経済・経済学に関するメモ。

岩田規久男
不良債権とは利払いが滞ったり、元本の回収が困難もしくは不可能になった貸出金です(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、30頁)。

経緯

三浦瑠麗
銀行の不良債権は、間接金融の存在が大きい日本経済のお金の流れを目詰まりさせてしまいました(三浦瑠麗 『日本に絶望している人のための政治入門』 文藝春秋〈文春新書〉、2015年、21-22頁)。
日本経済新聞社
公的資金枠は六十兆円に膨らむ。さらに、九九年十二月には枠を七十兆円に積み増すことが決まった(日本経済新聞社編著 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、36頁)。
アメリカ政府
二〇〇一年初頭のサミットやG7において、日本は各国とりわけアメリカから、不良債権の最終処理の推進を強く要求された(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、100頁)。
岩田規久男
バブル崩壊後、全国銀行は不良債権の処分に努めてきたが、その処分による損失の累計額は、二〇〇二年度に八一兆五〇〇〇億円に達した(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、107頁)。
岩田規久男
一九九二年度から二〇〇二年度末までで、不良債権の処理にともなって銀行がこうむった損失の累計額は、九四兆円にのぼります(岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、30頁)。
川村雄介
1999年3月時点に6.1%だった不良債権比率は、2006年9月では1.5%にまで減っています(川村雄介 『日本の金融 (図解雑学)』 ナツメ社・改訂新版・第2版、2007年、140頁)。
池田信夫
100兆円(全銀行の不良債権の純損失の総額)という恐るべき規模にはならなかったはずだ(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、122頁)。
三橋貴明
日本のバブル崩壊で発生した不良債権はおよそ200兆円と言われている(三橋貴明 『経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門』 アスコム〈アスコムBOOKS〉、2010年、158頁)。

試算

谷嶋康次
「処理に伴う景気への影響は大きい」。谷嶋さんの独自試算では、地方銀行などを含めた全国銀行が不良債権(この場合は二十四兆円)を最終処理すると「失業率は六・八%、その年の経済成長率はマイナス一・五%に悪化する」という(日本経済新聞社編著 『そうか、わかった!いまどき日本経済-エコノ探偵団デフレの街を行く』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、285頁)。

不良債権処理の是非

田中直毅
不良債権の処理を通じ非効率な整理をしながら新規分野の企業育成策を急ぎ、産業を再生させないと、日本経済全体の生産性と競争力を高められない(日本経済新聞社編著 『そうか、わかった!いまどき日本経済-エコノ探偵団デフレの街を行く』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、287頁)。
植田和男
不良債権とその処理の遅れが、借り手・貸し手の双方に悪影響を及ぼし、貸し出しの低下、投資の低下、そして実体経済の遅れなどに至ったというわけである(田中秀臣 『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、142頁)。
竹中平蔵
不良債権処理をすれば即、景気がよくなるといことではありませんが、これをやらなければ景気はよくならないのです(竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、87頁)。
野口旭、田中秀臣
不良債権は確かに銀行の信用創造機能を阻害するが、その処理さえ進めば景気が回復すというわけではない(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、14-15頁)。
リチャード・クー
経済の停滞は、不良債権問題によって銀行がリスクをとるのを恐れて貸し渋りをしているために起こっているのではない。したがって、不良債権問題の処理は長期停滞の解決にはつながらず、むしろ政府の強引な不良債権処理は資産価格の下落を通じて、企業のバランスシートをより一層悪化させてしまう、とう指摘にも基本的に同意できる(田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、56-57頁)。
野口旭、田中秀臣
いくら既存の不良債権処理を処理しても、その「原因」を除去しないかぎり、不良債権は増加し続けるのである。それでは、その「原因」とは何か。それは、デフレと資産デフレである(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、16頁)。
岩田規久男
デフレ下に置かれている銀行が不良債権を処理したからといって、突然、債務不履行のリスクが小さく、高い金利を払ってくれるような成長企業が現れるわけではない(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、239頁)。
田中秀臣
仮に景気の回復が先行していない状態で金融再生プログラム「竹中プラン」による不良債権処理の加速が行われていたとしたら、デフレ不況はさらに深化し、不良債権は減るどころかますます増えていったに違いありません(田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、171頁)。
野口旭、田中秀臣
不良債権の存在しない経済とは、リスクや不確実性の存在しない経済であるが、それは、強固に統制された社会主義経済か、リスクをすべて政府が負担する「政府依存型」の経済である以外にはない(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、125頁)。

評価

池田信夫
不良債権を処理しないかぎり、銀行の健全性は回復しない。これを強制したのが、2003年の竹中プランだった。それ自体の効果は限定的だったが、これをきっかけにして償却が一挙に進んだ(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、129頁)。

実証研究

日本興業銀行
バブルの後始末としての不良債権処理は九七年には終了していたこと、現在の不良債権の多くは九七年以降の景気後退過程で発生したものであることは、不良債権の実態を企業サイドから分析した調査研究からも裏づけられる(野口旭・田中秀臣 『構造改革論の誤解』 東洋経済新報社、2001年、108頁)
日本興業銀行
マイナス1%のデフレの進行は不良債権を5.6兆円増加させると試算している(田中秀臣・野口旭・若田部昌澄編著 『エコノミスト・ミシュラン』 太田出版、2003年、31頁)。
森永卓郎
九六年ごろには、首都圏の商業地の地価はバブルが始まった八六年ごろの水準に戻っています。ですから、本来、ここでバブルの調整は終わったはずなのです。(中略)九六年以降に発生している不良債権は、基本的に不動産価格の下落と景気低迷による経営悪化によって発生している。つまり、いまだに新たに発生している不良債権の原因は、デフレの深化によるものなのです(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、42頁)。

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