Needle Light > 第1話 What Is Our MEGANE?
新曲へ向け、ユニットとして充実した活動をこなす
比奈と春菜。しかし、Pから与えられた宿題には
答えを出せずにいた。アイドルの時は眼鏡を外す
ことの多い比奈。そんな自分が、眼鏡アイドルを
名乗ってもいいのか。自分たちらしさとはなにか。
瑞樹は、悩むふたりに腹を割って話すことを勧めた。
比奈と春菜。しかし、Pから与えられた宿題には
答えを出せずにいた。アイドルの時は眼鏡を外す
ことの多い比奈。そんな自分が、眼鏡アイドルを
名乗ってもいいのか。自分たちらしさとはなにか。
瑞樹は、悩むふたりに腹を割って話すことを勧めた。
レッスンルーム | |
---|---|
比奈 | ……5、6、7、8! |
ふぃ〜っ。結構激しい振り付けっスね。 カッコいい曲だし、これはキッチリ決めないと。 | |
春菜 | はい!衣装も眼鏡に合うカッコいいものですし、 私たちもそれに負けないくらい、 カッコよくなりたいです! |
比奈 | そっスね! よーし、もう一回合わせるっスよ! |
春菜 | はいっ! |
事務所 | |
比奈 | は〜、クタクタっスね。 えっと、午後の予定は……。 |
春菜 | 衣装合わせをしてから、雑誌の取材ですね。 それから番組のロケ……と。 |
比奈 | いや〜、ありがたいっスね〜。 アイドルとして忙しいことは良いことっスから。 |
春菜 | そうですね、今のところ順調です! ですけど……。 |
プロデューサーさんから聞かれたことに、 まだ答えを出せてないですね。 | |
比奈 | そうっスね。 アタシたち自身のユニット活動へのアイディア、っスよね。 |
プロデューサーやスタッフさんが用意してくれたことを こなすので精一杯になっちゃってましたからね……。 | |
春菜 | う〜ん……。 |
比奈 | |
瑞樹 | あら、ふたりともお疲れさま! ……どうしたの? |
カフェ | |
瑞樹 | なるほど、そんな宿題が出てたのね。 それでふたりで考え込んでいた、と。 |
春菜 | そうなんです。 ユニットとしての活動は充実してるんですけど……。 |
比奈 | 充実し過ぎてて、これ以上何をしたらいいのか、って。 |
春菜 | 実は一度、「自分たちらしさを出そう!」って ふたりで話し合ったんです。 |
比奈 | でも、自分たちらしさって何だろう? ってところで 話が止まってしまったんでスよね。 |
瑞樹 | そうねー……難しいわよね。自分らしく、って。 ちなみに、ふたりは自分の個性について、 どう考えてるの? |
春菜 | 個性……ですかそうですね、一言で言うなら……。 |
眼鏡、ですね! | |
比奈 | アタシはオタクっス! |
瑞樹 | あはは……そうじゃなくて、 アイドルとしてのイメージとか、 目指す方向性をどうしたいと思っているかってこと。 |
今、現在の素の自分は、 ふたりが言った「眼鏡」と「オタク」かもしれないけど……。 | |
ふたりが目指しているのはどういうアイドルなの? | |
春菜 | 私は、そのまま「眼鏡アイドル」ですね! |
アイドル界で一番眼鏡が似合って、 眼鏡が好きで、眼鏡の良さを伝えられる、 そんなアイドルになりたいです! | |
瑞樹 | ふふっ、さすが春菜ちゃん。ブレないわね〜。 比奈ちゃんは? |
比奈 | アタシっスか……アタシは……。 う〜ん、難しい質問っスね〜。 |
そもそも自分がアイドルになったのは、 ただの成り行きだったんス。 | |
ただの眼鏡ジャージ干物女だったアタシを プロデューサーがアイドルに変身させてくれたんでスよ。 | |
むしろ、アタシの場合は、 アイドルの時は眼鏡を外してる方が多いんで……。 | |
そんなアタシが眼鏡アイドルを名乗っていいのかな、 って考えることもあるっス。 | |
春菜 | ええっ! ひ、比奈ちゃん、そんなことを思っていたんですか……? 知らなかった……。 |
比奈 | あ、いや、春菜ちゃん……。申し訳ないっス。 でも、あんまり言わない方がいいことかと思っちゃって……。 |
春菜 | これは、眼鏡ユニット崩壊の危機……? |
比奈 | あ、いやいや、そういうことじゃなくって……。 |
瑞樹 | ……なるほどね。 なんとなく、ふたりの状況がわかってきたわ。 こういう時、そうね、私だったら……。 |
サシで飲みに行くわね! | |
比奈 | ……川島さん。春菜ちゃん、未成年っス。 |
瑞樹 | ふふふっ、もちろん冗談よ。 何が言いたいかっていうと……。 |
チームで共同作業をする時に大切なのは、 前提を共有しあうことだと思うの。 | |
今のふたりには、まだお互いのこと、 知らない部分があるんじゃないかしら? | |
春菜 | ……そうですね。 比奈ちゃんの気持ち、ちゃんと聞いたことなかったかも……。 思えば、私ばかり突っ走っていて! |
比奈 | いやいやいや、アタシもあんまり自分のことを 話すの得意じゃないっスから! |
瑞樹 | はいはい、そこまで。 |
ちょっとふたりの関係がこじれかけた、そんな時は 飲みの席じゃなくても、ふたりがリラックスして話せる場所で 腹を割って話し合うのがいいんじゃないかしら! | |
春菜 | 腹を割って……! |
比奈 | 話し合う……! |
春菜 | …………。 |
比奈 | |
瑞樹 | あ、あら? 私、何か変なこと言っちゃった? |
比奈 | あ、いや、そうじゃないんス……。 ただ……「腹を割って話し合う」っていうのが…… ちょっと照れくさいというか……。 |
春菜 | は、はい……。 そんな風に誰かと向き合うという経験が、 あまりなかったもので……ドキドキしちゃいますっ! |
瑞樹 | ……ふっふふっ! まったく、似たもの同士なんだから……。 |