kagemiya@ふたば

【性別】女
【身長・体重】158cm・54kg
【肌色】地肌は白　【髪色】くすんだ茶　【瞳色】赤
【外見・容姿】背中に一筋の縞が入っており、耳や脚が狼のそれに近しくなった長髪の女。
【属性】混沌・中庸
【天地人属性】人
【その他属性】魔獣・人型
【ステータス】筋力：D　耐久：B　敏捷：B-　魔力：A　幸運：C　宝具：-

魔術師家系であるシャステル家の最後の末裔にして到達点。
シャステル家は旧い魔術師の例に漏れず根源を目指していたが、優秀な血と交わり回路を増殖し刻印を子孫に繋げて行く過程で、シャステル家の回路と刻印は、根源に到達できるレベルに達する前に最盛期を迎え、以降は劣化して行くことが判明した。
しかし連綿と続いた根源への渇望を、自分の代では終わらせられないと半ば惰性のように、次代の者に選択を先送りし続けた。目的を見失ったまま刻印は洗練され続け、予想される最盛期の一つ前の代であるジャン・シャステルに受け継がれた。
この時点のシャステル家の研究は、とてもジャンの代で完成するようなものではなく、そして次々代以降の劣化した子孫が根源に到達できる見込みなど当然無い。すなわち後一代、ジャンの子供の代で研究を完成させる事が求められた。
しかし今の今まで放置されていた問題を解決する手段が都合良く転がっているわけもなく、最終的にジャンが自棄になりながら取った手段は、魔術的強化を施した狼と交わるというシンプルかつ下等なものであった。
その目的は雑種強勢による刻印と回路の強化。生殖能力を失うことは本来魔術師にとって致命であるが、衰退が約束されたシャステル家においては問題では無い。
こうして人の種と狼の胎より産まれた雑種が、後にジェヴォーダンの獣と呼ばれる怪物、ベートである。
ベートは、世間から隠し研究するため、産まれてからしばらく牢に囚われており、5歳の時に刻印を移植が終了。
そして刻印に宿されたシャステル家の魔術─すなわち自己の精神そのものを回路に移し、回路と肉体を分離させる秘術─を行い刻印と回路のみで牢からの脱出を成功させる。
脱出後は野生の狼に乗り移り肉体を簒奪。産まれて初めての自由を謳歌する。
しかしこの脱走と乗っ取りに際していくつかの問題が発生した。
まず一つ目は、そもそもシャステル家の刻印がまだ未完成であり、精神を完全に移しきれてなかったこと。これによりベートは知能が劣化し、まさしく獣同然の思考レベルにまで落ちてしまった。
二つ目は、乗っ取った獣の肉体が長持ちしないこと。魔術回路と刻印を一気に植え付けられる事になんの改造も施してない動物が耐えられるはずもなく、ベートは数週間単位での乗り換えを余儀なくされる。
この不具合により、本来可能な限りジャンから離れるべきだったにも関わらず、知能劣化からそれを忘れ周辺の森に留まり、さらに獣では耐えられぬと本能的に悟ったベートは、母親と同じ狼ではなく、父親と同じ人間へと移り変わるために人を襲い始める。
これによりベートは人々を震撼させるジェヴォーダンの獣となった。
魔術で強化された肉体は、普通の狼より遥かに足が速く、一日に50kmほどの範囲で人を襲う事もあった。
竜騎兵が駆り出されても、並みの獣から外れた身体能力と探知性能を誇るベートは捕まらない。
地元民に槍で突かれても銃で撃たれても、獣は刻印が身体を限界まで生かし続けるゆえ死にはしない。
一度アントワーヌ・ド・ボーテルヌという人間に撃たれたこともあったが、死の直前に回路と刻印のみを離脱させることで事なきを得た。それゆえボーテルヌが撃ち殺した剥製は、ベートの特徴である一筋の縞模様が無かった。
しかしその自由も永遠には続かない。
地元民の一丸となってのベート退治に他ならぬジャン・シャステルも参加したのだ。
魔術の素人である一般猟師ならともかく、産みの親であるジャンにとってはベートの居場所を見つけ出すことは容易だった。
ベートと目が合うと、ジャンは銃も持たずに聖書を読みはじめた。ベートはその言葉に聞き入り、ジャンが朗読をやめても微動だにせず、ただ撃ち抜かれた。
これによりジェヴォーダンの獣事件は終結し、人々に平和が訪れた。

ジェヴォーダンの獣は実は魔術師と狼のハーフ。
刻印と回路を他の狼に移すことで何度殺されても生き返ってきた。
人を襲うのは狼じゃなくて人の体を乗っ取りたいから(全部失敗したけど)。