経済・経済学に関するメモ。

橘木俊詔
保守党政権のM・サッチャー首相である。イギリス社会と経済を大きく変革する人の登場である。ケインズ経済学を放棄して、市場メカニズムを厳重する新古典派経済学の方向に舵取りし、規制緩和・民営化・競争促進・福祉削減の政策を採用することになる(橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、187頁)。
小室直樹
サッチャーは先ずインフレ退治に力を注いで、四年後にインフレ率を一〇パーセント以下に押さえ込んだ。が、失業率は三〇〇万人を超えた(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、84頁)
小室直樹
サッチャーが政権を取った時、インフレ率は一〇パーセントで、失業率は一五〇万人弱であった(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、83頁)。

実績・評価

橘木俊詔
サッチャーの改革かなりの程度イギリス経済の立て直しに成功したが、負の側面も目立ってきた。たとえば、所得分配の不平等化とか、社会保障の削減によって国民の不安も高まったのである(橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、189頁)。
岩田規久男
国有企業における雇用削減はすさまじく、1979年から87年の間の削減率は平均34%に達し、鉄鋼では90%に達した。こうした改革によって、1979年から87年の間に国有企業の生産性は低い企業でも20%、高い企業では70%も上昇した(岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、141頁)。
小室直樹
サッチャーがケインズ的財政支出政策を行ったのは、次期選挙の半年前に当たる時期であった。ケインズ政策は即効性のある短期政策である。サッチャーが打ったケインズ政策に依って、停滞のどん底にあった英国経済は劇的に改善された(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、85頁)。
小室直樹
ケインズ政策は即効性のある妙策であり得る。しかし、経済学を知らないサッチャーは図に乗ってケインズ政策を使い過ぎて、その罠に落ちて仕舞った(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、86-87頁)。
小室直樹
サッチャーは、末期的な様相を呈していた「英国病」に大鉈を振るい、経済再生を実現して退けた(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、166頁)。
小室直樹
世界に先じて資本主義社会を形成した英国の社会主義化--それを土壇場で阻止したのが、サッチャーだった(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、169-170頁)。
岩田規久男
供給サイドのサッチャー改革が生産性の向上、安定した経済成長に結びつくのは、九〇年代初めに、金融政策がインフレ目標を採用するようになって以降、インフレが一-三%で維持されるとともに、失業率も低下して、マクロ経済が安定化してからなのです(岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、238頁)。

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