経済・経済学に関するメモ。

松原聡
公共事業とは、道路や公園、下水道などの公共施設を建設・整備することです(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、154頁)。
竹中平蔵
公共事業 国民生活に資するために政府や地方自治体などが税金を使って行う事業。民間の需要が落ち込む不景気の時期には、公共事業によって需要を創出し、景気を浮揚させる、というのが伝統的な経済政策の一つ(竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、38頁)。
竹中平蔵
公共投資 将来的に国家の利益となると見込まれるものに税金を使うこと(竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、231頁)。

公的固定資本形成

みずほ総合研究所
公的固定資本形成は、政府がつくる道路やダムといった社会資本整備をはじめ、公団・公社が行う設備投資や住宅投資のことをさし、一般的に公共投資と呼ばれている(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、43頁)。

PFI

第一勧銀総合研究所
民間活力を活用して効率的な公共施設の整備を行うPFI(Private Finance Initia-tive)が注目されています。PFIとは、民間の資金や経営能力、技術力を活用して公共施設の建設や維持管理、運営を行う事業手法で、財政支出を削減しながら質の高いサービスを効率的に提供できると期待されています。九二年にイギリスで始まり、日本でも、九九年九月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が施行されて、すでに一部の地方公共団体でPFIを使った事業が実施されています(第一勧銀総合研究所編著 『基本用語からはじめる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、52頁)。

費用便益分析と経済効果

マイケル・サンデル
費用便益分析とは、あらゆるコストと利益を貨幣価値に換算し、それらを比較することによって複雑な社会的選択に合理性と厳密さを持ち込もうとするものである(-マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう--いまを生き延びるための哲学』 鬼澤忍訳、早川書房、2010年、57頁)。
竹内健蔵
政府は「費用対効果分析(費用便益分析)」という方法を使って、公共プロジェクトの実施がその投資額に見合うものであるかどうかを検討し、ゴーサインを出すか出さないかを決める制度を作っている。費用対効果分析では、ある公共プロジェクトに年々発生する費用の額を合計する一方で、そのプロジェクトから年々発生する経済効果(便益)の額を合計し、その合計した費用と経済効果の額が比較される。経済効果が費用を上回れば、そのプロジェクトは社会にとって望ましいと判断できる(竹内健蔵 『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』 日本経済新聞出版社〈日経ビジネス人文庫〉、2017年、239-240頁)。
高橋洋一
費用対効果がプラスであることがはっきりしている公共事業ならば、行う価値があると考える(高橋洋一 『高橋教授の経済超入門』 アスペクト、2011年、28頁)。
高橋洋一
公共事業では、その後追加するコストと完成した場合の便益を計算する必要が出てくる(高橋洋一 『高橋教授の経済超入門』 アスペクト、2011年、163-164頁)。
竹内健蔵
維持・補修・更新をしていれば得られたであろうその社会資本の経済効果である。もちろん維持・補修・更新に必要な費用が機会費用(経済効果)を上回っていれば、そのような設備は維持・補修・更新をする必要はない。しかし、特に都市およびその周辺にある社会資本については、その経済効果はかなり大きいだろう(竹内健蔵 『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』 日本経済新聞出版社〈日経ビジネス人文庫〉、2017年、72-73頁)。
竹内健蔵
社会資本は一度造ったらそれで終わり、というわけにはいかないということを認識しておかなければならない(竹内健蔵 『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』 日本経済新聞出版社〈日経ビジネス人文庫〉、2017年、73頁)。
竹内健蔵
新規開業で得られる経済効果も設備更新後の経済効果も、他の事情を一定とすれば、ほぼ同じと考えてよい(竹内健蔵 『あなたの人生は「選ばなかったこと」で決まる 不選択の経済学』 日本経済新聞出版社〈日経ビジネス人文庫〉、2017年、73頁)。

景気対策としての効果

小塩隆士
公共投資は、景気対策の重要な手段としてしばしば位置づけられます。景気が不況に陥っているのは、世の中の需要が不足しているからだ、だとすれば政府がモノやサービスを購入すればよい、というのがその発想です(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、199頁)。
大竹文雄
税金を使って公共投資や公共サービスを拡充することは、所得の高い人から失業した人に所得の再分配を行なうという格差縮小策であると同時に、失業という一種の非効率性を解消する政策でもある(大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、150頁)。
大竹文雄
モノが売れなくなるから、失業が発生する。こうした循環が続いてしまって、長期の不況が発生するというのが小野理論の仕組みだ。このような悪循環を止める方法は、ただ一つ、失業者を公共投資や公的サービスによる雇用で雇うことだ。問題の発端は、人々の守銭奴的な貯蓄過剰にあるのだから、政府によってモノやサービスの需要を作り出すことが大切なのである。この時に大切なことは、役に立たないものやサービスを作り出しても意味がないことだ。それなら、失業者にお金を直接渡したほうが、資源を浪費せずにすむ。生産能力を高めるような公共投資も意味がない(大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、149頁)。
UFJ総合研究所調査部
公共投資の拡大による成長率の押し上げ効果は、あくまで一時的だからです(UFJ総合研究所調査部編著 『50語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2005年、77頁)。
三和総合研究所
プラス成長を維持するために、公共事業の「ばらまき」を続けても仕事が増えるのは地場の建設業者ぐらいであり、「景気へのプラス効果が波及する」といわれても、多くの人にとっては実感できるものではない(三和総合研究所編著 『30語でわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、9頁)。
松原聡
公共事業の場合は、景気への刺激が一部に限られることが問題です。一時的に建設業やセメント業などは潤うものの、実はほかの企業への波及効果が少ないのです。また公共事業で使う機械を外国から買ったり、働き手も外国人労働者を頼る場合が多いので、国内の景気刺激にはつながらないのです(松原聡 『日本の経済 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!)』 ナツメ社、2000年、152頁)。
内田勝晴
いくら政府が投資を増やしても、民間投資がその後を追って盛り上がらなければ、景気はよくならない。また投資が外に漏れてしまうのでは、貯蓄が増えてもわが国の景気はよくならない。投資・生産・所得・貯蓄の輪が国内で完結しなくなったのだ(内田勝晴 『家康くんの経済学入門-おカネと貯蓄の神秘をさぐる』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2001年、208頁)。
小野善康
小野理論によれば、満足度を高める公共投資や公的サービスを増やすことで失業者を減らすことが一番の不況対策だ(大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、149頁)。
伊藤元重
もちろん現実の世界では、穴掘りのような無駄な公共事業をする必要はありません。道路建設をつくったり、研究開発を行うという、社会的に意味がある支出をすることによって、同じような刺激効果が期待できるわけです(伊藤元重 『はじめての経済学〈下〉』 日本経済新聞出版社〈日経文庫〉、2004年、48頁)。
岩田規久男
こうした民間投資誘発型の公共投資は、土木工事関係者の所得が一時的に潤すという単発的効果ではなく、社会資本整備が民間資本と結合して恒久的に所得を生み出すという効果を持っている(岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、181頁)。

減税・給付金との違い

高橋洋一
同じ財政政策という点から見ても、政治的な意味で考えればまだ減税のほうがフェアであると言える。公共投資は特定の業者への利益供与につながるが、減税はすべての国民に対して公平に行われるからだ(高橋洋一 『高橋教授の経済超入門』 アスペクト、2011年、159頁)。
小野善康
無意味な公共事業と減税は本質的には同じなのである。(中略)穴を掘って埋めるだけや、環境破壊を引き起こすような公共事業は、即刻やめて失業を放置しておいた方がましである(日本経済新聞社編著 『やさしい経済学』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、190頁)。
原田泰
仕事を与えるのは良いことに違いないが、その仕事が、自動車の走らない道路、船の来ない港湾、飛行機の飛ばない空港を作ることだったら、格差の縮小はとてつもないなコストがかかる。それよりも、生存権を満たすためのお金を直接配ったほうが安上がりなのではないだろうか。(中略)もっと気の利いた方法はある。それは、最低限の所得保障を与えた上で、あるレベルに達するまで低い税率で課税することだ(中略)また、直接配るほかにも、技術習得を援助するという方策もある(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、144、146頁)。

乗数効果

池田信夫
政府の支出が、それを受け取った人の所得になり、その人の(貯蓄を差し引いた)消費がまた次の人の所得になるという具合に、最初の支出の数倍の所得を生み出す効果を乗数効果という。その倍数は、乗数と呼ばれる。これは、限界貯蓄性向(収入が増えたとき、その中から貯蓄に回される割合)の逆数になる(ニューズウィーク日本版編集部編著 『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来』 CCCメディアハウス、2017年、53頁)。
門倉貴史
「乗数効果」とは、次のようなメカニズムを指します。政府が公共事業を実施したとき、そこで働く労働者に所得が発生します。所得を得た人たちはなんらかの消費活動をするので、それが消費関連産業の売り上げの増加となって、さらに消費関連産業で働く人たちの所得になります。こうした波及効果の連鎖によって、当初の生産額を上回る経済効果が発生するのです(門倉貴史 『必ず誰かに話したくなる経済学』 PHP研究所、2016年、118頁)。
岩田規久男
公共投資はそれ自体が需要の増加であるばかりか、公共投資から所得を得た人が消費し、その消費から所得を得た人が消費し、というように、消費が次々に拡大する乗数効果を発揮する(岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、88頁)。
注意点・批判
小塩隆士
公共事業費には、土地の購入費も含まれていますが、土地の購入は付加価値を生み出すものではないので、GDP(国内総生産)には直接影響を及ぼしません(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、199頁)
森永卓郎
公共投資の景気拡大効果が落ちてきていることは、まぎれもない事実です。(中略)しかし現在、その効果の割合がじわじわと落ちてきていることが、経済学者たちの検証で明らかになっています。(中略)最も即効性のある景気対策が公共事業であることは、いまでも真実なのです。(中略)少なくとも投資総額の分だけ効果があるのです(森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、98-99頁)。
池田信夫
ケインズは、不況のときには、政府が公共投資を行えば、この乗数効果を通じて財政支出の何倍もの需要が生まれ、景気を良くすることができるとした。しかし、実際にはクラウディングアウトなどの効果で減殺されるので、計測される最近の乗数効果は1前後である。つまり、財政支出の「1倍前後」の所得しか生み出さないのだ(ニューズウィーク日本版編集部編著 『経済超入門 ゼロからわかる経済学&世界経済の未来』 CCCメディアハウス、2017年、53頁)。
ポール・クルーグマン
クルーグマン氏によれば、道路やダムの建設などさまざまな社会資本の整備に使うように公共投資は、乗数効果が一・五ぐらいあるとしています(田中秀臣 『雇用大崩壊 失業率10%時代の到来』 NHK出版〈生活人新書〉、2009年、167頁)。
門倉貴史
あえて無駄な公共事業をやるぐらいなら、失業者には自宅でのんびり過ごしてもらって、政府が失業手当を出せばいいのです。ちなみに、失業手当は政府が失業している人に渡す生活費で、何らかの付加価値を生み出したことに対する対価ではありませんから、GDP(国内総生産)に加算されることはありません。専門用語では「移転所得」という扱いになります(門倉貴史 『必ず誰かに話したくなる経済学』 PHP研究所、2016年、117頁)。
門倉貴史
穴を掘って埋めるような意味のない公共事業はそもそも生産活動にはなりえません。GDP(国内総生産)にカウントされるのは、新たに生み出された付加価値であって、何も付加価値をを生み出さない生産活動は人件費(失業手当の支給と同じ)の固まりにすぎず、したがってGDPにはカウントされないのです。ですから、意味のない公共事業においては「乗数効果」は発生しないことになります(門倉貴史 『必ず誰かに話したくなる経済学』 PHP研究所、2016年、118-119頁)。
大竹文雄
無駄な公共投資が、景気対策になると考えられたのは、政府のすることはどんなことでも一〇〇パーセント便益を高めることになるというGDP計算上の仮定によっていただけなのだ(大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、150頁)。
小野善康
国民経済計算の上では、公共投資であれば所得として計上される。このことが誤解を生んで、公共投資には所得増大効果があるように思われているだけである。公共投資の本当の効果とは、できた物の価値だけである。それなのに、数字上だけの乗数効果ばかりが強調され、批判する側も乗数効果が小さい点を問題視している。結局、消費関数は、それ自体の妥当性が疑問である上に、乗数効果という見せかけの効果の根拠になった(日本経済新聞社編著 『世界を変えた経済学の名著』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2013年、221頁)。
小塩隆士
公共投資の乗数効果が発揮されるためには、いったん引き上げられた公共投資の水準をそれ以降も維持していかなければなりません。もちろん、年度途中の公共投資の追加で、景気が順調に上向き、翌年度は公共投資による景気の下支え要らなくなっている、という状況も十分考えられます。しかし、そこまで景気が上向いていない段階で公共事業の水準を元に戻すと、公共投資はむしろ景気の押し下げ要因になってしまいます(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、201頁)。

財政とのバランス

岩田規久男
現在の借金によって実施された公共投資が将来の国内総生産を高めるならば、借金残高の国内総生産に対する比率を引き下げることも可能である(岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、196-197頁)。
竹中平蔵
「不況だから公共事業を増やす」ということは言っても、「好況だから、公共事業を減らす」ということはなかなか言えない。なぜなら、一度政府から仕事をもらうと、それが既得権益化して、公共事業を減らすことに強い反対が生じてしまうからである(竹中平蔵 『経済古典は役に立つ』 光文社〈光文社新書〉、2010年、119頁)。
大和総研
公共事業の役割を軽視して行き過ぎた緊縮財政を続ければ、財政は健全化であっても社会資本ストックが不足し、国民生活の質や経済の供給力を低下させる懸念があります。公共事業を財政面のみから問題視するのではなく、量(規模)の適正と質の向上を模索することが大切といえるでしょう(大和総研 『最新版 入門の入門 経済のしくみ-見る・読む・わかる』 日本実業出版社・第4版、2002年、152頁)。
みずほ総合研究所
単なる公共投資の削減だけでは、経済にデフレ圧力をもたらすだけだ(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、49頁)。

産業構造

三菱総合研究所
政府が道路や建物などを建設する際に、建設業を中心に雇用機会が創出される。ただこれらの政策は、すでに競争力が弱くなった産業を政府の支出によって支えるという側面もあり、日本の経済構造を硬直させてしまうという弊害も指摘されてきた(三菱総合研究所編著 『最新キーワードでわかる!日本経済入門』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2008年、84頁)。
小塩隆士
政府が公共投資を増やしたとき、そのおかげで民間企業の設備投資が抑制されてしまうことも考えられます。建設資材や労働者が不足する場合です。景気が極めて深刻な状態ならこうしたケースはあまり考えられませんが、もしこの議論が正しいとすれば、公共投資の乗数は最も高い場合でも一だということになります(小塩隆士 『高校生のための経済学入門』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2002年、203頁)。

受益と負担の関係

小野善康
問題は政府事業の場合、国民は便益を受けるときには当然と思っても、負担には不満を感じることである。市場取引では料金を支払えば、その場でモノやサービスを受け取るから不満は感じない。ところが政府事業では、負担と受益の関係が明確でなく、損した気分になりやすい(日本経済新聞社編著 『やさしい経済学』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、192頁)。
井堀利宏
一九九〇年代以降、公共事業に無駄が多くなったのも、財政赤字が拡大してきたのも、受益と負担の乖離が進んだからである(日本経済新聞社編著 『やさしい経済学』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、176頁)。

日本

竹中平蔵
いまも公共投資はどんどん増えています。これにも三つの理由があります。一つは景気が悪いために、景気対策として政府がお金を使えば景気がよくなるのではないかと、いう期待感が国民にあることです。その期待感をうまく利用して、建設業者の仕事をなくさないために一部の族議員は、バラマキを続けてきました。もう一つ、公共投資が増えた理由として、公共投資を抑制する仕組みを、われわれの社会が持っていなかったことがあげられます。(中略)公共投資が増えてしまったもう一つの理由をあげると、日本が、一九八〇年代から九〇年代にかけて巨額の経常収支の黒字を抱えていたことと関係があります(竹中平蔵 『竹中教授のみんなの経済学』 幻冬舎、2000年、232、234頁)。

生産性の低下

三浦瑠麗
景気対策として打ち続けられた補助金や公的保証の枠組みは経済の新陳代謝を低め、足りない需要を埋めるべくとめどなく増大した公的支出は生産性の低いセクターが拡大する結果を生みました(三浦瑠麗 『日本に絶望している人のための政治入門』 文藝春秋〈文春新書〉、2015年、22頁)。
池田信夫
さらに1970年代とほぼ同じ動きが、90年代に見られる。ここで成長率が急低下しているのは、もちろんバブル崩壊が原因だが、同時にそれに対して100兆円以上の「景気対策」によって地方で大規模な公共事業が行われたため、戦後初めて都市から地方へ人口が「逆流」している。これが不況をかえって長期化させたのだ。(中略)特に建設業のゆがみが大きいのは、90年代後半に行われた大規模な公共事業が原因と考えられる。このように労働生産性の低い部門に労働が移動することによって、経済全体の平均的生産性が下がったわけである(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、134-135頁)。
原田泰
建設業の生産性は、公共事業を削減した2000年以降で高まっている。これは公共事業の縮小により、建設業の競争がきびしくなり、リストラが進んだことによるのだろう(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、62頁)。

産業構造の変化

松原聡
バブルが崩壊し不況に陥ったときも、政府は従来同様に公共事業が中心の景気対策を実施しました。(中略)産業構造の中心がITなどにシフトしていた時期に、道路に資金をつぎ込んでも効果は期待できません。従来型の景気対策が効果をもたらさないまま、日本は不況から抜け出せずにいました(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、178頁)。
若田部昌澄
代わりに、もっと波及効果があるところは何かと考えると、たとえば介護や医療であったり、あるいは環境やサービスであったりという可能性はあります。公共事業といっても、幾らでもやり方を変えることができるわけですね(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、88頁)。

日本での乗数効果

岩田規久男
日本における公共投資乗数は、一九五〇年代から七二年までは、一年目で二・三、二年目で四・五程度であったが、その後、七三年から変動相場制度へ移行し、国際間の資本移動の自由化が進められるにつれて、一年目一・四、二年目一・九程度に低下した。それに対して、八〇年代には、公共投資乗数のそれ以上の低下はみられない。これは八〇年代の初めに、資本の国際間移動の自由化が完成し、その後の変化がないからであろう(岩田規久男 『マクロ経済学を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、1996年、208-209頁)。
内田勝晴
公共投資をすると、その何倍のGDP(国内総生産)が増えるかを、乗数効果といっている。経済企画庁のデータによると、一九七四年には二・二七であった乗数効果が、九四年には一・三二に落ちている。不況対策としての公共投資の力が大きく落ち込んでいることがわかる(内田勝晴 『家康くんの経済学入門-おカネと貯蓄の神秘をさぐる』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2001年、209頁)。
みずほ総合研究所
内閣府のマクロモデルによる試算でも、公共投資の乗数効果の低下が指摘されている。乗数効果とは、公共投資を一単位増加させた時に、GDPが何単位増加するかを表した比率のことである。その試算によると、公共投資の乗数効果は、八〇年の一・六七(公共投資を一兆円増加させた場合、GDPが一・六七兆円増加)から、九〇年には一・三一まで低下した。乗数効果が低下した要因として、車の通らない道路や飛行機の飛ばない空港、空き地の目立つ工業団地など、効率の悪い公共投資を優先したことがあげられている(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、45-46頁)。
松原聡
公共投資のために投入した金額がどれだけ国の経済規模(国内総生産等)を拡大させたかを示す指標を「公共投資乗数」といいます。1億円投じて経済規模が2億円拡大したとしたら、乗数は2倍となります。1960年代には公共投資乗数は2倍以上でしたが、近年は波及効果が低下し、2006年では実質1.02倍程度と見られています(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、156頁)。

投資回収性

松原聡
あまり使用されない地方の道路や空港、文化施設など数多くの例があります。こうした公共事業は景気回復に結びつくどころか、単なる税金の無駄遣いとなってしまうのです(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、156頁)。
飯田泰之
本来、公共事業は社会資本整備だというのがすっぽり抜けてしまっている。もちろん、建前上は社会資本・インフラ整備とは言うわけですが、リターンの計算は真剣には行われていない。その結果、延々と採算度外視の道路建設や港湾整備が続いたわけです(勝間和代・宮崎哲弥・飯田泰之 『日本経済復活 一番かんたんな方法』 光文社〈光文社新書〉、2010年、42頁)。
日本経済新聞社
ところが、こうしたインフラの整備が進むと、今度は無駄が目立つようになる。(中略)道路を造るためのコンクリートの需要は増えたかもしれないが、道路を利用する人や企業が少なければ、経済活動を下支えする役割は果たせない。造ってしまえば修理費がかかるから、おカネだけを食う無用の長物になってしまう(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、135頁)。
跡田真澄
年間の道路投資額は約十五兆円(九八年度)と、名目公的固定資本形成の四割弱の規模。跡田さんの試算では、この中に国全体の生産性向上に寄与しない投資が四兆-五兆円含まれるという(日本経済新聞社編著 『なるほど!不思議な日本経済-エコノ探偵団レポート・新世紀版』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、189頁)。
日本経済新聞社
例えば、経費を除く直接工事費が一億円という規模の事業を発注する場合、これを百カ所に分割した時の各社の請負総額(諸経費を含む)は、一括発注した場合の約二割増しにもなるという。公共工事の積算基準で工事費に対する経費の比率が決められており、工事の規模が小さくなるほど、経費比率が高くなるのだ。(中略)市の幹部によると、分割発注は、一社で大型工事を受注できない中小企業の受注機会を増やすために、一九六六年に定められた「官公需法」に基づく。契約全体に占める中小向け比率の目標が毎年決められ、建設省の九九年度目標は四七・四%に達した(日本経済新聞社編著 『なるほど!不思議な日本経済-エコノ探偵団レポート・新世紀版』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2001年、191頁)。
高橋進
相次ぐ経済対策で、橋や道路などの社会資本が相当増えています。しかも、最近は予算の執行しやすい案件に偏るあまり、事業の質が落ちてきています。これらの維持補修や管理費用が今後大きく膨らむのは確実です(日本経済新聞社編著 『日本経済の小さな大ギモン - エコノ探偵団・最新レポート』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、188頁)
経済企画庁
経済企画庁の試算では、社会資本整備全体に占める維持更新費の割合は、九〇年度は一四%だったが、二〇〇〇年度には一八%、二〇一〇年度には三六%程度まで上昇する可能性がある(日本経済新聞社編著 『日本経済の小さな大ギモン - エコノ探偵団・最新レポート』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2000年、188頁)。
建設業の供給制約
片岡剛士
建設業の供給制約の要点は、以下の五つのポイントとしてまとめることが可能である(小林真一郎・中田一良(2013))。最初のポイントは建設業の規模の減少だ。(中略)二点目のポイントは建設業の就業者の高齢化が進んでいることだ。(中略)三点目のポイントが、建設工事が特定地域に集中していることである。(中略)四点目のポイントは、建設業の雇用不足感が高まる中で特に技能労働者への不足感が高まっていることだ。(中略)最後のポイントはが鉄鋼・セメントといった建設資材の不足である(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、152-153頁)。
小野善康
好況時の公共事業は人手不足を招く。しかし、現在遊休している労働力を活用するかたちでの公共事業はこのような負担をもたらさない(田中秀臣・野口旭・若田部昌澄編著 『エコノミスト・ミシュラン』 太田出版、2003年、213頁)。

インフラ整備

日本経済新聞社
たとえば道路や橋を全国に整備することで、モノの移動がスムーズになり、これが経済が効率よく拡大するのを助けたと言える。港湾や地方空港の整備も右肩上がりの日本経済の活動を支えるうえで重要な役割を果たした。河川の改修やダム整備などは、災害に強い国造りや生活環境にも役立った(日本経済新聞社編著 『いやでもわかる日本経済』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2003年、135頁)。
中野剛志
こうした安全対策や防災対策のための公共投資は、国民の生命と財産に関わるものですから、経済がインフレであり、需要が過剰であったとしても、必要になるはずのものです(中野剛志 『レジーム・チェンジ-恐慌を突破する逆転の発想』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2012年、127頁)。
中野剛志
しかも日本の場合は、無駄な施設を乱造する必要などありません。それどころか、前章で述べたとおり、東日本大震災からの復興のみならず、来るべき大地震に備えた耐震化や津波対策、特にインフラの冗長性の向上、気候変動に伴う水害や雪害対策、老朽化した施設や設備の更新、地方をつなぐ交通インフラの充実など、膨大な公共事業が存在します。しかもこれらの公共事業は、国の生命と財産を守るという国家の基本的な役割にかかわるものであり、たとえインフレであろうが、実施しなければならないはずのものです(中野剛志 『レジーム・チェンジ-恐慌を突破する逆転の発想』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2012年、152頁)。
安達誠司
老朽化したインフラなどの社会資本の整備は国全体の生産性を高める可能性があることは否定すべきではない(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、128頁)。
若田部昌澄
公共事業についても都市部のインフラや、新幹線・高速道路、耐震対策などは必要なものはあると考える(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、95頁)。
平尾文彦
日本の公共インフラは、高度経済成長期に建設されたものが多く、今後一〇-三〇年間で大量更新時代を迎えると言われており、その更新投資額は、二〇五〇年時点で二〇兆円以上、二〇一〇-五〇年度で約四九〇兆円と試算されています(中野剛志 『レジーム・チェンジ-恐慌を突破する逆転の発想』 NHK出版〈NHK出版新書〉、2012年、125、144頁)。
藤井聡
自民党建設族を大きく動かした「列島強靭化計画」の発案者、藤井聡京都大学教授(内閣府参与)は三〇〇兆円規模の公共投資によるインフラ整備を主張している(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、134頁)。
岩田規久男
役に立つ公共投資を景気が回復してから実施しようとすれば、そのときには人も設備も金も余ってはいないから、民間の活動を阻害することになってしまう。(中略)デフレから脱却して景気が回復するまでに、役に立つ公共事業をできるだけ終えておくべきなのである(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、252頁)。
飯田泰之
通常は公共事業はクラウディング・イン(民間部門での有効需要の増大)をもたらす効果があるとされています。つまりインフラ整備されることで経済が活性化するという考えです。しかし現代の日本でそれを見られるのは、東京エリア、中京エリア、京阪エリア、福岡エリア、ちょっとおまけして中核市の周囲だけといってよいでしょう(飯田泰之・田中秀臣・麻木久仁子 『「30万人都市」が日本を救う! 〔中国版「ブラックマンデー」と日本経済〕』 藤原書店、2015年、112頁)。
竹中平蔵
借金をどんどん重ねて道路をつくれば、その道路は残って子どもたちも使えるのだから迷惑はかけていないだろう、という考え方です。確かに、その道路を子どもたちがほしがっているのならば、この考え方も説得力があるかもしれません。しかし問題は、本当に子どもたちがその道路をほしがっているのかがわからないということです(竹中平蔵 『あしたの経済学』 幻冬舎、2003年、185-186頁)。

地方優遇

田村秀男
もともと公共投資(国民経済計算で言う「総固定資本形成」)の実施主体は地方政府が約七五%で、地方主導である(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、141頁)。
田中秀臣
いまや地方の経済を支えているのは公共事業と公務員による消費です。これは高齢化とともに財政難が進行する日本で長期的には維持不能な状態です(田中秀臣 『ご当地アイドルの経済学』 イースト・プレス〈イースト新書〉、2016年、57頁)。
三浦瑠麗
公共事業というモルヒネを打ち続けても自立にはつながらないことは、皆わかっているのに、ある種の福祉政策と強弁して地方経済を支え続けた(三浦瑠麗 『日本に絶望している人のための政治入門』 文藝春秋〈文春新書〉、2015年、124頁)。
円居総一
大半の地方自治体は、自立に十分な産業基盤を持たず、ダムや道路、そして原子力発電の立地などによる公共支出に、財政も生活も依存してきたのが実体だ。それが日本経済の構造的弱点でもあった(円居総一 『原発に頼らなくても日本は成長できる』 ダイヤモンド社、2011年、139頁)。
円居総一
原子力発電は、その保護政策とも相まって、巨大なビジネス及び公共事業としての側面を持って推進されてきた(円居総一 『原発に頼らなくても日本は成長できる』 ダイヤモンド社、2011年、68頁)。
円居総一
原子力発電依存の体質に地元自治体が嵌っていった背景には、多くの地方自治体に共通する地方産業基盤の弱体化がある(円居総一 『原発に頼らなくても日本は成長できる』 ダイヤモンド社、2011年、211頁)。
岩田規久男
公共事業の地元誘致によって最も潤うのは地元の建設業者である(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、201頁)。
飯田泰之
財政政策を効かせるポイントは、いかに「使う人」にまわすか、なんです。なのに、なぜか地方公共団体にまわす。公共事業にまわしても、いわゆる地方の土建業者って、いまお金をもらったところで労働者をたくさん雇おうとはしない。借金でかつかつなので、お金を返して終了、というところがほとんどでしょう(飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、187頁)。
岩田規久男
そのような地方経済の自立化にも資する公共投資の例をいくつか挙げておこう。第一は、林業の復活のための公共投資(路網建設)である。(中略)第二は、電力とガスの区域間の連携線整備のための公共投資である(岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、213-214頁)。

予算配分

みずほ総合研究所
県民一人当たり公共投資額をみると、島根県が最も多く七九万円、次いで高知県六七万円、徳島県六五万円。最も少ない神奈川県は一人当たり二〇万円で島根県の四分の一の規模である。各都道府県で面積や社会資本の整備状況が違うため、単純比較はできない。そもそも公共投資自体が景気調整機能に加え、所得再分配機能の一部も担っているため、地域間で格差があることは致し方ない面もある(みずほ総合研究所編著 『3時間でわかる日本経済-ポイント解説』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2002年、47頁)。
田中秀臣
中央銀行の予算によって地方で公共事業を行う場合も、インフラ整備が民間部門での有効需要の増加をもたらすのは一定の人口がある地域にかぎられます。現代の日本で公共事業による需要拡大が見込まれるのは大都市周辺のみ(田中秀臣 『ご当地アイドルの経済学』 イースト・プレス〈イースト新書〉、2016年、56頁)。
池田信夫
したがって公共事業もまんべんなくばらまくのではなく、大都市圏と地方中核都市に重点配分すべきだ。(中略)それ以外の地方都市では、むしろ自然環境を保全することに予算を使うべきだ(池田信夫 『希望を捨てる勇気-停滞と成長の経済学』 ダイヤモンド社、2009年、136頁)。
レント・シーキング
田中秀臣
インフラ投資は、きちんと行えば経済成長に寄与し、国民の福祉を向上させる。だが、インフラ投資は投資先の国や地域の権力と結託することで、汚職の温床になったり、非効率な投資につながることで、かえって経済成長を阻害することがある(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、123-124頁)。
松原聡
どうしてこんな無駄な公共事業が行われるのでしょう。大きな原因のひとつは、「政治家と業界と官僚の癒着」の問題にあります(松原聡 『日本の経済 (図解雑学-絵と文章でわかりやすい!)』 ナツメ社、2000年、154頁)。
岩田規久男
住民が政治活動を通じて、自己負担なしの公共事業を求めるのは、レント・シーキングである(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、26頁)。
岩田規久男
ある特定の地域に公共事業が割り当てられ、かつてその地域の住民が公共事業の費用を負担しなければ、地元住民は負担なしに利益だけを享受することができる。この負担なしに得られた利益も、競争的な市場では得られない超過利益であるので、公共事業によるレントという(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、18頁)。
岩田規久男
一人当たりのレントがそれを獲得するための一人当たりの費用よりも大きいほど、レント・シーキング活動は活発になる(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、18頁)。

公共事業費の動向

岩田規久男
九二年八月の総合経済対策以降の九年間の総事業費は一〇六兆円に達したが、そのうち公共事業費は五九・八兆円に上った。九三年には、それまで三〇兆円台前半だった公共投資は四〇兆円台に一挙に跳ね上がり、その対GDP(国内総生産)比もそれまでの七%前半から、八%台に上昇した(岩田規久男 『スッキリ!日本経済入門-現代社会を読み解く15の法則』 日本経済新聞社、2003年、192頁)。
岩田規久男
九〇年代は概して、公共投資の水準が高く、九五年度や九六年度のように、景気が拡張期に入っても、公共投資は増えています(岩田規久男 『景気ってなんだろう』 筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2008年、133頁)。
三橋貴明
まずは公共投資対GDP比率ですが、日本の場合はもともとこの比率が高く、一九八〇年には一〇%近くもありました。(中略)これが一九九七年を境に急減します。冒頭で触れた、橋本政権による緊縮財政の影響です。それ以来、日本の公共投資対GDP比率は下落の一途をたどり、今や欧州並みの四%前後にまで落ちてしまいました(三橋貴明 『日本経済を凋落させた七人』 飛鳥新社、2009年、22-23頁)。
松原聡
例えば公共事業費については毎年3-4%程度の削減が進み、補正予算も含めて約15兆円が投じられた98年度に比べ、2007年度は約7兆円と半分以下にまで下がっています(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、24頁)。
森永卓郎
公共事業費にあたる「公的固定資本形成」は、二〇〇一年度には三二兆円あったのが、二〇〇六年度は二二兆円と、わずか五年で一〇兆円も減らしています(森永卓郎 『「騙されない!」ための経済学 モリタク流・経済ニュースのウラ読み術』 PHP研究所〈PHPビジネス新書〉、2008年、128頁)。
松原聡
バブル崩壊後の不況に対応するため、じつに計百数十兆円もの公共事業費が投じられたにもかかわらず、景気浮揚は果たせませんでした(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、156頁)。
大竹文雄
日本は先進国のなかでアメリカと並んで最も政府支出の対GDPは小さい(大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、10頁)。
浅田統一郎
中央大学の浅田統一郎氏は、1990年代の真ん中からの名目固定公的資本形成(政府のインフラへの投資など)が急減してしまい、2010年代に入る直前にはほぼ半減してしまったことを指摘している(『危機の中で<ケインズ>から学ぶ』 ケインズ学会+平井俊顕監修、作品社)。具体的には、1995年の44・4兆円をピークに、2011年では20・8兆円と約53%の減少である(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、17-18頁)。

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