経済・経済学に関するメモ。

競争力指標の内訳

国際経営開発研究所

三菱総合研究所
IMDによるランキングは(1)経済状況、(2)政府の効率性、(3)ビジネスの効率性、(4)インフラ--の四つの競争力指標に各々五つの細分化項目を設けている(三菱総合研究所編著 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、197-198頁)。

世界経済フォーラム

三菱総合研究所
WEFのランキングは、(1)基礎条件(制度機構、インフラ、マクロ経済の安定性、保健・初等教育)、(2)効率性促進要素(高等教育および訓練、財市場の効率性、労働市場の効率性、金融市場の高度化、技術的即応性、市場規模)、(3)イノベーションおよび高度化要素(ビジネスの高度化、イノベーション)--、からな(三菱総合研究所編著 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、197-198頁)。

識者の見解

ポール・クルーグマン
ポール・クルーグマンの著書『良い経済学悪い経済学』の中には、(一)貿易はゼロサムゲームではなく、輸出国、輸入国両者の経済によってプラスに寄与するものであり、貿易黒字=利益、貿易赤字=損失という、いってみれば二国間の経済戦争的な考え方は誤りである、(二)「一国の国際競争力」という概念自体があいまいで、使う人によってさまざまである場合が多い、(三)国際競争力が労働コストの差で代替される場合があるが、その労働コストの国際比較のためには為替レートによる調整が非常に重要であり、為替レート調整を無視した単純な比較は意味がない、ことなどが詳細に述べられている(田中秀臣・安達誠司 『平成大停滞と昭和恐慌〜プラクティカル経済学入門』NHK出版〈NHKブックス〉、2003年、101頁)。
森永卓郎
国際競争力が低下すれば、デフレという一般物価の下落ではなくて、通貨価値の低下、日本でいえば円安で調整されるのが常識なのです(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、34-35頁)。
原田泰
日本やアメリカでは生活水準と国際競争力に何の関係もないが、韓国やシンガポールでは国際競争力が高くなると生活水準も上昇する関係が見られる(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、156頁)。
竹中平蔵
単に「給料を増やす」というだけでは、物事は解決しない。経済全体で競争力を持つこと、そして会社全体で競争力を持つこと。そのためには人々が会社できちんと貢献していくことが大事なんです((竹中平蔵 『ニュースがもっと面白くなる!竹中教授の経済教室』 中経出版、2012年、126頁)。
伊藤修
競争力に劣るようになった産業の縮小を押し戻すのは、相当無理な輸入制限か膨大な補助金を必要とし、ほとんど不可能である(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、180頁)。

概念

ピーター・ドラッカー
知識が経済力の基礎となり、知識の生産性こそが競争力の源泉となる(日本経済新聞社編著 『世界を変えた経済学の名著』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2013年、283頁)。
竹中平蔵
競争力という概念はどこにでもあるんです。自分の国の企業が競争力を持ってほしい。では、競争力をつけるためにはどうしたらいいかということになると、アメリカと日本の考え方はかなり違います。日本だと競争力をつけさせようと思ったら、政府は補助金を与えて強くする。これに対し、アメリカで競争力をつけさせる方法はただ一つです。それは、もっと競争させること(佐藤雅彦・竹中平蔵 『経済ってそういうことだったのか会議』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、153-154頁)。
ポール・クルーグマン
国際競争力などという概念は明確には存在しない。経常収支は国際競争力を反映して決まるという考えは誤りである。国際競争力なるものは、国家を企業のように見立てて、貿易を市場をめぐる勝つか負けるかのゼロ・サム的闘いと考えてしまうような、素人にありがちな誤った認識が生んだ幻想にすぎない(野口旭 『グローバル経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2007年、56頁)
飯田泰之
さまざまな研究者や研究機関が独自の視点で、悪く言えば独断と偏見に基づいて国際競争力を定義している(野口旭 『グローバル経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2007年、55頁)
伊藤修
競争力という言葉が曲者で、為替レートによって変わるものであり、為替レートを離れた裸の競争力という概念は、経済学にはない(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、180頁)。

貿易立国

田中秀臣、安達誠司
基本的に、短期の貿易収支および経常収支の動きを規定しているのは国内外の景気変動であり、国際競争力の低下や空洞化はまったく関係がない(田中秀臣・安達誠司 『平成大停滞と昭和恐慌〜プラクティカル経済学入門』NHK出版〈NHKブックス〉、2003年、105頁)。
野口旭、田中秀臣
この前者の「貿易相手国の生産性上昇=国際競争力の低下」という命題は、比較優位の基本原理と矛盾した単純な誤りである(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、86頁)。
野口旭、田中秀臣
この「高コストだから空洞化する」といった推論は、じつはそう述べる論者自身が、比較優位を十分理解しておらず、絶対優位に基づく思考に陥っていることを示しているのである。というのは、「各国の同一産業における絶対的な生産性=実質生産コストの格差は、必ずしもそれぞれの国の生産および輸出の妨げにはならない」ということこそが、まさしく比較優位の本質だからである(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、88頁)。

日本

田中秀臣
いわゆる「大正バブル」崩壊(一九一九年)から昭和恐慌(一九三〇-三一年)でピークを迎える経済政策論争--これはデフレ政策を推し進める「清算主義」か、あるいはリフレーション政策を勧める「リフレ主義」かの対立--のひとつの通過点、しかもきわめて重要な通過点であった。経済論壇の主流は、経常収支赤字による対外準備減少を日本の国際競争力の欠如であると評価し、円高=デフレによって非効率な部門を淘汰してその国際競争力を高めていこうとする清算主義が主流であった(麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣 『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』 藤原書店、2012年、226頁)。
田中秀臣
このように歴代内閣の大半が、デフレ志向的な政策を続けた背景には、政策当事者の多くが日本の「根本病」を国際競争力の不足からくる経常収支赤字、それによる対外準備の縮減とみていたことにある。彼らは国際競争力は高コスト体質からくると解釈し、物価や賃金の引き下げを狙うためにデフレ政策を志向した(麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣 『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』 藤原書店、2012年、230頁)。
三和総合研究所
八五年九月に「G5(米国、英国、西ドイツ、フランス、日本の五カ国)」各国間でドル安誘導の合意がなされた。(中略)円高が急速に進むと日本製品の国際市場における価格競争力が低下した。同時に、労働コストが他の工業国に比べて上昇したため、製造業が日本国内に生産拠点をもつことの優位性が失われてきた(三和総合研究所編著 『30語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、76-77頁)。
田中秀臣、安達誠司
平成デフレが深刻化していく中で、「日本の国際的競争力は経済のグローバル化の影響で低下している」あるいは「日本経済の産業空洞化が急速に進んでいる」という見方が急速に広がった(田中秀臣・安達誠司 『平成大停滞と昭和恐慌〜プラクティカル経済学入門』NHK出版〈NHKブックス〉、2003年、100頁)。
竹中平蔵
日本の競争力の低下は一九八〇年代から明らかになり、バブル崩壊後それがはっきりしてきて、九〇年代後半からはいっそう顕著になっています(竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、202頁)。
三和総合研究所
この国際競争力の低下に対応するため、日本の製造業の生産拠点が労働コストの低いアジア地域に移転され、そこから第三国にも輸出されるようになった(三和総合研究所編著 『30語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、77頁)。
松原聡
日本の産業の競争力は大きく技術に依存しています(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、234頁)。
竹中平蔵
IMD(国際経営開発研究所)という、スイスのローザンヌにあるビジネススクールが、毎年世界各国の競争力評価を発表しているのですが、日本は九〇年代前半まで一位だったものの、二〇〇二年にはなんと三〇位にランクインされるという結果となっています(竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、118頁)。
IMD
欧州のビジネススクール、IMDの国際競争力のランキングで、日本は「経済ニーズに合う大学教育」で世界四九位だった(日本経済新聞社編著 『エコノ探偵団がゆく!路地裏ニッポン経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、237頁)。
IMD
スイスのビジネススクールIMD(経営開発国際研究所)が公表する国際競争力ランキングを決める一項目「大学教育」で、日本は11年、調査対象の59か国・地域中の49位だった(日本経済新聞社編著 『思わず誰かに話したくなる経済の不思議-エコノ探偵団』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、285頁)。

中国

田中秀臣
現在の中国では、農村部から安い労働力がだんだん不足し、それに伴い国際競争力の根源であった低い生産コストを維持することが難しくなってきている(飯田泰之・田中秀臣・麻木久仁子 『「30万人都市」が日本を救う! 〔中国版「ブラックマンデー」と日本経済〕』 藤原書店、2015年、18頁)。

Menu

貨幣・通貨

資本主義・市場経済

管理人/副管理人のみ編集できます