経済・経済学に関するメモ。

使用方法

若田部昌澄
世界的には「コアコア」にあたるものを「コア」と呼びます。ですから、世界の中央銀行で議論するときのコアCPIは、日本ではコアコアです(若田部昌澄 『もうダマされないための経済学講義』 光文社〈光文社新書〉、2012年、243頁)。

実体経済との誤差

アメリカ

マイケル・ボスキン、消費者物価指数諮問委員会
アメリカでは一九九六年、スタンフォード大学のマイケル・ボスキンを委員長とする「消費者物価指数諮問委員会」が「アメリカの消費者物価指数は実際の物価上昇率を平均一・一%過大評価している」という報告書を発表し、広範な議論を呼びました。これ以後、アメリカでは広範な製品について、このバイアスへの調整(ヘドニックアプローチ)が行われるようになったのですが、日本ではいまもコンピューターなど一部の製品に限定されています(田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、92頁)。

日本

岩田規久男
日本の消費者物価指数については、実際よりも一%程高めであることが知られています。したがって、消費者物価指数でみて〇%インフレは、実際には、マイナス一%程度高めであることが知られています(岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、246頁)。
森永卓郎
数字が高めに出てくる原因の一つは、消費構成を固定してとらえいるからです。(中略)二つめの原因は、消費者物価指数の算定対象に新しい品目がなかなか採用されないことです。一般に新製品ほど価格下落は急なのです。(中略)三つめは、「実質的値上げ」を考慮していないことです。(中略)これらの要因から、消費者物価指数はほんとうの物価上昇率より一-二%高く算出される性質があるのです(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、133-134頁)。
白塚重典
かつて日銀の白塚重典氏が集計したところによると、プラス0.9%ぐらい高めの数値が出る傾向にあるということでした(上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、80頁)。
デビッド・ワインスタイン、クリスティアン・ボルダ
二人はまず、日本の現状のCPI(消費者物価指数)を、アメリカでの統計手法を用いて再定義すると、甚だしい上方バイアスが存在することを明らかにしている。彼らの修正した物価指数と日本のCPIを比較すると、年1.8%もの開きがあるそうだ(田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、158頁)。
上念司
CPIは5年ごとに基準改定がありますが、この改訂の直前に誤差が最大となります(上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、76頁)。
岩田規久男
消費者物価指数には、安売りが反映されていなかったり、製品の質が考慮されていなかったりするからです。同じ製品が同じ価格でも、品質が向上していれば、実質的には安くなったと考えなければなりません(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、180頁)。

GDPデフレーターとの乖離

岩田規久男
GDPデフレーターと消費者物価指数の違いは、GDPデフレーターは国内で生産されるすべてのモノやサービスの価格を反映するのに対して、消費者物価指数は消費者によって購入されるさまざまなモノやサービスの価格を反映するという違いがあります。また、GDPデフレーターには輸入製品の価格の変動は反映されませんが、輸入製品のうち消費者が購入するモノの価格は、消費者物価指数には反映されます(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、14頁)。
田中秀臣
消費者物価指数には、自国で生産されていない外国から輸入された財・サービスが含まれる。一方、GDPデフレーターには、消費者が購入しないような工作機械や外国向けの販売品の価格が入る(田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、39頁)。
飯田泰之
正しい物価の動きはコアコアCPIとGDPデフレーターの間あたりでしょうね(勝間和代・宮崎哲弥・飯田泰之 『日本経済復活 一番かんたんな方法』 光文社〈光文社新書〉、2010年、160頁)。

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