女らの気持ちを理解しようとしても良いし、いややっぱり分からないと路端に捨て置いても、バチは当たらないだろう。

エクスプローラー1号の依頼に応え、怪異の討伐や八将のマスターとの交流によって得られた情報を彼に伝えたあなた。
その事への返礼としてエクスプローラー1号はツテを使って依頼したヴェネラ及び出身世界が違うにも関わらずヴェネラに無理やり連れてこられた謎のターミネーター2251号と供に天文学&物理学の専門知識を教えてくれる。
結果、天体魔術習熟度が大量に獲得出来る。

新国道沿いを歩いていると、あなたは端正な顔の男性が女学生二人と何かを話しているのを見かけるだろう。
「ある日突然別の空間に飛ばされる……か。異空間の魑魅魍魎とは難儀な……。その「えんてぃてぃ」とやら、果たして私の剣が通用するのか？」
「倒しても何ともならないのが怖いところなんだよ源さん！現代の怪談は怪物そのものが主役とは限らないのさ！」
「何……だと……？」
「ていうかおにーさん、ホラーに対してとりあえず斬りかかるつもりなのウケるんですけど〜……あ、ハムりんのおねーさん！ちーっす！」
どうやら知り合いらしいギャルに何をしているのか、と聞くと、いきなり知らないイケメンが「この町で怪物を見たことはないか？」と語りかけてきたのでスルーしようとしたら同行していたルノがなぜか現代怪談を語りだしイケメンが食いついてきた、という顛末らしい。
「巷で噂の話はそれだけじゃないよ源さん！曰くこの世界のどこかには世界の理を外れた物質や生命体を収容する施設があって───」
「収容……？ただの人が、そんな神秘を管理しているのか……？」
ノリノリでクリーピーパスタを語るルノとその話にいいリアクションを返す頼光、適度に合いの手を入れる梨衣。
段々と語り手はルノだけではなくなり、頼光が対峙した妖怪の話や、梨衣がギャルネットワークで仕入れた都市伝説の話も聞くことができる。
あなたが多くの怪異を調伏しているならばその話を使って話題を広げることも出来るだろう。
まるで百物語のように皆が怪異の話をする奇妙な邂逅を終えたころには、あなたは色々な「怖い話」に詳しくなっているだろう。

あまり木楼の生徒を見かけない日照村の漁村部で、大きなクーラーボックスを抱えるようにして一人の女生徒が歩いているのを見かける。
相手はあなたに気付くと、「あ、公輪さんのお姉さん……でしたよね」と少し記憶を確かめるようにしながら話し掛けてくる。
あなたはおそらく彼女が木律の子孫であることを、魔力の気配で察するか、あるいは事前知識として知っているだろう。
何をしているのか、もしくはなぜここにいるのかをと聞くと、「この近くに、ご夫婦でおいしい野菜を育てている農家さんがいるんです」という話を聞ける。
あなたはここで同行しても良いし、しなくても良い。
同行しない場合は農家の情報だけを手に入れイベント終了。

史埜についていくと、程なくして和風建築の質素な一軒家に着く。
今時インターフォンすらない玄関先で、史埜が声をかける。
「青神さん。いらっしゃいますか」
その呼びかけとは異なり、表札には「蟇沼」とある。
史埜は先程「夫婦」と言っていたが別姓のようだ。

間もなくしてぱたぱたと歩く音とともに、色素の薄い華奢な女性が扉を開けた。
「史埜ちゃん、いらっしゃいませ。……そちらの方は？」
「公輪未来璃さん、友人の姉です。途中で偶然お会いしまして」
あなたは史埜に紹介され、簡単に名乗ることになる。
すると女性も、青神早苗という名を名乗り返してくれる。
「さて、今日もご用件はお野菜ですよね」
「はい。旬のものをいくつか……。あ、この間、早苗さんの欲しがっていたお菓子も見繕ってきましたので、そのぶん今日は少し多めに……」
「本当！？じゃあ奮発しちゃいますから、ちょっと待っててくださいね！」
そう言うと、早苗は家の奥へとぱたぱたと元気そうに入っていった。
それと入れ替わるように、別の人間が廊下から顔を出す。
「……木律、あまり早苗を甘やかすな。そもそも街中で売っているような菓子などどんな添加物が入っているか……」
開口一番、若く見えるが老成した雰囲気の男は史埜のことを睨むようにしながらそんな言葉を吐く。
「そんなことを言われると思って、老舗の和菓子屋さんのものを選んできましたよ。……相変わらず心配性ですね、蟇沼さん」
ふん、と少し照れ臭そうにその言葉を受け流した天牢が、今度はあなたに目を留める。
「公輪……。あの屋敷の……魔術師か。こんな所に来ても、野菜以外何も出んぞ」
終始つんけんした様子の天牢と一言二言会話をするうちに、満杯に野菜が入った籠を持った早苗が戻ってくる。
「はい、お待たせしました！……それと、あなた？心配してくれるのは嬉しいですけど、私はもうすっかり元気ですからね？あんまりご客人を困らせないでください」
「……だからこそ心配するんだろう。何事も、維持する事の方が難しいのだから。……木律、公輪。私達も暇ではない。ものを受け取ったら早く帰れ」
そう言うと天牢は足早に家の中へ引っ込んでいく。
「もう！……気を悪くしないでくださいね。あの人、体の弱かった私の事が心配なだけなんです」
「大丈夫ですよ。それに……こんなにおいしい野菜を育てる方が、悪い方なわけありません。ね、公輪さん」
そう言うと、史埜は受け取った野菜籠の中からきゅうりを一本差し出してくる。
受け取って食べると、成程、と言わざるを得ないほどにそれは瑞々しく美味だった。

……別れ際、早苗があなたをちょいちょいと手招きする。
何か秘密話だろうか、と近寄り耳を傾けると、
「夜の、■■■。……そこに、貴方の力になってくれる人がいるはずです」
思わず驚くあなたに、早苗は「しー」とジェスチャーする。そして、
「……貴方の行く先には多くの困難が見えました。……その道が、少しでも明るくなりますように」
そうあなたへと告げると、小さく手を振ってくれる。
あなたは彼女に後押しされるように感じながら、史埜と共に山奥の一軒家を後にするのだった。

　屋上に小さい妖精がいた。話しかけてくる。急に。自分のことを探していたらしい。何故？　と聞くと、
　朗らかに笑う。

「『また明日』、あたしに会えるよう、一つ案内をしてあげようと思いまして」

　幼い妖精がこの新世界のすべてを見透かすように見えた……かもしれない。（情報ゲット）

　ある日の新町内。日も高い時間のビル街に、中学生か、或いは高校生かというくらいの女性と、もう1人、それよりは背の高い女子高生らしき人物が、微妙に路地裏に入るか入らないかという位置でコソコソと話をしている。
　どちらかと面識があるかもしれないし、両方とあったりなかったするかもしれない。それはそれとして、あなたがその2人に視線を向けていると、急いでこっちに来いと言わんばかりに高速で手招きをするだろう。
　
　ここで去ればそこまでだが、近づけば話を聞くことができる。
　曰く、近頃掲示板など町の様々なところで怪しげな会合の告知を多く見かけるらしい。ここ最近で突然増えたため、気になったので調査する、との事。
　小柄な方は真調飛織、身長高めな方はキンバリー・S。2人とも嬉々として(厳密にはキンバリーが飛織を見守るような形で)調査に赴くようで、ビルの中へ入っていくのを見送るか、あるいは一緒になってついていくかはあなた次第だろう。
　
　2人についていくと、ビルの10階ほどの貸し会議室に到着する。入り口には何も書いていないが、飛織が携帯で撮っていたチラシの写真から、その会議室であることに間違いはないだろう。
　扉を少し開けて隙間から覗くと、怪しい女が前に立ち、それをありがたがる様に多くの大人が話を聞いているのが分かる。飛織もキンバリーも明らかに学生でどうにかできるものではない事を察してか、そっと扉から離れるだろう。
　いやーヤバいねとかそういう話をしていると、いつの間にかあなた達の隣に先ほどの女が立っている。どうですか？聞いていきませんか？という勧誘に、女子高生2人は首を振るが、さて貴方はどうするだろうか？
　まあどちらにせよ、ここまで来たあなたは関わったら危なそうな人物を見分ける眼が少しだけ身につく、かもしれない。

　水族館を訪れた貴方は奇妙な生物と出くわす。
　（◉▼◉）である。
　ちょうどネットで流行していた時期なので、貴方はこの生き物を見知っているかもしれない。
　...何故浮遊しているのか、何故神性を帯びているかまでは流石に分からないが。
　その味のある表情をじっと眺めていると、突然目が眩み、貴方は不思議な幻覚を見る。

　貴方の意識は昏く、深い海へと投げ出される。
　生命の気配を感じない、虚無の大海。
　絶対的な暗黒に抗う術はなく、何処までも、何処までも深く深く沈んで行くと、深淵にて数多の輝くものを眼にする。
　それは、一面の星であった。
　気づけば、貴方が居るのは海ではなく、広大な宇宙で───

　そこで、意識は現実に戻る。
　幻覚を見たのはほんの数秒だったようだ。
　（◉▼◉）は相変わらず味のある表情をしているが、何となく、貴方に微笑みかけているように思えた。

　虚無の暗黒を裂き、星の海を渡るものに纏わるささやかな加護を得た貴方は、自分の行動を概念的に停滞させるような魔術干渉に対する耐性を得る。

　影宮ハーバータワーを訪れた貴方は、商業テナントの一つであるファンシーショップで可愛いアイテムを買いまくるカワイイ美少女を発見する。
　「カワイイのがいけない！カワイイのがいけない！ココにあるもの...えぶりしんぐ...きゃわわなの〜ッ！！散財、やむナシ！！」
　ゆめかわや地雷系、或いはロリータな感じのグッズで忽ち満タンになる買い物カゴ。
　すると「むっ！カワイイ・アトモスフィア感知！！」と叫びながら、少女は高速で貴方の方を振り向き、爆速で駆け寄ってくる。
　困惑する貴方の周囲をちょろちょろ歩き回りながら、全身を舐め回すように観察する少女。
　「アナタ...めっちゃ...きゃわわわわ〜！！」
　「ファンタスティック・コウシンチョウ・べりCute・ネエチャン！！特にヘアスタイルがきゃわわ！！」
　「しかも、まだまだあるヨ...かわいさのノビシロ！！ミロちゃんが...アナタのかわいさのばす！拒否権ナシ！！」
　そう言うと少女は貴方をファンシーショップに引き摺り込んでカワイイ・ファッションに着せ替えようとしてくる。
　抵抗もできるが、少女はとてもパワフルでカワイイので、全力で逃げようとしない限り、貴方は彼女に全力で「カワイく」されてしまう。
　「カワイく」された貴方は下記の服からランダムに着替えさせられた上で、カワイイの秘訣を伝授されることになる。
　このイベントを乗り越えた貴方は、自分の可愛さを的確にアピールする技術が身に付くだろう。
　暴力的に心を奪う魔性の魅力というよりも、ふとした仕草や言動で相手の心を掴む能力。
　あざとさ、とも。
　なお、着替えた服は少女が「カワイイから、奢っとくヨ！！」と買い取ってプレゼントしてくれる。
　このイベントは何回でも発生するが、一度目は少女の持つ魅了スキルの影響と衝撃的なカワイイ・カルチャーショックを受けてしまい、どのような服を着せられていても、着替えることをすっかり忘れて次のイベントに進むことになってしまう。

　夏の日差しが照りつけるプールサイド。日光は燦々と照りつけ、水面からも反射光が貴方を照らす。
　たまらず直射日光を避け、日陰へと移動する貴方のそばに……ふと、プールサイドのビーチチェアに一人の女性が寝転がっているのが目に写った。
　かなり露出が多めのビキニウェアを着こなす姿はモデルのようにも思える。その銀髪のツインテールな女性は、貴方の姿をサングラス越しに視認したようだ。

　「……何？“あたし”になにか用？」

　サングラス越しからでは表情は伺えない。
　声色は淡々としていて、怒っている……という雰囲気ではない。単に気になったから声をかけた、といったような態度だ。
　貴方が返答をするよりも早く、貴方の姿を見た女性は何かに気がついた様子で椅子から起き上がる。

　「ふうん……あんた、随分古臭い理論を使ってんのね。東洋の天文観も混じってるの？まあ、魔術なら少なからずそんなものかもしれないけど」

　なんと。女性はひと目見ただけで、貴方が扱う魔術を看破したようだ。
　女性はサングラスを頭に乗せ、まじまじと貴方の姿を眺める。その瞳は、ガラスのようにヒビ割れていた。

　「……星は“踊り”だ。ただ動くだけじゃいつか止まる、引かれ合うからこそ星はいつまでも回るんだ。
　　あんたの“それ”は……ちょっと向いてないかもだけど。でも、扱えると思うよ。星と星の関係を……星は“手を取り合って踊るもの”だって覚えておけば、ね」
　
　おそらくこれだけでは理解は及ばないだろう。
　思考を巡らせる貴方の手を、女性はぱっと取る。その手を握りしめると、体重を外側へとかけて────お互い、重力に惹かれ合うよう地に足をつけて周りだす。
　それはさながらワルツの如く、プールサイドは即興の舞台となって互いの引力を分け合って軽々と踊る。

　重力。引力と斥力。星のちから。それは神秘────魔術とは関わり無く明かされた、科学という概念である。
　これまで学んできた天体魔術とはまた別ベクトルからの知識を“体感”したことで、天体魔術の操作技術が向上した。

　「ただ力任せに撃つよりはクールでしょ？あんたなら使いこなせるって信じてるからね」

　いたずらに笑う女性は、踵を返して元いたビーチチェアへと寝転がる。
　……まあ、結局小手先の技術を組み合わせるより強技をぶっ放すほうが手っ取り早いこともあるのだが。

神社に訪れると、冷たい声で詰め寄るような台詞が聞こえた。「あなたは何者ですか？　私になんの関係が？」そう問う女性──あるいは男性──という中性的な顔立ちのメイド服。問い詰められているのはそれより齢少し上の青年である。
話を聞くと、メイドはこの青年に付けられていたようなのだが、それには事情があるらしく──。
なんとかなだめてこの二人の関係を継続させた場合、誤解を解いたお礼として青年から小型のイヤホンを貰える。「人ならざるもの」の声を音として集積すべく、恋人と一緒に作ったものらしい。
耳にはめると怪異や動物の発する声を、日本語として翻訳して聞き取ることができる。

　穏やかな昼下がり。貴方は川を眺めて小休止をとっていた。
　水面に映る入道雲、優しいせせらぎの音、葦の近くを泳ぐ水鳥の群れ、流れてきた土左衛門。
　...流れてきた土左衛門？
　何ということでしょう。リラックスしていた貴方の目の前に流れてきたのは、土左衛門でした。
　それは、少女の水死体である。
　流石の貴方もびっくりするだろう。
　やがて土左衛門は流されているうちに、川岸に打ち上がる。
　貴方は土左衛門に駆け寄る。
　もしかしたら生きているかもしれない...だが、詳しく調べるまでもなく、ガッツリ死んでいる。
　肌は瑞々しくハリがあるが、青白く変色している。
　その死に顔は安らかであり、かなりの美少女だ。
　貴方が死体の処遇に困っていると、突然。

　「うぅ〜ん。あ〜、よく寝た」

　死体が目を覚まし、伸びをした。、、、、、、、、、、、、、、、
　どうやら、死体少女はただの土左衛門ではなくド級の土左衛門生ける屍アンデットだったようだ。
　死体少女は貴方の存在に気がつくと、近寄って問い掛ける。
　「あなた、もしかしてわたしの人命救助をしに？それとも死体回収？」
　返答しようとすると、死体少女は食い気味に「ありがとねぇ〜」と言いながら懐に入り込み、貴方の唇を奪おうとする。
　恐ろしく速いキス。これは「友愛」によるものなので殺気も全くない。
　キスを全力で拒絶して攻撃したり、突き飛ばした場合、死体少女は川に落ちて再び流されて行く。どこまでも、どこまでも...
　イベントは終了する。
　キスを避けられないなかった場合、貴方の唇は奪われる。
　あまりにも自然な、流れるような接吻。
　冷たく、柔らかな唇が貴方の唇を挟み込み、口内に舌が侵入する。
　新鮮なのか、死体なのに腐臭は一切しない。
　絶大な快楽を伴う、極上の唇技舌技による大人のキス...貴方は抵抗するかもしれないし、抵抗できないかもしれないが、その前に死体少女の後頭部に強烈なチョップが振り下ろされ、接吻は強制終了させられる。
　死体少女の蛮行を終わらせたのは、黒髪の女子小学生だった。

　「こらぁ！ぼく言ったよねぇ！？誰彼構わずにキスしまくるのやめなよって！！」

　...どうやら死体少女はサーヴァントであり、黒髪小学生はそのマスターのようだ。
　「だ、だって...救命指導員として迅速に救命行動できる判断力のある人には"ご褒美“をあげなきゃだし...？吸収エナドレもちゃんと我慢したよ？」
　「同意の無いキスはご褒美じゃないって！！このヘンタイ水死体！！」
　結局、黒髪小学生は貴方に全力謝罪した後、死体少女を引き摺って影宮町の方へと去っていった。
　キス魔EXによるものすごいキスを受けた貴方は、時に情熱的に、時に切なげに、上手くキスができる能力が少しだけ身につく。
　...このスキルが役に立つ日が来るのだろうか？

あなたは再び旧街道沿いにある公園で不思議な集団を見つけた。
気になって何をしているか聞いてみると「『ミクリンでも作れる・使える』安全に空を飛ぶ方法について研究しているっす！」という。
このループでは初対面もしくは研究を手伝ったことはないはずなのに、まるで記憶を保持しているかのようなステフの発言を奇妙に思いつつ、あなたは今回も彼女たちの研究に付き合うことにした。
以前とはステフ以外のメンツも異なっており、ドラゴンなので当然空を飛べるトゥパク・アマル、空から墜ちてきた彗星兼水族館の展示生物で現在脱走中のクリンケンベルグ彗星、空へ跳べないっすかねーと無茶ぶりを吹っ掛けられた月の兎インレ、飛行魔術の裏技とかワザ○プを尋ねられているパトリシア・リガルディー、名゛前゛に゛羽゛が゛あ゛る゛か゛ら゛っ゛て゛飛゛べ゛る゛わ゛け゛な゛い゛だ゛ろ゛ク゛ソ゛ァ゛ー゛！゛天埜羽々祢、空を飛ぼうとする人らの扱いに慣れてそうというフィーリングで顧問ポジションに置かれたラ・ルーナ・デ・アウストリア＝ハプスブルグ、とどうやって集めたのか各地から多種多様なメンバーが揃っている。

今回は1d100で20以下を出すことで、何度でも使える飛行手段を獲得できる。
目標値が前回より厳しくなっている代わりに、GMに「公輪未来璃でもできそうな飛行方法を考案する」「飛行魔術・能力に役立ちそうな未来璃の習得済みの魔術やアイテムを提示する」などして説得することで目標値を引き上げられる(最大で80以下で成功まで引き上げ可能)。
また、獲得できる飛行手段はその考案した飛行方法に応じて変化する。以前と同じように箒かもしれないし体に翼を生やす魔術を習得したりロボットになったりするかもしれない。
そんなわけで機会が巡ってきたらぜひチャレンジして欲しいっす！