Pretty Liar > 第2話 From France with Love
ある日、奏と楓のもとに突然フレデリカが来訪する。
3人で訪れた美術館に飾られていた美女の絵を見て、
楓は「本当の彼女はどんな人なのか」と呟いた。
その夜、台本の読み合わせに誘われた奏は、
楓の台本がメモ書きと注釈がたくさん入った、
『普通の台本』であることを知るのだった。
3人で訪れた美術館に飾られていた美女の絵を見て、
楓は「本当の彼女はどんな人なのか」と呟いた。
その夜、台本の読み合わせに誘われた奏は、
楓の台本がメモ書きと注釈がたくさん入った、
『普通の台本』であることを知るのだった。
撮影後 | |
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フレデリカ | フレちゃんプレゼンツ、 魅惑のパリツアー、はっじめっるよー♪ |
楓 | おーっ♪ |
奏 | 待って。 |
フレデリカ | さぁさぁ、最初はどんなところに行きたい? ショッピング? 観光地? それともフレちゃん家? |
楓 | やっぱり、美味しいお酒が飲める場所がいいですね。 |
奏 | 待って。お願いだから少しだけ待って。 |
フレデリカ | もー、仕方ないなぁ。なんだねカナデちゃん。 時間は有限!パリの夕陽が沈んだら、夜になっちゃうよ! |
奏 | なんでいるの? |
フレデリカ | ひどいっ!? カナデちゃんが毎日あんなに、フレちゃんに会いたい会いたいって 電波を飛ばしてくるから、頑張ってきたのに!! |
楓 | 奏ちゃん、そうだったんですか? 私ったら、奏ちゃんに寂しい思いをさせて……。 |
奏 | いえ、まったく。 |
フレデリカ | 事実無根です。 |
奏 | はぁ……。 とりあえず、遊びにきたって認識でいいのかしら? プロデューサーさんはこのこと知ってるの? |
フレデリカ | もちろん!フレちゃんとプロデューサーは、 心がつながってるからね! |
奏 | ……いえ、いいわ。 考えるのが面倒になってきた……。 それで、フレちゃんツアーのプランは? |
フレデリカ | なお、フレちゃんパリツアーは、 格安のノープランのみのご提供となっております♪ |
楓 | あ、それなら。 私、行っておきたい場所があるんです。 |
美術館 | |
フレデリカ | 絵だ!! |
奏 | そりゃ絵があるわよ。 美術館なんだから。 |
楓 | 明日はここで撮影なので、下見を兼ねて。 事前に雰囲気を知っていると、安心できますし。 |
フレデリカ | なるほどねー♪ そういえば、映画の撮影なんだっけー。 |
ねーねー、その映画って、どんなお話なの? ふたりが夫婦になるお話って聞いたけど。 | |
奏 | 夫婦じゃないわ。家族。 姉妹、が一番適切かしらね。 |
楓 | フランスで、ファッションデザイナーとして暮らしている 私のところに、従妹の奏ちゃんが留学生としてやってくる……。 |
奏 | ふたりで一緒に暮らすうちに、お互いが抱えている 悩みが見え始めて、支え合う家族になっていく……。 そんな感じのお話よ。 |
フレデリカ | おおー、なるほど。全米が泣きそうだねぇ。 少なくとも、全フレちゃんが泣いたげる。 |
奏 | それはありがと。 ま、楽しみにしておいて。 |
フレデリカ | うんうん、楽しみにしてるよ♪ 妹キャラなカナデちゃん! |
奏 | ……妹キャラ? |
楓 | そうだっ! 実はねカナデちゃん。なんと。衝撃の新事実なんだけど。 フレちゃんはカナデちゃんよりお姉さんなのだっ!! |
よしよし、甘えておいで♪ 存分に可愛がってあげよう♪ 愛しの宮本奏ちゃーん! | |
奏 | 百万歩譲って、妹だとして。 私がそんな風に甘えるキャラだと思う? |
フレデリカ | わかってる、わかってるよ。 実は心の底で、甘えられる相手を探しているんだよね。 だから……ほらっ♪ かも〜ん♪ |
奏 | …………。 |
フレデリカ | ああっ!カナデちゃんってば〜。 待って待って〜。 |
楓 | ふふふっ♪ こうしていると、奏ちゃんも可愛らしい、 普通の高校生ですね。いいものが見られました。 |
さて、私も……あら、あの絵……。 | |
奏 | ……立ち止まって、どうかした? ああ、あれは……有名な絵よね。世界有数の美女。 |
楓 | ええ。とっても、綺麗な絵ですよね。 だから、少しだけ、気になってしまって。 |
…………額縁で切り取られた、一瞬の姿。 そのわずかな姿だけで、有数の美女として見られ続ける。 本当の彼女は、どんな方なんでしょうね。 | |
奏 | ……楓さん? |
楓 | いえ、なんでもありません。 さ、いきましょうか。 |
アパート | |
奏 | 結局、一日フレちゃんに振り回されたわね……。 |
楓 | でも、とっても楽しかったですね。 いい思い出になりました♪ |
奏 | それはまぁ、そうね。 一応、あとでお礼を言っておこうかしら。 |
楓 | はい、お願いします。 さて……奏ちゃん、まだもう少し、元気は残っていますか? |
奏 | それは問題ないけれど……なにかしら? 晩酌なら、外の方が……。 |
楓 | いえいえ、そうじゃないんです。 台本を少し、読み合わせませんか? |
実はまだ、心情の解釈に迷っているところがあって。 奏ちゃんがよければ、意見を聞きたいの。 | |
奏 | ……ええ、もちろん。 ぜひ、つき合わせてもらうわ。 |
(楓さんが広げた台本は……。 メモ書きと注釈とがたくさん入った、 私のものと変わらない、普通の台本だった……) |