ポケモン第二世代対戦シミュレータ「ジムリーダーの城」の対戦考察Wikiです。各所に散らばった考察をまとめ上げ、より考察を深めます。

「モジュール型」とは、はまっちゃった人氏がぽけふろ〜との文章で公開した比較的新しい概念である。
原文はこちらである(4.モジュール型とインテグラル型の概念)。
http://poke-float.com/upbbs/source/0124.txt
 
「モジュール」とは「組み立てユニット。また、装置・機械・システムを構成する、機能的にまとまった部分。」という意味であり、氏の文章では「1つの役割を1匹で完遂させられるようにしてポケモン1匹1匹を独立させモジュールとして扱えるようにし、モジュール化したポケモン1匹1匹を自由に組み替えることで豊富な選出パターンを実現する」という意味で使われている。
 
従来の役割理論では、「受け」「潰し」「流し」といった役割の分類は行われていたが、どのような役割の持たせ方をすれば効率が良いかまでは触れられていなかった。
モジュールの概念も用いればこの問いへの回答を導けるため、その意味で役割理論を進化させた概念という見方もできるだろう。
 
ポケモン金銀は発売から19年以上が経過しようとしているが、どのようなパーティが強いのか未だに議論が行われている。
モジュールの概念は、そうした議論に対する一つの道しるべになると考え、筆者なりに噛み砕いた上で記事化することにする。
 

前提

モジュールの概念では、以下の3つが議論の前提として置かれている。
 

必要な役割を3匹の選出枠に収める必要がある

ルール上これは自明。

20通り(先発含めると60通り)の選出パターンを使い切ることを是とする

汎用性を高めるためには相手に応じて選出パターンを使い分けられるようにすることが重要である、という考え方に立っている。
この考え方はSAやバランス編成と特に親和性が高いが、選出制限のあるWAでも505050で選出することがあるためWAにも当てはまらないことはない。

コンボ重視の戦術ではない

高速バトンダース→剣ガラ、壁爆破→遺伝子ケンタロス等、特定のポケモン同士が密に連携し一定の手順でコンボを決めるような戦術を使う場合はモジュールの概念が当てはまらない。
コンボで高い汎用性が出る環境であれば、モジュールの概念に縛られないパーティも合理的となる。
(原文では、ニンテンドウカップ2000はそのような環境ではないと述べられている)
 

モジュール型パーティの構築方法

1つの役割を1匹のポケモンで完遂するようにパーティを構築することが、モジュール化の基本となる。
ここで言う役割とは、「あるポケモンを倒す、もしくは交代に追い込む」(=サイクルで言う流し+対面構築で言う対面有利)ことを指す。
 
原文では以下の例が挙げられている。
例えば、捨て身タックルと眠るを持つ50カビゴンを流す場合、 クロスチョップ持ちの50カイリキーであれば単独で役割を完遂できるが、 毒毒甘える50ブラッキーの場合は雷持ちの55サンダー等と組み合わせないと役割を遂行できない。 (毒毒だけでは50カビゴンを倒せないため。なお、55サンダー単独でも捨て身タックルのダメージが重く流すことができない。)
 

モジュール化することによる利点

1つの役割を1匹のポケモンで完遂できるようになれば、ある1匹のポケモンの対策は1匹で完結し、2匹の選出を固定されることがなくなる。
そのことにより、必要な役割を3匹の選出枠で抑えることが容易になるし、20通りの選出パターンも満遍なく機能させることもできるようになり、柔軟な選出が可能になる。
パソコンで例えると、本体とマウスが切り離せない状態をモジュール化されていない状態、本体とマウスがUSBで切り離せる状態をモジュール化されている状態となり、モジュール化されていれば個々の好みに合わせて使いやすいマウスをセットすることができるようになる。
 
例えば上で挙げた50カビゴン流しの例では、モジュール化されていない場合は50カビゴンがいる時点で50ブラッキー+55サンダーが確定する。
ここで相手に55ライコウがいれば50ブラッキー+55サンダー+50ネール(ライコウ流し)のような選出になり、相手の3匹目を考慮する前にこちらの3匹の選出は固定されてしまっている。ここに、50ネールを受けるファイヤーや、50ブラッキー+55サンダー+50ネールを突破できる50剣ガラ等を3匹目に選出されたら、かなりの不利を強いられる。
しかし、モジュール化されている場合は、50カビゴンに対しては50カイリキーで流しに行くことができる。55ライコウがいたとしても50ネールで対抗することができ、50カイリキー+50ネールで50カビゴン+55ライコウに対抗することができる。ここで相手が50ネールを受ける50ファイヤーを出してきたとしても、50スイクンや55サンダーを用意することで対抗することができる。モジュール化することにより、相手の3匹の選出に対し、こちらも3匹の選出枠で対抗することができるようになる。
この例のように、モジュール化されていれば相手の1匹のポケモンに対してこちらが固定されるポケモンは1匹のみなので、基本的には3匹の選出枠に収まらなくなることはなく、相手の3匹の選出に合わせてこちらも柔軟に選出を変えることができるようになる(→20通りの選出パターンも満遍なく機能させることもできる)。
 

モジュール化されたポケモン同士の接続

1匹のポケモンで全ての役割を遂行できるわけではなく、遂行できない役割については、その役割を遂行できるポケモンに交代することで遂行する。
しかし、この役割の投げ方に問題があると、交代先のポケモンは役割を遂行できなくなってしまう。
例えば、サンダーがカビゴンと対面した場合、カイリキーはカビゴンを対面から潰すことはできても受けることはできないため、何も考えずに交代するとカイリキーはカビゴンに対する役割を遂行できずに倒されてしまう。
そこで、サンダーがリフサポをすれば、カイリキーでカビゴンの攻撃を受けることが可能になり、サンダーからカイリキーへの接続がスムーズに行われるようになる。
パソコンの例えで言うと、本体がUSBポートのみなのにマウスがPS/2方式であったらどうするのかという話である。この場合は、変換アダプターをつけるか、USB方式のマウスを用意することで接続が上手く行われるようにする必要がある。
 
接続に関するおおざっぱな方針としては、以下のようなものがある。
 

安定した受けに交代する

対面しているポケモンに何もできなかったとしても、安定した受けを用意していれば接続が上手く行われるようになる。
逆に言うと、特定のポケモンに何もできなくなる状況が想定されるなら、そのポケモンに対しては受けを用意しなければならない。
極端な例ではあるが、原文に以下の例が記載されている。
極端な例を言えば、威張る+身代わりサンダースとムウマはその例である。 威張る+身代わりを持つサンダースはカビゴンを倒せる可能性があるが、 倒せない場合は威張るで攻撃力が上がったカビゴンを流す必要が出てきてしまう。 しかし、ムウマであれば無効属性を利用して流すことができるため、このような状況にも対応することができる。
 

サポートしてから潰しに交代する

不利なポケモンに交代されたとしても攻撃技による削りや壁サポ等で対応できる場合、安定した受けがいなくとも上手く接続することができるようになる。
上記のリフサンダーが好例である。
しかし、接続するためだけに技枠を消費するのは効率が悪い。自身の役割遂行で必要な技を接続にも使い回すような形で効率化したい。
(リフサンダーの場合は対カイリキーや対ナッシー等でもリフを使うため、その意味で効率が良い)
 

対面有利が取れるポケモンで釘付けする

対面有利が取れるポケモンで囲えば交代する必要がなくなるため、接続を考える必要がなくなる。
しかし、状態異常や壁サポ等の絡め手で釘付けが解除される可能性はあるため、その場合に備えた最低限の流しは必要。
これについてはナッシー対策の例がわかりやすいだろう。
http://seesaawiki.jp/pbs-thread/d/%cd%fc%b3%e4%cd%...
 

代役の用意

ある役割をあるポケモンに任せていたとしても、何らかの事情でその役割を遂行できなくなってしまうことがある。
その場合に、遂行できなくなった役割を他のポケモン(代役)で遂行することが有効となる。
パソコンの例えで言うと、マウスが何らかの原因で断線してしまった場合に備えて、キーボードを代役に立てて最低限の操作を行えるようにすることが有効となる。
 
代役が有効になる例としては、以下のようなものがある。
 

役割の重複を突かれる場合

役割の重複を突かれる場合は、あるポケモンが持っている役割の一部を代役に任せる必要がある。
例えば、55残飯ポリ2は55カビゴン流しと50スターミー流しの両方を行うことができるが、50スターミーから麻痺を貰ってしまうと55カビゴン流しを遂行できなくなってしまうため、50スターミー流しを他のポケモン(50カビゴンや50サンダース等)に任せる必要がある。
 

1対1交換を強いられる場合

あるポケモンとの1対1交換を強いられる場合も、役割の一部を代役に任せる必要がある。
以下は原文に記載されていた例で、ガラガラとの1対1交換を強いられたムウマの代わりにカイリキーが対カビゴンの役割を担う例である。
例えば、相手のカビゴンの流しとしては、ムウマの他にカイリキー等も用意するべきである。 ムウマ単独の場合は、ガラガラと組み合わされた場合に問題が出る。 攻撃力の高いガラガラに対して受けコストを払い続けることはできず、道連れで1対1交換する必要があるが、 ムウマで相手のカビゴンを流さなければならないのであればそれもできず、八方塞りになる。 しかし後ろにカイリキーが控えていれば、ムウマがガラガラと1対1交換したとしても、 引き続きカイリキーでカビゴンを流すことが可能となる。
 

複数の決定力の中から最も有効な決定力を選ぶ場合

ここまで触れていなかったが、対戦で勝つためにはサイクルを回すのみでなく、サイクルを回そうとする相手を崩す必要がある。
そのため、相手の個々のポケモンを流せるようにした上で、決定力を出すことも考える必要がある。
パーティに単一の決定力しかない場合(例えば55ガラガラを50でサポートするだけの単純なパーティの場合)はどうしても相性の影響を受けやすくなるため、パーティには複数の決定力を盛り込むことが定石である。
代役を用意し、相手の個々のポケモンを流すパターンを複数用意することで、複数の決定力の中から選べるような状態になり、最も相性的に有利な決定力を選択できるようになる。
例えば、55カビゴン55ライコウ50エアームド50スイクン50ブラッキー50ガラガラというパーティを構築したとする(キチカビ3ライクのパーティ)。
55爆パンミルタンク+50宿り木サイキネ大爆発ナッシー+50文字鈍い自爆カビという組み合わせに対しては、50鈍い飛ばしエアームド(対タンク等)+50冷凍ビーム寝言スイクン(対ナッシー等)+55鈍い寝言カビ(対カビ等)で流しきることができるが、こちらも相手を突破することが難しくなる(エアは文字カビで、スイクンはタンクやカビで、カビはタンクで流される)。冷凍ビームで凍らせるのが決定力となるが、爆破爆破でタンク対エアのタイマンに持ち込まれるリスクもあり、安定して勝つことが難しくなる。
そこで、55ライコウ(対タンク代役)+50追い打ち甘えるブラッキー(対ナッシー代役、ナッシー大爆発対策の甘えるでついでに対ミルタンク・対カビゴンのサポートも可能)+50剣ガラ(対カビ代役)を用意しておくことで、ブラッキーの甘えるでサポートしてからライコウが雷を連発するという形で決定力を出すことができるようになり、代役を使わない時よりも安定して勝つことができるようになる。
 

選出制限の穴を突かれる場合

WAの場合はこれも考慮する必要がある。
相手が特定の50を入れてきた場合にこちらが出すエースが決まってしまう場合、エースが持っていた役割を50でも担えるようにする必要がある。
55カビゴン+50黒まなバトンブラキを出された場合のサンダータンクがその例で、バトン対策のために55サンダーを選出せざるを得なくなるため、55ミルタンクが担っていた55カビ対策を50パル等でもこなせるようにする必要がある。
 

モジュール型構築を行う意義

「3対3の具体的なシミュレートを行えばモジュール型の構築なんて意識する必要はないのでは」
という疑問を持つ人もいるのではないのだろうか。
この疑問はごもっともなものであると思う。
しかし、それでもこのような概念が出てくる理由としては、3対3のシミュレートがしきれないという前提があるからではないかと思う。
 
各々のプレイヤーが次々と新しいパーティを構築する中において、3対3のシミュレートのみで対策を考えるのはパターンが多すぎて至難の業である。
実際に使われていないパーティまで対策する汎用性重視のパーティの場合はなおさらである。
 
そこで、モジュール型の構築を行っていれば、意識していなかった3体に対してもいつの間にか対策できてしまっている、という状態になりやすくなる。
モジュール型の構築であれば、相手の3体の選出に対して柔軟にこちらの3匹の選出を変えられるため、どのような相手に対してもある程度対応できるようになる。
パソコンを製造する時も、エンドユーザがどのような操作性を好むのか考えて製造しないだろう。それはマウスを製造する会社が考えることであり、パソコンとマウスがモジュール化されて切り離されているからこそエンドユーザの様々な要望に応えることができるようになるのである。
 

モジュール型パーティの例

はまっちゃった人氏はモジュールの概念に基づきパーティを構築していると思われ、氏のパーティが題材として適していると思われる。
当wikiでは、寝言カビSAが記事化されている。
https://seesaawiki.jp/pbs-thread/d/HTC-v3A_%a5%ab%...
 
対ライコウでのサンダー→寝言カビorネールへの接続、対カビでのリフ・甘えるサポ→リキーへの接続、代役の存在(例:対カビでリキーでの対策もカビミラーによる対策もできる)、カビリキサン・爆破間接・撒きびし・追い打ち・黒まなバトン等の豊富な決定力等、モジュール型構築として見るべき点が多い。
コンボを用いるブラキはモジュール化に反しているように見えるが、ムウマ・ゲンガー狩りは単独でも遂行可能である上、黒まなバトンはどのポケモンとも連携可能ということもあり、モジュール化による利点を大きく損なうものではない。
カビゴン・カイリキーのエスパー・ゴースト対策の負担を減らせる(→寝言型での運用が可能になる)、黒まなバトンによる決定力で有利を取れるケースが増える(キチカビ3のようなバトン対策を甘くしたパーティのみならず、サンダータンクのようなバトン対策を施したパーティにも選出圧力上有効になることがある)等、多少モジュール化に反する面がある代わりに大きなメリットを得ている。

このページへのコメント

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Posted by  nanashi_a nanashi_a 2021年08月17日(火) 21:50:52 返信

「複数の決定力の中から最も有効な決定力を選ぶ場合」の例について、キチカビ3ライクなパーティを想定している旨を追記。わかりにくかったので。

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Posted by 名無し 2018年11月01日(木) 00:19:30 返信

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