Fate/SG/List/Mystery/Detail_C

41.日照湖のテルッシー(仮称)を追え！

場所	日照湖・湖岸
条件	特になし
神階	尊
位勲	勲三等
備考	なし

段階1：ウワサの首長竜

　静かな湖畔。月明かりのみが先を照らす夜間と言えど、開けた湖の辺りであれば随分先まで見通せる。光源となるものを持つのなら、更に遠くまで観察できてもいいだろう。
　この日の湖畔も特に変わりなく、だだっ広い水面が鏡面の如く月をその内に抱えている。だが、やがて平らだった水面が波立ち、あなたの足元を水で濡らすだろう。そしてその中心に、細長く巨大な影が姿を現す。
　その形はさながら、噂に名高い「ネッシー」の如く。

段階2：影宮のヤツはすごいぞ。2倍だ！

・あなたの眼前……湖中央に姿を現したそれは、宛ら2体居るように見える。
　同時に2体の首長竜がこの現代に姿を現したという事実におったまげてもいいし、光などを当ててみてもいいかもしれない。
　何にせよ、放っておけば首長竜はあなたに気づくだろう。
・だが、こちらを向いた首長竜の姿を見て異変に気づくだろう。
　どうにも、首は同じ辺りから生えているように見える。つまりそれは……双頭の首長竜なのである。
・因みに、２つの首はビームを撃ってくる。水属性系なのでそれっぽく対処しよう。
・湖畔から結構遠くにいる首長竜の胴体に攻撃を当てたら第3段階に移行。
　因みに、泳いで近づこうとすると水中で何かに絡め取られて無茶苦茶に振り回されて即死する。

段階3：これはこれで

・叩くべきは細く不安定な頭部でなく、一つしかないはずの胴体だ。その判断をしたかは定かではないが、胴体に攻撃を当てられた首長竜は様子を変える。
　2つの頭を水中に沈め、巨大な円錐にも見える胴体を浮上させる。あなたの方に向くのは、その円錐のおそらく底の部分。だがそこには穴があり、多くの突起が内側に並んでいる。
　あなたは気づくだろう。これは───口だ、と。
・双頭のUMAの正体は、想像を絶する大きさの頭足類。いわば、クソデカいイカ。
　水上に姿を現した巨大な口は、あなたへの怒りを叫ぶかの如く凄まじい大きさの咆哮を放つ。
・巨大なイカは、第二段階では頭だと思われていた触腕の先からの水ブレス、口からの極太水ブレス、地上まで侵攻しての肉弾攻撃などを行ってくる。竜とかではなくイカなので、対神秘攻撃はそこまで効果がない。
・全長は約35m。弱点は口周辺。だが口を狙った攻撃にはブレスで反撃してくる。隙を作ろう。
　絶命させれば重複完了。再出現なし。イカスミをドロップする。

元ネタ：ネッシー(シーサーペント)

　スコットランドはネス湖で目撃されたとされる、首長竜状の未確認生物、ネッシー。首長竜の生き残りなど様々な説が流布されたが、チョウザメ等の見間違いでは？等多くの反論もなされ、かつてそういうものの存在が囁かれた事だけが残ることになった。
　シーサーペントも同様、たびたび海上で目撃されたと言われる首長竜状の生物だが、こちらもリュウグウノツカイや大型のクジラ、巨大な頭足類などを見間違えたものだ、とする説があり、現行人類と首長竜が遭遇した、という状況は成立したとは言えないのが現状である。
　今回の怪異は、「巨大な頭足類」が「頭が二つある首長竜系のUMAに見えていた」という状況のもの。

42.狡猾なる真似っ子

場所	公輪邸・工房倉庫
条件	倉庫内を物色する
神階	魂
位勲	勲四等

段階1：あなたは　たからばこを　あけた！

　貴方が公輪邸の地下倉庫を探索していると、程なくして中～大型の礼装が保管されている広めのスペースに辿り着く。
　どれも大規模な儀式魔術などに用いるものであり、個人で運用することは難しそうだ。
　物色を続けていると、貴方は片隅に置かれた「大きな箱」を発見する。
　それは、古めかしいが煌びやかな細工が施されており、とても優美な箱である。
　貴方が箱の中身を調べようとすると、魔術錠ミスティック・ロックが掛かっていることが分かる。
　魔術師個人の魔力の波長を鍵とするタイプではなく、特定の魔術式を決まった順番で走らせることで解錠できるタイプのようだ。
　中身を覗き見る事はできないが、失敗すると自動反撃を喰らう攻性防壁ブラックアイスの気配はない。
　結論から言うと、これはそれなりに複雑な錠であるが、貴方の腕前ならピッキングして開けることが可能だ。
　ピッキングを試みた場合、ものの10分もせずに鍵は開く。
　そして、鍵を開けられた喜びで迂闊にも無防備に箱の中身を確認しようとした場合、貴方は内部から伸びて来た「巨大な鋏」に首を両断されて即死する。
　ちゃんと「更なる罠」を警戒して、慎重に開けるか、もしくはサーヴァントなどの他の同行者に開けさせた場合は即死を回避できる。
　そして、箱の中に潜んでいたものが姿を現す。

段階2：なんと　たからばこは　ミミックだった！

　それは「大きな箱」を背負う巨大な甲殻類...ヤドカリである。
　禍々しい赤紫色の甲殻、赤く光り周囲を睨む複眼、鋭い鋏は迫り来る猛獣の首を正確に捉え、断ち切れるほどの膂力を有している。
　ガチガチと鋏を打ち鳴らしながら、ヤドカリは貴方との距離を詰め...襲い掛かる。

　怪異「擬態魔ミミック/空箱寄居虫カラバコカムナ」との戦闘が開始される。
　この怪異は非常に硬い殻箱と鋭い鋏を巧みに利用し、優れた攻防を見せる。
　単純な魔術攻撃は殻箱に弾かれてしまうし、鋏は魔術結界を紙のように斬り裂く斬れ味を誇る。
　殻箱に籠った状態だとあまり素早くないが、箱が破壊されるとすぐさま脱ぎ捨て、守りを捨てた高速戦闘モードに移行するので、注意が必要。
　拘束しようとした場合にも、殻箱を脱ぎ捨てることで逃げ出す可能性がある。
　調伏するには殻箱に守られた、比較的柔らかい本体を如何にして攻撃するかが鍵となる
　殻箱を避けて狙い撃つか、ゴリ押しで殻箱を壊してから倒すか、怪力自慢のサーヴァントの力を借りてひっくり返すなどの方法が効果的だ。
　撃破すれば、調伏完了となる。
　なお、調伏後にこの怪異が潜んでいた殻箱の残骸を調べると、中々の神秘を帯びたレアアイテムを入手することができる。
　ただし『五色光』で倒した場合、このレアアイテムは消滅する。

元ネタ：擬態魔ミミック

　元は「真似る」「似せる」「物まね師」「擬態」といった意味を持つ英単語だが、転じて変身、擬態能力を持つ魔物のことを指す。
　シェイプシフター、とも。
　近現代の創作では宝箱に擬態して冒険者を欺き、油断して開けたところを襲う化け物として描写されることが多い。
　今回現れたものはヤドカリの魔獣であり、生体鉱物バイオミネラルを巧みに操ることで宝箱に似せた貝殻を生成し、周囲に溶け込む、恐るべき魔性であったようだ。
　仮称：空箱寄居虫カラバコカムナ。
　更に言えば、魔術礼装が保管されている倉庫内に違和感無く溶け込みつつ「一見複雑に見えるが、それなりの魔術師ならば誰でも解ける」程度の魔術錠ミスティック・ロックを掛けることで「鍵を開けることに夢中にさせて更に罠があるという判断を妨げる」「鍵が掛かってるならミミックじゃないだろ...」という油断を誘発させる、極めて狡猾な個体であったようだ。
　...そもそも、怪異として自然発生したのではなく、倉庫内の番人として最初から配置されていた可能性もあるが...詳細は不明。
　どっちでもいいので、そこら辺は運営にお任せする。

43.一服獣

44.滲み犯す穢れ海魔退治（R-18）

場所	コーポ葦原・二階の一室
条件	コーポ葦原の自室で一定時間過ごす
神階	魂
位勲	勲三等

段階1：這い寄る狂気

　貴方がコーポ葦原の自室で寛いだり寛いで居なかったりすると、突然、異様な物音を耳にする。
　それは、何かが蠢くような、のたうつような耳障りな異音だ。
　注意深く聞き耳を立てると、その異音はコーポ葦原の二階にある、とある一室から聞こえて来ていることが分かる。
　なお、どれだけ待っても、その異音が途絶えることはない。
　無視してもいいが、やはり近隣に得体の知れないものが存在しているという不安は拭い切れない。
　貴方はご近所トラブルを解消すべく、件の一室へと向かうこととなる。

段階2：奇怪な隣人

　貴方は件の一室の前に到着する。
　調べてみると、ドアの鍵は開いている。
　貴方は慎重にドアを開き、内部を確認することができる。
　この部屋の内部は英国風にリフォームされており、イギリスの小洒落た邸宅にワープしたかと錯覚する程である。
　さらに観察すると、どうやら空間が拡張されているらしく、貴方の部屋と比較すると明らかに広々としていることが分かる。
　内部に人の気配は無く、ドアを開けた途端にあの異音も鳴り止んでいる。
　貴方が部屋に侵入すると、一人でに扉が閉まり、鍵が掛かる。
　サーヴァントであれば霊体化してすり抜けられるが、部屋に入る順番によっては同行者との分断が発生する恐れがある。
　そして、部屋の奥から、騒音を鳴り響かせていた奇怪な隣人が姿を現す。

段階3：名もなきものとの接触

　それは、何とも形容し難き生命体であった。
　一見すると蛸に似た、無数の触手の集合体。
　されど頭部は蛸に似ておらず、深海魚のような奇妙な眼球と鋭利な牙を備えた環状の口腔がある。
　それは、この世ならざる異海より染み出した悪夢。外なる宙ソラにて微睡む大いなるものどもの断片。
　───名もなき、おぞましいもの。海魔である。

　怪異「名もなきもの/滲み犯す穢れ、海魔」との戦闘が開始される。
　基本的には「とある魔導書によって呼び出される海魔」と同質の存在であり、致命傷を負わぬ限り復活する超再生力、生身の人間を容易に引き裂く膂力、肺を腐敗させる猛毒の瘴気を放出する能力などを持つ。
　この個体の特徴としては、人間を殺し、犯し、狂気に陥らせようとする「悪意」が明確に強いことが挙げられる。
　ただ闇雲に襲い掛かるだけでなく、柔軟な身体を生かして隙間に隠れ潜んだり、水道管内部を移動して奇襲を仕掛ける能もあるということ。
　敏捷性も通常個体よりも優れる。
　そして、隙あらば貴方に覆い被さり「愛撫」しようとする。
　「愛撫」とは、貴方の顔面へと粘液まみれの触手を擦り付け、正気を喪失させて隙を作った上で穴という穴へと異形の触手を突っ込み回して体内から蹂躙する狂気のコンボ攻撃である。

　顔面を覆い尽くす触手の群れ。この時点で理性を放棄した方が、貴方にとっては楽だったのかもしれない。
　腐敗した臓物よりも酷い匂いのする粘液を分泌しまくる触手が顔面に張り付き、手馴れた様子でずぶずぶと貴方の体内へと侵入する。
　激痛、繰り返される激痛。
　不快で恐ろしいものが自分の胎内へと撒き散らされ、注ぎ込まれる感触。
　この怪異は貴方を殺したがっているし、孕ませたがってもいる。
　故に、その生殖殺害行為は極めて暴虐的で、行き当たりばったりなものだ。
　殺そうか生かそうか...どちらでもいい。どう転んでも、正気を損ない、狂気に堕とすことができれば、この怪異はそれを良しとする。
　これは『理解し難い』を理とする、理外の生命体なのだから。

　「愛撫」を受けた貴方は発狂死するか、臓器を掻き回された上に肉体を引き裂かれて死亡するか、時間差で胎内で急成長した海魔の仔に食い破られるなどの要因で死亡する。

　なお、ちょっと素早くて邪悪な以外はあまり他の海魔と変わらないので、それなりに火力のある味方サーヴァントに任せて自分は回避、防御に徹すれば安全に調伏可能。
　なお、「正常な五行の法則」から外れた領域外の存在なので『五色神光』も無力化できる、ということにしようと思ったが、そこら辺の裁量は運営に一任する。

元ネタ：バークレー・スクエアの名もなき怪物Nameless　Thing　of　Berkeley　Square

　イギリスの民間伝承。その中でも特に陰惨な伝説で恐れられている怪物。
　正体は不明であるが、目撃談によると、灰色の蛸のような触手を持つ化け物であるという。
　ロンドンのバークレー・スクエア50号館の二階に棲み着いているとされ、そこでは霊障が多発すると噂されていた。

　1840年、二十歳の学生ロバート・ウォーボーイズはこの不気味な噂を耳にした。
　彼はその話を都市伝説だと笑って受け流していたが、彼の友人はそれに反論し、嘘だと思うならその2階の部屋で一晩過ごしてみろとウォーボーイズを煽った。
　そして警備員の許可を得たウォーボーイズはピストルと蝋燭を持って件の部屋で一晩過ごそうと試みた。
　しかし、部屋に入ってから1時間もしないうちに、部屋から不審な物音とピストルを撃つ音が響き渡り、警備員が急いで駆けつけると、部屋の隅でウォーボーイズが死んでいるのを発見した。
　ウォーボーイズの死体の顔は恐怖に歪んでおり、ピストルをしっかりと握っていた。
　ピストルは壁に向かって発射され、弾痕が表面に残っていたが、彼を襲ったものの痕跡は見つからなかった。
　ウォーボーイズは部屋に現れた「なにか」に目を奪われ、恐怖のあまり命を落としたと考えられている。
　この怪物が人間を惨殺した物語は他にもあるが、多くの場合、犠牲者は切り刻まれているか、恐怖のあまり死んでいるのを発見されている。

　───ロンドンに存在するとある「巨大学府」。
　その中でも「未知なる脅威」を専門とする、最も生徒の少ない異端学科。
　そこで研究されていた「なにか」が密かに脱走し、テムズ川を潜航し、バークレー・スクエアに辿り着き、恐怖と狂気を撒き散らした...と、此処では設定する。

45.The Ultimate

イベント名称：The Ultimate
怪異名称：聖堂騎士
神階：憑物
位勲：勲二等
発生場所：納屋備新町内・ビル街
発生条件：ビル街を訪れた際に、1度きり低確率で発生
初期情報：ビル街を訪れた貴方は、店舗から出てくる人影と遭遇した。

段階1：主は近く、思い煩わず

「──────おっ！こんばんわぁ～！どこの誰だか知らないキミ～！」
怪異に満ち溢れる夜の影宮市には似つかわしくない、デタラメに明るい挨拶が貴方へ向けて放たれた。
仕立ての良いパンツスーツに身を包んだ、銀の髪と褐色の肌をした女性だ。吐息にはやや酒精が混じっている。
聞けば、無人なのをいいことにビル街の店舗で散々飲み食いをしてきたのだとか。対話によって貴方の事情を知った女性はご機嫌な様子でよく喋った。

「えーとなんだっけ、“怠惰”？って枠だったみたいなんだけど追い出されちゃったのよ。お前はダメだって」
「残念だけど仕方ないのよね。アタシはこういうお祭りには加われないのよ。だってそうでしょう？」
「みんなはここがお祭りだから何もかもひっくり返して集まってるの。あべこべであることが許される場所。キミだってそう。あべこべだからここにいるの」
「だから毎日がお祭りのやつにとってのあべこべは日常であって、つまりはみんなと一緒には踊れないのだ。くぅ～、無念！」
「というわけでアタシはそろそろ退散しま～す。あ、これは頑張るキミへの餞別ね。遠慮なく受け取っちゃって」

彼女はそう言って懐から取り出したタリスマンを貴方へ押し付けてきた。
魚を象った銀細工を鎖で繋いだシンプルなものだが、正当な祝福が与えられたと思しき確かな霊験を感じる逸品だ。
ΙΧΘΥΣと文字が刻み込まれたそれは保有しているだけでアイテムのドロップ率を僅かに上昇させるだろう。
「あ、そうそう。命が惜しかったらあの月影って山ではなるべく死なないことね。ん、アタシの言ってること矛盾してる？まーまー、気にしない気にしない」
「それともとっくに道理は知ってるのかしら。だったら頑張って！主はきっとキミの挑戦をお見守りになっているわ。無謀なその姿勢に対してちょっと呆れ気味かもしれないけどね！」
そう言い残して女性は夜の街に去っていく。──────貴方は知っている。
この現代における生命の極限と僅かな間、接していたことを。夜中でありながら白昼夢のようだったその出会いを見送り、貴方は再び夜の探索へ繰り出した。

段階2：風と荒浪を叱りて

「ん？アタシ相手に力試ししてみたくなっちゃった？いいわよ、次のお店へ行く前の良い酔い覚ましになるでしょう！」

戦闘

・現代における聖堂協会の最大戦力のひとり、稀代のドラクルアンカーである聖堂騎士との戦闘。
・戦闘に入って相手のステータスを確認して、その現代の人間ではあり得ないステータスとオーバーフローにより文字化けしてしまっている最大MP量が目を引く。
・通常攻撃がこちらにヒットした際のダメージが尋常ではなく、フルカスタムした状態で半分以上持っていく。こちらが与えられる最大ダメージでは相手のMAXHPは到底削りきれないため、通常は負けイベント。
・ただ基本的に通常攻撃と「力を貯める」などの基礎的なスキルしか使ってこないため、最大MP量については飾りのようなもの。要するに手を抜かれている。
・このイベントのためにスキルや連れて行くサーヴァントなどをカスタムした上で物理ダメージに関する対策を完璧にしておけば余程事故が起きない限り十中八九勝てる。
・また勝利したところで得られる経験量が変動する程度なので特に旨味はない。本番は彼女が示唆した月影山におけるイベントといったところか。

元ネタ：泥のメルブラまとめ

聖堂協会における最強戦力である埋葬機関。聖堂騎士団に属しながら彼らと遜色ない性能を持つ唯一の存在。白光の織り手。
この上なく“怠惰”の罪人として相応しい存在ではあるのだが、そもそもの参加権が無いために弾かれてしまった。うおォン、自棄食いするアタシはまるで人間火力発電所だ。
こいつにトドメを刺された死徒曰く「この生命を世界が受け入れるには少なくとも3000年は早い」とのこと。

46.一徹獣

47.NEED NOT TO KNOW, nor THINK.

イベント名称：NEED NOT TO KNOW, nor THINK.
怪異名称：This man/ジャメ・ヴュ
神階：荒神
位勲：第六位
発生場所：Hタワー・最上層展望エリア
発生条件：そのループにおいて、ある昼探索終了時に「新しい昼イベント」が発生していない場合、その日以降の夜探索で発生する。
　　　　　ただし、他に「昼イベントの未発生」を何らかのトリガーとするイベントがある場合は、そちらの発生が優先される。
初期情報：
何度となく繰り返されるループ。その中で久しぶりとすら思える「新たな発見のない昼」を経験した未来璃は、ふと違和感を覚えた。
辺りのものを見たことがあるはずなのに、見覚えがない。見知ったはずの顔が、そうではないもののようで。
その違和感を一度は押し込めていたが、夜のHタワー展望エリアを探索中に、それは現れる。

段階1：Jamais vu.

・展望エリアを歩いていると、ランダムに未来璃にとっての顔見知り（ただし昼にのみ登場する人物に限る）が現れる。
　今は夜のはずなのに、どうしてその人物が現れているのか、あなたは疑問に思うだろう。
・その顔見知りは普段通りの（そしてこの状況に置かれれば当然そうするであろう）振る舞いをしている。
　この時、あなたの方から声をかければ、やはり普段と変わらない交流もできる。
・交流するにせよ距離を取って様子を窺うにせよ、あなたは、彼／彼女の「普段通りの振る舞い」に違和感を覚える。
　怪異跋扈する夜にあってそう振る舞っていることが――ではない。
　「普段通りの振る舞いのはずのそれが、なぜか初めて見るもののように奇妙に感じられた」ことが、である。
・その理由を探ることを選択した場合、段階2へ移行。逆に、会話している場合は適当に切り上げる、
　様子を窺っている場合はそのまま距離を取ることを選択すると、この怪異イベントは中断され、このループでは再発しない。

段階2：You know This Man.

・どうあれあなたが違和感の正体を探ろうとした瞬間、彼／彼女の風貌は一変する。
　太い眉毛が繋がっているのが特徴的な、人種も定かではない男の顔。いや、違う、「そのような顔だけ」が、茫漠として宙空に浮かんでいる。
　あるべき身体はなく、かといって生首というのとも少し違う。平面に絵画や写真として落とし込まれた「顔という二次元情報」がのっぺりと浮いているのだ。
　しかし、そのように変化してもなお、「顔」はその薄ら笑いを変化させることなく、元となった人物と全く同じ言動を続ける。
　→仮にこの「顔」に対して攻撃などを行った場合、それは意味を成さず、しかも顔の方は攻撃されたという事実を認知しない。
　　五色光を始めとする魔術や（同行者などがいた場合、それらが持つ）異能による干渉を行っても変化は起こらず、やはり何も変わらない。
・変化前に交流していたか否かに関わらず、この扁平な「顔」は常にあなたに対して平行に位置するよう一定の距離を保って動き、どれだけ離れてもどこまでもついてくる。
　仮に引き離すことを試みて夜の時間いっぱいまで移動を続けようとした場合、なぜかいつまで経っても朝が来ないことに気づくだろう。
・何かしらの形でこの「顔」の正体を探るための具体的な行動……例えば携帯端末で検索をかける、新町などにあるかもしれない書店で調査をする、などを起こすこともできる。
　その場合、携帯ならばWebサイトで、物理媒体での調査なら書籍で、この「顔」が掲載された情報源を見つけることができる。
　→これによって、「顔」がThis manと呼ばれていること、ある種のやらせとして拡散された人工の都市伝説に由来するものであることなどが理解できる。
　　他方で、それを見てしまったらどうしたらいいのか、といった情報については全く記載がないことにもあなたは気づくだろう。
　→一方で、「顔」は夢にしか出てこないものである、という情報にも行き当たることができたあなたは、今まさに自分が置かれているこの状況がある種の夢なのではないかと推測できるだろう。
　　この情報を得た上で、眼を覚ますための行動、もしくは夢の内容を変化させる手段としての夢違などを行った場合、段階3へ移行する。

段階3：Infected Reality?

・あなたの起こした行動によって、あなたは「目覚める」。そこはあなたの部屋であり、外の様子を見てみると昼のようである。
　どういうわけかはわからないが、怪異を調伏できたのか。ほっと一息つき、次なる探索の予定を立てようとしたところ、いつものようにラーフから声を掛けられる。
　それに応答しようとして、あなたは気がつく。
　あの男This_Manだ。ラーフは確かにラーフとして振る舞い、ラーフとして語っているが、そこにあるのは、夢の中にいただけのはずのあの顔だった。
　あなたがこれを受けてどう振る舞うかは場合によるであろうが、ラーフの見た目以外には何ら普段と変わりがない、という事実はあなたを混乱させるだろう。
　翻って、自分の認識だけに異常が生じているのか？　という発想に至るかもしれないが、ともあれ、あなたには差し当たり二つの選択肢がある。
・第一に、自分の認識と現状をラーフと共有し、異常がないかを確かめること。
　ただし、この場合、ラーフはあなたの問いかけが聞こえていないかのように無視する。丁度夜に出会った人物と同じようである。
　その他の問いかけに対しては普通に応答するが、この状況に関する質問などをそこに織り交ぜても、そこだけが存在しないかのように会話を続ける。
・第二に、情報の共有は一旦置いておき、自身の認識が異常であるということの証拠を集めるなどすること。
　スマートフォンなどでラーフを撮影する、或いは鏡などに姿を反射させるなどしてそれを確認すると、肉眼で確認するのと同様にあの顔が浮かんでいる。
　しかし、自他に対する魔術的走査を行った場合でも、異常と呼べる異常は見つからない。精神干渉・幻惑を払う魔術、狐の窓のような実相を見破る術の行使も同様に無意味。
・この他、あなたが思いつく限りのあらゆる行動を取ることができるが、それらは事態の打破という意味での効果を発揮しない。
　また、この段階における死は段階3冒頭へのループを引き起こすのみであり、怪異の解決まで通常通りのループは発生しない。
・事態の進展は、「即時の事態解決を一旦諦め、いつも通りに探索を続ける」選択を取ることによって生じる。
　この場合、昼探索は通常通りに行えるが、あらゆる未知のイベントは発生せず、既知のイベントについても新たな進捗は生まれない。
　更に、段階2において夜が終わらなかったのと同様、どれだけ時間経過しても昼探索が終わることはない。
　ただし、この過程で遭遇するあらゆる人物及びサーヴァントは、全てが「顔」に置き換えられている。
　振る舞い等が平常時と変わらないのはラーフと同じであるが、やはり彼ら彼女らに対してどのように干渉しても、その「顔」に変化を生じさせることはできない。
　→この異常事態の中、発生したあらゆるイベントにおいて、あなたは「この出来事は確かに一度は経験したはずなのに、初めてそれが起こったように感じられる」という経験をするだろう。
　　それはあらゆる人物が「顔」に置き換えられていることに由来するのか、それとも他に理由があるのか。
・この時、「顔」が現れる直前に同じ感覚を覚えていたという事実をしっかりと思い出すことができていれば、あなたは、この「未視感」が鍵であるということに気づく。
　→本当の意味で初めて経験する何かがこの怪異イベント中発生していないことから、逆に、どうにかして「初めて」を経験することができればよいのではないか、という発想に思い至る、
　　もしくは暫く時間経過しても解決の糸口をあなたがつかめていない場合、そのようなアイデアをGMが提示することで、段階4へ移行する。

段階4：Daydream! ...It's Only a thing.

・結論から言えば、この段階において、「未視感とは無関係な本当の意味での未知」をあなたが見つけることで、この怪異は収束する。
・段階4に到達することで、昼探索においてのみ、未知のイベントや未遭遇のEH出演キャラクターとの邂逅を果たすことができるようになる。
　それらと遭遇するという「新しい」イベントの発生や、それまでに一度も行ったことがないエリアへの進入などによって、これらの条件は容易に満たせるだろう。
　→これによって出くわす「新しい」要素としての人物についてのみ、「顔」への置き換えは発生せず、通常通りの様子であることが確認できる。
　　ただし、それ以外の要素は相変わらず「顔」に置き換えられている一方、置き換えられていない人物はそれに気づけない。
・「新しい」ものと遭遇すると、通常の探索で遭遇した場合と同じイベントが発生する。また、そのイベントの終了によって、そのままシームレスに昼探索も終了する。
　昼探索が終了し、拠点である自室に戻ると、初めてそこで、あなたは、いつの間にかラーフやそのほかの多くのものが置換されていた「顔」がもとに戻っていることに気づくだろう。
・「いつ」、「どうやって」、「なぜ」。あらゆる要素についての疑問はまだ解消されないが、それでも、怪異は解決されたようである。
　ようやくひと心地ついたと思ったあなたは、自室で休みを取る。そして、何気なく鏡を見やり、

　

　「さあ、おやすみなさい」と。そう聞こえたきり、あなたの意識は闇に落ちる。
・……次にあなたが気づいた時、そこはHタワー最上層である。それまでにどれだけの時間を過ごしていようとも、その影響は跡形もない、ように思われる。
　ただし、段階4にて邂逅した人物と、同じループ中にもう一度出会うことがあれば、あちらがわはあなたとの面識を持っていることに気づくだろう。
　果たしてこの怪異の正体は何だったのか？　本当に調伏されたのか？　そもそもあれは怪異だったのか？
　なにもわからないが、ともあれ、「顔」はもういない。あなたは「あの顔This_man」を知っているが、もうそれはどこにもいないのだ。

備考

・原則として「顔」に対するあらゆる干渉は無意味であり、それが喩え世界そのものに改ざんを及ぼす類の超抜級の奇跡であっても同様。
　逆に自分自身に幻惑を施すなどして「顔」をそれと認識できないようにする試みも常に失敗する。
・同行者がいる場合、段階2までは通常通りに振る舞うが、段階3以降はラーフ同様に「顔」に置き換えられることになる。

元ネタ：This man、ジャメ・ヴュ

　2009年頃から流行したインターネットミームの一種、「This man」。人工的に作り出されたネットロアであり、集合的虚偽記憶の一種とも考えられる。
　曰く、「ある精神科医が患者が夢で見たという男性のイラストをスケッチして絵にしたところ、それを夢で見たことがあるという他の患者が次々に現れた。
　この情報を広く共有したところ世界中で同様の現象が確認され、当該の男性は俗に「This man」と呼ばれるようになった」、云々。
　興味深いことに、一連の話の流布以降、自分もThis manを見たという人物が続出したが、最初にこの話を提起した人物によって、2010年にはThis manは創作である旨がすでに公表されている。
　そもそも存在しない虚構に対する既視感が脳内で増殖し、あたかも自分もそれを見たかのような記憶に結びつく。This manは、こうして虚偽から都市伝説へと姿を変えた。

　一方、ジャメ・ヴュとは、「経験したことがあるはずなのに初めてのことのように感じられる」現象のことを指し、既視感の逆の現象、「未視感」として知られる。
　フランス語において「見たことがない」を表す語から来ており、その名の通り、まさに「（知っているはずなのに）見たことがない」という感覚と印象をひとに齎す現象とされる。
　発生機序について詳細なことは判明しておらず、また有力な研究も少ないが、一種の意味飽和によって引き起こされる感覚ではないかという実験報告が存在する。

　今回発生した怪異は、「本来一度しか存在しないはずの日を幾度も繰り返すことによる感覚の異常」が、怪異という形で具現化したものであると推察される。
　それを表現するための適当な外殻として選ばれたのが、既視感および未視感といった「経験に紐づいた特異な感覚」やそれに関わると考えられるThis manであったのだろう。

48.残忍なる邪毒

場所	月影山・影宮市立水族館
条件	特になし
神階	霊
位勲	勲三等

段階1：邪竜は檻より抜け出す

　貴方は夜の影宮市立水族館を訪れた。
　すると突然、奥からガラスが割れたような音が鳴り響く。
　急いで駆け付けると、爬虫類コーナーに設置されていた水槽の一つが機材ごと床に落下して砕け散っている。
　水槽の残骸を調べても、中に入っていたはずの生き物は見つからない。
　貴方は落下した水槽と機材をさらに詳しく調べようとしてもいいし、中に入っていたはずの生き物の襲撃を警戒してもいい。
　水槽と機材を詳しく調べようとした場合、壊れた飼育設備の残骸の中に「変わった機械」を発見できるが、それが何であるか具体的に判断する前に生き物の襲撃を受けてしまう。
　生き物の襲撃を警戒した場合、有利な補正を得た上で、生き物の襲撃に対応できる。
　奇怪な鳴き声を上げて此方に飛び掛かるモノ...それは、紛れもない「竜種」であった。

段階2：激毒は生命を枯らす

　怪異「残忍なる邪毒」との戦闘が開始される。
　この怪異は小型の竜種である。体長はおおよそ60cmほど。
　体表は灰色の竜鱗に覆われており、ワイバーンのように二本の脚と翼を持つ。
　竜種の例に漏れず、高い抗魔力性能を持つ上に機動力にも優れるので、魔術戦で撃退することは難しい。
　特筆すべきはその身に宿した「凄まじい毒性」である。
　この怪異は全身に猛毒を有しており、ただ触れるだけでも生死に関わる危険性がある。
　これは血肉を破壊し、腐敗させる凶悪な出血毒であり、この毒に侵されると窒息、痙攣、嘔吐などの症状が発生し、最終的に全身から腐敗した血液が止まる事なく流れ出して、死ぬ。
　主に竜の息吹ブレスによる拡散や体当たり、噛み付きにより、此方を毒殺しようとしてくるが、接触や竜の息吹ブレスにより毒を受けた場合は、当たりどころにもよるが基本的に即死はしない。
　耐毒&浄化スキルの使い手などがいれば、治療することは容易いだろう。
　しかし、噛み付きを受けてしまった場合は、忽ち全身に毒が回り、即座に死亡する。
　竜種としての基礎性能の高さと水族館内を自在に飛び回る機動力、凶悪な致死性の猛毒、加えて貴方に同行者が居た場合、一番耐毒性が低そうな者を狙って殺そうとする残忍さも持ち合わせる難敵である。

段階3：旋律は怪異を降す

　しかし、この怪異には「致命的な弱点」が存在する。
　怪異の猛攻を受けつつも、もう一度壊れた飼育設備の残骸の中にあった「変わった機械」をよく調べると、それが「音楽プレイヤー」の一種であると分かる。
　この事実が判明した時、壊れていたはずの「音楽プレイヤー」は誤作動を起こし、一瞬のみであるが、水族館内にメロディを鳴り響かせる。
　すると、怪異は目に見えて動揺する。
　もうお分かりだろう。この怪異の弱点は「音楽」だ。
　つまり、音楽機器を起動するか、誰かが歌うなどして音楽を奏でると、それを聴いた怪異は苦しみだし、音楽が聴こえないように片方の耳を地面に押し付けて、もう片方の耳に尻尾を入れて耳を塞いで動かなくなってしまう。
　この状態では魔術に対する耐性なども弱体化するので、後はもう煮るなり焼くなり貴方の自由である。
　ただし一部を除き「魔術詠唱」は「音楽」と認識されないので注意が必要。
　例えば、貴方自身が歌を歌う事でこの怪異に対処し、発声を伴う魔術詠唱を行ってトドメを刺そうとした場合は「音楽」が途切れた事で行動可能となった怪異に決死の反撃を喰らう危険がある。

元ネタ：アスピス

　中世ヨーロッパの伝承に登場する蛇、或いはドラゴン。
　その姿は普通の蛇と変わらない、二本の脚と翼を持つ、四本の脚と翼を持つなど文献によって様々な説がある。
　極めて危険な猛毒を持っており、その身体に触れるだけでも生死に関わり、噛まれると即死するという。
　口から有毒な瘴気を吐き出して失明させるとも。
　この怪物の毒に侵されると、窒息、痙攣、嘔吐の症状が発生し、死ぬまで血を流し続けるとも、身体が腐敗、膨張して死ぬとも言われる。
　恐るべき邪竜であるが、音楽が苦手(逆に音楽が大好きなので魅了されてしまうという説もある)という弱点があり、音楽を聴かせると片方の耳を地面に押し付けて、もう片方の耳に尻尾を入れて耳を塞ぐという。
　こうして無防備になったアスピスからは簡単に逃げることができる。

49.混濁せし理想殺戮人形退治

場所	Hタワー・低層テナントエリア・ブティック
条件	ブティックに入る
神階	魂
位勲	勲四等

段階1：綺羅、星の如く

　数多くのテナントが敷き詰められた影宮市のランドマーク、影宮ハーバータワー。
　その一角にはファッショナブルなブティックも出店している。
　「洗練された大人の魅力を貴方に」...とか、そんなことを謳い文句としており、若い女性を中心に人気を集めているようだ。
　ショーウィンドウには煌びやかなアクセサリーや洋服が展示されている。
　たとえ怪異をワンパンする実力があっても、貴方はうら若き女性なので、こういうファッションにも興味があるだろう。
　この時、ラーフが同行していると「ククク...試着室もあるようだし、袖を通してみたらどうだ？俺は服など要らぬが。袖に通す腕が無いのでな」とかそんなことを言ってくる。
　なんやかんやで、貴方はブティックに入店する。

段階2：美しきモノ、されど

　店内には高級感あふれるラグジュアリーなアクセサリーやカジュアルでありながら洗練されたデザインの洋服が陳列されている。
　商品を適当に物色しながら店の奥へと進んでいると突然、照明が消え、店内は暗闇に包まれる。
　貴方は魔術や懐中電灯を用いて光源を確保できる。
　薄明かりに照らされるブティック...すると、貴方の背後から音もなく近づく何者かの気配。

　そこにいたモノは、"人形"であった。
　象牙のように白い肌、曇りなき金色の髪、磨き上げられた青水晶の瞳をした、少女のカタチをしたモノ。
　美しいモノであるが、それは貴方に近づくやいなや、内蔵された殺戮装置を展開して襲いかかって来る。

段階3：妄執リソウは生命キセキに届かず

　怪異「殺戮人形キリング・ドール/Model：Galatea」との戦闘が開始される。
　この怪異は高度な技術と魔術によって作り出された自動人形オートマタの一種である。
　先端が鋭い刃へと変じた機械腕から放たれる攻撃は高速かつ精密、的確に人体の急所を抉り抜く。
　機械的で直線的な攻撃しかしてこないと思いきや、フェイントを織り交ぜてきたり、表情の変化と仕草による挑発・ブラフを仕掛けてきたり、相手の攻撃パターンを学習して魔術の出掛かりを潰そうとしてきたり、大魔術の発動を感知したら即座に飛び退いて退避するなど、高度な戦闘用人工知性を備えている。
　対魔性・対怨霊に特化した戦闘技術の持ち主でも、この怪異相手では実力の数割も発揮できるかどうか怪しいだろう*1。
　さらに、この個体の独自機能として「魅了による精神攻撃」がある。
　仕草や表情も含めた一連の動きと魔眼に似せた機能を持つ眼孔からの術式投射による、精神干渉。
　本来であれば、魅了や暗示、催眠などの干渉魔術は成功率が低く、高位の術者であれば容易く弾かれてしまうものである。
　しかし、この人形は古代に作り出された「美と芸術に属する魔術」の結晶だ。
　かの「黄金姫・白銀姫」ほどではないが、まともにこれを喰らってしまえば、数秒間は強制的な忘我状態に陥ってしまう。
　なんとか忘我から復帰しても、集中を掻き乱された事で魔術の精度は大幅に落ちてしまう。
　魔術は現実世界を変革できるという確信と、相応の集中から成り立っているからだ。
　九字を切れば集中力を取り戻すことが可能だが、当然、その間も怪異は攻撃の手を休めることはない。

　強敵だが「顔を攻撃されると弱い」という弱点がある。
　定石、常道な手段に聞こえるが、顔面を汚したり、擦り傷を付けただけでも「自分の美が損なわれたとして暴走する」ということ。
　暴走状態になると、この怪異は狂ったように暴れまくるが、攻撃は精密性を欠くようになり、魅了やフェイントなどの搦手を一切使わなくなるので後は力尽くで調伏できるだろう。
　貴方に「動く人形」鑑定技能がある場合は、そのランクに応じて与えるダメージが上昇し(関節など虚弱な部分を正確に狙えたとして)、弱点に気付ける確率も上がる。
　撃破後は、残骸を調べることで幻想種の骨を組み込んだ歯車や蜘蛛の幻想種から採取した虹色の糸*2といった呪体を入手可能。
　ただし『五色光』で倒した場合、この呪体は消滅する。

元ネタ：ガラテア、及び自動人形オートマタに纏わる伝承

　ガラテア。ギリシャ神話に登場する女性。
　元々はキプロス島の王ピグマリオンが理想を込めて白い象牙より刻み出した女性の彫像。
　すると、かの王は自ら生み出したその彫像に恋い焦がれるようになり、その彫像が生きた女性となることを心から願った。
　すると、その狂気アイと願いを女神アフロディーテが聞き届けたことで、その彫像には生命が与えられた。
　人間となったその彫像...ガラテアはピグマリオンの妻となったという。

　今回、怪異として出現した「殺戮人形キリング・ドール」は当然ながらガラテア本人ではないが、その伝説を題材モデルとして作り出された自動人形オートマタであった。
　極めて高度な技術と魔術の産物であり、おそらくは古代の───人体模造の概念が衰退する以前の時代に生きた、優れた魔術師の作品だと思われる。
　...元々は戦闘用でなかったようだが、如何なる経緯で凄絶な殺戮装置へと転じたのかは不明。
　美と芸術に属する魔術式も組み込まれており、これを作り出した魔術師は本気で「かの王の御業」を再現しようとしていたのだろう。
　即ち「愛を込めて完璧に美しい人形を刻み出すことで、生命を宿した生身の人間を創造する」ことを。
　だが、それは失敗に終わった。
　かの王は一才の曇り無き、純粋なる狂気アイを持って彫像ガラテアを刻み出した。
　そして、その愛は神に認められ、彫像は奇跡イノチを宿した。
　───そして、一つの奇跡は途絶えた。

　「愛を込めて人形を作れば、人間になる」

　そのような「前例」ができた以上、一才の打算なく人形へ愛を込めることは不可能となった。
　「もしかしたら人間になるかもしれない」という「雑念」が純粋なる人形への愛を濁らせてしまうのだ。

50.汝、邪智の白翼

場所	月影山
条件	◎影宮町と◎日照湖/月影山で戦闘を行った時、確率で発生
神階	尊
位勲	勲三等
備考	戦闘していた怪異の神階及び位勲が高いほど、発生率は上がる。一度調伏すると二度と出現しない。撒かれた情報による悪影響は調伏後にループを挟むと徐々に減少する(ループ毎に知り得た情報が薄れていくという形で。なので、元々ループに対する忘却耐性を持つ者はそのまま)。

段階1：I SEE YOU

　貴方は今日も今日とて怪異をぶちのめしていた。
　円環の魔術回路を駆動させ、凄絶な火力を誇る大魔術を撃ち込み、暗殺者アサシンの気配遮断に匹敵する隠形を行使し、本来であれば現代魔術師が単独討伐することなぞ不可能に近い幻想種さえも奥の手を用いて調伏する。
　貴方がここまで強大な力を振るえるのは、生まれ持った才覚もあるが「人の居ない夜の影宮市では、神秘の秘蔵を気にしなくてよい」という外的な要因もあるだろう。
　見る者が居ないなら、派手に大魔術を連発しても問題にならない....少なからずそう思っているはずだ。

　しかし、居たのだ。
　貴方を遠くより覗き見る、狡猾なる観測者が。

　「カカカ...何ですカァ～？アレは...マジで現代魔術師なんですカ？アレが？えぇ...」
　「怖いわー極東の魔術師怖いわー...怖いので、こっちは情報戦で攻めるとしますカァー！その方が面白くなりそうですし！カカカ！カァー！」

段階2：Enjoy！Information leak！

　この怪異は高度な千里眼に匹敵する機能を有しており、貴方が特定のエリアで戦闘を行った時、その状況を「観測」する。
　屋内に居る程度なら問題なく透視できるが、完全に異界化した空間などには視線が通らない。
　そして、その戦闘内に於いて判明した、貴方の使用魔術や奥の手、同行者、同行サーヴァントの戦力を解析し、纏めた情報を周辺の知性ある存在にばら撒く(貴方と貴方と同盟関係にある者を除いた全員。当然ながら怪異を含む)。
　これは、神代魔術を用いた「亜種神託」...というかデータ送信であり、僅かであるが因果律にも作用しているため、情報の受け取り手はループ後も得た情報を失わず、保持し続ける。
　また、この怪異自身も特殊な記録方式メモリーディスクを有しているため、ループしても記憶を持ち越す。
　故に貴方の戦闘を「観測」すると、まずは◎日照湖/月影山エリア全体に即座に情報を漏洩させ、1日経過毎に◎影宮町→◎影宮神社周辺→◎葦毬川...と隣接した大エリア単位で情報漏洩範囲を広げて行く*3。
　その間に貴方の新たな戦闘データが「観測」された場合は、情報漏洩済みの範囲全体に即座に情報更新が行われる。
　情報を適切に扱えるかは、その受け取り手の知性レベルに左右されるが、少なくとも貴方に対する警戒度は引き上げられることとなる。
　貴方がこの怪異に「観測」された時、確率で「月影山にいる何者かに見られていることに」気づくことができる。
　心眼(偽)のような危険予知能力を持つサーヴァントが同行していた場合は、高確率で見られていることに気づける。
　「観測」に気づいた場合、貴方はそれを楽観視してスルーしてもいいし、観測者を潰すために行動してもよい。
　常に怪異の眼に晒されている貴方が、この怪異の本当の脅威に気づけるかは難しいだろう。
　気づけなかった場合やスルーした場合は、知らぬ間に貴方の戦闘情報がガンガン漏洩されていく。
　なお、危機感を持って調査を始めれば、情報の発信源は月影山にあると直ぐに判明する。
　一刻も早く観測者を潰さねばならない───そう決心した貴方は月影山へと向かう。

段階3：Judgment on Peeping Tom！

　怪異「汝、邪智の白翼」の追跡と討伐が開始される。
　この怪異は『月影山』を棲家とする鴉の怪異であり、此処から外に出ることはない。
　前述した千里眼機能があるため、山に入ろうとすれば貴方が自分を追いかけていることにも気づかれる。
　すると、この怪異は身を隠しつつ、貴方の情報をすっぱ抜くために中間距離から観察を続けようとする。
　貴方からそう遠くない距離に居ることは分かるが、追跡・捕捉しようとすると直ぐにそれを察知して逃げ隠れるので、非常に厄介。
　隠形を使っても、神代の観測機器を前にしてはまるで役には立たない。
　討伐する際の最大のポイントは、如何にして此方を常に監視しながら逃げまくる怪異を欺いて接近し、捕捉できるかどうかだ。
　常に見られている状況からでも怪異に追いつける敏捷性を持つ英霊の力を借りるか、逃げる間も無く撃ち抜ける必中の狙撃力を持つ英霊の力を借りるなどでも対処可能だが、「常に見られている」という状況を逆に利用することも有効である。
　つまり魅了など「見られる力」を用いた干渉や、単純な光による目眩しを喰らわせれば「見る力」が強い分、強烈に作用するということ。
　観測と情報漏洩に特化した分、この怪異の戦闘力はさほど高くはない。
　一度距離を詰めてしまえば容易く殴り倒せるだろう。
　因みに、太陽属性に弱いという弱点もあるため、月影山内で太陽光による目眩しを喰らわせればこの怪異の観測眼は焼き付き、一撃で調伏可能。

元ネタ：コルブス

　ギリシャ神話に登場するカラス。
　太陽神アポロンの使いであり、美しい白銀色に輝く羽を持ち、人の言葉を理解する知性を有していた。
　コルブスはアポロンに命じられて彼の恋人であり、神の子を宿したコロニスという女性を監視していた。
　しかし、コルブスはコロニスの不貞を目撃してしまい、それを直ちにアポロンへと告げ口した(コルブスの嘘であったともされる)。
　この鴉は容赦のない告げ口屋であり、密かな罪を暴露することが大好きだったようだ。
　激怒したアポロンはコロニスを殺し、お喋りなコルブスを呪って羽を黒く変えてしまったという。
　余談だが、コロニスの胎内にいた赤子は無事に取り上げられ、大賢者ケイローンの元へと託された。
　その赤子こそが後の医神アスクレピオスである。

　コルブス。その正体はかの太陽神に内蔵された偵察用ドローン兵器だと伝えられている。
　いや伝えられていない。

51.不死身なる大蜘蛛退治

場所	木楼高校敷地・並木通り
条件	特になし
神階	魂
位勲	勲三等

段階1：Spider!!!!

　様々な樹木が植樹された高校の敷地内を探索する貴方。
　すると、木の上に潜む何者かの気配と強い妖気を感じる。
　貴方は妖気を感じた方へ攻撃してもよいが、其処に居た何者かはまるで空を飛び回るように攻撃を回避する。
　───空中に張り巡らされた「糸」
　それを足場にして縦横無尽に移動する「ナニカ」は貴方の前に姿を現す。

　...巨躯の、大蜘蛛。
　それは複眼を不気味に赫かせ、久しぶりの獲物を喰らい尽くさんと襲い掛かる。

段階2：Immortality!!!!!

　怪異「不死身なる大蜘蛛」との戦闘が開始される。
　この怪異は二メートル近い体長を持つ、大蜘蛛の幻想種である。
　攻撃方法は主に鋭い付属肢や鋏角による斬撃や噛み付き、蜘蛛糸の放出による拘束など。
　蜘蛛糸を含む全ての攻撃には麻痺毒が付与されており、致死性は低いものの、じわじわと獲物を弱らせていく。
　戦いの舞台である樹林には既に蜘蛛糸が張り巡らされており、怪異はこの蜘蛛の巣で侵入者の行動を制限し、足場とすることで縦横無尽な機動力を発揮する。
　非常に厄介なので、火属性の魔術で焼き払うなどして除去した方がいいだろう。
　蜘蛛糸を除去されると、この怪異の機動力は低下し、攻撃を命中させ易くなる。
　しかし、貴方がどの様な攻撃を行なっても、この大蜘蛛にダメージを与えることはできない。
　あらゆる天体魔術も、陰陽道による魔を祓う術も、果ては奥の手である『五色光』をクリーンヒットさせても、この怪異にはまるで通じず、手応えもない。
　サーヴァントによる攻撃であっても同様。
　超火力の宝具をぶち当てても、何事も無かったかのようにその場に再出現する。
　まるで朧な霧を相手にしているかのように、攻撃を無効化されてしまうのだ。
　物理的な拘束もするりと抜け出してしまう。
　貴方が「目の前の大蜘蛛」を倒すことだけに固執している限り、この怪異の討伐は不可能である。

段階3：Hidden Heart!!!!!!

　というのも、この怪異は伝承防御、その亜種とでも言うべき性質を保有しているのだ。
　それは、スラブ神話に伝わる「不死身の怪人」や冠位人形師の作品である「幻灯機械の魔物」、バイエルンの地下深くに眠る神怪「昏くうねるもの」*4などと同質のものだ。
　つまり「本体は別の場所にあり、此処にいる大蜘蛛は本体の抜け殻、或いは影なので幾ら攻撃しても死ぬことがない」ということ。
　この怪異の本体である「心臓」は「抜け殻」からそう遠くはない場所の地中に埋まっている。
　「心臓」は一人でに動くことはないので、何とかしてそれの在処を見つけ出し、掘り起こして破壊するか、地面もろとも貫通力のある攻撃で貫き穿てば「抜け殻」である大蜘蛛は悶え苦しみ、消滅する。

元ネタ：ジエイエン

　アメリカ北東部の森林地帯に居住していたインディアン、セネカ族の伝承に伝わる大蜘蛛の怪物。
　巨大なだけでなく、自分の心臓を地下に埋めて隠していたので不死身であり、ほとんどの攻撃が通じず、殺すことができなかった。
　しかし、オセイグウェンダという英雄はこの怪物を殺すことができたという。
　オセイグウェンはこの大蜘蛛を退治しようと近くの枝をもぎ取って投げ付けたのだが、それが偶然にも地面に突き刺さり、地中の心臓に命中したのだ。

52.獄死の海に赫く三眼

場所	濡羽城天守
条件	山のルーラーを撃破した後、発生場所に行く
神階	荒神
位勲	勲一等

段階1：獄死の海

　貴方は、濡羽城の天守より、海を眺めている。
　静かな夜だ。海は穏やかであり、柔らかな潮風が頬を撫でる。
　沖合で海洋系の怪異が暴れ回っているのも、よく見る光景であるが、今日はそれらの気配も感じない。
　すると、貴方は水平線近くに、奇妙なものを発見する。
　それは、水平線の近くに浮かぶ、光の玉だ。
　小さな太陽のように眩く輝いており、単なる火の玉や怪火の類にはない、極めて強い神秘性を感じ取ることができる。
　その光の玉が、突然弾ける。
　瞬間、海が燃えた、、、、、。
　文字通りの意味である。まるで溢れて広がった液体燃料に火をつけたように、一瞬で燃え盛る海。
　紅蓮の炎海、それを掻き分けるように"それ"は姿を現す。

　───大剣を持ち、燃え盛る巨大なヒトガタ。
　黄金の装飾品に彩られた、青く屈強な体躯。
　憤怒に満ちた、魔神。
　この時、ラーフが同行していると、意味深な言葉を呟く。

　「まさか、こんな所で貴様と会うとはな...」

　ラーフに「あの怪異の正体を知っているの！？」と訊ねると、こう返答する。

　「無論、知っているとも。アレは俺の同族だからな。面識もある...らしい。"身"に覚えがある」
　「アレは破壊神の第三の眼より生じた炎が海と交わり産まれた者」
　「維持神をも降し、神々を隷属させた三界の王」
　「アスラ王、ジャランダラだ」

段階2：破壊神の眼光

　大怪異「魔族王ジャランダラ」との戦闘が開始される。
　ラーフが同行していた場合、元ネタの情報は全て開示される。
　伝承では「トリシューラ」や弓矢など多種多様な武器を手にして戦ったジャランダラであるが、怪異としてはシヴァの炎を具象化した大剣のみを武器として振るう。
　かつて壮絶な戦いを繰り広げた宿敵、神剣ナンダカを振るいしヴィシュヌ神への憎悪が影響している可能性があるが、詳細は不明。
　この怪異は反英雄として召喚され得る格を持つ大魔性であるが、虚ろな亡霊として夜の影宮市に現れた後に、幾つかの怪異を喰らい、燃やし、燃料とすることで仮初の霊基を獲得した存在なので、神をも降した三界の王として徳政や勇猛、武勇、カリスマは悉く消滅している。
　バーサーカーの英霊の例に同じく、ただ荒れ狂うことしか出来ない存在にまで零落しているということ。
　しかし、彼が保有し得る「二つの宝具」だけは限定的に復刻されている。

　一つは対神宝具『獄死の海に赫く三眼トリローチャナ・チャランタラナ』
　「トリローチャナ」とは破壊神シヴァの異名「三眼を持つ者」を「チャランタラナ」はジャランダラの異名「歩き泳ぐ者」を意味する。
　破壊神シヴァの第三の眼より生じた炎、それと海が結び付いてジャランダラが生まれたという伝説に基づく。
　ジャランダラの身体は「燃え盛るシヴァの業火であり、灼熱の海そのもの」という性質を持つ。
　完全流体かつ完全炎体。
　本来であれば、ジャランダラに対するあらゆる攻撃は無敵貫通を持つものを除いて完全に無効。
　無敵貫通を持つ攻撃も「(概念的な)宇宙をも焼く」シヴァの炎に焼き尽くされるか、著しく威力を減衰させる。
　特にヴィシュヌ神に勝利した伝承と、かの神に対する底なしの憎悪から「ヴィシュヌ神に近しい者」による攻撃ではダメージは受けたとしても意地でも、絶対に死なず、激情を薪として強烈な反撃を仕掛けてくる。
　唯一、シヴァの力を強く宿した攻撃に対しては効果を発揮しないどころか逆に致命的なダメージを受けてしまう。
　怪異として現界した現状では大幅に弱体化しており、Aランク以上の攻撃ならば威力を減衰されるもののダメージを与えることは可能。
　最高ランクの高火力宝具の応酬で調伏可能なレベルにまで落ち込んでいる。

　もう一つは対地宝具『破壊神の眼光パーシュパタ』
　破壊神シヴァが有する神造兵器。パーシュパタアストラ、パーシュパターストラとも。
　厳密にはアルジュナが持つ物とは違い、シヴァの破壊神としての権能の一部を用いた大規模攻撃を便宜上そう呼唱しているに過ぎない。
　ジャランダラが放つこれは、己が内に眠るシヴァの炎...即ち「第三の眼より放たれた眼光」を励起させ、擬似神造兵器と成した大剣を振るい眼前の全てを焼き払う焼却攻撃。
　怪異として現界した現状では大幅に弱体化しているが、それでもシヴァの破壊の神としての力シャクティの一端は、眼に映るものを滅ぼし尽くす威力を発揮する。
　具体的には、大エリア◎濡羽城全域を焼き尽くすだけの威力・規模に収まっている。

　途轍もなく強大な怪異であるが「シヴァの力を宿した攻撃」という明確な弱点は存在する。
　なお、現代魔術でシヴァの権能を模した術式を編む程度では通用しない。
　シヴァの力を持つサーヴァントを探し出し、力を借りるのもいいが、シヴァの炎そのものである怪異から力を奪い取り、利用するという手もある。
　宛ら北欧神話に語られるヴィゾーヴニルの伝説の様に、ジャランダラからシヴァの力を簒奪し、喰らわせるのだ。
　例えば、もしも「敵の武器を奪える能力を持つサーヴァント」などがいれば...「シヴァの力を宿した大剣」を略奪することも可能かもしれない。
　大剣を略奪できた場合、第二宝具は使用不可能となる。
　その場合、スキルの効果範囲まで接近する手段も必要となるが。

元ネタ：ジャランダラ

　『シヴァ・プラーナ』などに語られるアスラの王。
　ある時、雷神インドラと神々の導師ブリハスパティはシヴァに会うためにカイラス山を登っていた。
　すると、道を遮るように立つ、美しい顔を持つ修行僧に行く手を阻まれた。
　実は、その修行僧は変身したシヴァであり、自分の正体を見抜けるか、二人を試していたのだ。
　しかし、インドラは修行僧の正体に全く気づけなかった。
　遂には何を言っても応答せず、身動きをしない修行僧に激怒したインドラは金剛杵ヴァジュラを振るって彼を焼き殺そうとした。
　すると、インドラの腕は麻痺してしまい、雷霆ヴァジュラは無力化させられた。
　シヴァ神は第三の眼を開き、怒りの表情を浮かべると、ようやく二人は修行僧の正体に気づき、どうか赦して欲しいと平謝りした。
　シヴァは二人を赦したが、第三の眼に宿した火を消すことはできなかったため、それを海に向かって投げ放った。
　すると、火が海と交わった瞬間、光り輝く子供が生まれ、世界を揺るがすほどの大声で泣き出した。
　それを聞いた創造神ブラフマーはその子供の元へと降りてきて「この子はいつかアスラの王となる、シヴァ神によってのみ殺される、死後は第三の眼に還る」と予言した。

　ジャランダラと名付けられたその子供は水神ヴァルナに育てられ、強く成長し、風に乗って大海原を飛び回り、数多くの猛獣を捕獲しては従えた。
　ジャランダラは非常に強い力を持つアスラであり、アスラの中でも史上最強の一人であると考えられた。
　同族たちの期待を受けてアスラの王となったジャランダラはカーラネーミの娘ヴリンダと結婚し、妻とした。
　ジャランダラは正義と気高さをもって統治を行ったという。

　ある日、ジャランダラが住まう宮殿に一人の客が訪れた。
　その客には、頭部が存在しなかった。
　その客は己の首が両断されるに至る経緯、乳海が攪拌されることから始まる全ての物語を語った。
　(異説ではアスラの教導者であるシュクラが語ったとも。)
　それを聞いたジャランダラは、自分の祖先を騙し、財宝を掠め取った神々に激怒した。
　すぐさまインドラに使者を送り、奪った財宝の返還を求めたが、拒否されたので、ジャランダラはアスラの大軍を率いて神々へと進軍した。
　神々とアスラの戦いは激化し、多くの死者が出たが、アスラ陣営ではシュクラがアスラを蘇生させ、神々の陣営ではブリハスパティが神々を蘇生させた。
　そこで、シュクラは神々が復活できない様に蘇生に用いる薬草が生えた山を根こそぎにする様にジャランダラに助言した。
　ジャランダラはその助言に従い、山を海に投げ込んだ。
　戦意を喪失した神々は維持神ヴィシュヌに助けを求めた。
　ヴィシュヌはガルーダに乗り、神剣ナンダカを振るい、ジャランダラと激闘を繰り広げたが、最終的にジャランダラがヴィシュヌを屈服させた。
　この時、ヴィシュヌはジャランダラの勇敢さに感銘を受け、恩恵を与える様に言ったという。
　ジャランダラはヴィシュヌに従者と妻のラクシュミーを連れてジャランダラが支配する都市の宮殿に滞在する様に命じた。
　神々に勝利し、三界の王となったジャランダラは神々とガンダルヴァが乳海攪拌の際に溜め込んでいた財宝を全て没収した。
　彼が支配する領域には病人や貧者は誰もおらず、徳の高い統治を行ったという。
　しかし、敗北し、権威を剥奪された神々には鬱憤が溜まっていた。
　神々が聖仙ナーラダに相談すると、彼はジャランダラの宮殿を訪れた。
　ナーラダはジャランダラにシヴァの妻パールバディの美しさを説き、シヴァと戦わせるように仕向けた。
　ジャランダラはシヴァにパールバディを寄越すように要求するが*5、当然シヴァは激怒し、戦争が勃発した。
　ジャランダラはシヴァの息子であるガネーシャやスカンダ(カルティケーヤ)を倒すことはできたが、シヴァとその化身たちを倒すことはできず、魅惑の幻術によりシヴァを足止めしつつカイラス山にいるパールヴァティの元へと向かった。
　ジャランダラはシヴァに変身すると、パールヴァティーを騙して貞節を汚そうとしたが、彼女はその正体に気付いて逃げ出した。
　(事前にシヴァから自分に変装したジャランダラが来るかもしれないから、注意する様に警告されていたとも)
　逃げ延びたパールヴァティーはヴィシュヌを呼び出してジャランダラが自分を欺こうとしたように、彼の妻であるヴリンダを騙すように要求した。
　するとヴィシュヌはヴリンダにジャランダラがシヴァに殺された夢を見せた後に、ジャランダラに変身してヴリンダに近づいた。
　ヴリンダは夫が生き返ったと思い込んで喜び、ヴィシュヌと交わってしまった。
　その後、ヴィシュヌが正体を見せると怒りと悲しみのあまりに火の中に入って自殺した。
　その直前にヴィシュヌに「いつかお前の妻が誰かに騙されて奪われ、苦悩するように」と呪いを掛けたという。
　(この呪いは「シータがラーヴァナに誘拐される」という形で、ヴィシュヌの化身ラーマに降りかかることとなる。)
　妻が騙されて犯された上に自殺したことを知ったジャランダラは激怒し、すぐさまカイラス山を去り、戦場に戻った。
　その頃には幻術も解けており、シヴァも正気を取り戻していた。
　遂にシヴァとジャランダラは対峙するが、ブラフマーに予言されていた通りにシヴァはチャクラムでジャランダラの首を両断し、その命を奪った。
　そして、ジャランダラの魂はシヴァの第三の眼へと還ったという。

53.蒼嵐襲来

イベント名称：蒼嵐襲来The_storm_that_is_approaching.
怪異名称：無神論バチカル
神階：魂
位勲：勲二等
発生場所：金華教会
発生条件：怪異を類型10回以上退治している(同種含む。回避や平和的解決は含まない)
初期情報：夜闇に沈んだ教会で、あなたは蒼い死と邂逅した。

段階1：其処に、神は在らず

教会を訪れたあなたは、身の毛がよだつような殺気を感じた。
月明りすら差し込まぬ聖堂から発せられる怖気。それを浴びたあなたは、自分の躰が幾重にも斬り分けられる死に様を幻視するだろう。
それでも恐怖を呑み込んで、この気配の正体を探るべく聖堂へと向かえば、そこには異様な光景が広がっていた。

────無残にも斬殺された複数の怪異の死体。
────激しい戦いがあったことを示す、撒き散らされた鮮血。
────にも拘わらず、傷一つなく、元の整えられた状態を保つ聖堂。
────そして、神へ祈るかのように刀を納める、青髪の少女。

「あら、こんな晩に教会を訪れるだなんて。もしかして何かから逃げてきたのかしら。それとも、怪異たちの死の気配に引き寄せられてきたのかしら？」
「あなたからも昏い匂いがするわ。夜闇を這う怨念の薫り。もしかして、同業者、みたいな人だったりして」

振り返り、あなたへと碧の双眸を向ける彼女は、嫋やかで、涼やかで。
けれど、彼女と対峙したあなたは、どうしようもない恐怖を感じるだろう。

「招待状を貰ったから来てみたのだけれど、私の身に流れる悪魔の血が悪かったみたい。悪夢のようなこの夜に堕ちてしまったの」
「逸れもの、とでも言うのかしら。私はあまりここにいるべきじゃないみたいだし、夢から醒めたいのだけれど……役者不足で困っているの」
「だから、どうかしら、不思議なあなた。一夜一時の私の余生に、幕を下ろして下さらない？」

あなたの返答を待たず、蒼い少女は構えを取る。
瞬きさえ許されない張り詰めた空気。同行していた筈の者も、いつの間にかその部屋から消えている。
あなたは気づくだろう────この教会に踏み込んだ時点で自分は死線を超えていたのだと。

戦闘：Your nightmare begins here

逆神アオイとの戦闘。公輪未来璃とラーフのみ参加可能。
ここでは無印EXTRAでの戦闘ルールを採用する。

「ATTACK」「GUARD」「BREAK」そして「SKILL」の4種類の手を用いた6回勝負の変則じゃんけん。
「ATTACKグー」は「BREAKチョキ」に強く、
「GUARDパー」は「ATTACKグー」に強く、
「BREAKチョキ」は「GUARDパー」に強い。
「SKILL」は他の3手に強く、「SKILL」同士がぶつかってもあいこになるが、1度しか使えない。
PLとGMは6手全てを設定して同時に公開。1手ずつ処理していき、先に3回勝ったほうが勝者となる。
どちらも3勝しなかった場合は勝利数が多い方が勝者。それでも勝利数が同数の場合は引き分けとなる。
逆神アオイの種類ごとの演出例
- ATTACK：縮地からの居合斬り。無拍子で放たれる神速の一閃があなたの身体を切り裂く。
- GUARD：鞘で攻撃をいなしてのカウンター。如何なる原理か魔術さえ軌道を変えられ、その隙に首と胴を絶つ連続斬りが襲い掛かる。
- BREAK：抜刀し強烈な牙突。その細腕に見合わぬ膂力で放たれた一撃は神秘防御すら貫通して痛打を与える。
- SKILL：反魔術を用いた一閃。この世ならざる術理を纏った一太刀は、この世にある如何なる攻撃も防御も両断してあなたの命へと迫り来る。

3敗して敗北した場合、あなたは逆神アオイに一閃されて死亡する。
引き分けまたは2勝以下での勝利の場合、結界は解かれあなたは生還を許されるが、アオイは消滅せずこのエリアに怪異として残り続ける。
3勝して勝利した場合、アオイは礼装「蒼の鍵剣」を渡して消滅、結界は解かれ生還を許される。以後ループ関係なくこのエリアにこの怪異は出現しない。

『蒼の鍵剣』異界の理が刻み込まれた短剣。
対象の持つ如何なる防御をも切断できる。これを無効化できるのは同じ異界の理の力のみであり、領域外、異星の力であっても干渉は不可。
ただし存在自体がこの世界と反発するものであり、それを強引に固定しているため酷く脆い。使用すれば砕け散るだろう。

消滅時にアオイはあなたに言葉を告げる。
「この世に本当の意味で終わるもの、消えるものは数少ないわ。まっさらにしてやり直しても、罪や業、死はどこかに積み重ねられているの」
「あなたの事情やこの世界の歪みについて詳しく知っている訳ではないけれど、どうか用心して進みなさい」
「それと、折角の機会を得て、最善の結果を求めるのなら。妹さんだけじゃなくあなた自身も大事にすること。これを忘れないでね」
ああ、楽しい余生だったわ────と、安らかな笑みを浮かべて少女はこの世界から消失した。

元ネタ：虚無機関Apo-Qlipha

とある世界に存在した、世界の裏側の理を宿した少女。
異界の神秘たる「反魔術」の使い手。とある事情から正気を失い、妹に対し殺意という名の愛情を向けている。
どのルートを辿った彼女かは不明だが「余生」と言っていることから死亡後の存在なのかもしれない。
本来は住人としてこの世界に招待されていたようだが、何故か怪異として夜の世界に来訪。もしくは出現する筈だった怪異を乗っ取って顕現させられた。
彼女は罪人にはなれない。悪魔に魂を売り渡した者には断罪の赦しすら与えられず、死すれば最期、永劫に無明の地獄を漂う定めとなる。

54.甘き聖杯

場所	葦毬川・水慧橋
条件	自分とラーフを含めて同行者が4人以上の時、出現場所に近づく
神階	尊
位勲	勲二等

段階1：罠でもいい！！

　貴方一行が橋を渡っていると、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
　周囲に漂う甘ったるい香り。それは紛れもない「チョコレート」のものだ。
　匂いの元を辿ると、貴方は葦毬川に浮かぶ「熱々で香り高いチョコレートドリンクが並々と注がれた、カラフルな装飾が施された器」を発見する。
　奇妙な状況に戸惑っていると、器は水中へと姿を消す。
　すると、今度は「様々な器に盛られた、たくさんの宝物」が川に浮かび上がり、流れてくる。
　「宝物」とは、貴方とサーヴァント含む同行者が「危険を犯してでも、是が非でも、めちゃくちゃ欲しいもの」である。
　これらの「宝物」は勿論魔力で編まれた夢幻ゆめまぼろし、偽物であるが、少しでも視認してしまえば魅了されてしまい、欲望のままにダイブしてしまう。
　「宝物」が流れてきても見向きもせず、無視し続ける我慢強さが必要だが、この怪異は魔力が続く限り幾らでも「宝物」を浮かび上がらせ、川に流してくる。
　貴方が耐えられても、同行者が術中に嵌り、川に飛び込んでしまうこともあるだろう。
　貴方は川に飛び込んだ同行者を無視して進んでも構わない。
　その場合、同行者は死ぬだろう。
　この怪異を川の外からの攻撃、干渉により討伐することは不可能だ。
　怪異が存在する「座標」は現実の川の底ではなく、そこからアクセス可能な、ずれた位相に存在する「異界」だからだ。
　よって、完全調伏するには危険を承知で川に飛び込むしかない。

段階2：甘き夢の世界へようこそ

　川に飛び込んだ貴方は深き川の底に辿り着く。
　先に仲間が飛び込んでいた場合はすぐに合流できる。
　辺りを見回しても脱出出来そうなルートは見つからず、見上げても水面は見えず、泳いで脱出することも不可能。
　此処は、かの怪異が保有する『妖精領域』
　現実から隔絶された異界常識アストラリティに支配された魔の水域。
　水中であるにも関わらず呼吸することが可能であり、酸素の心配をする必要はない。
　そして、昏き川底を根城とする魔性が、貴方たちの前に姿を現す。

　───カラフルに彩られた巨大な蛇。
　色彩豊かな装飾の下にある黒褐色の鱗は...紛れもないチョコレートでできていた。

段階3：夢幻を抱いて溺死するか？それとも...

　怪異「妖精亡主ナイトコール/甘き聖杯」との戦闘が開始される。
　この怪異の基本形態は「チョコレートで構成された霊基を持つ、巨大な蛇」である。
　チョコレートといっても市販された単なるお菓子とは訳が違う。
　厳密に言えば「欲望、願望、価値といった概念がチョコレートのカタチを取って物質化したもの」である。
　聖杯の泥ならぬ聖杯のチョコ。
　故に、貴方一行の欲望や願望を汲み上げることで霊基質量を増加させ、姿形を変え、欲しいもの、大切な人、愛する人を模した分身を作り出し、貴方達を惑わす。
　妖精領域の内部では魔力不足による制限も解除され、願望が多ければ多いほど、欲望が強ければ強いほど、この怪異の力は増していき、鋭く、硬いチョコレートの牙で貴方は噛み砕かれることとなるだろう。

段階4：苦き現実への浮上

　この怪異を撃退するには、目の前に現れた「宝物」を偽物と突っ張り、無慈悲に淡々と破壊できる我慢強さ、あらゆる願いよりも「この怪異を倒す」ことを優先できるほどに強靭な精神力が必要だ。
　味方が魅了されて術中に嵌っている場合は、強引にでも正気に戻すか、気絶でもさせて転がしておくという判断も必要だろう。
　そして、チョコの山の中に隠された「核」を探し出し、叩く必要がある。
　この怪異の本質は「大蛇」ではなく「チョコの入った器」だ。
　願望を汲み取り、甘い毒チョコレートで模倣する偽願望機───「甘き聖杯」を大量のチョコレートで構成された霊基を砕きまくって見つけ出して壊せば、この怪異を構成するチョコレートは全て消滅し、調伏完了となる。
　調伏と同時に妖精領域も解除され、通常の川底に投げ出されるので、注意が必要。

元ネタ：甘き聖杯シカルコアトル

　古代メキシコの伝承に語られる蛇の怪物。
　その名は「ティーカップの蛇」や「瓢箪の蛇」を意味するという。
　かつてメキシコ中央高原に存在したテスココ湖やその周辺の川に棲息しており、カラフルに彩られた、黒光りする鱗を持つ。
　この蛇の背中にはアステカで使われた「特権階級のみが口にできたチョコレートを注ぐためのカラフルで豪華な器」が付いており、この器を水面に出して擬似餌とし、人間を誘き寄せては水底に沈めてしまうという。
　テスココ湖が埋め立てられた後は、この怪物も目撃されなくなったという。

　此処ではその正体を「テスココ湖で発生した邪悪な妖精。他者の欲望を映して惑わす湖幻の魔。チョコレートという甘き毒で願望を模る偽聖杯。ある異聞にて語られた妖精亡主ナイトコール...水の聖杯ドラケイと同質の怪異」であると定める。

55.ノジャンプマン

イベント名称：ノジャンプマン
怪異名称：公輪野蛇璃のじゃり
神階：憑物
位勲：第四位
発生場所：日照湖
発生条件：日照湖で死亡時、低確率で発生
初期情報：目が覚めるとあなたはのじゃのじゃしていた。

段階1：ミクリン改めノジャリン

日照湖エリアでの死の間際、あなたは轟く稲妻の音を聞いた。
その後、何故かあなたは日照湖の湖畔で目覚める。死んだにもかかわらずループしておらず、夜が続いている。
しかし何か違和感がある。どうにも身長が小さくなったような、体の木気と土気が強いような。
鏡代わりに湖面を覗くと……。

……そこには、のじゃのじゃした感じに変わり果てた、デフォルメチックな自分の姿が映っていた。

段階2：まあ特に実害はないっぽいので探索を続けるのじゃ

この夜の間、あなたはのじゃ化した状態となる。オカルトに詳しければ「スワンプマン」かもしれないと気づくだろう。
のじゃ化している間、木行・土行を用いた判定及び結果にプラス修正が加わる。これは雷によって土から発生したスワンプマンであるため。
なぜかラーフ及び同行していたキャラクターも転移している。彼らは本人のままで、聞けば「気が付くとこっちに転移していた」と答える。
のじゃ化中は語尾に「のじゃ」を付けなければならない。忘れた場合でも指摘される前に「あ、のじゃ」と言えば問題ない。
語尾をつけ忘れたのを指摘された場合、NノジャPペナルティが1ポイント付加される。

これらのルールを適用したうえで、引き続き夜間の行動が開始する。

段階3：勇敢なるのじゃよ、現へと還るがいいのじゃ

夜間の行動終了時、または再度死亡した場合、あなたは不思議な空間を訪れる。
無数ののじゃが蠢く洞穴の中、ひときわ神秘的なオーラを発するのじゃが顕れ、あなたののじゃ化を解除し元の人間に戻してくれる。
その際、あなたは1d5を振り、出た出目に応じた以下の報酬を得る。ただし出目からNノジャPペナルティのポイント数を引く(1以下にはならない)。

出目5：『ノジャンプマンAED』
のじゃの顔がプリントされたAEDなのじゃ。ミクリンの死亡時に自動で使用され、日照湖・湖岸エリアにのじゃ化してリポップさせるのじゃ。直前に発生していたイベントは死亡による終了扱いとなるのじゃ。この道具によるのじゃ化は夜終了時または再度死亡時に自動的に解除されるのじゃ。
出目4：『埋火』
のじゃなのじゃ。使い魔的な感じで同行するのじゃ。ミクリンの死亡時、身代わりになってくれるのじゃ。
出目3：『八雷神グローブ』
蛇柄のグローブなのじゃ。これを装着していると木行系の術や雷系の魔術の威力とか判定とかにプラス修正を得られるのじゃ。ただしループでは持ち越せないので注意なのじゃ。
出目2：『ヒーリング・ノジャー』
ピッ○エレキバンなのじゃ。体に張っていると微弱な電気によってHP自動回復(小)と身体能力の若干向上の効果を得られるのじゃ。使い捨てで一晩しか持続しないのじゃ。
出目1：『のじゃ印のいちごみるく』
のじゃの好物いちごみるくなのじゃ。甘党な大人から甘党な子供まで満足する一品なのじゃ。飲んでも美味しいだけで特に効果はないのじゃ。ちなみに今の影宮市の自販機で買えるのじゃ。1本100円。

上記アイテムの細かい効果やバランス調整など改変はGMにお任せするのじゃ。
報酬の獲得後、夜終了時は昼時間に移行。死亡時はループとなり1日目の昼時間が開始するのじゃ。ちなみに獲得したアイテムは死亡時の場合、1日目昼にループ後に取得する扱いになるので安心して欲しいのじゃ。

元ネタ：スワンプマン / のじゃ

スワンプマンとは思考実験の一種。
沼地に訪れた男Aは落雷に当たって死亡してしまう。それとほぼ同時に、別の雷がそのすぐ傍の沼地に落ちる。
雷の高圧電流と沼の汚泥が化学反応を起こし、死んだ男Aと同じ姿形・遺伝子・能力・人格・死亡する直前までの記憶、着用していた衣服や所持していた私物すらも全てが寸分違わぬ同一の生命体が誕生した。
この誕生した生命体、男A´とでも言うべき存在がスワンプマンである。
スワンプマンはその後、死んだ男の家へと帰宅し、死んだ男とまったく同じ日常生活を送っていく。
肉体的には全く同一、記憶も引き継いでいるが、スワンプマンは自分が死んだこと、自分がスワンプマンであることを自覚していないという差異もある。
果たして死んだ男Aとスワンプマンである男A´は同一人物と言えるのだろうか、という“自己”という定義の追求がこの思考実験のテーマとなっている。

ただし今回の怪異では別要素「のじゃ」が融合したことにより、シリアスな思考実験からギャグチックな感じに変化している。
スワンプマンはあくまでも肉体や記憶情報が全く同一なだけの別人だが、ノジャンプマンは最後には元の人間として蘇生するなど本質的にも大きく異なっている。
「のじゃ」については埋火及び民那野蛇籠界　ノジャニクル・ホライズンを参照。読んでも分からないのじゃ？　ユーはまだまだその段階ということなのじゃ……。
ちなみに怪異概要の神階・位勲はのじゃという概念のものなのじゃ。

56.焼け爛れ、腐り逝くもの

場所	日照湖・湖岸
条件	怪異No.41を調伏すると、出現フラグのロックが解除される
神階	尊
位勲	勲二等

段階1：イカならざるもの、如何なるものか

　静かな湖畔。貴方はかつて此処で恐るべき怪異と戦いを繰り広げたことを追憶する。
　双頭の首長竜...大海蛇シーサーペントのように見えたソレの正体はクソでかい頭足類イカであった。
　唸る触腕による肉弾と強烈な水ブレスを放つ難敵に思いを馳せていると、再び、水面が波立ち、巨大なナニカが姿を現す。
　噂をすればまたアイツか...！？と戦闘体制に入る貴方。
　しかし、現れたものはイカではなかった。

　───焼け爛れ、腐敗した漆黒の鱗。憤怒に燃える紅蓮の瞳。天を覆う、昏き翼。
　巨体から伸びるのは、まごうことなき「二つの首」。
　...嘘から出た実まこととでも言うべきだろうか？
　真なる双頭の竜が、貴方に襲い掛かる。

段階2：腐り逝き、咆哮するもの

　怪異「腐蝕双頭竜　ハーン・ジラント」との戦闘が開始される。
　この怪異は俗に「ドラゴンゾンビ」と呼ばれる竜種の変異体である。
　竜鱗は所々剥がれ落ちており、血肉は焼け爛れ、腐敗し、液状化してる上に骨が見えているが、それでもなお最強種としての驚異的な生命力により、肉体を維持している。
　竜種としての頑強性、物理的な強度は低下しているが、ダメージを負った先から腐肉を増殖させて再生し、神経系も腐り果てているのか「痛みを知らない状態」になっており、致命傷を負ってもなお行動可能。
　攻撃を受けたり、動き回る度に周囲に飛び散る腐肉は猛烈な怨念と呪詛を帯びており、触れた者の肉体を侵蝕し、血肉を腐らせるため、注意が必要。
　また、呪詛に塗れた腐肉で身を覆うことで対魔力は向上している。ただし、聖性を伴う術式には弱い。
　息吹ブレスの性質は「腐敗毒」。
　呪的防御のない人間が喰らえば、忽ち骨と化し、骨さえも腐り溶ける。
　さらに、この個体独自の特徴として「双頭竜」であることが挙げられる。
　一つの頭は小さく、もう一つの頭は大きい。
　この二つの頭には明確な「役割の違い」があり、それらが連携することで獲物を追い詰めるのだ。
　小さい方の頭...「草食頭」は草食というだけあって、動物の獲物に積極的に食らいつくことはない。
　しかし、魔術的な能力はもう片方の頭よりも高く、魔力炉心を駆動し、捻出した魔力と呪詛を視線に乗せて振動させることで、視界に入った魔術師の魔術回路に重圧を与え、魔術礼装を破壊したり、誤動作を起こす事を可能とする*6。
　魔術師殺しとでも言うべき大技だが、怪異側の負担も大きいらしく、連発は厳しい。
　大きい方の頭...「肉食頭」はとにかく凶暴で破壊性が強い。
　半ば死してなお食欲が衰えることはなく、屈強な顎門で獲物を喰らい尽くそうとする。
　首の伸縮力や可動域も広く、無理矢理関節を外したり、肉体の破損も厭わず即座に組み替えることで予期せぬ場所からの奇襲を可能としている。

　弱点としては聖性を伴った攻撃の他に、火属性を帯びた攻撃も有効打となる。勿論、竜殺し系の魔術やスキルも効果的。
　これらの攻撃に対しては呪的防御が十全に作用せず、受けたダメージに対する再生力も激減する。
　肉体の七割以上を破壊すれば、驚異的な生命力にも限界が生じたのか、この怪異はバラバラに崩れ落ち、湖底へと沈んで行く。
　或いは、上記の弱点を突くことで胸部周辺の肉体を破壊し、驚異的な生命力と呪詛の源泉である「竜の炉心」を穿つことができれば、比較的早い段階での撃破も可能である。

段階3：腐り逝き、朽ち果ててなお

　段階2でハーン・ジラントを撃破した時、「頭蓋骨を完全に破壊していない」と、この段階に移行する。
　腐り逝く双頭の竜という強敵を調伏した貴方は、少なからず疲弊した肉体に鞭を打ち、湖岸を後にしようとする。
　ふと、背後から気配を感じ、そちらへ振り向くと

　───宙に浮かぶ、二つの頭蓋骨。
　生命亡きはずの龍頭の眼孔に、幽体の眼球が灯り...咆哮する。
　怪異「蘇生頭蓋竜　スケリェット・ジラント」との戦闘が開始される。
　この怪異は竜が死に際に頭部に魔力を掻き集めることで、頭蓋骨のみで行動を再開した怨霊である。
　竜種の持つ超抜級の魔術回路である「炉心」は失われているものの、頭蓋骨と融合したサブの回路を回すことで魔力を捻出し、空中を高速で飛び回りながら襲い掛かる。
　攻撃方法は噛み付きと腐敗毒の魔力弾の発射など。
　流石に無理をしているのか、猛攻を防ぎつつ、何度か適当な攻撃を命中させて魔力を消耗させれば、繋ぎ止めていた骨格を維持できなくなり、空中でバラバラになりながら墜落。今度こそ完全に沈黙する。

元ネタ：ドラゴンゾンビ、ジラント

　近現代の創作などに見られる、死体、白骨化したドラゴンが魔術的な要因で蘇生した死霊アンデッドの一種。
　時計塔動物科、降霊科などの研究資料によれば、高位の竜種の死骸の内部で「独自の生命」として自律した「細胞」が増殖し、本体を乗っ取ったもの。
　死後変質した「竜の炉心」が生命力の代わりに呪力を捻出することで再起動した死霊、怨霊の一種。
　骨格と融合した竜種の魔術回路が死後に回転し、残留した記憶を元に活動を再開した個体。
　元々冥界に源流を置く竜種の亜種であり「死体」のまま行動可能な「生命体」である。
　...など、様々な説が語られているが、概ね「その超越的な生命力により、肉体が腐敗し、朽ち果ててなお完全に死に切ることができずに変質した竜」であるという主張は一貫している。

　今回、怪異として出現したドラゴンゾンビはロシア連邦・タタールスタン共和国の伝承に登場するジラントの成れの果てであると思わしい。
　ジラントに纏わる伝承は数多く、矛盾もあるが、そのうちの一つにこのような話がある。

　ある美しい乙女がカザン旧市街の住人と結婚した。
　彼女はカザンス川から水を汲まなければならず、地元のハーンにカザンを首都にしたままでは立地が悪いと訴えた。
　彼女は都を蛇の丘ジランタウに移すよう進言し、ハーンもそれに同意した。
　しかし、この丘には「丸太のように頑丈」な大蛇がたくさん蔓延っていた。
　彼らを統率する王ハーンは巨大な双頭の蛇、すなわち竜ジラントであった。
　このジラントは「双頭の竜」であり、一頭は草だけを食べ、もう一頭は処女や若者を喰らい、飲み込んだという。
　蛇竜という障害にぶつかり、遷都計画が難航していると、ある魔術師が蛇の丘ジランタウの近くに藁と薪を積んだ建造物を建てるように、とハーンに助言をした。
　その通りにすると、春先に大蛇の群れは巣穴から出てきて、件の家に侵入し、藁の山に忍び込んだ。
　すると、一人の騎士が建造物に火を放ち、藁と薪諸共大蛇を焼き払った。
　焼け死んだ大蛇からは猛烈な死臭が漂い、それを嗅いだ人や馬が死ぬほどだったという。
　しかし、ジラントは生き延びてカバン湖に逃げ込んだ。
　ジラントは今でも湖の水の中に住んでおり、時折、水底より姿を現し、市民に復讐をするのだという。
　異説では、ジラントは黒湖に逃げ込んだ後に精霊に姿を変え、湖底に水中王国を築いたとも、ジラントは湖に逃げ込まず、その騎士に復讐しようとしたとも伝えられている。

57.塞路馬ロードコーン

57.塞路馬

場所	条件を満たせば何処でも発生する
条件	勲三等の怪異を討伐済みの状態で、勲二等以上の位勲を持つ攻撃的な怪異の発生場所に近付く事
神階	霊
位勲	勲三等
備考	一度撃退するまでは何度でも出現する。

段階1：Do not Enter

　ある程度強力な怪異との戦闘経験を重ね、実力と自信を身に付けた貴方。
　夜闇も恐れず道を歩いていると、突如前方に一つの影が立ち塞がる。
　────敵意を宿した眼で此方を睨み付ける1頭の黒馬。
額に生えた2本の巨大な角は鮮やかな赤色であり、その先端には「立入禁止」の文字がデカデカと書かれていた。

　………仮に貴方が文字に従って引き返した場合、この珍妙な馬は何もせず忽然と姿を消してしまう。
　しかし、引き返したと見せ掛けて再度先へ進もうとするか、或いは強引に押し通ろうとした場合、黒馬は怒り狂って貴方へと襲い掛かる。

段階2：軽犯罪法一条三十二号違反

　怪異「塞路馬　ロードコーン」との戦闘が開始される。
　攻撃方法こそ「速度を活かした突進」「角による刺突」「蹄を用いた踏み付け・蹴り」等の単調な物だが、それで英霊相手にもゴリ押しが成立する程に高いフィジカルと魔獣にしては高度な知能、そして強力な神秘を持つシンプルな難敵。
　安いプラスチック製にも見える角は魔術障壁を容易に刺し貫き、濃密な魔力を帯びた外皮は生半可な攻撃では傷一つ付かない硬度を誇る。
　更に、この個体特有の性質として両眼が魔眼に変質しており、術式投射による肉体束縛も織り交ぜてくる嫌らしい一面を有しているので注意が必要。
　肉体の自由を奪われ、防御耐性も取れない状態で攻撃を食らってしまった場合、嘗て生命だった肉片や英霊だった光の粒子が辺り一面に散らばる事となるだろう。

　対処法としては、「勝ち目が見えない場合は大人しく逃走する」事が挙げられる。
　この珍妙な黒馬は「貴方を殺す事」よりも「通路を塞いで貴方を進ませない事」に執着しているため、来た道を引き返せばそれ以上追ってくる事は無い。
　経験と準備を重ねてこの怪異を討伐出来たならば、貴方は何の懸念も無くより上の段階へと進む事が出来るだろう。

元ネタ：二角獣バイコーン

バイコーン：ユニコーンの亜種とも呼ばれる双角の馬。FGOではランサークラスの中ボス級エネミーとして登場しており、素材を求めるマスター達に日々乱獲されている。
　当該個体はこの幻想種に酷似した外見を有していたが、正体に関しては「影宮市に偶然迷い込み゙、月日を経て環境に適応した突然変異個体」「正気を失った魔術師に製造された合成獣キメラ」「トンチキ思考が混ざり変質した伝承を元に顕現した怪異」など多数の説が提唱されており、詳しい事は明らかになっていない。

ロードコーン：道路や工事現場の立入禁止区域を仕切る際に使われる円錐形の道具。バイロンやカラーコーンとも呼ばれる。
人目に付きやすいよう派手な色合いの物が多い。

58.一角獣？

59.？？？

59.？？？（R-18/DM提出怪異予約枠）

60.虚無限呼ぶ天国の門

場所	金華教会・居住区
条件	嫉妬の罪人クリア前に教会に立ち寄った場合
神階	魂
位勲	勲一等

段階1：呪文唱える天使の形

あなたがそこに立ち入ると、光り輝く人型が見える。その光は強く全身から発され、遠くからでも輪郭を確認できる──二つの羽、頭の光輪、まごうことない天使だ。
そして天使の形をした何かは、一心不乱に呪文を唱えていることが遠くからでも聞こえるだろう。
まだ気づかれていない。何をするかは自由だ。

段階2：天使を守るは、

天使に近づくと、あちらからの反応はないが、その周囲にあるものを視認できるだろう。天使は「盾」とでも形容すべき透明な立体の結界の中に存在し、その中で呪文を唱えている。その間に隙間はない。
何をするかは自由だ。

段階3：開け、天国と罪科の門

【段階3発生条件】結界になんらかのアクションを加え、割る、または消失させる（結界は脆く、あらゆる行動で破壊される。ビームも効く）
この結界の本質は、「割られること」。それにより儀式は完成し、そのために呪文を唱えていた。
天使を守る盾は、天使が施した封印だったのだ。
破られた結界より現れるは、虚無の具現、虚数に至らぬ無限の理。巨大な躯体を闇色に光らせた──

ペンギンだ。神霊クラスである。間違いない。
何かアクションを起こせば、あなたは気づく。数十メートルあるそのペンギンがいる限り、一切の能力も言葉も無効化され、声すら出せないと。
サーヴァントほどの格がなければこのペンギンの能力──「虚無化」を突破することは難しいだろう。
眠れる獅子（ペンギン）を起こしてしまったあなたたちは、結界ではなくこのペンギンの守りを打ち崩しながら天使への攻撃を通さねばならない。
・結界には「何かがぶつかると封印が解ける」以上の効果はなく、すり抜けて天使を拘束、呪文の封印、あるいは呪殺などができるなら封印を起動せず天使を攻撃し、攻略できる。

其は電脳にありし架空神性。潰えた信仰を未だ謳う天使の喇叭。ゼロとインフィニティを羅列する"月"のファイアウォールが一つ。
罪科をいくら積み上げても、常人は虚数に届かない。
ここより先にいる幼子は、天使のように無垢であり、飛べない鳥のように救われない。

元ネタ：デュエル・マスターズ

∞龍ゲンムエンペラー　KGM　水/闇文明　(∞)
クリーチャー：∞マスター・ドラゴン/チーム零　∞
＜ムゲンクライム＞4（自分のクリーチャーを4体タップし、[水/闇(4)]支払って、このクリーチャーを自分の手札または墓地から召喚してもよい）
∞ブレイカー（「∞ブレイカー」を持つクリーチャーは、相手のシールドを好きな数ブレイクできる）
ブロッカー
コスト5以下のクリーチャーの能力とコスト5以下の呪文の効果を無視する。

イラスト違いに「こうペンちゃん」バージョンが存在する。

*1 : 事件簿2巻のグレイVS自動人形オートマタ戦と同じ理屈で
*2 : FGOの虹の糸玉と同じ素材
*3 : 1日目夜に「観測」された場合は「観測」された瞬間に◎日照湖/月影山に情報が漏洩され、1日目夜終了時には何も起こらない。それ以降は2日目夜開始時に◎影宮町に情報漏洩、3日目夜開始時に◎影宮神社周辺に情報漏洩...という感じで広がっていく。
*4 : Fate/Grand Order、幕間の物語：「太公望、異郷にて封神す」を参照
*5 : この要求を伝える大使に選ばれたのもラーフであったとも
*6 : 「魔力振動」。竜種には魔力炉心がある。その魔力を視線に乗せて振動させれば、周囲の礼装へも影響を及ぼすことができる。感覚器官としての受動機能を、外界に働きかける能動機能に置き換えた…魔眼と同一の異能。詳しくは冒険8巻参照。
*7 : 単にサイでも可

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