経済・経済学に関するメモ。

ジョセフ・シュンペーター
シュンペンターは、「創造的破壊」という言葉で、非効率的なものを「清算」して、現実に落ち込んでいる成長経路を、以前の潜在的成長経路以上に高めるという政策思想を提唱しています。政府介入は否定し、市場の「淘汰」で行うというもので、技術進歩には破壊が必要としています(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、172頁)。

反論

カバレロ、ハマー
カバレロ=ハマーは七二年から九三年までのアメリカ製造業のデータを用いて、シュンペーターのいう「創造的破壊」が不況期に起きているかどうかを分析している。その実証分析によると、不況によって社会的にまだ有用な企業が退出する、という「無益な破壊」は増大するが、社会的に有用でなくなった企業が退出するという意味で、望ましい「シュンペーター的な破壊」はむしろ減少しているという。さらに、不況は新規参入を困難にし、老朽化した企業の存続を助けているという(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、234頁)。
竹森俊平
日本の開業率(新規参入企業数に占める割合)は九〇年代を通して低下を続け、九六-九九年は戦後最低の水準にまで落ち込んでいる一方で、廃業率(退出企業の全企業数に占める割合)のほうは上昇を続け、近年ではついに開業率を上回っている(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、234頁)
田中秀臣
この失われた20年の間に、日本の開業率と廃業率を比べると、廃業率が多くて開業率が少ない。シュムペーターは、不況が起きると、既存の大企業が潰れることによって新しいベンチャー的な企業の勃興が起こると言ったんだけど、まったくそのようなことは起こっていない。起こったのは、大企業ばかりが残ってしまい、能力が高くて将来伸びる可能性のあるベンチャー企業は、資金力がなくて真っ先に潰れてしまうことだった。この20年の間に日本で起きたことです。さらに不況下では、新しいイノベーションを生み出すはずの若い人たちが、まったく働けなくなっている。しかも、不況が深刻になるほど、若年層の失業率が高くなる。(中略)シュムペンターが理想としている、不況の過程の中で、新規の小さい企業が集まってイノベーションを起こすというのは空想論で、そういう企業こそ、不況の中で立ち行かなくなってしまう。だから、不況下ではイノベーションが生まれないというのが現実です(田中秀臣・上念司 『震災恐慌!〜経済無策で恐慌がくる!』 宝島社、2011年、79頁)。

Menu

貨幣・通貨

資本主義・市場経済

管理人/副管理人のみ編集できます