経済・経済学に関するメモ。

田中秀臣
現金や預貯金の量は民間の経済主体の活動によって決まるので、中央銀行が直接にマネーサプライの水準を決めることはできない。そこで、中央銀行はマネーサプライに影響を与えるために、マネタリーベース(中央銀行が民間銀行に供給するマネーの量のこと。ハイパワードマネーともいう)を利用する。マネタリーベースは、「民間が保有する現金」と「銀行によって保有される準備」の合計になる。(中略)つまり中央銀行は、マネタリーベースをコントロールすることによって、民間銀行の貨幣量の乗数効果を通じ、経済全体のマネーサプライをもコントロールするというわけである(田中秀臣 『ベン・バーナンキ 世界経済の新皇帝』 講談社〈講談社BIZ〉、2006年、62-63頁)。

マネーサプライ との関係性

伊藤修
マネーサプライはベースマネーの何倍かになる(結果的にはそうなる)という「信用乗数論」は、初級教科書の説明であって、それが現実だと思ったら大間違いである。バブルの発生時においても、まず投機がさかんになってマネーへの需要が拡大し、それに応えて銀行貸出がふえ、必要になったベースマネーを日銀が供給してサポートしたという関係だった(吉岡勝 『日本経済の真実』 東洋経済新報社)し、バブル崩壊後も、ベースマネーをいくらふやしてもマネーサプライはふえなかった事実がある(伊藤修 『日本の経済-歴史・現状・論点』 中央公論新社〈中公新書〉、2007年、287-288頁)。
高橋洋一
マネーストック=マネタリーベース×信用乗数で、信用乗数は変化する。しかし、それでも正の数であることに変わりはない。仮に信用乗数が半分になったとしても、増やすマネタリーベースを二倍にすれば問題ないはずだ(田中秀臣編著 『日本経済は復活するか』 藤原書店、2013年、167-168頁)。
原田泰、大和総研
ジンバブエでは、マネタリーベースが130万倍なのに、物価はその5倍の650万倍にもなっている。しかし、チャドではマネタリーベースが2.8倍であるのに対し、物価は約2分の1の1.2倍にしかなっていない(原田泰・大和総研 『新社会人に効く日本経済入門』 毎日新聞社〈毎日ビジネスブックス〉、2009年、138頁)。
原田泰
また1989年からの金利(コールレート)引下げが急激なマネタリーベースとマネーサプライの急上昇を招き、それに伴って鉱工業生産が急上昇していることがわかる。また1989年からの金利引上げがマネタリーベースとマネーサプライの急減をもたらし、生産を減少させたことがわかる(原田泰 『コンパクト日本経済論(コンパクト経済学ライブラリ)』 新世社、2009年、80頁)。

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