最終更新:ID:obtZ59QIlg 2020年02月15日(土) 01:10:43履歴
「業は確かに深い。やけども、まあ、こうして形持ってもうた訳やしな」
「ほしたら、なるたけ手助けしてやりたいなあ思うんは、そないにおかしなことやろか?」
【出典】生物史・生命科学史・絶滅種
【CLASS】セーバー
【真名】グラッヘル〔オーロックス〕
【異名・別名・表記揺れ】ウル、ヘック牛、復活した絶滅種、イメージ・ブリーディングの成功例
【性別】オス
【体長・体重】301cm・957kg
【角色】くすんだ白色 【毛色】くたびれた黒色 【瞳色】黒
【スリーサイズ】バイク並み。
【外見・容姿】やけにお洒落な格好をした二足歩行のオーロックス(のようなウシ)。エレキギターを背負っている。
【地域】ユーラシア、北アフリカ、インド亜大陸(+ドイツ・ポーランド)
【年代】約200万年前〜1627年、1932年〜現代
【属性】中立・中庸
【天地人属性】地
【その他属性】獣(魔獣)・絶滅種
【ステータス】筋力:A 耐久:B 敏捷:C 魔力:D 幸運:E 宝具:C
【CLASS】セーバー
【真名】グラッヘル〔オーロックス〕
【異名・別名・表記揺れ】ウル、ヘック牛、復活した絶滅種、イメージ・ブリーディングの成功例
【性別】オス
【体長・体重】301cm・957kg
【角色】くすんだ白色 【毛色】くたびれた黒色 【瞳色】黒
【スリーサイズ】バイク並み。
【外見・容姿】やけにお洒落な格好をした二足歩行のオーロックス(のようなウシ)。エレキギターを背負っている。
【地域】ユーラシア、北アフリカ、インド亜大陸(+ドイツ・ポーランド)
【年代】約200万年前〜1627年、1932年〜現代
【属性】中立・中庸
【天地人属性】地
【その他属性】獣(魔獣)・絶滅種
【ステータス】筋力:A 耐久:B 敏捷:C 魔力:D 幸運:E 宝具:C
セーバーのクラススキル。
環境に適応し、極限環境におけるダメージ、性能の低下を軽減する能力。
セーバーは、大規模な気候変動などにも耐え全世界に種を広め、家畜用のウシの源流となったことから、気象などの変動には強い。
一方、その絶滅が人間によるものであると記録された最初の生物であることから、人間の手が加わった環境下ではその効果が削減される。
環境に適応し、極限環境におけるダメージ、性能の低下を軽減する能力。
セーバーは、大規模な気候変動などにも耐え全世界に種を広め、家畜用のウシの源流となったことから、気象などの変動には強い。
一方、その絶滅が人間によるものであると記録された最初の生物であることから、人間の手が加わった環境下ではその効果が削減される。
セーバーのクラススキル。
本来は、遭難者の気配を感じ取り、いち早く救助するための能力。
この場合は、自身と同じく、「滅びている/滅びかけている」者を発見する事に特化している。
しかし、個別の生命の危機についてはあまり反応しない。
本来は、遭難者の気配を感じ取り、いち早く救助するための能力。
この場合は、自身と同じく、「滅びている/滅びかけている」者を発見する事に特化している。
しかし、個別の生命の危機についてはあまり反応しない。
魔物、魔獣のみが持つとされる攻撃特性。使用することで筋力をワンランク上昇させる。持続時間は”怪力”のランクによる。
「絶滅した後、この世に蘇ってきた生物」という性質から、古代からの「ウル」としての信仰も合わさり、一種の魔獣としての性質を帯びた結果獲得されたスキル。
主に自分の行く手を阻む奴を投げ飛ばしたり、密猟者の類をエレキギターでしばき倒したりする時に使われる。
「絶滅した後、この世に蘇ってきた生物」という性質から、古代からの「ウル」としての信仰も合わさり、一種の魔獣としての性質を帯びた結果獲得されたスキル。
主に自分の行く手を阻む奴を投げ飛ばしたり、密猟者の類をエレキギターでしばき倒したりする時に使われる。
人間によって絶滅が確認された種族の内、最後の一体(乃至はそうだと思われる個体)のみが保有する特殊なスキル。
「自分がサーヴァントとしてここにいるということは、見せかけ上ではあるが、自分の種族はこの世から滅びていないと言える」。
この見立てから飛躍し、「滅びていないのだから滅びない」という循環論法じみた強弁を世界に押し付けることで、『存在続行』と同等の現界維持能力を発揮する。
但し、生命体としての活動を継続できる状態ならば幾らでもしぶとく生き残るが、頭部や心臓の破壊といった「その種が絶対に生存できない」類のダメージを受けると、このスキルは無力化される。
近縁種の交配によって、絶滅種と酷似する形質を発現する近似種として生み出されたセーバーは、規格外のランクでこのスキルを有する。
具体的には、明らかな致命傷であっても、幸運判定に成功することで即時の消滅を回避し、治療によって生きながらえる可能性を有する。
「自分がサーヴァントとしてここにいるということは、見せかけ上ではあるが、自分の種族はこの世から滅びていないと言える」。
この見立てから飛躍し、「滅びていないのだから滅びない」という循環論法じみた強弁を世界に押し付けることで、『存在続行』と同等の現界維持能力を発揮する。
但し、生命体としての活動を継続できる状態ならば幾らでもしぶとく生き残るが、頭部や心臓の破壊といった「その種が絶対に生存できない」類のダメージを受けると、このスキルは無力化される。
近縁種の交配によって、絶滅種と酷似する形質を発現する近似種として生み出されたセーバーは、規格外のランクでこのスキルを有する。
具体的には、明らかな致命傷であっても、幸運判定に成功することで即時の消滅を回避し、治療によって生きながらえる可能性を有する。
絶滅した生物種のみが持つことを許された、滅びゆくもの達の叫び。『恐慌の声』の亜種スキル。
彼らの叫声は生命活動を維持するあらゆる存在の魂を抉り、「滅びる」という恐怖を擬似体験させることで、精神ダメージを与える。
人の手で蘇生させられたセーバーだが、それはあくまでも形だけのこと。DNA的に、実在したオーロックスと同一である可能性は、ほぼゼロに近い。
しかし、例え仮初であっても絶滅を回避したと人類史に刻まれたことで、このスキルはランクダウンを起こしている。
彼らの叫声は生命活動を維持するあらゆる存在の魂を抉り、「滅びる」という恐怖を擬似体験させることで、精神ダメージを与える。
人の手で蘇生させられたセーバーだが、それはあくまでも形だけのこと。DNA的に、実在したオーロックスと同一である可能性は、ほぼゼロに近い。
しかし、例え仮初であっても絶滅を回避したと人類史に刻まれたことで、このスキルはランクダウンを起こしている。
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1〜10 最大捕捉:100人
『滅びの挽歌』の効果をより広範囲へ押し広げる、背負っているエレキギターを用いた演奏。
永遠・不変を否定する効果を持ち、嘗て自分の種族が滅び去ったことを歌い上げることで、それらの概念を含む存在を定命の形へと引き戻す。
効果の程は大したことがないが、歌が長引けば長引く程効力は強まる。全人類が不老不死を得た世界でリサイタルでも開こうものなら、“聖杯”を持った新人類はどうなるか分からない。
『滅びの挽歌』の効果をより広範囲へ押し広げる、背負っているエレキギターを用いた演奏。
永遠・不変を否定する効果を持ち、嘗て自分の種族が滅び去ったことを歌い上げることで、それらの概念を含む存在を定命の形へと引き戻す。
効果の程は大したことがないが、歌が長引けば長引く程効力は強まる。全人類が不老不死を得た世界でリサイタルでも開こうものなら、“聖杯”を持った新人類はどうなるか分からない。
ランク:C 種別:対生命宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
「滅びている/滅びかけている」ものに対してのみ発動可能な、自身にまつわる逸話の具現。
対象の了承を得ることで、「完全な絶滅後、何かしらの形での『代償』と引き換えに、種としての復活を可能とする」可能性を世界に刻みつける。
これによって、例えば、体細胞の一部から復元された遺伝子情報をもとに、近縁種の母体を持ちいたクローンを作成する、といったような「復活」を可能とする……かもしれない。
無論、これは可能性を残すだけ。必ずしも可能性が実現されるとは限らないし、実現したとしても、問題は幾らでもある。
例えば、この宝具によって『代償』となるものが何であるかなど分からないこと。それが、種として子孫を残せない、という致命的なものである可能性すらある。
それでも、彼は、滅びを迎えるものにこう語りかけるのだ。「それでも、自分が『いた』ことを証明したいか?」と。
「滅びている/滅びかけている」ものに対してのみ発動可能な、自身にまつわる逸話の具現。
対象の了承を得ることで、「完全な絶滅後、何かしらの形での『代償』と引き換えに、種としての復活を可能とする」可能性を世界に刻みつける。
これによって、例えば、体細胞の一部から復元された遺伝子情報をもとに、近縁種の母体を持ちいたクローンを作成する、といったような「復活」を可能とする……かもしれない。
無論、これは可能性を残すだけ。必ずしも可能性が実現されるとは限らないし、実現したとしても、問題は幾らでもある。
例えば、この宝具によって『代償』となるものが何であるかなど分からないこと。それが、種として子孫を残せない、という致命的なものである可能性すらある。
それでも、彼は、滅びを迎えるものにこう語りかけるのだ。「それでも、自分が『いた』ことを証明したいか?」と。
それっぽい風体のエレキギター。しかし別に電源に繋いでいなくても使えるしアンプが無くても音はよく響く。
実はそもそも見た目だけの代物で、出てくる音は魔術的に引き起こされているもの。つまりエアエレキギター。
この為、戦闘行為で荒っぽく扱っても何ら問題がなかったりするが、本人はそれを嫌がる。何だかんだ気に入っているのだろうか。
実はそもそも見た目だけの代物で、出てくる音は魔術的に引き起こされているもの。つまりエアエレキギター。
この為、戦闘行為で荒っぽく扱っても何ら問題がなかったりするが、本人はそれを嫌がる。何だかんだ気に入っているのだろうか。
オーロックスは、約2百万年前のインド亜大陸周辺に出現した、ウシ(所謂家畜牛)の祖先にあたる生物である。
2〜3mにもなる体長、最大で1t前後を記録した体重と、重厚な身体を持っており、今日バイソンとして知られる動物達の先祖に相応しい、80cm程の立派な角を生やしていたという。
長い年月をかけて生息域を広げていった種で、最大生息域は、ユーラシア大陸のほぼ全域から北アフリカ、更に北米大陸にまで及んでいる。
約1万5000年前の遺跡であるラスコー洞窟の壁画にも、狩猟対象として、オーロックスらしき生物が描かれていることで知られる。
紀元前の時代から、かなりの広範囲で人類と深い関わりを持っており、家畜化されることで、人類の農耕牧畜文化に欠かせないウシを生み出した。
しかし、この種は原生林などを生息地とする為、人類の版図が広がるにつれて、生息域を田畑や家畜牛の放牧地に寸断され、徐々に姿を消していったという。
例えば、かのカエサルは、ガリア遠征の折にオーロックスを目撃したとされ、「ゾウよりは小さいが、ウシに良く似ている」と記している。
ところが、その僅か1世紀後に大プリニウスが記した博物誌では、オーロックスとバイソンを人々が区別できないことを嘆く記述が見られる。
これは、オーロックスの個体数が著しく減ったことで、バイソンとの見分け方を理解していない人が増えたことを示すのではないかと言われている。
また、更に時代が下ると、オーロックスとバイソンを混同している言語記録なども増え、その存在は、徐々に忘れ去られつつあった。
ただ、これほどの個体数の激減は、単に人類に駆逐された、というだけではなく、狩猟において、オーロックスが格好の獲物として扱われたことも影響しているとされる。
13世紀頃になると、オーロックスの目撃例はフランス・ポーランドやドイツの一部に見受けられるのみとなり、それらすらも時代が下るに従って漸減していった。
それは何故かといえば、ヨーロッパに住む貴族や諸侯たちが、彼らを狩り尽くしていったからだという。即ち、希少な野牛としてのオーロックスの狩猟は、貴族階級の特権として認定されていた。
これは、『ニーベルンゲンの歌』で、ジークフリートがこの種を狩猟したことが貴族の振る舞いとして特に記されていることや、彼らの角を角杯として貴族が保管していたことなどから推定可能である。
大変な希少種として、一種の神秘性をすら宿していたとされるこの種は、貴族達にとって、単なる狩猟遊戯の対象というだけではない意味を持っていたとも言える。
また、動物保護の観念がない時期であるにも関わらず、16世紀前後には、オーロックスの禁猟区が設定された、という話もあるが、その意図は、貴族達の猟場確保にあった。
つまり、保護する為ではなく、貴族以外が狩ることを禁ずる為に設定した、という訳で、密猟者による狩猟も含め、オーロックスは個体数を更に減少させていった。
結果、狩るべき相手がいなくなったことで禁猟区はオーロックスと共に姿を消し、最後まで残ったポーランド・ヤクトルフの禁猟区でも、1620年には、最後の1頭を残すばかりとなった。
この1頭は丁寧に扱われこそしたが、結局は1627年に老衰で死去。こうして、オーロックスというウシの原種は、地球上から姿を消したのである。
だが、その絶滅したはずのオーロックスを復元する計画が、ある時持ち上がった。第一次世界大戦後、ワイマール体制下の苦況で民族主義が極度の熱狂を見せたドイツ国内でのことである。
この時期に台頭してきたナチスは、政権奪取後、「古き善きドイツの姿を取り戻す」ことを主眼とし、自然環境にまつわる政策を幾つか打ち出していた。
その一環として、狩猟長官兼森林長官でもある航空相ヘルマン・ゲーリングを中心として、ドイツの原風景の一つである「黒い森」、そして其処に棲まう生物達の生態系復活が模索されていたのである。
当然、遡れば狩猟を生活の糧としていたであろうゲルマン民族にとって「懐かしい」獲物であるオーロックスも、望まれる「理想的な」生態系には必要不可欠な存在であった。
さて、斯くて下命された「絶滅した生物を復元せよ」との無理難題であったが、この当時の人類は、品種改良という作業によって、ある程度任意の形質を持った生物を作り出す術を心得ていた。
これを利用したのが、ゲーリングと親しくしていたベルリン動物園のルッツ・ヘックと、その兄ハインツ・ヘックの兄弟であった。
彼らは、調べられる限りの資料をあたって、オーロックスの「姿」を確認し、当時の多くのウシ品種同士の交配によって、オーロックスに限りなく類似した種を作り出そうとした。
無論、DNAの概念が広まった現代では、このような事を行って「オーロックスそのもの」が蘇ることはまずないと我々は知っているが、この当時、遺伝の法則には未だ神秘が残されていた。
また、ヘック兄弟が望んだのは、「厳密に嘗て存在したオーロックスと同じ種」ではなく、「オーロックスが嘗て果たしていた生態系上の役割を果たし得る、オーロックスに限りなく似た種」であった。
これらの要件を踏まえれば、ヘック兄弟の試みが、全くの無謀という訳ではなく、ある程度成功を期待して行われたものであることについても、理解が及ぶであろう。
こうして彼らは、選定された八種類の品種から幾世代かの交配を繰り返し、資料にあるオーロックスの姿を元に少しずつ近づけていく地道な作業を繰り返した。
その末に、ハインツとルッツは、それぞれ別の「オーロックス」を作り出すことに成功した。最初に達成されたのはハインツによる試みで、この時生み出された個体は、「グラッヘル」と名付けられた。
それに遅れてルッツの試みも実を結び、彼らは、期待されたオーロックス(と酷似した姿と形質を持った牛)を作り出し、一つの品種として固定・更なる改良を重ねていった。
これらの試みによって生み出された品種は、今日では「ヘック牛」として知られており、現在ヨーロッパには、グラッヘルの子孫と思われる個体達が半野生化した群れが存在している。
……しかし、先述の通り、こうして生み出されたヘック牛は、どこまで行っても「形質がよく似た家畜牛の一品種」であって、「オーロックスそのもの」ではない。
見た目や生態系での役割のみにフォーカスして、過去に存在した生物を復元しようとする試みは、「イメージ・ブリーディング」と呼ばれているが、ヘック牛は、まさにこれの典型例である。
これによって生み出される生物は、今日近縁種に特定のDNAを組み込む事で実現される、遺伝子的に近似値である種とは根本的に異なる存在であり、極論すれば、「失敗作」に過ぎない。
更に言えば、実はヘック牛の見た目は、推定されるオーロックスの実像とは大きく異なっており、持っているはずの身体的特徴を持っていなかったり、オーロックスよりも小さかったりした。
ヘック兄弟は、当然オーロックスの復元に成功したと主張したものの、闘牛に用いられる品種などと比較しても、ヘック牛が他の種よりオーロックスと似ているという訳でもない。
有り体に言ってしまえば、国家事業として行われたにも関わらず、オーロックスを復元するという試み自体は、完全に失敗に終わってしまっていたのだ。
では、現にサーヴァントとして存在するこのオーロックスは、一体何者か。真名を「グラッヘル」として登録されたこの二足歩行する牛の正体とは何か。
答えは存外シンプルなもので、「オーロックスに近いとされた近似種個体としての『グラッヘル』を依り代として、牛の祖先の集合体としての『オーロックス』が取り憑いた擬似サーヴァント」である。
実態がどうあれ、オーロックスという種は、ヘック牛を通じて「人間の手で絶滅種を復元した」最初の実例として人類に認識された。
これにより、復活した絶滅種の代表例としてオーロックスは人類史に刻まれ、その事実を象徴する存在として、個体として認識されるヘック牛のグラッヘルが選ばれた。
グラッヘルというレンズを通じて、「オーロックス」という絶滅種の幻霊を集約し、一つの霊基として確立させたものが、サーヴァントとしてのグラッヘル〔オーロックス〕なのである。
彼は、絶滅から復活した、或いはその可能性が存在することを身を以て証明したことから、滅び去りゆくものを助け出す事に特化したセーバーのクラスを得て現界する。
滅びをも覆さんとする、いと深き人の業。しかし、それで救われる何かがあることも、きっと間違いではない。
そんな確信に後押しされて、グラッヘルはエレキギターを掻き鳴らすのである。
2〜3mにもなる体長、最大で1t前後を記録した体重と、重厚な身体を持っており、今日バイソンとして知られる動物達の先祖に相応しい、80cm程の立派な角を生やしていたという。
長い年月をかけて生息域を広げていった種で、最大生息域は、ユーラシア大陸のほぼ全域から北アフリカ、更に北米大陸にまで及んでいる。
約1万5000年前の遺跡であるラスコー洞窟の壁画にも、狩猟対象として、オーロックスらしき生物が描かれていることで知られる。
紀元前の時代から、かなりの広範囲で人類と深い関わりを持っており、家畜化されることで、人類の農耕牧畜文化に欠かせないウシを生み出した。
しかし、この種は原生林などを生息地とする為、人類の版図が広がるにつれて、生息域を田畑や家畜牛の放牧地に寸断され、徐々に姿を消していったという。
例えば、かのカエサルは、ガリア遠征の折にオーロックスを目撃したとされ、「ゾウよりは小さいが、ウシに良く似ている」と記している。
ところが、その僅か1世紀後に大プリニウスが記した博物誌では、オーロックスとバイソンを人々が区別できないことを嘆く記述が見られる。
これは、オーロックスの個体数が著しく減ったことで、バイソンとの見分け方を理解していない人が増えたことを示すのではないかと言われている。
また、更に時代が下ると、オーロックスとバイソンを混同している言語記録なども増え、その存在は、徐々に忘れ去られつつあった。
ただ、これほどの個体数の激減は、単に人類に駆逐された、というだけではなく、狩猟において、オーロックスが格好の獲物として扱われたことも影響しているとされる。
13世紀頃になると、オーロックスの目撃例はフランス・ポーランドやドイツの一部に見受けられるのみとなり、それらすらも時代が下るに従って漸減していった。
それは何故かといえば、ヨーロッパに住む貴族や諸侯たちが、彼らを狩り尽くしていったからだという。即ち、希少な野牛としてのオーロックスの狩猟は、貴族階級の特権として認定されていた。
これは、『ニーベルンゲンの歌』で、ジークフリートがこの種を狩猟したことが貴族の振る舞いとして特に記されていることや、彼らの角を角杯として貴族が保管していたことなどから推定可能である。
大変な希少種として、一種の神秘性をすら宿していたとされるこの種は、貴族達にとって、単なる狩猟遊戯の対象というだけではない意味を持っていたとも言える。
また、動物保護の観念がない時期であるにも関わらず、16世紀前後には、オーロックスの禁猟区が設定された、という話もあるが、その意図は、貴族達の猟場確保にあった。
つまり、保護する為ではなく、貴族以外が狩ることを禁ずる為に設定した、という訳で、密猟者による狩猟も含め、オーロックスは個体数を更に減少させていった。
結果、狩るべき相手がいなくなったことで禁猟区はオーロックスと共に姿を消し、最後まで残ったポーランド・ヤクトルフの禁猟区でも、1620年には、最後の1頭を残すばかりとなった。
この1頭は丁寧に扱われこそしたが、結局は1627年に老衰で死去。こうして、オーロックスというウシの原種は、地球上から姿を消したのである。
だが、その絶滅したはずのオーロックスを復元する計画が、ある時持ち上がった。第一次世界大戦後、ワイマール体制下の苦況で民族主義が極度の熱狂を見せたドイツ国内でのことである。
この時期に台頭してきたナチスは、政権奪取後、「古き善きドイツの姿を取り戻す」ことを主眼とし、自然環境にまつわる政策を幾つか打ち出していた。
その一環として、狩猟長官兼森林長官でもある航空相ヘルマン・ゲーリングを中心として、ドイツの原風景の一つである「黒い森」、そして其処に棲まう生物達の生態系復活が模索されていたのである。
当然、遡れば狩猟を生活の糧としていたであろうゲルマン民族にとって「懐かしい」獲物であるオーロックスも、望まれる「理想的な」生態系には必要不可欠な存在であった。
さて、斯くて下命された「絶滅した生物を復元せよ」との無理難題であったが、この当時の人類は、品種改良という作業によって、ある程度任意の形質を持った生物を作り出す術を心得ていた。
これを利用したのが、ゲーリングと親しくしていたベルリン動物園のルッツ・ヘックと、その兄ハインツ・ヘックの兄弟であった。
彼らは、調べられる限りの資料をあたって、オーロックスの「姿」を確認し、当時の多くのウシ品種同士の交配によって、オーロックスに限りなく類似した種を作り出そうとした。
無論、DNAの概念が広まった現代では、このような事を行って「オーロックスそのもの」が蘇ることはまずないと我々は知っているが、この当時、遺伝の法則には未だ神秘が残されていた。
また、ヘック兄弟が望んだのは、「厳密に嘗て存在したオーロックスと同じ種」ではなく、「オーロックスが嘗て果たしていた生態系上の役割を果たし得る、オーロックスに限りなく似た種」であった。
これらの要件を踏まえれば、ヘック兄弟の試みが、全くの無謀という訳ではなく、ある程度成功を期待して行われたものであることについても、理解が及ぶであろう。
こうして彼らは、選定された八種類の品種から幾世代かの交配を繰り返し、資料にあるオーロックスの姿を元に少しずつ近づけていく地道な作業を繰り返した。
その末に、ハインツとルッツは、それぞれ別の「オーロックス」を作り出すことに成功した。最初に達成されたのはハインツによる試みで、この時生み出された個体は、「グラッヘル」と名付けられた。
それに遅れてルッツの試みも実を結び、彼らは、期待されたオーロックス(と酷似した姿と形質を持った牛)を作り出し、一つの品種として固定・更なる改良を重ねていった。
これらの試みによって生み出された品種は、今日では「ヘック牛」として知られており、現在ヨーロッパには、グラッヘルの子孫と思われる個体達が半野生化した群れが存在している。
……しかし、先述の通り、こうして生み出されたヘック牛は、どこまで行っても「形質がよく似た家畜牛の一品種」であって、「オーロックスそのもの」ではない。
見た目や生態系での役割のみにフォーカスして、過去に存在した生物を復元しようとする試みは、「イメージ・ブリーディング」と呼ばれているが、ヘック牛は、まさにこれの典型例である。
これによって生み出される生物は、今日近縁種に特定のDNAを組み込む事で実現される、遺伝子的に近似値である種とは根本的に異なる存在であり、極論すれば、「失敗作」に過ぎない。
更に言えば、実はヘック牛の見た目は、推定されるオーロックスの実像とは大きく異なっており、持っているはずの身体的特徴を持っていなかったり、オーロックスよりも小さかったりした。
ヘック兄弟は、当然オーロックスの復元に成功したと主張したものの、闘牛に用いられる品種などと比較しても、ヘック牛が他の種よりオーロックスと似ているという訳でもない。
有り体に言ってしまえば、国家事業として行われたにも関わらず、オーロックスを復元するという試み自体は、完全に失敗に終わってしまっていたのだ。
では、現にサーヴァントとして存在するこのオーロックスは、一体何者か。真名を「グラッヘル」として登録されたこの二足歩行する牛の正体とは何か。
答えは存外シンプルなもので、「オーロックスに近いとされた近似種個体としての『グラッヘル』を依り代として、牛の祖先の集合体としての『オーロックス』が取り憑いた擬似サーヴァント」である。
実態がどうあれ、オーロックスという種は、ヘック牛を通じて「人間の手で絶滅種を復元した」最初の実例として人類に認識された。
これにより、復活した絶滅種の代表例としてオーロックスは人類史に刻まれ、その事実を象徴する存在として、個体として認識されるヘック牛のグラッヘルが選ばれた。
グラッヘルというレンズを通じて、「オーロックス」という絶滅種の幻霊を集約し、一つの霊基として確立させたものが、サーヴァントとしてのグラッヘル〔オーロックス〕なのである。
彼は、絶滅から復活した、或いはその可能性が存在することを身を以て証明したことから、滅び去りゆくものを助け出す事に特化したセーバーのクラスを得て現界する。
滅びをも覆さんとする、いと深き人の業。しかし、それで救われる何かがあることも、きっと間違いではない。
そんな確信に後押しされて、グラッヘルはエレキギターを掻き鳴らすのである。
何故だか関西弁で喋る、二足歩行の巨大な牛。見るものが見れば、ただの牛というよりもバイソンに近い種であることにも気づくだろうが、彼は別に牛呼ばわりでも気にしない。事実だからである。
いざという時には、東はアジア、西はアメリカ大陸を駆け抜けた祖先に倣い、四足歩行の全力疾走で、多少の障害は粉砕しつつ突き進む暴走機関車。
が、普段は割りとちゃらんぽらんなくたびれたオッサンという感じで、二足歩行して喋る、若しくは見た目が牛であるという点に目を瞑れば、休日に家でゴロゴロして管を巻くお父ちゃんそのものである。
嘗て大地を闊歩した「オーロックス」としての記憶を引き合いに出し、「おっちゃんが生きとった頃はなー」と、マスターや子供達に昔話をするのが一番の趣味。
その一方で、普段は表出しないが、「グラッヘル」としての意識も僅かに残っており、『死から、或いは絶滅から蘇った』と見なせる現在の自分の在り方について、ふと苦悩の眼差しを見せることもある。
自身の風貌が特異なものと見なされる一般的な聖杯戦争では、拠点内部にいる間だけ実体化してのんびりし、戦闘以外で屋外に出る時は霊体化する、というのが基本的な行動パターン。
しかし、カルデアに召喚された時など、自身の風貌を隠す必要がない場合は、のんびり散歩したり、エレキギターを宝具を使わずにかき鳴らしたり、モソモソ反芻に勤しんでいたりする。
また、子供達の要望があれば、シミュレーターの中であれば背中に乗せて全力疾走するのもやぶさかではなかったりする。割りとその辺りは人間の行動に合わせてくれる。
因みに、オーロックスを狩猟していたであろう古代〜中世頃のヨーロッパ系貴族に対してはやや苦手意識を抱いており、どことなく態度がぎこちなくなる。
『ニーベルンゲンの歌』に、具体的に自分を狩ったという記録の残っているジークフリートに対しては特にそれが顕著。出くわすとみるみるうちに冷や汗が吹き出してくる。
因みに、何故エレキギターを背負っているのか、何故それを使いこなせているのか、どうやって二足歩行しているのか、などなど、ツッコミどころは多いが、本人に聞いても理由は分からないという。
人のように振る舞っている点については、オーロックスという野牛種、或いは其処から派生した牛に対する信仰(ミトラ教やヒンドゥー教など)が何かしら影響しているのではないかとも思われる。
が、エレキギターの方については本当に全く由来不明。何処かで召喚された時に近代文明に感化されたパターンかもしれないが、記憶には残っていないそうな。
イメージカラー:手入れすれば輝きそうなくすんだ黒
特技:誰にも気づかれずに反芻すること
好きなもの:静かな森、旨い草
嫌いなもの:狩人、滅びていくこと
天敵:自分の体長の何倍もある生き物を1人で4頭も狩るやべーやつ
願い:人間に滅ぼされる生き物を少しでも減らすこと。
【一人称】おっちゃん、わて 【二人称】あんさん、あんたなど 【三人称】にいちゃん、ねえちゃん、ボン、嬢ちゃん、など
いざという時には、東はアジア、西はアメリカ大陸を駆け抜けた祖先に倣い、四足歩行の全力疾走で、多少の障害は粉砕しつつ突き進む暴走機関車。
が、普段は割りとちゃらんぽらんなくたびれたオッサンという感じで、二足歩行して喋る、若しくは見た目が牛であるという点に目を瞑れば、休日に家でゴロゴロして管を巻くお父ちゃんそのものである。
嘗て大地を闊歩した「オーロックス」としての記憶を引き合いに出し、「おっちゃんが生きとった頃はなー」と、マスターや子供達に昔話をするのが一番の趣味。
その一方で、普段は表出しないが、「グラッヘル」としての意識も僅かに残っており、『死から、或いは絶滅から蘇った』と見なせる現在の自分の在り方について、ふと苦悩の眼差しを見せることもある。
自身の風貌が特異なものと見なされる一般的な聖杯戦争では、拠点内部にいる間だけ実体化してのんびりし、戦闘以外で屋外に出る時は霊体化する、というのが基本的な行動パターン。
しかし、カルデアに召喚された時など、自身の風貌を隠す必要がない場合は、のんびり散歩したり、エレキギターを宝具を使わずにかき鳴らしたり、モソモソ反芻に勤しんでいたりする。
また、子供達の要望があれば、シミュレーターの中であれば背中に乗せて全力疾走するのもやぶさかではなかったりする。割りとその辺りは人間の行動に合わせてくれる。
因みに、オーロックスを狩猟していたであろう古代〜中世頃のヨーロッパ系貴族に対してはやや苦手意識を抱いており、どことなく態度がぎこちなくなる。
『ニーベルンゲンの歌』に、具体的に自分を狩ったという記録の残っているジークフリートに対しては特にそれが顕著。出くわすとみるみるうちに冷や汗が吹き出してくる。
因みに、何故エレキギターを背負っているのか、何故それを使いこなせているのか、どうやって二足歩行しているのか、などなど、ツッコミどころは多いが、本人に聞いても理由は分からないという。
人のように振る舞っている点については、オーロックスという野牛種、或いは其処から派生した牛に対する信仰(ミトラ教やヒンドゥー教など)が何かしら影響しているのではないかとも思われる。
が、エレキギターの方については本当に全く由来不明。何処かで召喚された時に近代文明に感化されたパターンかもしれないが、記憶には残っていないそうな。
イメージカラー:手入れすれば輝きそうなくすんだ黒
特技:誰にも気づかれずに反芻すること
好きなもの:静かな森、旨い草
嫌いなもの:狩人、滅びていくこと
天敵:
願い:人間に滅ぼされる生き物を少しでも減らすこと。
【一人称】おっちゃん、わて 【二人称】あんさん、あんたなど 【三人称】にいちゃん、ねえちゃん、ボン、嬢ちゃん、など
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