経済・経済学に関するメモ。

橘木俊詔
インサイダー・アウトサイダー理論は、インサイダーを現在雇用されている人、主として労働組合員と定義し、アウトサイダーを現在失業しており、求職中の人とみなす。インサイダーは職に就いているので所得を得ている。自分に失業のリスクがない限り、雇用に不安はないので、関心は自分の賃金を上げることだけである。アウトサイダーは所得がないので、たとえ低い賃金であっても雇用されたいという希望が強いと見なせる。ただ、その希望を表明する場は非常に限られている。賃金は企業とインサイダーの労使交渉だけで決定されるので、アウトサイダーの考えは無視されがちで、賃金は高くなる傾向がある。(中略)従って、企業は新しい人を雇用できず、失業率は下がらないのである。インサイダーの賃金を下げる政策はないのだろうか。例えば、何らかの方法によって、インサイダーがアウトサイダーに協力的になれば、高水準の賃金を犠牲にすることが期待でき、失業者の雇用が可能になる。実際、オランダをはじめ二、三の国で成功例がある(日本経済新聞社編著 『やさしい経済学』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、213-214頁)。

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