ポケモン第二世代対戦シミュレータ「ジムリーダーの城」の対戦考察Wikiです。各所に散らばった考察をまとめ上げ、より考察を深めます。

ポケモン対戦で良く使われる戦略である「役割理論」「役割論理」「対面構築」について、役に立つ・役に立たないという議論が行われることが少なくない。
そこで、議論の助けとなるため、それらの戦術の定義や使い道を当ページで述べていきたいと思う。

忙しい人向けの超概論

「役割理論」「役割論理」「対面構築」の定義

ポケモン対戦においては、「役割理論」→「役割論理」→「対面構築」の順番に流行が移っていった。
これらは何れも当時の最新世代(目安として、「役割理論」は第二世代、「役割論理」は第四世代、「対面構築」は第五世代)でうたわれた戦略であるが、第二世代の対戦においても概ねこの順番で主流の戦略が移り変わっている。

ここでは、この順番に則り、各々の戦略の定義を改めて行いたいと思う。

役割理論

眠るや自己再生といった回復技を用いることで、相手のポケモンの攻撃に半永久的に耐えて勝つ戦略を指す。
(「各々のポケモンに何かしらの役割を割り振ることが役割理論だ」とする論も見られるが、役割理論は受け役割の重要性と共に広まったという事実はあり、また「役割論理」や「対面構築」と対比することも考え、当ページでは「役割理論は受け理論だ」とする立場を取る)

役割論理

お互いに相手の場のポケモンに対して有利なポケモンがいれば交代しようとする場面(以下サイクル戦)において、交代する必要がない側のポケモンが交代先のポケモンに対して強力な技を打ち多くの負担をかけて倒そうとする戦略を指す。

対面構築

相手の場のポケモンに対して有利を取れる場面(交代せずに技を打ち合った場合(=対面)に自分のポケモンの方が勝つ確率が高い場面)をより多く作ることで、相手に交代を強いて負担をかけて倒そうとする戦略を指す。

「役割理論」「役割論理」「対面構築」の背景と詳細

各々の戦略について、その背景や詳細を深堀りしたいと思う。

役割理論

相手のポケモンの攻撃に一定回数耐える場合、眠るや自己再生といった回復技を用いてHPを回復できるようにすることで、半永久的に相手のポケモンの攻撃に耐えることができるようになり、負けなくなる。
努力値システムや寝言の仕様等の関係で各々のポケモンを倒しにくかった第二世代にて特に猛威を振るった戦略であり、受けを崩す手段を考えていないパーティに対しては安定して勝つことができた。
第二世代においては、役割理論が提唱され広まって(2002年頃)から、昆布やセミフル剣ガラで受けを崩す手段が開拓・精緻化されるまで(2004年頃)は特に主流であった。

攻撃面においては、以下の細かい戦術がある。
  • こちらが役割理論に則ったパーティで相手を受け切ることができ、相手が役割理論を知らず回復技もなければ受けを崩す手段もない場合には、特に攻撃面は考える必要が無い。弱い攻撃技でちまちま削るでも良いし、毒々を入れて放置するでも良い。
  • お互いに役割理論に則ったパーティである場合は、役割破壊が重要な意味を持つ。例えば、カビゴンに文字を持たせて、文字カビだと思わずエアームドで受けに来た相手を崩すという具合である。役割理論が流行っていた当時の役割破壊については、攻撃範囲を広げるという意味合いよりは、奇襲で受けを成り立たせなくするという意味合いの方が強い*1
  • お互いに相手を倒せない場合には、PP戦やターン制限を考慮した長期戦を繰り広げる必要がある。長期戦についてはWikiの以下のページにて詳しい解説(へのリンク)を載せている。
  https://seesaawiki.jp/pbs-thread/d/%c4%b9%b4%fc%c0...

防御面においては、以下の細かい戦術がある。
  • 受け切る際は、眠るを選択したターンに不利なポケモンに交代される等して逃がされる可能性を考慮する必要がある。眠るで回復する場合は、受ける側が先手の場合は3発、後手の場合は4発相手の攻撃に耐える必要がある。
 
 ※受ける側(a)が先手の場合
   AからBに交代、a眠る
  →(略)
  →bからaに交代、A攻撃
  →aぐうぐう、A攻撃
  →aぐうぐう、A攻撃
  →a眠る
 
 ※受ける側(a)が後手の場合
   AからBに交代、a眠る
  →(略)
  →bからaに交代、A攻撃
  →A攻撃、aぐうぐう
  →A攻撃、aぐうぐう
  →A攻撃、a眠る
 
  • 実際には急所を考慮しなければならないため、ある程度の余裕を持たせなければならない。1発分攻撃を多く耐えるようにする、寝言を持たせる、といった手段が考えられる。
  • 複数匹のポケモンを受けることも可能だが、眠るで受けるポケモンに先手が取れるポケモンと、眠るで受けるポケモンに後手になるポケモンを同時に受ける場合は、受け切れなくなる可能性もある。この現象は「サンドウィッチ理論」と呼ばれており、あやみがなどほろべばいい様の以下のページにて解説されている。
  https://undead-princess.hatenadiary.org/entry/2014...
  • 自己再生やタマゴ産み等のHPを半分回復する技でも相手の攻撃を受け切ることが可能であり、ぐうぐうのターンがないため2発耐えれば受け切れる。急所を考慮してある程度余裕を持たせる必要があるのは眠ると同じ(後手の場合は2発食らった状態から回復技で回復を始めるため特に)。しかし、麻痺や毒といった状態異常に弱いのがネック。自己再生以外の回復技はPPが少ないため、PP切れになる場合も少なくない。
  • その他、例外的なケースではあるが、ムウマ・ゲンガーが無効属性を利用して回復技無しで攻撃技が捨て身タックル一本のカビゴンを受け切るような例もある。

役割論理

相手の場のポケモンに対して自分の場のポケモンが不利なのであれば、そのまま技を打ち合えばこちらのポケモンが倒され、(一般的には)不利になる。
そこで、相手の場のポケモンに有利なポケモンに交代することで、自分のポケモンが倒されるのを防ぎつつ相手のポケモンを倒しに行くことができる。
2対2の対戦を考えると以下のようになる。
(一方のプレイヤーのポケモンがAとB、もう一方のプレイヤーのポケモンがaとbとする)

 Aを出す、aを出す
→Bへ交代、a技を打つ
→bへ交代、B技を打つ
→Aへ交代、b技を打つ
→aへ交代、A技を打つ
→…以下繰り返し

このような対戦の流れを、「サイクル戦」と呼ぶ。
(今回は2対2の例であったが、3対2、3対3においてもサイクル戦は発生し得る)
また、相手の場のポケモンに対して有利なポケモンを交代で出して、次以降のターンに相手に交代を強いることを「流し」と呼ぶ。

サイクル戦では、交代した相手に負担がかかるような技(≒大ダメージを与える技)を打ち、自分の何れかのポケモンが倒されるよりも先に相手の何れかのポケモンを倒すことが重要となる。
交代した相手に負担をかけて相手の何れかのポケモンを倒すことができれば、相手はこちらの何れかのポケモンを流せなくなるため、(一般的には)有利になる。

第二世代の対戦においても、受け切ることが困難だということが知れ渡ることにより、役割理論全盛の時代から徐々に役割論理的なサイクル戦を重視したパーティが見られるようになった。
具体例を挙げるなら、朽氏のカビパルサンダー(2007年)は典型的なサイクル戦重視のパーティと言えるだろう。

サイクル戦に関連した細かい戦術は以下の通りである。
  • サイクル戦で勝利するには、最低限相手のポケモンを倒しきれるようにする必要がある。具体的な手段としては、攻撃範囲が広い&被りが少ないポケモンを複数匹入れて3匹の枠では6匹全て受け切れないようにする(ポケ選で完全に読みきらない限り受け切れないようにする)、剣ガラのような受け切れないポケモンを入れる、昆布を利用する、追い打ちを利用する(攻撃技がノーマル技一本の太鼓カビをムウマ・ゲンガーで受け切られるのを防ぐ等、「交代先のポケモンにしかダメージを与えられない」という原則を無視できるため、一部の相手に受け切られるのを防ぐことができる)、といった手段がある。
  • サイクル戦においては、「流しの回数」という概念が重要になる。相手のポケモンを何回流すことができるのかに着目した概念であり、流しの回数が最も少ないポケモンを持つプレイヤーがサイクル戦では不利になる(そのポケモンが最も早く倒されてしまうため)。流しの回数が同一の場合は、より早く流しの場面が訪れるポケモンを持つプレイヤーが不利になる。
 
 ※Aの流しの回数が1回、Bの流しの回数が3回、a・bの流しの回数が2回の場合の例
   Aを出す、aを出す
  →Bへ交代、a技を打つ(B残り2回)
  →bへ交代、B技を打つ(b残り1回)
  →Aへ交代、b技を打つ(A残り0回)
  →aへ交代、A技を打つ(a残り1回)
  →Bへ交代、a技を打つ(B残り1回)
  →bへ交代、B技を打つ(b残り0回)
  →Aに交代しても倒されるのでサイクル崩壊
  
  • 交代読みで交代することで、相手の交代先のポケモンに技を打って負担をかけられなくなる代わりに、自分の交代先のポケモンが交代際に技を受けるのを防ぐことができる。いわば、サイクルを1手順スキップしたような状態となる。特定のポケモンを守る必要がある場合に有効な手となるが、当然交代読みを外すリスクはある。交代読みを外した場合、相手の場のポケモンに対して不利なポケモンを交代で出してしまう上、技も受けてしまう。

 ※Aの流しの回数が1回、Bの流しの回数が3回、a・bの流しの回数が2回の場合の例
   Aを出す、aを出す
  →Bへ交代、a技を打つ(B残り2回)
  →bへ交代、Aへ交代…交代読み交代成功
  →aへ交代、A技を打つ(a残り1回)
  →Bへ交代、a技を打つ(B残り1回)
  →bへ交代、Aへ交代…交代読み交代成功
  →aへ交代、A技を打つ(a残り0回)
  →Bへ交代、a技を打つ(B残り0回)
  →bへ交代、B技を打つ(b残り0回)
  →Aへ交代、b技を打つ(A残り0回)
  →aに交代しても倒されるのでサイクル崩壊
   (交代読み交代をしない場合はAが一番最初に倒されるため、一番最初に倒されるポケモンが変わった)
  • 前述の交代読み交代まで考慮すると、お互いに技を使うか交代するかの大きく分けて二択になる。ここで、相手の場のポケモンに有効な技と相手の交代先のポケモンに有効な技が異なる場合、技についても更に択が分かれる。例えば、こちらの場にカイリキー、相手の場にカビゴン、相手の控えにサンダーがいる場合、交代を読まないのであればクロスチョップが正解になるが、サンダーへの交代を読むのであれば岩雪崩が正解になる。なお、交代してもしなくても有効な技もあり、そのような技は「一貫性がある」と呼ばれる(例えば、こちらの場にカビゴン、相手の場にスターミー、相手の控えにミルタンクがいる場合、圧しかかりは一貫性がある技となる)。一貫性がある技は、読みの選択肢を減らしてより確実に優位に立ちたい場面で有効になる。
  • 2〜3匹のポケモンを1匹のポケモンで流すことも可能。しかし、その2〜3匹のポケモンが倒れるまではその流しは倒れるわけにはいかないので、当然負担は大きくなる。意図的に2〜3匹のポケモンを1匹のポケモンで受けるように仕向け崩す戦術もある(役割集中と呼ばれる)。2〜3匹のポケモンを1匹で流すには、受けかそれに近い水準の流しが必要になる。

対面構築

役割理論や役割論理では、不利なポケモンと対峙したら交代するという考えであった。
しかし、相手のポケモンが著しく受けにくい・流しにくい場合、交代を強いられる時点で不利になってしまいがちである。
(第二世代では、ナッシーやガラガラがその代表例として挙げられることが多い)

そこで、なるべく多くのポケモンに対面で勝てるポケモンを集めてパーティを構成することで、相手に交代を強いられにくくなり、有利になりやすくなる。
(もちろん、交代先のポケモンに高い負担をかけることも重要である)
このような戦略を「対面構築」と呼ぶ。

具体例を挙げるなら、stoic氏のサンダータンク(2017年)は典型的な対面構築と言えるだろう。
また、2004年頃でも部分的には対面構築の要素が取り入れられており、「ガラガラにダメージを与えられないポケモンを入れないこと(釘付けすること)が重要」と言われていた。

基本的には1対1の強さが重要になるため抽象論レベルではあまり細かい戦術はないのだが、対面で広い範囲のポケモンに勝てるようにするためには、催眠技の採用(ナッシー等)や複数の攻撃技の採用(50カビゴン等)、黄金等の一時的な回復手段の採用(カイリキー等)、素早さが高いポケモンの採用(サンダー等)、といったあたりが鍵を握ることが多い。
リフレクターや光の壁がある場合、撒きびし等で追加ダメージがある場合、等、細かい場合分けで考えるのも時には必要になる。
完全なタイマンでは勝てないものの、大爆発や黒まな滅び道連れにより1対1交換を狙うことも対面構築を作成する上では重要で、大爆発や黒まな滅び道連れを用いることで広い範囲のポケモンに対して対面で圧力をかけることができるようになる。

「役割理論」「役割論理」「対面構築」の使い所

2019年現在の第二世代(一撃無し2000)の対戦では、各々の戦略は以下のような使い所がある。
パーティの汎用性を高める上では、一つのパーティで相手に応じて柔軟に使い分けできるようにすることが重要となる。

役割理論

攻撃手段がぬるく受け切れるような相手であれば、受け切ってしまった方がより確実に勝利できる。
例えばエアームドのような受け重視のポケモンを採用した相手に対しては、下手に回復技無しのポケモンで崩そうとすると毒々を用いた長期戦で返り討ちに遭うことがあるので、初めから80ターン制限狙いで55眠る残飯カビゴンで受けに行ってしまった方が良い場合がある。
また、特定のパーティの対策に特化したパーティ(キラパ)を作成する場合も、役割理論的に受け切ることができないかは真っ先に考えるべきである。

役割論理

第二世代(一撃無し2000)では相手の攻撃を受け切れるケースは例外的である。
しかし、交代したら直ちに不利になるほど激しい攻撃手段も存在しない(適切な流しを用意している場合は)。
そのため、第二世代(一撃無し2000)のパーティは、基本的にはサイクル戦がベースになるはずである。

対面構築

パーティを構築している中で、どうしてもナッシーやガラガラといったポケモンの流しが甘くなることがある。
その場合は、ナッシーやガラガラに対してなるべく交代を強いられないように、それらのポケモンに対してだけ対面構築的な要素を取り入れるのが有効になる。
ナッシーもガラガラも、遅い・脆い(二匹とも耐久は決して高くない上、ナッシーは弱点が多い、ガラガラは耐性が少ない)・回復しない(回復技を持たせるような技スペースを確保しにくい)の3拍子が揃ったポケモンであるため、本気で対面(釘付け)で対応しようとすれば対応できる相手である。

攻撃技以外の技の用途

この類の抽象論は話を簡単にするために攻撃技や受けるための回復技にしか触れないことが多いが、実際の対戦ではそれ以外の技が使われることも多い。
ここでは、良く使われる技について、その用途を簡単に説明する。

回復技(眠る、自己再生等)

  • 役割理論の受けでは欠かせない技であるが、これで受け切れる相手には負けることがないので、役割論理や対面構築でも部分的に用いられることがある。
  • 受けまで行かなくとも、相手の攻撃に2発耐えることができれば、眠る薄荷(奇跡)や眠る寝言で流しの回数が増えたり対面で有利になったりする。黄金も似たような用途で用いられることがある。

ストコン系の技(催眠技、混乱技等)

  • 相手に自由に技を打たせなくすることで、受けを突破したり、流しにくくしたり、対面で有利になったりする場合がある。相手が技を打てない間に攻撃技を打つなり身代わり・分身等で準備するなりする必要があるため、本来の相性では不利な相手を出されたとしてもある程度居座れるポケモンで使うのが望ましい。
  • 相手に自由に技を打たせなくすることで、自分の交代先のポケモンが安全に交代できるようにする効果もある。例えばガラガラの横のハピナスの歌うはこの意味合いが強い。
  • 様々なポケモンに有効なため汎用性が高いが、対面での先制身代わりや奇跡の実等でカットされてしまう点には注意。身代わりを壊せる技と併用する、奇跡の実等でカットされた後の展開を考える(何かしらの技でもう一度ストップを仕掛けるか、それができないなら初めからストコン系の技を打たない)、といった考慮が必要。メロメロは身代わり貫通で奇跡の実でカットされることもないが、こちらは一部のポケモンにしか効かないという問題がある。

攻撃技ではない定数ダメージ技(毒々、撒きびし等)

  • 交代でダメージが加算されるタイプの定数ダメージ技は、交代を重視する役割理論や役割論理に対して効果が高い。役割理論的に受けを狙ってくる相手に対しては、定数ダメージを利用して昆布る(吠える・吹き飛ばしで交代を強制or交代読み交代で更なる交代を半強制)ことで崩すことができ、解除が困難な撒きびしを用いる場合は特に効果が高い。サイクル戦で負担を高める上でも有効になる。対面構築に対しても、相手は全く交換しないわけではなく、少なくともポケモンが倒れた時の交代(死に出し)は行うため、撒きびしのダメージが足しになって相性関係が逆転する場合がある。
  • ターン経過でダメージが加算されるタイプの定数ダメージは、守るや身代わり、吠える・吹き飛ばしといった技でターンを稼げる場合に有効になり、対面で戦う相手や交代で出てきた相手との相性関係が逆転する場合がある。定数ダメージ単独では回復技持ちを倒すことはできないが、眠るで無効化されない宿り木や砂嵐といった技が受けの突破に貢献する場合もある。なお、毒々状態にすることができれば、自己再生系の回復技を持つポケモンであれば相手のポケモンの攻撃に耐えるだけで倒すことができるようになる。

素早さを逆転させる技(麻痺技)

  • 役割理論的な受けの世界ではあまり重要ではなく(ただし、受けがギリギリの時に相手に麻痺を入れれば受け切れる確率が上がる、自己再生系に対して痺れが有効、というのはある)、対面構築的な対面の世界でもこれを打つことで1ターンを無駄にしてしまうことが少なくないが、役割論理的なサイクルの世界では大きな影響がある。麻痺技で素早さが逆転させれば流しの回数にして1回分のアドバンテージを得ることができ、痺れも考えるとそれ以上の影響がある。更に、素早さの逆転により相性関係が逆転することもあり、その場合はサイクルの崩壊に直結する。ガラガラの横の麻痺サポはまさにこれを狙ったものである。

積み技(鈍い、剣の舞等)

  • 1匹倒せれば良いという場面ではあまり重要ではないが、2タテ3タテを狙うなら重要になる。相手の目の前のポケモンが倒れて次のポケモンが出てきたとしても、積み技の効果は失われないため、その後ろのポケモンに対しても通常よりも優位に立つことができる。対面構築の場合は積んでから目の前のポケモンを倒せばそのまま次のポケモンも突破を狙えるようになるし、役割論理的なサイクル戦の場合も相手のポケモンを倒してサイクルを崩壊させる際に積んでおけば逆転されにくくなる(サイクル戦では、先に相手のポケモンを倒したとしても、自分のポケモンのHPが消耗していたり状態異常が入っていたりするために次の相手のポケモンに2タテを決められて負ける場合がある)。
  • 積み技の有無により、対面での勝敗やサイクル戦での交代後の戦いの勝敗が変わることもある。例えば55鈍い無しカビゴンは50鈍い眠る寝言カビゴンに対面で不利を取られるし、ミルタンクは先手で鈍いや丸くなるを積むことで自爆・大爆発で1対1交換されるのを防ぐことができる。
  • 相手の積み技に対抗するために仕方なく積み技を採用する場合もある。特に役割理論的な受けを狙う場合に当てはまる。例えば、エアームドは鈍いがないと鈍いカビゴンを受けることができなくなる。

吠える・吹き飛ばし

  • 流しの負担を肩代わりするのに使う。例えば、ガラガラを流す際、スターミーではガラガラを0〜1回程度しか流すことができないが、エアームドは交代で出して吹き飛ばしすることで、ガラガラを1〜2回程度流すことができる。なお、エアームドは攻撃手段に乏しくガラガラにタイマンでは勝てないため、吹き飛ばしのないエアームドでは流しは成立しないし、スターミーがいなくても1体残しされたガラガラに対抗できない。スターミー+吹き飛ばしエアームドという組み合わせだからこそガラガラ流しが成立する。
  • 強制的に交代させることで、積み技や黒い眼差しといった技の効果を解除することもでき、一部の技の対策になる。
  • 前述の通り、撒きびしや毒と組み合わせて昆布で使用することもある。交代読み交代はいわば相手の場にいるポケモンに対して不利なポケモンをわざわざ出すようなものなのでリスクが高いが、吠える・吹き飛ばしであればその必要がないので比較的リスクは少ない。また、お互いに撒きびしを撒いて昆布を狙うような場面では、交代読み交代では自分も撒きびしを踏んでしまうためアドバンテージを取れないが、吠える・吹き飛ばしであればアドバンテージを取れる。

追い打ち

  • 前述の通り「交代先のポケモンにしかダメージを与えられない」という原則を無視できるため、交代が重要な意味を持つ役割理論や役割論理では意味がある技。一部のポケモンの受けを崩壊させるのに使えるし、サイクル戦でも一匹のポケモンに負担を集中させる意味で使えることがある。流しを補助するという意味で使うこともあり、例えば50スターミーは55ガラガラを流すことはできないが、雫ハイドロ+ブラッキー追い打ちで55ガラガラを倒すことができる(55ガラガラがブラッキーの前から交代してもしなくても倒れる)ため、疑似的に1回流せるようになる。
  • ただし、逆に交代後のポケモンにダメージを与えることができないため、それがリスクになることがある。例えば、55ガラガラのような流しにくいポケモンをノーリスクで交代させてしまうことがある。

黒まなバトン

  • 黒まなバトンを決めることで、相手の交代を封じ自分だけ有利なポケモンに交代することができるようになる。交代を重んじる役割理論的な相手や役割論理的な相手に対しては効果が絶大。甘えるのような補助技を併用することで、その相性関係自体を逆転させることもできる。甘える併用であれば、対面構築に対しても効果が高い。
  • ただし、黒まなバトンを行うポケモン自体はほとんど流し役割をこなせないため、残りの2匹で3匹を流す格好となり、役割集中をされるような形で不利になることがある(例えば黒まな滅び雷道連れゲンガー+電気ポケモンで崩されやすくなる)。また、黒まなバトンを行うポケモン自体には対面圧力も少ないため、例えばいばみがサンダーのような流しにくいポケモンの起点になってしまうことがある。
  • 吠える・吹き飛ばしやバトンタッチで対策されてしまうこともある。ただし、攻撃技を用いた圧力以外で黒まなバトンを対策できるポケモンは受け・流しやすかったり対面に弱かったりすることが多いので、そのようなポケモンを選出させる力を評価する向きもある。

更なる話題

この手の抽象論についてこれ以上深く考察したいのであれば、「流しコスト」の概念に触れるのがお勧めである。
「流しコスト」とは「流しを遂行する時に必要になるHP量」のことであり、「流しコスト」という指標を用いることで、流しの回数をより正確に計算できるようになりお互いの優位度を簡単に見積もることができるようになったり、立ち回りや技や持ち物の有効性を統一された指標で測ることができるようになる。
「流し」という言葉の通り、サイクル戦に着目した概念ではあるが、統一された指標で測れるようになるという点から役割理論的な受けや対面構築においても有用な概念である。

当Wikiでは、以下のページにて紹介している。
https://seesaawiki.jp/pbs-thread/d/%ce%ae%a4%b7%a5...

筆者の感想としては、実際のパーティ構築や対戦で流しコストを厳密に計算することはないと思うが、流しコストベースで立ち回りや技・持ち物の有用性についてぼんやりと把握することで、新たなアイデアがひらめいたり立ち回りミスが少なくなったりする効果はあると感じている。

このページへのコメント

「忙しい人向けの超概論」を追加しました。
(本日の昼のツイートの引用)

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Posted by  nanashi_a nanashi_a 2020年08月20日(木) 20:51:28 返信

「役割理論が流行っていた当時の役割破壊については、攻撃範囲を広げるという意味合いよりは、奇襲で受けを成り立たせなくするという意味合いの方が強い」は実情を踏まえた筆者の独自解釈である旨を注記しました。

0
Posted by  nanashi_a nanashi_a 2019年10月29日(火) 22:36:10 返信

見返したらそもそも一貫性を書き忘れていたので追記しました。

0
Posted by  nanashi_a nanashi_a 2019年08月16日(金) 06:56:02 返信

指摘がありましたので直しました。
(うろ覚えだったので今までぼかしてました。ご指摘ありがとうございます。)

「役割論理」は第三世代〜第四世代、「対面構築」は第四世代〜第五世代)でうたわれた戦略

「役割論理」は第四世代、「対面構築」は第五世代)でうたわれた戦略

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Posted by  nanashi_a nanashi_a 2019年08月16日(金) 00:54:37 返信

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