経済・経済学に関するメモ。

田中秀臣
現実のGDPは、消費、投資、政府支出、海外との取引から形成されている。この四つの要因を総称として「総需要」とも呼んでいる。景気とは、この消費や投資といった総需要が自律的に変動することによって生じる現象だ(飯田泰之・田中秀臣・麻木久仁子 『「30万人都市」が日本を救う! 〔中国版「ブラックマンデー」と日本経済〕』 藤原書店、2015年、27頁)。
岩田規久男
景気循環に関しては四つの説が有名です。それらは景気循環の周期の短いほうから、キチン循環、ジュグラー循環、クズネッツ循環、および、コンドラチェフ循環です。これらの循環の名前は、その循環の発見者の名前をとっています。また、循環は波とも呼ばれます。すなわち、キチンの波、ジュグラーの波、クズネッツの波、および、コンドラチェフの波です。それぞれの循環は特定の経済活動に関連付けられています(岩田規久男 『景気ってなんだろう』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2008年、16頁)。
小塩隆士
かつては、過去の経済指標の動きからこうした景気循環を抽出するという作業が盛んに行われてきました。しかし、最近では、景気循環のメカニズムについてはさまざまな理論的検討がされるようになり、単純なサイクル探しや現実への当てはめ作業は、一部の人たちを除くと経済学者の手を離れています。とは言っても、景気が循環的な動きを示すことは否定できません。現場のエコノミストや政府・日銀の担当者が景気動向を判断する上で、景気循環の存在や経験則はやはり重視されています(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、131頁)。
小峰隆夫
短期的な経済変動は主に支出面の動きで決まると考えられているため、景気の動きを見る場合には、主に支出面から見たGDP成長率が使われます(小峰隆夫 『ビジュアル 日本経済の基本』 日本経済新聞社・第4版〈日経文庫ビジュアル〉、2010年、14頁)。

オリンピック不況

原田泰
より興味深い事例として「オリンピック不況」というものがある。オリンピックないしは万博、あるいはサッカー・ワールドカップのような大きなイベントの後には、イベントのための公的支出、それに触発されて拡大した民間投資、民間消費需要が落ち込むために不況が来るという説である(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、86頁)。
原田泰
日本では東京オリンピック以外に、オリンピック後に不況がくるという事実は観察されていない(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、90頁)。
原田泰
日本の冬季オリンピックや世界のオリンピック前後の景気を見ても、オリンピック不況といえるケースは少ない。万博について見ても同じで、万博後に不況になる確率が高いのは日本だけである(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、86頁)。

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