kagemiya@ふたば

エレンスゲはある村の近郊の洞窟に住み着いており、度々洞窟から出てきて多くの人々を貪り食っていた。
そこで村は、一年に一人娘を龍に差し出す代わりに、他の人間を襲わないという契約を結ぶ。
村の人間はどの娘を差し出すかをくじで決めることにしたが、そのくじは村を治める国の王の娘に当たってしまう。
困った王は、龍から娘を助けてくれた者に娘と結婚させ、国を継がせると国中の者に言った。

しかし誰も助けようと言う者は現れず、とうとう龍に王女を差し出す日がやってきた。
王女は木に縛り付けられ、人々は近くの木々に隠れた。
もうすぐ龍がやってくる、そんな時に一人の羊飼いが一匹の犬を従えその場所にやってきた。
羊飼いは王女の口から彼女の身の上を聞くと、犬と一緒に王女の木の後ろに座った。
そして龍が轟音と共に現れると、羊飼いは犬に「龍を襲え」と命令する。
それを聞いた犬は巨大な龍へと飛びかかりずたずたに引き裂いた。
羊飼いは龍の7つの頭から舌を一つずつ引き抜き、持ち帰った。
近くの木に隠れていた男は龍の７つの頭を切ると、大きな袋に入れて家へと持ち帰った。

龍が死に、王女が戻ってきたことを喜んだ王は盛大なパーティを催し、娘の婚約を祝った。
その場には多くの人々の他に王と王女、そして王女の婚約者が座っている。この婚約者とは羊飼いではなく、袋に七つの龍の頭を袋に入れ持ち帰った男であった。
他の人々も、王女のお付きの者も、誰も羊飼いを招待しなかった。
やがて宴会も終わりに近づいたころ、誰にも気付かれずに犬をつれた羊飼いがやってきた。
羊飼いは犬のセサルに料理を取りに行かせるも、犬に気付いた王は家来にその犬を縛るよう命じる。
王女はその犬を見てひどく驚いた。王女の命を助けてくれた犬として見覚えがあったからである。
犬のセサルは縛られそうになると慌てて主人の元へと逃げていった。
羊飼いは王の前に出ていくと、龍を殺したのは自分の犬だと主張する。
これを聞いた人々は動揺し、座っていた王女の婚約者は龍の頭を七つ並べ自分が龍を殺したのだと主張。
羊飼いは龍の舌を７つ取り出すと、この舌が証拠であると主張。
龍の頭を調べた人々は羊飼いを王の跡継ぎと認め、王の跡継ぎの婿となった。

「ワンッ！」
「ワンッワンワン！」
「グルルル…ワンッ！」
「クゥーン…」