アンリエッタ・クロイツェルレフェルン

「…わたし、悪い子なの」

基本情報

【氏名】アンリエッタ・クロイツェルレフェルン(Angrietta Kreutzerlächeln)
【性別】女性　【年齢】13歳
【出身】ドイツ　【在住】ロシア
【身長】149cm　【体重】41kg
【肌色】掠れたような白　
【髪色】燻んだような白　
【瞳色】暗く澱んだ碧眼(魔術行使時、ドス黒い緋色に変化)
【スリーサイズ】72/51/73
【誕生日】11月23日
【外見・容姿】
無垢な白磁の肌の上、純白のワンピースを身に付けた少女。
色素の薄い短い白髪を持ち、今にも消え入りそうな、それでいて透き通る声を持つ。
何ひとつ身体に傷や障害はないが、その足取りは重く、朧げに前を見つめる濁った瞳は、元の美しい碧眼の名残を僅かに見せる。
そして彼女の心臓部には、あらゆる全ての色の絵の具をぶちまけたかのような、酷く濁った黒色の物質が染み出しており、それは純白のワンピースの胸元を、似つかわしくない漆黒に染め上げている。
【イメージカラー】混じる事のない白と黒
【属性】秩序・善
【魔術属性】不明
【起源】『悪』
【特技】人以外の動物との触れ合い
【好きなもの】自分の善意、他人の不幸
【苦手なもの】自分の悪意、他人の幸福
【一人称】わたし　【二人称】あなた　【三人称】あの人

令呪

魔術

『人の翳』-Shardenfreude

シャーデンフロイデ。
ドイツ語において「人の不幸を喜ぶ」という意味を持つその名こそ、彼女の行使する能力の全てを概す言葉。
━━━━━それは即ち、人なら誰しもが持つ「負」。人間の〝悪意〟そのものである。

彼女の魔術はそういった、心に溜まった「負」を露出させるモノ。彼女の心臓部より這い出るドス黒く染まった穢れが、彼女の肉体を徐々に取り込む形で発露する。
その正体は、憤怒であり、悲哀であり、憎悪であり、嫉妬であり、苦痛であり━━━━━人間の有し得る、全ての悪性感情がカタチになったもの。
初めに右腕。次に両手と侵食し、最終的には彼女そのものと一体化する、流動する真黒の、得体の知れぬ怪物である。

それは確かに彼女自身が自分の意志で解放し行使する力であるが、同時にそれを使えば使うほどに、その精神は悪意に侵されて行く。
そうしてだんだんと負の感情を抱いていく彼女自身が、彼女の行使する「悪意」の糧となる。
やがてその力は、自分にさえも制御できぬ程の悪性となる。そうなってしまった彼女はその全身を負に取り込まれ、侵されきった自我は、全て消失する。
その時の彼女の姿は、凡そあらゆる人間にとって、この世の何よりもおぞましい怪物━━━━全ての悪意の具現、『泥濁翳核(Schwarzherz)』へと変貌する。

この侵食には段階が存在する。
段階が進行すればするほど強力な力となるが、それは即ち、彼女の精神が負の感情に染まっていくことを意味する。
ただし、悪性感情に染まったからといって、彼女の存在そのものが変質してしまうわけではない。
何故なら、感情とは形を持たず流動するもの。如何に大いなる悪意といえどやがては収まる時が来るし、それと共に彼女の精神そのものも、元のそれへと戻っていく。

━━━━だが、元に戻った彼女が見るものは━━━━それまで彼女が抱いていた、「負」そのものである。

・『一段解錠ツェーン』
心臓部から右腕に露出する「負」。
蟹のような大腕を纏わせ、自分の意思で操る。人間の腕と比較して非常に強力なパワーを持ち、コンクリート壁程度なら砕いてしまえる。

・『二段解錠ツヴァンツィヒ』
「右腕」に加え、左腕にも負が露出する。
「左腕」は三本指で二つの関節を持ち、ある程度伸縮可能で器用に動かす事が出来る。
「右腕」は破壊特化なのに対して、「左腕」は精密な力の調整を可能にする。便利。
この状態までは彼女の意思で制御可能だが、これ以上侵食が進むと意志が効かなくなっていく。

設定画

・『三段解錠ドライスィヒ』
「右腕」と「左腕」が双方とも消滅。代わりに心臓部から得体の知れない怪物(『泥濁翳核』本体)の一部が飛び出して来て、其処に生えた「三本目」の腕が攻撃手段となる。
この「三本目」は五本の指を持ち、巨大かつ長大で、「右腕」と「左腕」の双方の長所を兼ね備える。
非常に強力なパワーを持つが制御が効きにくく、ちょっとした感情の機敏で暴走してしまう。

設定画

・『四段解錠フィアツィヒ』
「右腕」と「左腕」が再び侵食、『泥濁翳核』の大部分が露出する。
「三本目」と併せて非常に攻撃性が高いが、意志のほとんどが負に支配されるため、彼女本体さえも情緒不安定となる。
この状態の「負」は彼女の意志ではまったく制御できず、その破壊行動には味方と敵の区別すらない。
ただし「攻撃する」「攻撃しない」程度の命令であれば効かせる事が出来る為、この状態のまま感情が鎮まれば元に戻る事は可能。
ただしこの状態に至るほどに巨大となった負の感情は、他者へ向ける殺意を抑える事は難しいだろう。

設定画

・『極源散開アン=エントリヒ』
「負」が全身に伝搬し、『泥濁翳核シュヴァルツ・ハルツ』そのものと化す。
この状態では彼女の意志が完全に消え去る。あるのは何よりも深く、ドス黒い人間の闇そのもの。
人ならば誰しもが抱く、あらゆるマイナスの感情の具現。ソレは憎悪のままに目につく全てを破壊し、悲しみのままに彷徨い歩く。
はじめから理由のない空虚な感情だけが迸り続け、故にこの怪物は、永遠に満たされる事はない。
そして遂には何ひとつ果たせぬままに、呻き、世界を詛いながら、いずれは収まる。
しかし、その燻りは決して消える事はなく、彼女の中にてずっと、無為なる目覚めの時を伺い続ける。
この怪物が挙げる地獄の如き唸りはその実、咽び泣く悲痛な叫びなのだ。

設定画

礼装

『泥濁翳核シュヴァルツ・ハルツ』

彼女の胸に収められている、極黒に染まった異形の心臓核。
これこそが彼女の持つ絶対唯一の礼装にして、彼女を異常存在たらしめる全ての根源である。

心や感情は元来、心臓に宿るものではない。それらは脳にて発生し伝達されるものに過ぎず、それは彼女とて例外ではない。
では、心臓より流れ出す、精神を侵す「負」とは何なのだろうか。…その解答は、この臓器に込められた、非常に強力な「悪性」の呪詛である。
あるひとりの魔術師の手によって、人間の抱き得るあらゆる全ての悪性感情を丹念に流し込み鋳造された「核」。
それこそが、彼女の心臓。ホムンクルスたる彼女の起源を決定付ける、人間の暗黒面の現出である。

肉体侵食においてこの心臓の本体が取る姿は固定だが、それは彼女という「ヒト」としての型に固定されているため。
ヒトの悪性とは本来、形を持たず流動するもの。純粋な悪性の呪いであればそれこそ、人ですらない、泥のごとき形をとって現れるであろう。
それを押し留め、辛うじて四肢を持つ存在の姿に成型出来ているのは、この心臓に付された呪いがあくまで「人の抱き得るモノ」に過ぎぬのもさる事ながら、それ以上に━━━━彼女自身の、精神力の強さもあるのだろう。

概要・来歴

大人しくも、優しい心を持つ少女。
しかしながら人との接触を嫌がる傾向にあり、また人の行動を見ることを苦手とする。
それでも、人の役に立ちたいという意識は存在するらしく、人からの頼み事は、多くの場合聞き入れる。

彼女は被造物、つまりホムンクルスである。
錬金術に通じる、「感情」を呪詛として扱う事を主とする魔術家、クロイツェルレフェルン。
その家の者、彼女を作成した「父」による研究の一環として、彼女は生み出された。
誕生時から人間の汚点━━━━暗黒面たる悪性だけを持つ人類を創り出す試み。
一般に「負」とされる感情を根底に持つ、完全無垢なる、しかして漆黒に染まりきった心の現出を、「父」は見たがったのだろう。

構想の末、「彼女」は制作された。
彼は幾歳月を掛け、ホムンクルスの人格までをも悪性に染め上げるための呪い━━━━この世のあらゆる負の感情を呪詛として貼り付けた心臓、『泥濁翳核』を作成。
其を心臓核として起動した人造人間、それこそが彼女であり、この日から「アンリエッタ・クロイツェルレフェルン」の名を得た少女であった。

「父」による彼女の教育は、常に命がけであった。
『泥濁翳核』は元より非常に不安定な代物であり、感情の代弁者たる彼女を依代とすることで幾度となく暴走した。
その度に、その負の感情の塊は、数時間、時には数日の時間すらかけて暴れ続け、決まっていつも、電池が切れたかのように元に戻る。そんな有様は当然、アンリエッタ本人の人格にも影響を及ぼした。
わけもわからず湧き上がってくる、自らの酷く汚い感情。それに押し流される自分自身の自我。その意味も出処さえも理解できぬ彼女は、やがて必然的な情緒不安定、極度の他人への怯え、人間嫌いを発症した。

だが、「父」はそんな彼女を優しくなだめ、多くの事を教えた。
この世界のこと。魔術のこと(彼女の出自を除く)。人間のこと。社会のこと。善と、悪のこと。
徐々に、アンリエッタの暴走の間隔と持続時間は短くなっていった。
人としての道徳を学ぶと同時に、彼女は徐々に「感情」の概念を知るようになる。彼女はやがて、己の中の「悪」を制御する事を覚え始めたのだ。

そうして、10年の月日が経つ。
社会から隔絶されたクロイツェルレフェルンの城にて、彼女はすっかり礼儀作法を身につけた、お嬢様然とした姿になっていた。
彼女はもはや、放っておいても感情を暴発させる事はなくなった。しかしそれでも、己の中に眠る深く暗い心の存在。それが異常なものであると、薄々気付いていたのだろうか。
他人を恐怖することはなくなったが、彼女は自分自身について、常に恐怖を抱いていた。
いかに黒い感情を抑えようとしても、ソレは心の隙をついて表出し、その度に彼女へまざまざと己の内なる悪性を自覚させる。
使用人がミスをした事を、無意識のうちにほくそ笑む。親族の死に悲しむ父の姿を、つもりもないのに嘲笑う。対して自分の怪我には、必要以上に怒り泣き叫ぶ。
彼女はそんな自分を自覚するたびに、自己嫌悪へと陥った。ソレを彼女は、恥ずかしいと思った。人よりも、動物を可愛がるようになった。人に触れれば、自分が傷ついてしまうから。

そして耐え続けていた彼女であったが、やがて、自分の中にある負の感情への負い目がついに耐えきれなくなった時━━━それは丁度、彼女の10歳の誕生日であった━━━
彼女はその事を、包み隠さず「父」に報告した。「わたしは、わたしが分からない」と。

━━━━━そうして、彼は確信する。
アンリエッタ・クロイツェルレフェルン。悪として生まれたこの存在は、今此処に、”善”と”悪”の概念を━━━”正しいこと”を理解したのだと。

彼は怯える彼女を抱擁したのち、連れて行くべき場所があると彼女へ打ち明けた。
家を出、国を出、空を飛び。あるひとつの建造物の前で、「父」は突如、こう告げた。

“おまえとはしばらくお別れだ、アンリエッタ。”

「父」を愛していた彼女は大きく取り乱し、また大きく泣いた。…それでも、彼女の心臓が荒波立つことはなかった。それほどまでに彼女の精神はすでに、大きく安定していたのだ。
彼もまた、その様子を見。瞳に涙を浮かべつつも、優しく、彼女の頭を撫でて言った。

"おまえはもう、ひとりで暮らしていける。おまえはこれから、ここで過ごしなさい。"
"おまえの中の悪意は純然なもの。されどおまえの善意は、紛れもなくおまえのものだ"
"…おまえのような奇跡の存在を作れる。こんなすばらしい力は、一刻も早く、世界全体に拡げねばならない"
"だからね、アンリエッタ。おまえもここで、人のために働きなさい。"

"━━━━━━━━━この、グロース紋章院で"

別れの時は来る。
すがりつき別れを拒絶していた彼女であったが━━━━━やがて、それを納得し。
その目を涙に腫らしながらも、「父」の見守る中、カザンに座す紋章院の門戸を開いた。

彼女は、グロース紋章院の命題のひとつ━━━━『性悪説の実践』
その、成功例である。

現在はグロース紋章院カザン支部にて生活。三年が経ち、「父」のロスは大分落ち着いたが、それでもまだ対人関係は苦手。
…コミュニケーションによって、自分の悪性を認識する事に対して、未だ恐怖を抱いているからだ。
しかし善の心は身についているためか、人の役に立とうという気持ちは強い。今や、他の魔術師の助手をする事もしばしばとなっている。
助手などする際には割と気軽に自身の力を使うが、それは彼女にとって当然の事、生まれ持った器官であるためだ。
だが、それが自分にとって良くないものであることは薄々自覚しているのか、余程の事でもなければ「二段解錠」までに止めている。

彼女がカザン支部に送られた事自体が、命題証明の「発表」を兼ねていた。
証明の見返りとして「父」は、彼女の生活の安堵と、その存在を紋章院の目的に役立てる事を紋章官に確約させたという。
その為、聖杯戦争の参戦を命じられたとしても、彼女はそれを成そうとするだろう。
少なくとも、どこかに駆り出されるまではカザン支部の居候同然である。よく日向でぼーっとしている所を目撃される。

彼女はホムンクルスとしては長命で、ヒトと同程度かそれ以下、程度の寿命すら持つ。
これは彼女が「性悪説」という人生の在り方に関わる長期的な命題を背負っているためであり、彼女の肉体もその経過を観察するに適したものへと調整されている。

聖杯戦争に臨む態度・参戦動機

命じられれば行く。ただそれだけ。
それは紛れもなく、紋章院という組織へ恩を返そうとする、些細な善意の表出であるだろう。
だが、彼女は知らない。その戦いが、彼女にとっておそらく、残酷なものを見せるであろうことに。

聖杯に掛ける願い

お父さんにもう一度会う。
あるいは、自分の中の悪い心を取り除く。

サーヴァントへの態度

大抵は一歩距離を置くが、基本的には敬意を払ってあたる。
余程でもなければイザコザは発生しないであろうが、その身に背負う宿命は、サーヴァントへと如何なる印象を与えることだろう。

役どころ

戦うたびに自己矛盾に耐えきれなくなる系幼女。暴れた後で何かイベントがあるタイプ。
基本的にか弱い存在なので

台詞例

「…あなたが、わたしのサーヴァント？…よろしく…で、いい？」

「…来ないで…来ないで…こない…で…！！」

「お父さん…どこ…？」

「わたしは何？わたしは…なんで…わた…し…」

「初めまして、ごきげんよう。わたしはアンリエッタ。アンリエッタ・クロイツェルレフェルン。悪いけれど、戦いをはじめましょう？」

因縁キャラ

・クロニク・ナビ・ナバ＝アンディライリー
「父」の要求により、彼女の衣食住はほぼこの女性任せ。「父」の他に親が居なかった為か、ほぼ母親とみなしているフシがある。
親子関係に複雑な当人からすれば、その心境は如何なるものだろうか。当の「父」はドイツの居城にて、ひとり支部を利用した新たなる命題の証明に張り切っている。
「お父さんが言ってたわ。子供を育てるのはお母さんだって。わたしを育ててくれるから、お母さんはお母さんなのよ。そうよね？」

・マゴログ・ルー
お寿司お兄さん。たまに料理の手伝い(と言っても些細なことだが)をする。
ドイツでも食べたことのない味覚には、それが振舞われるごとに多大な感謝と喜びを示している。いい人。

・ルクター・ベンスィン・アフデン・ヴァクレイ・ショーレンディン
気難しい顔をしている人。彼女も数回しか彼の姿を見たことがない。
男の人か女の人かぐらいは聞いてみたいものだが、今の所叶っていない。

・ヒルデガルド・ノルドクヴィスト
女の人か男の人かぐらいは聞いてみたいものだが、今の所叶っていない。

・ザイシャ=アンディライリー、エンデ、タオ・インヤン、渚雪乃、シウリア=ゼクス、シウリア=フィーア・アンブラジエーネ
彼/彼女らとは年齢こそ近しいものの、彼女が紋章院に預けられたのはつい最近であるために、面識自体はない。
それでも紋章院による被造物という決定的な共通点は皆抱えており、実際に胸を付き合わせれば、何かしら感じ合うところはあるだろうか。

・ナナ
彼女の納品(？)は3年前である為、この少女ともあるいは面識があるかもしれない。
特定の感情に支配されているという意味では、ある意味では近しい存在と言えるだろう。

・遠藤・ステイシー
同じく「悪」を基準とする命題に基づいて造られたモノ。それ故に、ほぼ同一の起源を持つ。
ただし「純粋な悪」として形作られ、またそれを受容する彼とは異なり、こちらは「悪と善の対立」がコンセプトとなっているため、在り方としては真逆の存在と言える。

獣性と理性の対立とか悪性と善性の狭間で揺れる系キャラ好き！
と言う事で練った紋章院の子。
かなり良い子になってはいるけど本質はわるい子なのでそのギャップで度々曇る。
「負」は某巌窟王が出す黒炎に近い。本質はほぼ同じものと言っていいか？ただし単純に物理攻撃。

クロイツェルレフェルン家はバリバリの神秘共有やろうぜ派。感情関連の命題とかめっちゃ解く。
多分感情扱ってるうちに人間の醜悪さに気付いたとかそういうやつ

【来歴(詳細)】※長いのでカットした諸々の来歴。ほぼ概要のロングverなので読む必要はありません

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