経済・経済学に関するメモ。

統計

財務省
しかも日本の国債を保有している主体のうちの40%は、何と! 日本政府です。(中略)財務省の発表している「国債所有者別内訳の推移」では、財政融資資金、郵便貯金、簡保を政府保有分に含めているので、全体の約40%になっています(小泉祐一郎 『図解経済学者バトルロワイヤル』 ナツメ社、2011年、17-18頁)。

債務・資産の推移

高橋洋一
日本のデータを見ますと、債務残高の対GDP比は、日露戦争のころに七〇%まで上昇し、その後は一九二〇年くらいまでに約二〇%まで低下し、その後急増し、第二次世界大戦時の一九四四年には二〇〇%を超えました。戦後は、一九六五年までに約五%に低下しましたが、国債発行を再開して上昇し、バブル期に一時的低下したものの、とくに一九九五年位から急上昇し、いまでは約一九〇%にまでなっています(高橋洋一 『日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える』 光文社〈光文社新書〉、2010年、117-118頁)。
森川友義
国債発行は小渕恵三内閣(1998年)以降、急激に増加しています(森川友義 『どうする!依存大国ニッポン』 ディスカヴァー・トゥエンティワン〈ディスカヴァー携書〉、2009年、113頁)。
日本経済新聞社
国と地方の債務残高は九三年度は三百三十兆円で、国内総生産(GDP)の六八%だった。これが二〇〇三年度(予算ベース)にはGDPの一・四倍近い水準である六百八十兆円に膨らんだ。一人当たりではお年寄りから赤ちゃんまで含めて五百四十万円の負債を抱えている勘定になる(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、148頁)。

対外純資産

日本経済新聞社
プラザ合意の年に日本が世界最大の債権国になったのに対し、アメリカ債務国へと転落し、日本にはどこか高揚感似た空気が漂っていた(日本経済新聞社編著 『検証バブル 犯意なき過ち』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、44頁)。

資産循環統計

三橋貴明
上記バランスシートは金融資産のみで、不動産などの非金融資産は含まれていない(三橋貴明 『経済ニュースの裏を読め!』 TAC出版、2009年、45頁)。

国債格付けの変化

小巻泰之
格付けが一ランク落ちると、信用が落ちて債券が売りにくくなり、その結果、金利が〇・三%上昇するとの試算結果が出ました。つまり、国債を買った人への利払いが膨らむので、その分、国、政府は資金の調達コストがかさむ計算です(日本経済新聞社編著 『なるほど!不思議な日本経済-エコノ探偵団レポート・新世紀版』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、281頁)
黒田東彦
二〇〇二年に、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチの格付け会社三社が日本国債の格付けを引き下げた際、財務省の黒田東彦財務官(当時)は、この三社に意見書を送っています(中野剛志 『レジーム・チェンジ-恐慌を突破する逆転の発想』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2012年、168頁)。
若田部昌澄
格付けはほぼ無視してかまわないね。(中略)格付け会社の格付が信用できないことはリーマン・ショックで明らかになったじゃない。破綻寸前のリーマン・ブラザーズの社債に最高の格付けが与えられていたわけだし(若田部昌澄・栗原裕一郎 『本当の経済の話をしよう』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2012年、94頁)。

財政悪化の原因

松原聡
日本の財政赤字がこれほどまでに膨らんだ原因の1つは、税収の落ち込みにあります。税収のピークは、1992年度予算の62兆円でした。それが2007年度予算では53兆円となっており、15年で約10兆円もの税収が失われたことになります。経済成長が鈍化したことや、長期の不況で企業と個人の所得が低迷したことなどが背景にあります。2つ目の原因は、国がバブル崩壊以降に積み重ねてきた借金によって膨れあがった債務残高です。歳出に占める国債費(借金の返済などのコスト)の割合が増加し、財政を圧迫しているのです。1995年度予算では10兆円だった国債費は、2007年度予算では20兆円となり、約20年の間に倍増しています。そして3つめの原因は、高齢化にともなう年金や医療・介護保険などの社会保障関係費の増大です。1985年度予算では9兆円だった社会保障関係費は、2007年度予算では21兆円と、約20年間で2倍以上に増えました。この結果、財政全体に占める社会保障関係費の割合は、1985年度の18.2%から2007年度は25.5%にまで増加しています(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、106頁)。
小塩隆士
財政赤字のGDP(国内総生産)に対する比率は、日本が先進国最も高くなっています。これは、バブル崩壊後景気が長期間低迷で税収が伸び悩んだほか、政府が景気をよくするために公共投資などを追加し続けてきたからです(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、205頁)。
大和総研
日本の財政収支の赤字は、景気の弱さから生じた循環的財政赤字はわずかで、経済対策や社会保障費の増加による構造的財政赤字が大半だと推計されています(大和総研 『最新版 入門の入門 経済のしくみ-見る・読む・わかる』 日本実業出版社・第4版、2002年、158頁)。
UFJ総合研究所調査部
日本の財政赤字の拡大は、社会保障費の拡大という歳出側の要因もありますが、税収が減少してきたことも影響しています(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、188-189頁)。
飯田泰之
その税収が減った最大の理由は2つある。1つは減税をしたこと。もう1つは景気が悪いことだ。(中略)1990年代から現在にかけての日本では、基本的に富裕層を減税するという形での減税が行われてきたんだ。(中略)景気の影響を一番大きく受けるのが法人税収だよ。(中略)日本はデフレが引き起こすギャップ型の不況により、多くの企業が儲かっていない。法人税が大幅に減収するというのは、いわば当然のことなんだ((飯田泰之 『世界一わかりやすい 経済の教室』 中経出版〈中経の文庫〉、2013年、210-211頁)。
中島將隆
建設国債の発行額は公共事業費の範囲内という限度が画されているが、赤字国債には発行限度がない。赤字国債償還方法の変更こそ、国債膨張を可能にした元凶である(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、244頁)。
森川友義
予算は省庁ごとの割り振りである以上、そのお金は各省庁に配分され、省庁のパワーの源泉になります。税金という自分で稼いだお金でなくても、いったん自分たちの省庁に入ってきた予算は、差配できるというだけで権力の証となります。また各省庁の観点からは、予算をとってきたという事実は、恩恵を受ける企業や団体に対しては貸しになります(森川友義 『どうする!依存大国ニッポン』 ディスカヴァー・トゥエンティワン〈ディスカヴァー携書〉、2009年、132頁)。

政府の経済失策

田中秀臣
日本の財政維持可能性、簡単に言うと日本の財政危機は、きちんとした政府と日銀のマクロ経済政策の成功か失敗に依存しているのである(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、34頁)。
伊藤修
橋本内閣の政策運営でさらに悪かったのは、財政危機や年金危機、医療危機を大いに宣伝する一方で、最低限の社会保障ビジョンをいつまでたっても示さず、結果的に政府が先頭に立って危機煽りをし、国民の支出を萎縮させてしまったことである(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、154頁)。
景気対策のための財政出動
三和総合研究所
この財政赤字の大半は、バブル崩壊後、税収が減少するなかで累計100兆円を越える景気対策が実施されたことにより発生した(三和総合研究所編著 『30語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、45頁)。
三菱総合研究所
宮沢内閣下での九二年の「総合経済対策」と呼ばれる景気対策を皮切りに、政府は借金で調達した資金などを用いて毎年のように一〇兆円を上回るような大規模の景気対策を講じ、公共投資などの形で支出を増やした。こうした流れは二〇〇〇年代初めの森内閣まで続いた(三菱総合研究所編著 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、150頁)。
UFJ総合研究所調査部
その事業規模は総額で一〇〇兆円を超えており、財政支出を伴ういわゆる真水の部分だけでも五〇兆円を超えました(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、76頁)。
三橋貴明
度重なる国債発行の結果、日本政府の純資産はバブル崩壊直後と比較して、500兆円近くも減りました(純負債が500兆円近く増えました)(三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ』 彩図社、2009年、55頁)。
岩田規久男
九二年以降、財政支出が増えると景気は回復するが、その増加を止めたり減らしたりすると、たちまち景気が悪化することが繰り返されてきた。そうしたなか、国債残高だけが急増するという状況である。これは財政支出の増加は、それが増加している間は総需要不足を補うことができるが、財政支出の増加自体には民間消費や民間投資という民需を持続的に拡大させる力がないために、財政支出から民需へのバトンタッチがうまく進まないからである(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、253頁)。
竹中平蔵
不況だからといって政府に頼ると、結果的には財政赤字は巨大化していく。まさに、日本をはじめとする現在の先進諸国が当面している問題である(竹中平蔵 『経済古典は役に立つ』 光文社〈光文社新書〉、2010年、175頁)。
竹中平蔵
バブルは間違っていたのだから、崩壊すればGDPは下がって当然です。ところが日本は、国民の無いものねだりに政府が安易に応じて、膨大な国債を発行して景気対策を行い無理やり経済成長させた。その国債を消化できるだけの国民の貯蓄、法人の金融資産があったわけです。借金でGDPを上げたわけです。しかしもうありません(竹中平蔵 『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』 ぎょうせい・第2版、2001年、106頁)。
田中秀臣
日本が九〇年代以来、急速に財政赤字を深刻化させていった要因は、度重なる財政出動よりも、実はデフレそのものがもたらした影響や、人口構造による社会保険料の増加の影響などの方が大きいと思われる(田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、74頁)。
減税
三菱総合研究所
このように歳出が増える一方で、税収は減少傾向をたどった。これも景気対策として、各種の減税が実施された影響が大きい(三菱総合研究所編著 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、150頁)。
UFJ総合研究所調査部
所得税では何回か実施された大規模の減税が税収を押し下げています。(中略)法人税では、バブルの後始末として不良資産の処分が続き、特別損失や繰越欠損金の計上が増加した結果、課税所得が押し下げられました(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、189頁)。

社会保障費の増加

松原聡
また社会の高齢化で、重要な税金の払い手である働く人の割合が減っていること、高齢者のための医療費や福祉施設建設などに多くの費用がかかることなどが、「赤字」を増やす大きな原因となっています(松原聡 『日本の経済 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!)』 ナツメ社、2000年、164頁)。
高橋洋一
日本のように、保険料方式と言いながら税金が半分近く投入されている国は、あまり聞かない。税の投入が多いと、給付と負担が不明確になることで国民の要求レベルが上がり、社会保障費が膨らむという問題がある(高橋洋一 『大阪維新の真相』 中経出版、2012年、72頁)。
原田泰
働く人の平均給与が年四〇九万円であるのに、高齢夫婦二人への社会保障給付費五〇六万円を支払うことはできないのは当たり前である(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、117頁)。
小峰隆夫
2007年度の国民医療費は34兆円でしたが、高齢者が増加する中、2025年度には70兆円に達すると見込まれています(小峰隆夫 『ビジュアル 日本経済の基本』 日本経済新聞社・第4版〈日経文庫ビジュアル〉、2010年、118頁)。

地方財政

松原聡
国家予算は巨額赤字を抱えていますが、地方自治体もその多くが深刻な赤字となっています。(中略)2007年度末で借入金残高は199兆円にものぼります(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、200頁)。
松原聡
地方財政の赤字が深刻化した原因は、基本的には国の財政赤字の場合と同様です。長い不況下で地方経済を下支えするため、多くの自治体が公共事業などに多額の資金を投じてきました。高齢化が進み、福祉関連の予算も増えるばかりです。その一方で、景気が低迷していますから税収は伸びず、地方財政は悪化していきました。また、地方自治体の財源の大半が国に依存しているため、財政規律が働きにくいという問題もあります。自治体は過大な財源を国に求め、それが地方財政の肥大化を促してきたという面があります。これは国の赤字拡大の原因にもなっていました。さらに三位一体の改革により地方交付税が削減された一方で、それに見合った税源移譲が進んでいないことも赤字拡大の要因です(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、200頁)。
岩田規久男
日本の財政が抱えるもう一つの問題は、中央政府に大きく依存して、自立できない地方財政の問題です。特に地方交付税制度です(岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、204頁)。
岩田規久男
日本の地方財政は、「自分の利益になる支出は自分で負担する」という「受益者負担の原則」が成立していないため、歳出の増加に歯止めがかからなくなっています(岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、206頁)。
日本経済新聞社
いつの間にか、交付税交付金は性格を変えていく。地方の歳出が膨張するに伴って増えた財政赤字の穴埋めに使われるようになってしまったのだ。地方歳出増加の一因は国の景気対策に協力させられたことだが、それ以上に、「最後は国が面倒を見てくれる」という甘えが歳出を膨らませた面が大きい。その結果、交付税交付金なしに生きられない自治体ばかりになってしまった(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、166頁)。
日本経済新聞社
地方交付税交付金は十八兆円ぐらいある。この制度は基本的に、財政状況が苦しいところほどもらえる仕組みだ。海外から企業を誘致するなどして域内の経済を活性化させ、財政を改善させれば、その分交付金は減ることにもなる。だから地方の自立を妨げる面がある(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、167頁)。

財政危機説に関する議論

松原聡
本来は赤字国債による借金に頼らず、政府が節約して歳出を減らすか、増税して歳入を増やすことで対応すべきでした。しかし実際には、政府が国民の負担を伴う歳出削減や増税を避けてきたことで、日本は借金漬けの国になってしまったのです(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、110頁)。
鈴木準
国債の利払い費を除いた財政収支を黒字にしなければ、国の債務残高は減りません。ところが、今後、景気が回復に向かうと金利が上昇、多少の削減努力をしても、金利負担が増える分、むしろ残高は増えてしまう。よほどの覚悟で赤字削減に取り組まないと、残高膨張に歯止めがかからなくなる可能性が高いといえます(日本経済新聞社編著 『なるほど!不思議な日本経済-エコノ探偵団レポート・新世紀版』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、285頁)
伊藤修
財政危機を国民に正確に伝えることは不可欠であるが、それを危機煽りの域までいくと経済を萎縮させてしまうし、わかりやすい赤字の原因(たとえば社会保障)を標的にしたりすると政策体系にバイアスをもたらす。国民を操縦しようという驕った考えを絶対にもたないことが肝要であろう(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、77頁)。
山崎元
財政赤字の弊害は一般に、「長期金利の高騰」、「インフレ」、「通貨安(」円安)」の三つだが、現在、日本の長期金利水準は国際的に見ても著しく低く、インフレよりもデフレからの脱却が課題となっており、そのためには円高よりも円安が望ましい、といった状況にある。世の中的に起きている現象を素直に見て、日本円国債がデフォルトする(元利金の不払い等に陥ること)公算は極めて小さい。政府債務残高の対GDP比率だけを見て、「日本円は紙屑同然になる」と慌てるのは賢くない(山崎元 『全面改訂 超簡単 お金の運用術』 朝日新聞出版・全面改訂版〈朝日新書〉、2013年、23頁)。
山崎元
日本経済はまだデフレを完全脱却していない。デフレは通貨の価値が高くなることであり、通貨の価値の裏付けは国家の債務だから、ある意味では国家の債務が過剰に信認されている状態だ(「過剰に」)というのは一般にデフレは問題だから(山崎元 『全面改訂 超簡単 お金の運用術』 朝日新聞出版・全面改訂版〈朝日新書〉、2013年、143頁)。

累積赤字国債額

松原聡
日本の国の財政は、歳出が税収を大幅に上回る深刻な赤字状態にあります。それを埋め合わせるために発行された国債(国の借金)の残高は、2007年度末時点で約547兆円。現在の国の税収が年間で約53兆円ですから、税収約10年分もの借金を抱えていることになります(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、104頁)。
松原聡
ちなみに国と地方をあわせた長期債務残高では、2007年度末で約773兆円。先進国の中で最悪レベルの赤字です(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、104頁)。
高橋洋一
国債償還費を一般会計に繰り入れているのも日本だけです(高橋洋一 『日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える』 光文社〈光文社新書〉、2010年、129頁)。

バランスシート

田中秀臣
単純に、日本の財政は借金=負債だけが存在するのではない。私たちの家計や企業でも借金だけがあるわけではない。現金、預貯金、株式、土地、さまざまな資産を保有しているのが普通だ。当然に政府も借金だけではなく、さまざまな資産を持っている。(中略)政府の持つ資産と負債を比較して、そのうえでの事実上の「借金」を特定するべきだ(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、2頁)。
IMF
日本の政府は莫大な借金を抱えているが、他方で同じくらい莫大な資産を持っている。この企業や家計では当たり前に採用されているバランスシート的な手法はIMFは報告書の中で利用している。資産と借金の両方を見れば、互いに打ち消し合ってしまい、事実上、借金の超過分はゼロに等しい。むしろ国際比較では、米国やイギリスなど先進国の中でもいいほうに位置している(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、5頁)。
高橋洋一
普通の標準理論では、債務だけでなく、債務と資産のバランスで、純債務残高がどのくらいかを見る。国の場合は、中央銀行も含めた統合政府で連結バランスシートを見るのが標準。もちろん、インフレ目標もある。これが標準的な考え方で、これだけで財政の話は全部できる(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、137頁)。
田中秀臣
広義の政府で考えれば日本銀行が国債を保有しても、それは「借金」にはならない(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、172頁)。
高橋洋一
日銀も含めた統合政府のバランスシートで見れば、国債を発行して国の負債が増えても、国債を買った日銀の資産が増えるから、統合政府の純債務残高は変わらない。財政負担はないんですよ(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、96頁)。
滝田洋一
評価損の問題は日銀が国債を満期まで保有すればよいことにしても、期間収益の悪化によって赤字決算が何年か続けば、日銀の自己資本が食いつぶされる。こうした日銀の損失については、政府と日銀が共同で対処する必要があるだろう。この辺が国内の代表的な見方である(滝田洋一 『今そこにあるバブル』日本経済新聞出版、2017年、218頁)。

対GDP比

高橋洋一
左側の資産の合計も650兆円あることがわかる。つまり、国の借金は、差額で見ると350兆円しかなく、GDP比では70%でしかない。確かにネットの債務も徐々に増えてきていることは確かだが、グロスで見た200%という数字を強調するのは、全くのミスリーディングだ(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、51頁)。
高橋洋一
世界でもっとも長い国債発行の歴史を持っているイギリスは、ナポレオン戦争後、および第2次世界大戦後に、債務がGDP比で250%前後に達しているが、その後破綻していない(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、53頁)。
若田部昌澄
だから心配しなければいけないのは、むしろ国全体の稼ぎであるGDPが下がることなんだよね。GDPって返済能力を示す数字でもあるから、今の調子でデフレが続いてGDPが減れば国家破綻するおそれがないとは言えなくなってくる(若田部昌澄・栗原裕一郎 『本当の経済の話をしよう』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2012年、96頁)。

金利との関係

みずほ総合研究所
日本の長期金利が低位安定状態を保っている背景には、その水準が、人々の将来への予想(期待)によって大きく左右されていることがある。名目ベースの長期市場金利は、期待成長率と期待インフレ率、そしてリスク・プレミアムの合計に等しくなるからだ(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、63頁)。
ポール・クルーグマン
日本は過去一〇年以上にわたり、すぐにでも債務危機に直面するといわれてきた。でも危機はいつまでたってもこないし、日本の一〇年国債金利は一パーセントほどだ。日本の金利上昇に賭けた投資家たちは大損ばかりしていて日本国債を空売りするのは「死の取引」とまで言われるようになった。そして日本を研究していた人々は、去年S&Pがアメリカ国債の格付けを引き下げたときに何が起こるか、かなりの見当がついていた--というか、何も起こらないとわかっていた。というのも、S&Pは日本国債の格付けを二〇〇二年に引き下げたけれど、その時もやっぱり何も起きなかったからだ(ポール・クルーグマン 『さっさと不況を終わらせろ』 山形浩生訳、早川書房、2012年、183-184頁)。
野口旭
財政赤字の急拡大にもかかわらず、日本の長期金利は異常に低い水準にある。(中略)これは単に、日本の構造的な貯蓄過剰と民間投資低迷の結果にすぎない。財政赤字にもかかわらず経常収支黒字(=対外資金流出)が持続しているのは、その現れである(野口旭 『経済学を知らないエコノミストたち』 日本評論社、2002年、137頁)。
奥村洋彦
教授の説明によると、金融自由化、ビッグバン(金融大改革)の掛け声にもかかわらず、国債の約六割は資金運用部など政府部門や日本銀行によって保有されてきた。九八年時点で長期国債の発行残高のうち民間金融機関の保有分は約四割。そこで、市場構造がゆがんでしまい、多少売られても、価格、金利が動かなくなった。六割を押さえている政府部門が発行量も価格もコントロールできるかのような『幻想』も生まれた。そして政府債務が多いのに、長期金利(国債の利回り)が低いという特異な状況が生まれたという。ふつうは、政府債務がふくらめば、金利は上昇する。「しかし、世界で特異な、こんな奇妙な状況が長続きするとは思えません」(日本経済新聞社編著 『なるほど!不思議な日本経済-エコノ探偵団レポート・新世紀版』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、283頁)。
山崎元
長期金利が上昇すると、設備投資や住宅ローンの金利も上昇するし、国家財政の負担も増すし、銀行が大量に抱えている国債の価格が下落する(債券の利回りの上昇は、価格の下落を意味する)。これらは、いずれも経済にとって好ましいことではない。こうした状況になると、日本の金融緩和政策にも転機が訪れる可能性が大きい(山崎元 『全面改訂 超簡単 お金の運用術』 朝日新聞出版・全面改訂版〈朝日新書〉、2013年、128頁)。UFJ総合研究所調査部 金利が上昇するということは、現在の歴史的な低金利の時代が終わり、資金の調達にコストがかかる世界、つまり資金の需要と供給の関係が金利の水準によってバランスされる通常の世界に戻ることを意味しています(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、58頁)
UFJ総合研究所調査部
財政再建の道筋が不透明なまま財政の改善が芳しくない場合には、何らかの理由で投資家の期待が変わり、長期金利が大幅に上昇する可能性が否定できません。長期金利が大きく上昇すれば景気が悪化し、名目GDP成長率がさらに低下する恐れもあります(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、185頁)。
金融機関への影響
吉本佳生
銀行は、保有する資産について、最大でどれほどの損失を生む可能性があるかのシュミレーションを義務づけられています。だから、大量保有する日本国債が暴落したときの損失額を計算するのは、ふつうのことです。そして、その損失額が実現しても経営に支障はないと考えているからこそ、それだけの国債保有を続けているのです。(中略)リスクを負ってでも、日本国債を大量保有したほうが平均的には儲かると見込んでいるからこそ、国債を売らずに、むしろ買い増ししたりしているのです(吉本佳生 『むしろ暴落しそうな金融商品を買え!』 幻冬舎〈幻冬舎新書〉、2012年、105頁)。
田中秀臣
しかし公式統計によると、インフレ率が一%程度になっても、長期利回りは二%にもならなかったのです。もし将来二%程度ののインフレになったとしても、利回りはせいぜい数%上がる程度でしょう。これは「金利リスク」と呼ぶほどのものではありません。もしそれで潰れるような銀行や投資家がいたとすれば、それはただ愚かなだけです。国債利回りが上がるとは、国際価格の下落を意味します。ならば別の資産を持てばいい。それができないような金融機関なら、潰れたほうが日本のためです(田中秀臣 『雇用大崩壊 失業率10%時代の到来』 NHK出版〈生活人新書〉、2009年、129頁)。
原田泰
大手都銀、上位地方銀行は、期間の長い国債を持っていないし、株や海外資産を持っているので、国債の下落をこれらの資産の増価で相殺できる。しかし、下位の地銀には、資産の相当部分が長期の国債であるような銀行があるのだろう(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、107頁)。

経常収支の赤字

山崎元
経常収支が黒字を続けている間は、フローのベースで「貯蓄超過」の状態にあることになります。つまり、外国人の対内投資よりも日本人の対外投資の方が多いため、日本国内のマネーフローには余裕があるのです。(中略)経常収支の赤字が続かなければ、日本国内の資金繰りが危機に陥ることは考えにくいのです。言い換えれば、「経常収支が黒字を続けている間は、デフォルトに陥る可能性は低い」ということになります(山崎元 『「投資バカ」につける薬』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、69頁)。

国債依存度

松原聡
歳入総額に占める公債金収入の割合を公債依存度と呼び、2007年度の公債依存度は30.7%となっています(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、112頁)。
高橋洋一
日本では、財務当局が国債依存度などという、世界ではほとんど用いられない数字をマスコミに垂れ流し、それによって国民を一時的なショック状態に陥らせるようなことが行われています。国債依存度というのは、新規国債発行額が予算歳入の何%を占めているかという数字です(高橋洋一 『日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える』 光文社〈光文社新書〉、2010年、127頁)。

通貨建・国内消化

高橋洋一
93%の国債を国内で消化している日本の財政は破綻しないという説は、データからは否定される。『The Time Is Different』によると、実は国債の破綻確率は、自国民の保有が多いか、外国人が多いかは関係ないとされている(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、34-35頁)。
高橋洋一
自国通貨建て債務だろうと外貨建て債務だろうと、破綻する確率は変わらないのだ(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、36-37頁)。
高橋洋一
『The Time Is Different』における破綻の定義は、219ページで見てきた通り、元利の支払いの遅延だけでなく、20%以上のインフレも含む(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、37頁)。
自国通貨建てと外貨通貨建て
ポール・クルーグマン
自国通貨で借りるか外貨建てで借りるかがすさまじい差をもたらすということだ(ポール・クルーグマン 『さっさと不況を終わらせろ』 山形浩生訳、早川書房、2012年、185頁)。
国内消化
山崎元
財政赤字が拡大して国家破綻に近い状況になるのは、その国が、国債の消化を外国に大きく依存するようになった時だ。かつてアルゼンチンが国債デフォルトを起こした前提にあったような状況だ。日本の場合、国債の概ね日本国内で消化されている。つまり、貸し借りは、日本国内で起っている(山崎元 『全面改訂 超簡単 お金の運用術』 朝日新聞出版・全面改訂版〈朝日新書〉、2013年、142頁)。
アバ・ラナー
ラナーは、公債が国内で消化されていれば、国民の負債であると同時に資産でもあるから、発行時点でも償還時点でもその国が利用できる資源に変わりなく、また将来世代への負担が増えることもないとしている(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、32頁)。
野口旭
政府の債務(例えば国債)は民間にとっては資産であり、それは利払いが滞らない限り将来にわたっても資産として保有されることが期待できるからである(野口旭 『経済学を知らないエコノミストたち』 日本評論社、2002年、135頁)。

経済成長・デフレーション

岩田規久男
デフレが続く限り、所得は実質で多少増加しても、名目では増えない。所得税も法人税も名目所得にリンクしているから、名目所得が増えなければそれらの税収も増えない。同じように消費税も名目の消費額にリンクしているから、デフレで名目消費が増えなければ、その税収も減少してしまう。固定資産税も不動産価格が上がらなければ減少してしまう。つまり、デフレを放置しておくと、税収は増えるどころか減ってしまう(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、229頁)。
岩田規久男
政府の税収は実質成長率が高くても、デフレで名目成長率が低ければほとんど増えません。まして、九八年から〇三年(ただし、〇〇年は除きます)のように名目成長率がマイナスであれば、実質成長率がプラスでも、税収は減ってしまいますから、財政再建は不可能です(岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、257頁)。
岩田規久男
デフレを終息させ、1-3%程度のインフレを安定的に維持しなければ、財政構造改革どころか、財政は破綻の道を歩むであろう(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、230頁)。
森永卓郎
デフレを放置すればある時点で最も恐ろしいハイパーインフレに転じて、日本経済は破綻します(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、35頁)。

家計との比喩について

財務省
財務省のホームページ「日本の財政を考える」も、辛坊両氏と同じように、国の借金を家計の借金にたとえて、「公債発行による借金は、将来世代への負担の先送りにほかなりません」という(岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、11頁)。
竹中平蔵
われわれの庶民感覚では「借金は返さなければいけない」ということになりますが、これを国レベルに当てはめるのには無理があります。実際に、これまでの歴史のなかで、借金を返した国などありません(竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、115-116頁)。
若田部昌澄
国は税金が取れる、というのが一番違う。それと税金には、インフレというかたちでの税金もある。極端な話、日本の場合、国債を買っているのはほとんどが日本国内の個人や法人だから、どうしても減らせと言うなら日銀がカネを刷って返せばいい。(中略)もっとも、国の借金は、返さなくたって別にかまわないんだよね。(中略)政府の債務は、家計の借金というより、企業の借金に近い。企業というのは借りたおカネで事業をするわけだから、借金を恒常的に抱えていてもおかしくない(若田部昌澄・栗原裕一郎 『本当の経済の話をしよう』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2012年、95頁)。
岩田規久男
国は家計と違って、自分で稼いで借金を返済するのではない。お金を稼ぐのはあくまでも国民である。これまで、国は国民に、稼いだお金で国債を買ってもらって、財政赤字を埋めてきた。その国民が国の返済能力を疑って、国債を買おうとしなくなるなら、国には家計と違って課税権があるから、増税して、財政支出を賄えばよい(岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、35頁)。
竹森俊平
国が「債務」を負う場合には、個人の「債務」と違い、「借金は金利を含めて全額、期限までに支払わなければならない」という規則を守らなくてもよい。この点に注意が必要だ。つまり、公債の発行を通じて、国が債務を負う場合、国にとっては、満期の来た公債への支払いを新発公債からの収入でまかなう「ロール・オーバー(借り換えによる債務の実質的な先延ばし)」という選択肢があり、しかも個人には「寿命」があっても国には「寿命」はないから、「ロール・オーバー」をいつまでも続けていけば、実質上、債務の返済期限はいくらでも先に延ばせる。ようするに、新発公債が市場で消化され続けさえすれば、国は短期に債務の全額を返済する必要はない。もちろん、国の債務が短期に全額返済されなくてもよいということは、それが無制限に膨張してよいということではない。しょせん、長期的にも政府の行動は何らかの予算制約を満たさなければならない(竹森俊平 『経済論戦は甦る』 日本経済新聞出版社〈日経ビジネス文庫〉、2007年、153-154頁)。
将来世代へのツケ
UFJ総合研究所調査部
財政赤字が将来世代に対する負担の先送りではないかといわれるのは、無駄な歳出が多くて財政赤字が拡大していると懸念があるからです(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、42頁)。
竹中平蔵
重要な点は、団塊の世代以上の年齢層は、赤字の問題が顕在化するころには生涯を終えており、実体的な影響を受けずに済む可能性が高いということだ。この世代はまさに「食い逃げ世代」なのである。財政赤字をつくるだけつくって、あとの問題はすべて若い世代に預けて死んでいくことになるだろう。けっきょくのところ財政赤字の問題というのは、日本のような特殊な高貯蓄社会においては、いまの世代が次の世代のことをどの程度真剣に考えているかどうか、という問題なのである(竹中平蔵 『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』 ぎょうせい・第2版、2001年、145-146頁)。
円居総一
国債の増発は、それを買うのが現在世代の国民だから、子孫に赤字負担を付け回すことにはならないからだ(円居総一 『原発に頼らなくても日本は成長できる』 ダイヤモンド社、2011年、178頁)。
岩田規久男
将来世代は一方で、国債利払いと国債償還のために税金を納めるが、他方で、国債利払いと国債償還を受けるいるから、納税とともに将来世代のポケットから国に渡ったお金は、国債利払いと償還とともに将来世代のポケットに戻ってくる。したがって、財務省の言う意味では、「公債発行による借金は、将来世代への負担の先送りにはならない」のである。これは、外国人が日本の国債を保有している場合でも、日本のように、対外純債権国であれば成立する(岩田規久男 『経済学的思考のすすめ』 筑摩書房、2011年、11頁)

地方財政

日本経済新聞社
政府によると、自治体の借入金額は二〇〇一年度末で百八十八兆円と九〇年度末の約三倍に膨らむ見通しで、地方財政の再建は急務になっている(日本経済新聞社編著 『そうか、わかった!いまどき日本経済-エコノ探偵団デフレの街を行く』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、45頁)。

財政再建に関する提言・議論

増税(消費税)と歳出(社会保障費など)の抑制

土居丈朗
財政赤字の削減のためには、歳出削減や国有財産売却など、国民に納得のいく政府の努力は必要である。しかし、これほどまでに膨らんだ財政赤字は、残念ながらそれだけでは解決できない。いずれ、劇的な増税をしなければ、財政赤字問題は解決しない(ダイヤモンド社編著 『日本経済の論点いま何が問題なのか』 ダイヤモンド社、2004年、96頁)。
反論
日本経済新聞社
確かに財政赤字の大きな原因は、景気の低迷による税収悪化だ。日本の財政が八〇年代後半から九〇年にかけて好転したのも、米国の財政赤字が二〇〇〇年にかけて均衡化したのも、好景気で税収が増えたためだ。景気が悪い時に、赤字減らしだけを優先して増税したり、歳出をむやみにカットしたりしたらどうなるか。景気はもっと悪くなるだろう(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、153頁)。UFJ総合研究所調査部 プライマリーバランスの改善のために歳出削減や増税を急いで景気が腰折れしてしまうと結果的に名目GDP成長率が下がり、逆に財政破綻のリスクが高まる恐れもあります(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、185頁)。
UFJ総合研究所調査部
財政赤字=社会悪というわけではありません。歳出カットと増税でやみくもに赤字を減らすのではなく、本当に必要なところにお金が使われるように歳出の中身をチェックすることがまず必要です(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、42頁)。
みずほ総合研究所
大幅な歳出削減を実現したところで、デフレ経済下では財政破たんの懸念が常につきまとうことに注意が必要だ。(中略)単年度で財政収支が均衡しても、政府債務は利息分だけ増加することになる。新たな国債発行を抑制したとしても、このような状況が続けば、この比率は雪だるま式に大きくなり、結果として財政破たんは避けられない。歳出削減と同時に名目GDPの成長率を引き上げる政策が不可欠である(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、108-109頁)。
池田信夫
消費税を2%上げただけで内閣の倒れた日本で、数十%の増税や歳出削減は政治的には不可能だ(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、149頁)。

増税

松原聡
日本の財政赤字は巨額なため、歳出削減だけの再建策では限界があります。近い将来、増税は避けられない情勢であり、最も有力視されているのが「消費税率の引き上げ」です(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、122頁)。
水谷研治
国家財政を破綻させないためには、インフレになる前までに国の借金を大幅に削減しなければならない。そのために国民が大増税を容認することが必要がある。景気は当然ながら急落する。それに耐え抜かなければならない(ダイヤモンド社編著 『日本経済の論点いま何が問題なのか』 ダイヤモンド社、2004年、30頁)。
熊谷亮丸
その政治家を選んできたのは誰なのだろうか?わが国は「独裁国家」ではなく、れっきとした「民主主義国家」である。政治家の質が落ちているのだとすれば、それは日本人の「民度」が落ちていることを映す鏡に過ぎない。象徴的な事例が、国民の間に蔓延する「消費税引き上げ」に対する過剰なアレルギーである。わが国の財政状況を踏まえると、消費税の引き上げが避けられないことは間違いない。「民度」を高める--つまり、国民一人一人が「見識」を持つことしか、この国を財政破綻から救う道はないのである(熊谷亮丸 『消費税が日本を救う』 日本経済新聞出版社〈日経プレミアムシリーズ〉、2012年、293頁)。
注意点
松原聡
消費税の引き上げは、国民の消費生活に直結するだけに、実施時期の判断も重要です。将来的に引き上げるのはやむを得ないとしても、その時期はできるだけ先に延ばせるほうが望ましいはずです。実際、歳出の削減や「埋蔵金」の見直しのような財政のスリムアップをはじめ、税率引き上げの前にやるべきことはたくさんあるのです(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、122頁)。
松原聡
私は、財政再建は必要だし、そのためには消費税は上げざるを得ないと考えています。しかし、消費税を上げる前にやるべきことは山ほどあるはず。その一つがこの埋蔵金です。(中略)国民の負担になり景気にもマイナスの消費税アップは、こういったやれることをやった後に行うべきでしょう(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、124頁)。
岩田規久男
経済が安定的に成長するようになった段階で、税構造を見直し、増税を実施することである(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、252頁)。
反論
日本経済新聞社
歳出抑制の努力をせずに、赤字減らしや社会保障費増加の財源を増税や保険料引き上げに頼るのも望ましくない。そうすれば、国民負担率は簡単に五〇%を突破、高福祉高負担の北欧レベルに近づくことになりかねない(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、158頁)。
若田部昌澄
財政再建とか言って増税してデフレが悪化してしまうとGDPも下がるから、そのうち本当にデフォールトしかねないかもね(若田部昌澄・栗原裕一郎 『本当の経済の話をしよう』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2012年、96頁)。
田中秀臣
不況下にもかかわらず、なぜか増税と景気対策がワンセットで議論されているほどです。これは完全なマッチポンプで、経済学の一般常識としてはあり得ません。政権与党のある政治家に言わせると、長期的な財政再建にコミットしなければいけないとか、責任政党だからということになるらしいですが、なんの説明にもなっていません(田中秀臣『雇用大崩壊 失業率10%時代の到来』NHK出版〈生活人新書〉、2009年、126頁)。
飯田泰之
現在、国から地方への再分配の中心である地方交付税交付金約15兆円。世代間の再分配の中心である年金の国庫負担は約10兆円。これらの配分を見直すことで、増税による財源確保を最小限に抑える方法もあり得ます(飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、265頁)。
田中秀臣
財務省は増税すればするほど、それだけ自らの予算配分などの権限が増す。権限が増せば、国会議員などへの交渉力のアップや、また将来の天下り先の確保だけでも有利に働くだろう。そのために増税というのは、「財政再建」という美名に隠れた、財務省の欲望を実現するための手段である(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、3頁)。
田中秀臣
財務省はまた、国際機関にも血税を利用して工作員(海外出向者)を送っている。その有力な工作先がIMF(国際通貨基金)である。そのためいままでIMFが日本に提言してきた政策は、財務省の息のかかった増税の要求や財政再建ばかりであった(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、5頁)。

歳出・社会保障費の抑制

反論
日本経済新聞社
日本の九〇年代を振り返ると、一部の建設業者が潤うだけで、経済全体への波及効果が薄い事業への支出が膨らんだ面は否めない。財政赤字が膨らむなかで所得減税をやっても、いずれは増税されるのではという予想が働いて、消費もそれほど増えないはずだ。経済好転につながらない無駄ダマを打ったことも、赤字増加につながっている面はありそうだ。ただ、経済活性化に将来的にプラスになるような「出血」は、一時的に赤字拡大につながるからといって、必ずしも拒絶すべきでない(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、153-154頁)。
伊藤修
制度がどうであろうが、扶養には一定の金がかかり、それは社会保障のための「公的負担」と、自分での備えや家庭内での扶養のような「私的負担」という、二つのルートで支えている。総負担=公的負担+私的負担、という関係にある。だから社会保障を縮小して公的負担を切り下げても、私的負担がちょうどその分ふえるだけ、「正味の負担」が減るわけではまったくないのである。高齢化で若者が大変だから社会保障水準を引き下げようというのは、公的ルートだけに気をとられて私的ルートのことを考え忘れた初歩的誤りだということになる(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、270頁)。
熊谷亮丸
現実問題として、国会議員の定数を是正しても捻出できる財源は100億円規模には届かない。国債発行額が税収を上回っている状況下で、無駄な歳出さえ削れば財政再建できるかのような幻想を振りまくことは、国民に対する欺瞞とも呼べる行為である(中略)政治家が「まず隗より始めよ」で自らの身を切る姿勢を示すことは、国民の増税に対する理解を得る意味で極めて重要だ(熊谷亮丸 『消費税が日本を救う』 日本経済新聞出版社〈日経プレミアムシリーズ〉、201-202頁)。
原田泰
生活保護費の不正受給が問題になっているが、財政問題としてはたいしたことはない。もちろん、モラルの問題は大きいが、モラルと財政の問題は区別しておくべきだ。そうしないと、モラルの問題を解決すれば、財政問題が解決するという誤解を与えかねないからである(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、110頁)。

国有資産の売却

高橋洋一
日本政府の資産650兆円のうち、400兆円以上は金融資産だ。金融資産とは、現金、預金、貸付金、有価証券、出資金などで、売るのも簡単だ(高橋洋一 『「借金1000兆円」に騙されるな!』 小学館〈小学館新書〉、2012年、52頁)。
反論
原田泰、大和総研
取り崩した分の国債発行を抑制できるのは一度きりのことで、ほかの条件が同じならば、翌年以降の国債発行額は元に戻ってしまう。取り崩した埋蔵金は、せめて債務償還に充てたいが、そうしたところで政府の純資産は回復しない。もちろん、借金を返したからといって税収が増えるわけではない。(中略)だからといって、埋蔵金取り崩しに意味がないと考えるのも大きな誤りである。(中略)政府の総債務残高を増やさない点にある。(中略)第2に、そもそも政府が保有すべきでない埋蔵金を明らかにして減らすことに、財政改革に直結する。(中略)第3に、取り崩し可能な埋蔵金によって、財政の中期プランを実行していくための改革論議を尽くす時間が確保できる(原田泰・大和総研 『新社会人に効く日本経済入門』 毎日新聞社〈毎日ビジネスブックス〉、2009年、44、46頁)。
土居丈朗
資産売却益を返済財源に充てるなら、資産の売却額が事前に正確に予測されなければならないが、あまり当てにできない(ダイヤモンド社編著 『日本経済の論点いま何が問題なのか』 ダイヤモンド社、2004年、92-93頁)。

国債の買いオペレーション

森永卓郎
日銀が国債買い切りオペを進めて市場にもっとマネーの大量供給せよという声が高まっています。これは国債の乱発につながり、国債急落の引き金になるとして反対する論者もいますが、むしろ逆でしょう。これは日銀が国債を買い支えることをを意味しますから、国債の急落を防ぐ一つの手段になります(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、75頁)。
田中秀臣
日本銀行の金融緩和が継続し、それが経済の安定化に寄与すれば、これからも財政状況の健全化と経済規模の拡大が進んでいくだろう(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、30頁)。

経済成長

竹中平蔵
国債についてはですね、ナポレオン戦争のあとのフランス、第二次世界大戦後あとのイギリス、どちらもものすごい額の国債を持っていましたが、返していません。返せないですよ。返そうと思ったらものすごい財政黒字を出し続けなければなりませんから、重要なのは、これ以上増やさないことです。たとえ二%の経済成長でも三五年でGDPは二倍になりますから、そのころには、それほど問題ではなくなります(竹中平蔵 『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』 ぎょうせい・第2版、2001年、99-100頁)。
高橋洋一
国が破綻するという人の中には、一-二年の間に国債価格が約二五%低下することを指している人もいるようです。しかし、国際価格の二五%の低下は、日本がノーマルな成長をすれば--名目経済成長率(GDPの名目額の伸び率のこと。物価変動の影響を取り除いた成長率は、実質経済成長率)が四-五%になれば、国債金利も四-五%になるので、当然のことです。そうした当然の変化も、「国の破綻」といっしょに議論されていることがあります。この場合、GDPが増えていますから、税収も上がり、問題になりません。かつて名目成長率が四-五%のときに国債金利が四-五%でも、財政問題が生じなかったという事実からもわかるでしょう(高橋洋一 『日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える』 光文社〈光文社新書〉、2010年、132-133頁)。
IMF
また最近のIMFの若手研究者たちは、財政状況の改善は、増税によるものではなく、(改善が見られた年度に)先立つ経済成長率が上昇していること、そして中央銀行(日本では日銀)が積極的な金融緩和政策を行うことで金利を押し下げる効果と国債の買いオペによって、事実上の政府の負債を「圧縮」できたとした(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、56-57頁)。
反論
財務省
財務省の理屈だと、減税や金融緩和などで経済の規模が年々大きくなり、そこから生み出される税収増は「ない」という前提だ(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、105頁)。
大和総研
景気回復で解消する赤字は小さく、構造的赤字の解消に向けた抜本的対策がとられる必要があるのです(大和総研 『最新版 入門の入門 経済のしくみ-見る・読む・わかる』 日本実業出版社・第4版、2002年、158頁)。

デフレーション脱却

池田信夫
おそらく唯一の選択肢は、国債を日銀が引き受けて通貨を増発し、インフレを起こすことだろう。単純に計算すれば、3%のインフレを5年間続ければ、実質的な債務は15%減る。国債の日銀引き受けは財政法で禁じられているが、国会決議があれば可能だ。ただしインフレを制御できるかは解らない(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、149頁)。

デジタル庁の創設

田中秀臣
デジタル庁ができれば、対財務省になりますよね。マイナンバーカードと銀行口座を紐付けた税や社会保険料、NHK受信料などの歳入管理もできる。これはもう歳入庁ですけれどね。税の徴収がより公平・効率的になるし、年金保険料の徴収漏れも減る(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、27頁)。

地方への税源移譲

松原聡
税源と権限を国から地方に移し、各自治体が必要な行政サービスを自身の税収でまかなえる体制を整えれば、個々の自治体が税収に見合った歳出をしていくようになり、地方財政の効率化が図られるはずです(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、200頁)。

日銀の資産と政府の負債を相殺

ジョセフ・E・スティグリッツ
日銀が保有している国債は、日銀の資産であると同時に、政府の負債である。政府と日銀をひとくくりにする統合政府の考え方に基づいて、日銀の資産と政府の負債を相殺したらどうか。スティグリッツ教授の「キャンセリング」にはそんな意味が込められている(滝田洋一 『今そこにあるバブル』 日本経済新聞出版、2017年、208頁)。
滝田洋一
欧米の碩学の基本的な考え方は、政府と中央銀行を合わせた「統合政府」というのもので、政府の借金(国債)を日銀が保有しているのは、家庭内で夫に妻がお金を貸しているのと同じことと考える。家庭全体で見れば、貸し借りは相殺されチャラになる。統合政府で見ても、政府と日銀の貸し借りをチャラにすれば、その分は実質的な国債の発行額が減るというわけだ(滝田洋一 『今そこにあるバブル』 日本経済新聞出版、2017年、211頁)。

歴史

田村秀男
日本は明治維新後から戦後復興時まで、第一次大戦の戦争特需に沸いたほんの一時期を除き、一貫して債務国だった(麻木久仁子・田村秀男・田中秀臣 『日本建替論 〔100兆円の余剰資金を動員せよ!〕』 藤原書店、2012年、207頁)。
伊藤修
第一次世界大戦(一九一四-一八年)は日本経済の転機となった。回線当初は当然ながら混乱したものの、やがて戦場となったヨーロッパから世界市場への輸出が途絶え、それに代わるかたちで輸出が激増して大活況になった。(中略)累積債務が一気に解消したことが大きかった。日清戦争後のかなり無理をして軍備を拡張したうえ、日露戦争は国の総力を上回るような必死の戦いであったからロンドンで奔走してかき集めた借金が累積していた。輸出で得た外資でこの危機を脱出することができたのだった(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、43-44頁)。
伊藤修
戦後直後は、GDPのデータがなくて計算できないが、おそらく債務比率は二五〇%を超えたと思われる(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、257頁)。
日本銀行
日本銀行自身の調査によれば、一九四五年八月の終戦直後から始まったインフレによって、戦前の一九三四-三六年にかけての消費者物価指数(CPI)を一としたとき、一九五四年は三〇・八と、八年間で物価がおよそ三〇〇倍のも高騰しています。このハイパーインフレの原因は戦前から戦中にかけての戦時国債、さらに終戦後にも軍人への退職金支払いなどに要する費用を賄うために政府が発行した国債を日本銀行が引き受け、銀行券の発行高が膨れ上がったためであるとされます(田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年、135頁)。
森永卓郎
第二次大戦中に発行した戦時国債を、「国債を買いませう」という宣伝をまともに受け止めて購入した人は、とんでもない目にあいました。その後の戦時インフレで終戦時の物価は戦前の三倍、戦後のインフレはさらにひどくなり、四年間で東京の小売物価は終戦時の八〇倍になりました。デフォルトこそしなかったものの、戦時国債はほとんど紙屑になったも同然でした(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、177-178頁)。
栗原昇
1965年補正予算での赤字国債(2590億円)の計上でした。翌66年度予算では7300億円の建設国債が予定されました(栗原昇・ダイヤモンド社 『図解 わかる!経済のしくみ[新版]』 ダイヤモンド社、2010年、110頁)。
松原聡
90年度から93年度までは赤字国債の発行をゼロにできたのです(松原聡 『日本の経済 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!)』 ナツメ社、2000年、110頁)。
第一勧銀総合研究所
景気対策のテコ入れのために大規模な所得税や法人税の減税が行われたことも、税収の一段の落ち込みをもたらしました(第一勧銀総合研究所編著 『基本用語からはじめる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、144頁)。
伊藤修
橋本龍太郎内閣の政策の失敗にあった。第一に財政再建に踏み出したことである。アメリカのグラム・ラドマン法(一九八五年)にならって財政構造改革法を制定し、期限付きで財政赤字を縮小しようとした。結局、不況の深刻化でこの法律の実行継続は不可能になり、最後は停止されてしまうのだが、財政支出は引き締められた。また九七年度には、消費税の三%から五%への引き上げ、所得税の特別減税の打ち切り、医療費の本人負担の引き上げをおこない、これらを合わせて九兆円規模の国民負担の増加になったと見積もられている(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、152頁)。

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