経済・経済学に関するメモ。

アービング・フィッシャー
アメリカの経済学者アービング・フィッシャー(1867-1947)は、1930年代のアメリカの大恐慌を「デット・デフレーション」と位置づけました(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、65頁)。

原因

内田勝晴
フリードマン博士はアメリカの約百年(一八六七年-一九六〇年)の通貨を調べ、通貨供給量と物価の間にはきわめて強い因果関係があることを実証した。そしてなんと、あのアメリカ発の世界大恐慌は連邦準備銀行(FRB、中央銀行にあたる)が通貨供給量を激減させたために起こった人災だと結論づけた。実際、一九二九年八月の景気下降の開始時から三三年三月の景気の底までの間に通貨残高が三分の一まで落ち込んでいる。フリードマンのこの実証研究はやがて学界の主流として認められた。特に一九七〇年代後半のスタグフレーション(インフレと不景気の共存)胎児に大いに力を発揮したマネタリスト的考え方は、その後、世界の中央銀行の行動規範になった(内田勝晴 『家康くんの経済学入門-おカネと貯蓄の神秘をさぐる』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2001年、89頁)。
ミルトン・フリードマン
1929年に始まった大恐慌についても、原因は有効需要の不足ではなく、FRB(米連邦準備理事会)が不況の最中に通貨供給を絞って銀行の連鎖倒産を招いたことだと、フリードマンは実証した(ニューズウィーク日本版編集部編著 『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来』 CCCメディアハウス、2017年、206頁)。
ミルトン・フリードマン
フリードマンは、大不況は金本位制が問題であったということを、よく理解していたと思います(浜田宏一・若田部昌澄・ 勝間和代 『伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本』 東洋経済新報社、2010年、151頁)。
土居丈朗
金融政策の失敗を大恐慌の真因とした説には、のちに反論も出されたが、今でも有力な説である(日本経済新聞社編著 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、89頁)。
土居丈朗
フリードマンらは、大恐慌は、生産や貿易など非貨幣的な変化が主因だったわけではなく、貨幣的な要因が、米国の大恐慌が世界的にも伝播する中心的な役割を果たした、と主張した。彼らの主張は、その後の数多くの研究者が発表した学術論文によって、客観的に裏付けられることになったのである(日本経済新聞社編著 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、92-93頁)。
高橋洋一
2000年に現米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキが書いた『大恐慌論文集』には、世界大恐慌は金本位制によって発生し、伝播したとある。この世界恐慌と金本位制の本質的かつ密接な関係は、米国学会では論争が終了し、すでに研究者間で共有されている標準的な理解になっている(高橋洋一 『高橋教授の経済超入門』 アスペクト、2011年、23頁)。
ベン・バーナンキ
あなた方の意見はは正しかった。連邦準備制度は、あなた方が述べたとおりのことをした。あなた方の意見は正しかった。しかし、あなた方のおかげで、われわれは二度と繰り返さないだろう(日本経済新聞社編著 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、94頁)

恐慌の終焉

日本経済新聞社
アメリカ政府は「ニューディール政策」による需要拡大策をとったが、大恐慌後に経済が立ち直るには第二次世界大戦による需要回復を待たなければならなかった(日本経済新聞社編著 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、89頁)。
ポール・サムエルソン
大恐慌を終わらせたのは何かということですか。それは、他国、たとえばドイツでは第二次世界大戦の準備です(R.E.パーカー 『大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか』 宮川重義訳、中央経済社、2005年、40頁)。
小室直樹
ルーズベルトのニューディール政策は中途半端だったため、失業は減ったり増えたり、効果も中途半端だった。だが、第二次大戦が生み出した有効需要で、米国経済はあっという間に回復した(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、118頁)。
岩田規久男
アメリカが大恐慌から回復したのは、第二次世界大戦への参戦によって、軍事費が急増したためだと主張されることがあります。しかし、アメリカが参戦したのは一九四一年ですが、実質国民総生産は三三年を底にすでに順調に回復しはじめてpり、三七年には大恐慌が始まる前の二九年の水準にすでに復帰しているのです。ですから、「アメリカの大恐慌は戦争によって解決された」というのは事実に基づかない誤解です(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、171頁)。

国民経済への影響

門倉貴史
一九二九年に起こった世界大恐慌の際には、米国の実質GDP成長率が大幅に低下し(一九三〇年から一九三三年にかけての年平均成長率はなんとマイナス七・四%です)、それとは逆に失業率が急上昇しました。当時の米国では、失業統計が十分に整備されていなかったので、大恐慌時の正確な失業者数はわかりませんが、民間調査機関が出していた統計によると、失業者数は一二〇〇万人、失業率は二五%に達しました(門倉貴史 『必ず誰かに話したくなる経済学』 PHP研究所、2016年、113頁)。
スティーヴン・ランズバーグ
恐慌下の生活には二つの短所がある。第一に、生涯消費が減ること。第二に、劣悪な消費パターンを強制されること(スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 佐和隆光・吉田利子訳、日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、184頁)。
ウルリケ・マルメンディア、ステファン・ネーゲル
大恐慌期を経験した世代は、経験しなかった世代に比べてリスク回避的な傾向が強いという実証分析もある(ウルリケ・マルメンディア&ステファン・ネーゲル「不況ベイビー:マクロ経済ノケイケンハリスク行動に影響するか?」)(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、199頁)。
田中秀臣
これは研究もあって、大恐慌のときアメリカで生まれた人たち、つまり戦後のベビーブーマー世代の親に当たる人たちというのは、非常にリスクを回避するという調査結果が出ているんですよ。そして、その傾向は景気がよくなってもなかなか変わることなく一生続く、と(麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣 『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』 藤原書店、2012年、48頁)。

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