2ちゃんねるオカルト板「心霊ちょっといい話」のまとめwiki

351 あなたのうしろに名無しさんが・・・ 2001/03/14(水) 14:51
私のところにも来てくれた。農場の屋外猫ピエール。藪睨みで不細工で毛皮もごわごわ
だったが、喧嘩だけは強く、餌をやっていた私には良く懐いていてくれた。
ピエールが十八になった頃、朝目が覚めるとカーテンもひいていない寝室の窓の外から
中を覗きこんでいるピエールの姿が見えた。私と目が合うと、そのままくるりと背を向け、
家の裏側の丘の斜面をゆっくりと上っていった。背筋をぴんとのばして。新緑の中。
「また狩りに出るのかな」と私は無邪気に思ったものだった。
だが、台所に行くと、床の上で毛布にくるまって死んでいるピエールの姿があった。前の
晩、喧嘩に負け、かなりぼろぼろの状態になったピエールが玄関前でぐったりしているのを
見つけて私が台所に連れて入ったのだった。朝一番で獣医に連れていってやることを心の中
で約束しながら。
十八なのでそれこそ大往生だが、今でも忘れない。窓の外のあの凛とした表情。あの最期の
瞬間だけは、ピエールがこの上なくハンサムで美しい猫に見えた。お別れを言いに来てくれた
ことが今でも嬉しくてならない。一緒に寝ていた主人のことは待っていてくれなかったから
(後でかなり落ち込んでいたが)。

前へ | 次へ


タグ

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

スレッド別メニュー

スレ1(01/02/12)

スレ3(01/10/06)

どなたでも編集できます