経済・経済学に関するメモ。

飯田泰之
供給能力、サプライドサイドが圧倒的に不足している状態だと、フィリップス曲線の関係自体が成り立ちにくくなります。フィリップス曲線を導く理屈は労働需要不足の状況を前提にしていますから、70年代にフィリップス曲線が説明を失うのは当たり前のことです(勝間和代・宮崎哲弥・飯田泰之 『日本経済復活 一番かんたんな方法』 光文社〈光文社新書〉、2010年、112頁)。
飯田泰之
このようなフィリップス曲線は、インフレが発生しても賃金額が変わらないという条件を前提にすると導くことができます。インフレで支払う名目の賃金が変わらなければ、企業から見て労働者を1人雇う実質コストが下がりますから、結果としてインフレ時には雇用が拡大するというロジックです。しかし、企業が雇用を拡大して「実際に働く人」が増加するのは、それまで「働きたくても働けなかった」という非自発的失業者が存在するときに限られます。あまりにも手厚い失業給付や生活保護に依存して「働く気がない」人が失業者の大半を占めるときには、フリップス曲線のような関係は消滅します。また、フィリップス曲線は期待インフレ率(人々のインフレ率の予想値)にも大きく依存します(勝間和代・宮崎哲弥・飯田泰之 『日本経済復活 一番かんたんな方法』 光文社〈光文社新書〉、2010年、137頁)。
岩田規久男
マネタリズムは、「短期的には、フィリップス曲線は右下がりであるが、期待インフレ率が現実のインフレ率に一致する長期では、フィリップス曲線は垂直である」と主張する(岩田規久男 『基礎コース マクロ経済学 (基礎コース 経済学)』 新世社・第2版、2005年、192頁)。
伊藤元重
フリードマンの考え方に大きな影響を受けた新古典派のマクロ経済学者たちは、伝統的なケインジアンが提案するようなファイン・チューニング型のマクロ経済政策の効果に疑問を提示しています。彼らによれば、景気の状況によって金融政策や財政政策を頻繁に動かすのはかえって経済の不安定を招く結果になります(伊藤元重 『マクロ経済学』 日本評論社、2002年、167頁)。

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