経済・経済学に関するメモ。

スティーヴン・ランズバーグ
主だった経済モデルはすべて、人は消費を増やして労働を減らしたがっているものと想定している。代表的なモデルはすべて、この目標の少なくとも一つの達成に寄与するような経済政策は成功だと判定する。経済学の基準によれば、人をムチ打って働かせ、彼らを金持ちにして死なせるような政策は悪い政策なのだ(スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 佐和隆光・吉田利子訳、日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、82頁)。
スティーヴン・ランズバーグ
政策分析の第一原則は、長所を並べたてても、その政策が望ましいことを証明できないことである。言うまでもあるまいが、誰かが思いつく政策には何かしら長所があるはずだ。政策を擁護しようとするのなら、何らかの長所があることではなく、短所よりも長所が多いことを示さなければならない。そして、短所よりも長所が多いと主張するためには、少なくとも基本的な倫理問題についての態度を明確にしなければならない。簡単に言えば、長所と短所をどうやって比較するかである(スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 佐和隆光・吉田利子訳、日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、88頁)。
スティーヴン・ランズバーグ
費用と便益の対照表の片側だけを強調して、もう片側を無視するのは、ごまかしと言うほかない(スティーヴン・ランズバーグ 『ランチタイムの経済学-日常生活の謎をやさしく解き明かす』 佐和隆光・吉田利子訳、日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2004年、90頁)。

ポリシーミックス

松原聡
政策の効果をより高めるために、「財政政策」と「金融政策」を同時に行うことを「ポリシーミックス」といいます(松原聡編著 『日本の経済のしくみ (図解雑学)』 ナツメ社、2008年、152頁)。

緊縮政策と刺激政策(反緊縮)

田中秀臣
経済政策には、緊縮政策と刺激政策(反緊縮)があります。緊縮政策は、不況のときや不況から十分に回復していない段階では増税や公的予算削減などの財政緊縮政策をとり、金融政策は受動的に行うというもの。それに対して、刺激政策(反緊縮)は、不況のときや不況から十分に回復していない段階では、減税や公的予算増加など財政拡張政策をとり、金融政策は緩和スタンスにするというものです。学者の世界では、ケインズ学派(反緊縮)とボッコーニ学派(緊縮)とも呼ばれています(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、144頁)。
田中秀臣
緊縮政策は人を死に追いやる可能性が大きい政策です。不況で自殺者が増える経緯を見ていくと、不況の初期段階では、健康状態が良くなる人もたくさん出てきます。仕事が楽になって、働き過ぎが解消されます。交通量が減って、大気汚染も減って、いろいろな面でストレスが改善される。不況は初期段階では、人の健康を改善する効果があります。ところが、不況が長引き、失業したり、失業状態が長引いたりすると、今度は自殺者が増えて多くの人が死んでしまう(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、147頁)。
デヴィッド・スタックラー・サンジェイ・バス
デヴィッド・スタックラーとサンジェイ・バスという公衆衛生学の専門家は、『経済政策で人は死ぬか?』(草思社)という本の中で、不況が人を殺すのではなく、不況期の緊縮政策が人を殺すという主張をしています(高橋洋一・田中秀臣 『日本経済再起動』 かや書房、2020年、148頁)。
デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス
スタックラーとバスの重要な指摘は、不況そのものよりも、そのときに経済政策が失敗(緊縮政策の採用)することで国民を殺してしまうということだ(田中秀臣 『増税亡者を名指しで糺す!』 悟空出版、2018年、48頁)。
デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス
感染症を含む公衆衛生学の専門家たちが、不況期に自死に至ったり、躁鬱病などで苦しむ人たちがなぜ多いのか研究した。その結果は、不況の時に政府が十分に経済政策をしないことが原因であることがあかるみに出た(デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス 『経済政策で人は死ぬか?』 草思社)(田中秀臣 『脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている』 PHP研究所〈PHP新書〉、2021年、5頁)。
デヴィッド・スタックラー
ボッコーニ大学のデヴィッド・スタックラー教授らは、最近の論説「財政緊縮とナチスの勃興」の中で、1930年代初期のドイツにおける財政緊縮が、ナチスの勃興を招いたと実証的に指摘している(田中秀臣 『脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている』 PHP研究所〈PHP新書〉、2021年、6頁)。

Menu

貨幣・通貨

資本主義・市場経済

管理人/副管理人のみ編集できます