経済・経済学に関するメモ。

小室直樹
セイの法則とは、市場に供給されたモノは必ず売れる--という驚くべき法則である(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、43頁)。
ジャン=バティスト・セイ
セーという19世紀フランスの経済学者は、物をつくれば絶対に売れると考えました。セーの言葉で言えば、「供給はそれ自らの需要をつくりだす」。この考えを元に、諸財の超過需要は恒等的にゼロであるとしました。これは「セーの恒等式」と呼ばれています。経済全体はさまざまな市場によって構成されますが、セーの恒等式は財市場しか考えません(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、112頁)。
ジャン=バティスト・セイ
セーは、農産物や工業製品などの物をつくれば、それらは必ず売れて、それによって得た収入はすべて物を買うことに使ってしまい、最終的に超過需要はゼロになると考えました。農産物で超過需要が出たときには、工業生産物はそれを打ち消すだけの超過供給という考え方で、個々の物不足はあるのだけれど、全体では物不足はない。言い換えれば、農業部門は不況があるけれども、工業部門が栄えることで、経済全体でも不況はないという考え方です。これは古典派経済学です(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、112-113頁)。
田中秀臣
古典派経済学では、農産物や工業財の話は出てきますが、貨幣の話は中心ではありません。事実上、貨幣に対するやりとりをする市場がないと考えています(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、113頁)。
小室直樹
ケインズが登場するまで、殆どの経済学者は「暗黙」のうちにセイの法則を前提としていた(小室直樹 『経済学をめぐる巨匠たち』 ダイヤモンド社〈Kei BOOKS〉、2003年、43頁)。

セイの均等式

田中秀臣
セーの均等式。これは、財・サビース、労働、債券の超過需要の和は恒等的にゼロ、というもので、マーシャルら新古典派経済学が採用しています。財・サービス、労働で超過供給が発生すると、つまり売れ残りや失業が発生すると、債券の超過需要になるということです。債券が不足しているので、債券をどんどん発行していくと、債券利子率は低下していきます。それが投資を刺激して、労働者を雇ったり、物をつくるための原材料を買ったりすることにつながり、財やサービスや労働の超過供給がだんだん解消されていて、完全雇用になりますこの新古典派経済学では、貨幣について古典派経済学よりもまともに考えましたが、専門的にいえば貨幣市場は常に需要と供給がイコールになっていて、この貨幣市場の役割を考えなくても上記で説明したような、財・サービス、労働、債券市場の調整メカニズムには本質的な影響は与えません。その意味では古典派経済学と似ています。ただ古典派経済学に比べて、異なる市場の相互依存性をそこそこ考えているので「新」がかんむりにつくのです(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、113-114頁)。

Menu

貨幣・通貨

資本主義・市場経済

管理人/副管理人のみ編集できます