kagemiya@ふたば

童話『眠り姫』に、概念『睡魔』が融合したもの。
彼女らが融合したのは単に睡眠関連で似通っているだけではなく、もう一つの理由がある。

眠り姫は、呪いにより100年もの間眠っていた。
どういうわけか肉体は朽ちず、精神も、時たま夢とか見つつ健在であった。
その精神に付け込まんとする、夢魔と呼ばれる悪魔がいた。
夢を喰らって生きる者である。
しかし、100年の間眠り続ける彼女から夢を奪うのはあまりにもむごいと思ったそれは、彼女に取り憑いて同化した。
夢魔の中の、いままで食らった夢が眠り姫へと流れ、そして眠り姫が見終わった夢は再び夢魔へと戻る…そんな輪廻を繰り返し100年。

呪いの解除と王子のキスにより目覚めた姫は、喜びつつも落胆した。
「現実とは、かくもつまらない物であったのか」と。
人生より長い時を夢で過ごした彼女にとって、現実はまるで悪夢のようなものであった。
王子は優しく良い人だったし、家族との再会も嬉しかった。
だが、それでも彼女の心は満たされることは無く、一日たった10時間足らずの睡眠が、彼女にとっての心の支えとなっていった。

そんなある日、彼女は永遠の眠りに落ちる方法を思い付く。


…かくして、悪魔と共にこの世という悪夢を閉じた彼女は、霊基に悪魔の欠片を埋め込まれたまま幻霊となった。
その彼女に、概念や言葉としての『睡魔』が重ねられたのが今の状態である。