第21話



2−2 曜子 ウィーン 冬馬邸 3月14日 月曜日




曜子「ちょっと、かずさ。お〜い、・・・戻ってきなさいよ」

かずさ「あ、なに?」

春希からのキャンディーをもらえた事で顔が蕩けきっているかずさの肩を
おもいっきり揺さぶることでようやく意識を取り戻したが、
相変わらずにやけきっているかずさに、少しあきれてしまう。
だって、キャンディー一つでここまで喜んでしまう経験なんて今まで一度も
経験したこともないし、そこまで純情な気持ちなど、とうに消えてしまっているもの。

曜子「あくまで可能性を言っただけよ。
   ただなんとなく私へのお返しとの違いを出す為に、
   なんとなく目の前にあったキャンディーを買っただけかもしれないのよ」

かずさ「別にそれでもいいよ」

曜子「えっ? そうなの?」

意外すぎるかずさの解答に、素で驚いてしまう。
どこまで色ぼけているのよって、さらにからかってもいいけど、
それさえも色ぼけた答えを返されそうで、こっちのほうが参りそうね。
日本から戻ってきてから、なんだかこの子変わったかしら。
なんかこう、言葉では表現しにくいんだけど、純情で、まっすぐで、
でも奥手で・・・・・・。
ううん、それは前からそうだったわね。
むしろ、それに磨きがかかったわね。
なんで私からこんなにも可愛らしい子が生まれたのかしら?
もしかして、放任主義が功を奏したのかな? なんて・・・。
まっ、ピアノにプラスに働いているうちは大丈夫そうね。

かずさ「だって、ここにキャンディーがあるってことが重要なんだ。
    偶然でも、春希があたしにキャンディーをくれたっていう事実に
    意味があるんだよ」

曜子「あぁ、はい、はい。のろけ話ね」

私は、運命なんて信じやしない。
チャンスがあるんなら、自分の力で勝ち取らないと成功などしやしないって
経験上何度も味わってきたから。
黙って行動しないで、幸運が向こうからやってくるのをひたすら待つだなんてナンセンスよ。
それでもこの子の事を見ていると、運命をちょっとは信じてもいいかなって思えてくる。
それに、この子も自分の力で幸せを掴み取ろうとしてるしね。

かずさ「いいだろ、別に。
    こっちは会いたいのを2年も我慢しないといけないんだからな」

曜子「順調にいけば2年だけどね」

かずさ「だから本番のジェバンニ国際ピアノコンクールの前に
    NY国際コンクールにでるんだろ」

曜子「たしかに曲目も似通ってるし、
   ジェバンニの前哨戦として出場する人も多いわよね」

かずさ「だろ?」

曜子「だけど、NYはジェバンニの1年前の10月よ。
   ジェバンニに絞って調整していくのもありだとは思うわ」

かずさ「そうかもしれないけど、いまのあたしにはコンクールの経験が不足してるだろ」

曜子「そうねぇ。NY以外のコンクールだと曲目が全く違うから時間の余裕が
   なくなっちゃうけど、NYなら大丈夫か」

かずさ「だろ?」

曜子「それにNYって、スポンサーだけはいいのよねぇ」

かずさ「たしか1位になれば欧米のコンサートツアーやってもらえるんだっけ」

曜子「そうよ。むこうもジェバンニ前に優秀な演奏者を確保しておきたいっていう
   下心がみえみえなんだけど、コンサートツアーは魅力的なのよね」

かずさ「ま、そのツアーも貰っておくよ。そうすれば事務所の社長としても
    助かるだろ?」

曜子「それはそうだけど、まだまだあなたの稼ぎなんか期待していないわ」

かずさ「言ってろ。あと5年で逆転してやるから」

ほんと、今の調子でやられちゃうと、5年で私を追い抜きそうなのよね。
簡単には抜かされる気はないけど、伸びしろが違うっていうのは、年のせいなのよね。
成熟しきったといえば聞こえはいいけど、成長しにくくなってるっていうのは事実で、
ちょっとかずさが羨ましく思ってしまうわ。
って、年、年っていって、年齢のせいにするのはよくないわね。
チャンスと同じように、感性だって、ピアノの上達だって、
自分から動かないようでは、求めるものは得られないか。
そう考えると、かずさのこの頑張りようも、私にとってもプラス方面に動きそうね。
私は、密かにほくそ笑むと、ちょっと真面目な顔でかずさの話を進めた。

曜子「期待だけはしておくわ。でもツアーって、1位だけよ。
   2位以下はお情け程度で数回演奏させてもらえるけど、
   ゲスト出演程度で、まったく意味がないわ」

かずさ「わかってるって。そもそも1位しか狙ってない」

曜子「言うようになったわね。それだけの自信があるのは頼もしいけど、
   たしかにNYで1位になれない程度じゃ、ジェバンニで上位に食い込めないのも
   事実なのよね」

かずさ「ま、見てろって」

曜子「楽しみにしているわ」

いくぶん頼もしくなったかずさを微笑ましく見つめていたが、
それも数秒で霧散していく。
なにせ今目の前にいるかずさは、頬を赤く染めながら夢心地な表情をして、
北原春希について語っているときの表情そのものなのだから。

かずさ「それでさ、さっきの話なんだけど・・・・・・」

その言葉を聞いておもわず身構えてしまう。
たしかに春希君の話をかずさとするのは好きよ。
でも、それは春希君ネタでかずさをおちょくるとき限定。
これがかずさによる春希君ネタののろけ話になると、事態は一変しちゃうのよね。
まず、かずさは自分が満足するだけの会話量をこなさなければ私を離さない。
そして、その会話を途中で中断させようことなら、
あとあとが面倒すぎる事態になってしまう。
拗ねるし、話を聞いてくれなくなるし、機嫌を直すために、倍以上ののろけ話を
聞かなきゃいけないのよね。
本人はのろけ話などしているつもりはないみたいだけど、普段ピアノを通してのみしか
春希君と会話ができないのだから、その抑圧された欲求を一度解放してしまえば
その量が想像を絶する量となるのは当然なのかしら。

曜子「な・・・なにかしら?」

かずさ「だから・・・さ、お返しの意味だよ」

曜子「あぁ、あなたの心がどこかふわふわしちゃってたから聞いてなかったのね。
   キャンディーが大好きでしょ。そして、クッキーが友達として仲良くしましょう。
   で、マシュマロがごめんなさいよ」

かずさ「ちがうって、そっちじゃない」

曜子「どういうことかしら? だって、お返しの意味でしょ?」

かずさ「そうだけど、違うって。
    だから、犬のキャンディーの意味が二つあるみたいな事言ってただろ。
    一つ目の意味は大好きですだけど、二つ目の意味は何かなってさ」

曜子「それね。べつにたいしたことではないわよ」

よく覚えているわね。私も思い付きで言っただけなのに、春希君に関わる事だけは
記憶力が極限まであがるんだから、まいったものね。

かずさ「それはあたしが決めるから関係ない」

曜子「そうね。でも、これって私の思いつきにすぎないわよ」

かずさ「構わないって言ってるだろ」

曜子「わかったわよ。そんなに睨まなくてもいいじゃない」

かずさ「にらんでなんかいない。だから、さっさと言ってよ」

曜子「はいはい。犬ってご主人様に忠実なイメージがあるでしょ。
   だから、春希君ってあなたのことを犬みたいに思ってるのかなって思っただけよ」

かずさ「そうなのか?」

曜子「そうなのかって聞かれても、あなたほど春希君に忠実な彼女はいないんじゃない?
   だって、彼に会いたいがために一日中ピアノに向き合ってるんだもの」

かずさ「そう言われてみれば、そうかもしれないな。
    でも、春希がそうあたしの事を思ってくれているんなら、
    すごくうれしいかな」

曜子「でも、ほんとうに思い付きだからね。春希君がなんとなく買っただけって
   こともあるんだから。むしろその可能性の方が高いくらいじゃないかしら」

かずさ「それでもいいって。これはあたしの気持ちの問題だ。
    あっ・・・・・・・」

曜子「なに?」

かずさ「母さんも、あたしの誕生日プレゼントで犬のぬいぐるみをくれたこと
    あったじゃないか。その時はどういう意味だったんだ?」

かずさの厳しい追及の視線にたじろいでしまう。
そんなプレゼントしたっけと、とぼけようとも一瞬思いもした。
しかし、かずさの部屋に飾ってあるのを何度も目にしているし、しかも、
かずさ自身が慣れない裁縫作業によって修繕しているのを聞いているのだから、
とぼけることなどできようもないか。

曜子「あれね、あれ・・・・・・」

かずさ「何だよ。もったいぶらずに言えよ」

曜子「だからね、・・・・・・あれは、ただ目にとまったから買っただけよ」

かずさ「ふぅ〜ん」

曜子「ふぅ〜んって、なんか意味深すぎる反応で、なんだか気になるわね」

かずさ「べつに。・・・・・・ただ、なんで目に留まったのかなって。
    目に留まるって事は、なんだかの意識が働いているはずだろ」

曜子「なんだか最近鋭くなってきたわね」

かずさ「あんたと話していれば、自然とそうなっていくんだよ。
    悔しかったら自分を恨む事だな」

曜子「ま、いっか。ほんとうに大した理由じゃないのよ。
   私の後ろを健気についてくるあなたが子犬みたいだなって思っちゃって、
   なんとなく目に留まったのよ」

私の解答を聞き終わると、かずさは手を顎にもっていき、無言で考えはじめてしまう。
そのあまりにも真剣な表情に、私はかえって心配になってしまった。

曜子「怒っちゃった? でも、悪い意味じゃないのよ。
   健気に後ろを駆け回っている姿が、なんだか可愛らしいなって思ったのよ。
   ね? 悪い意味じゃないでしょ」

かずさ「別に気にしちゃいないって」

曜子「そう? だったらいいのだけれど」

一応胸を撫でおろしはいたものの、まだなにか言い足りなそうなかずさを見て
完全には安心などできやしなかった。

曜子「まだなにか気になる点があるのかしら?」

かずさは顎にあてていた手をおろすと、まっすぐ私に視線を向けて語り始めた。

かずさ「あのさ、母さんも春希も、あたしのことを犬みたいに思ってるんだなって、
    ちょっと思っただけだよ。
    別に悪いイメージでもないから、悪い気分じゃないよ。
    でも・・・・・でもさ」

そこまで一気に語ると、かずさはいったん視線を外す。
そして、再び視線を渡しに向けた時は、か弱い女の子がそこにはいた。

かずさ「いつもピアノを使ってあたしの気持ちを春希にぶつけてはいるけど、
    生身の春希の気持ちは全然知らないだろ?
    だから、今回のヴァレンタインのお返しで春希の気持ちがほんの少しでも
    感じ取れたからさ、なんかちょっと恥ずかしいなって。
    すっごくうれしんだけど、いつも一方通行だったから、
    なんだから心が通じ合うのっていいなって」

曜子「もうっ」

私は思わずかずさを抱きしめてしまった。
だって、可愛すぎる娘がいるのだから、それを愛でたく思うのは当然よね。
こんなにも可愛い娘が私から生まれてきただなんて奇跡ね。

かずさ「苦しいだろ」

曜子「たまにはいいじゃない。親子のスキンシップも大切よ」

私の胸の中で暴れるかずさを無理やり抑え込んでいたけど、
しばらくすると観念したのか、かずさの体から力がぬけていく。
今は身を私に預け、少しぎこちなさが残るが、軽く抱きかえしてもくれていた。
そして、親子の距離を縮めるきっかけを作ってくれた春希君に対して、
私はそっと感謝した。









2−3 春希 春希マンション 4月5日 火曜日




昨夜の佐和子さんの話を思い返してみても、いまいち素直に受け入れられない部分がある。
俺のギターに麻理さんの心を癒すほどの効果があるとは思えないが、
それでも心の問題になると演奏の良しあしではないのかもしれないか。
・・・・・・依存か。
俺が麻理さんに依存してしまったから、麻理さんの日常を壊してしまった。
佐和子さんは話さなかったけど、
きっと気分が悪くなってしまうのは電車だけではないはずだ。
電車という閉鎖空間で、逃げ出すことができないから気持ち悪くなるって事は
言いかえれば、電車でなくても行動に制限がついてしまう状況なら
どんな場所でも同じってことじゃないか。
たとえば、車の渋滞なんてありえそうだな。
渋滞中に気持ち悪くなったら、車を路上に置いてどこかに休みに行くことなどできない。
そう考えると、極端な話、ビルの高層階でエレベーターが混んでいて
なかなか階下に降りられない状況だとしても、不安を煽る状態に自分で追い詰めてしまったら
たとえ閉じ込められた状態ではなくても危険って事じゃないか。
と、佐和子さんから聞いた麻理さんのとこを思い出しながら料理をしていると
危うく手を切りそうになる。

っと、危ない危ない。いくら最近料理をするようになったといっても、
考え事をしながらはまだ無理だよな。
しかも、考えれば考えるほど思考に没頭する内容だし、
今は料理に集中してさっさとこの後の面倒事も片付けるか・・・・・・。

麻理さんに料理を作ってあげた事をきっかけに料理をするようになったといっても
時間に余裕がある時しかしていなかった。
朝食は料理をするようになる前からも、適当に作って食べてはいたが、
最近では、コールスローやキャベツや玉葱の酢漬けなどを作るようにもなり、
テーブルの上も若干華やかさを持つようになってきている。
もちろん忙しい朝でもあるわけで、酢漬けを作っておくあたりが時間を
有効活用する春希らしい料理ともいえた。

昼のお弁当は、どうにかなるとしても、夕食が問題だよな。
バイトがない時は家で作るとしても、夕食はたいてい編集部で弁当だし、
こればっかりは夕食分の弁当を持っていくわけにはいかないしなぁ。
編集部の冷蔵庫に入れておいて貰うっていう手もあるけど、
個人が勝手に使うわけにもいかないし、さすがに夕食は弁当買うしかないか。

春希「うわっ」

今度こそ危うく手を切りそうになるも、今回もどうにか難を逃れることができた。
いくら料理だけに集中しようとしても、どうしても頭の中に考えるものを
詰め込んでおかなければ、考えてしまうことがある。
それは避けては通れない事柄でもあり、このあと電話をしなければならないことでもある。
佐和子さんの手前では簡単だし、事務的な連絡だから大丈夫とは言ったものの、
いざ実家の母に電話するとなると、いささか不安をぬぐいきる事は出来ないでいた。

お弁当を用意し、朝食も食べ終わると、
そろそろ母に電話するにはちょうどよすぎる時間が訪れてしまう。
高校時代までの経験ではあるが、今の時間帯ならば母に電話してもつかまるだろう。
今のタイミングを逃せば夜になってしまうし、そうなればかえって電話しにくく
なってしまうのも事実である。
だからこそ、気持ちに迷いがあったとしても、今電話しないわけにはいかなかった。
携帯をいじり、いつもは素通りする母のアドレスを呼び出すと、発信ボタンを押す。
発信ボタンを押して、呼び出し音が鳴っている今であっても、
母が電話に出なければいいと思ってしまう自分がいる。
そう、高校時代の自分ならば、大学に入って間もない自分であったのならば、
こうまでも母を意識することなどありえなかったはずだ。
なのになぜ今になって母を意識してしまうのか、自分ではわからずにいた。

春母「もしもし」

久しぶりに聞いた母の声は、自分の中にある無関心を装う母の声とは違っていた。
こうして母に電話をかけたのはいつ以来だったのか、
思いだそうとしても思いだせない。
そもそも高校時代であっても、いくら帰りが遅くなろうと母は関心をみせはしなかった。
だから、電話で遅くなると伝えることもなかったし、メールで連絡する事さえ
必要としていなかった。
今こうして考えてみると、母と電話で会話するのは、最後にいつしたのかさえ
完全に忘れてしまうほど珍しいシチュエーションといえる。
電話口から聞こえてくる母の声は、無関心を装う声でも、自分が小さいころの
温かい家庭であった時の母の声とも違う、まるで初めて聞くような母の声であった。
しかし、知らない母の声であるはずなのに、どこか懐かしさを感じてしまうのは
どうしてだろうか。

春希「朝早くからごめん。ちょっといいかな?」

春母「かまわないわ」

春希「ありがとう。それで、今夜会ってくれないかな?」

春母「大丈夫よ。でも、仕事があるから、少し遅くなるけど、それでもいいかしら?」

春希「こっちがお願いする立場なのだし、会ってくれるだけで十分だよ」

春母「そう?」

春希「じゃあ、今夜そっちにいくから」

春母「ええ、家で待っていてくれると助かるわ」

春希「うん、じゃあ、また」

春母「ええ・・・・・・・・・・・」

電話が切れない事にやや不安を覚える。こちらから電話を切っていいものなのだろうか?
こちらから電話をかけたわけだし、要件は既に伝え終えた。
電話のマナーとしても電話をかけた方から切るべきだ。
だったら、自分からとっとと電話を終了してもいいのだが、
どうも自分から電話を終了する気にはなれなかった。
もちろん、正しいマナーがあったとしても、上司や目上の人に対する礼儀によって
逆になる事もあるが、今はそれとも違う。
だったら何故?
そうこうやきもきしていると、電話口のむこうから再び声が聞こえてきた。

春母「ねえ、春希」

春希「はい?」

春母「もしかして、会ってほしい人がいるのかしら?」

春希「は?」

間の抜けた声が朝の物静かな部屋にぽつりと落ちる。
正直、母が何を意図して言ったのか、理解するまで数秒かかった。
だが、それも数秒後には、いっぺんに全てが理解できた。
はっきりいって、嫌な汗が体を這い廻り、母が言いたい事の意味が怒涛のごとく
頭の中を駆け巡ったほどだ。
たしかに普段まったく会話をしてこなかったわけで、
こちらから電話をかけた記憶もほぼない状態だ。
そんな親子関係でありながらも、朝から会ってほしいと電話したわけなのだ。
しかも、大学4年になって、就職だけでなく、もしかしたら結婚の話だって
あってもおかしくはない年齢でもあるわけで・・・・・・。

春希「違うから。結婚じゃないから」

俺は大慌てで否定するしかない。
もしかしたら、母が少しは好意的に電話をしていたのかもしれないのも
結婚話を念頭に入れてたからか?
そうならば、悪いことしたな。

春母「そうなの?」

春希「そうだよ!」

春母「そう・・・。まあいいわ。そろそろ時間だから切るわね」

春希「ごめん、時間とらせてしまって」

春母「いいわ、べつに。それじゃあね」

春希「それじゃあ」

今度はどちらからともなく電話を切ることができた。
ただ、電話が終わったと思うと、急に疲れた噴き出してくる。
これからバイトだというのに、一日分のエネルギーを消費してしまった気もする。
おもわずそのまま座りこみそうになったが、このまま座ってしまっては
もうバイトに行かず、再び携帯を手にして休みの連絡を入れてしまう誘惑と
戦わなければなりそうだ。
もちろんそんな誘惑には打ち勝つ自信はあるが、それでも誘惑に打ち勝つ為の
エネルギーを考えると、もはやバイトどころではなくなってしまう。

春希「さてと、行きますか」

俺は自分を奮い立たせる為に、わざとらしい掛け声をあげると、
勢いよく玄関に向かったのであった。





第21話 終劇
第22話に続く

このページへのコメント

今回も楽しく読ませて頂きました。
ここで、春希の母親を出されましたが、どの様に描かれるのか楽しみにさせて頂きます。
ところで、気付いたのですが、タイトルの"心の永住者"ですが、googleでフレーズ検索をしてもこちらのSS関連しかヒットしませんでした。
黒猫さんのオリジナルですか?
おそらく、かずさにとっての春希、春希にとってのかずさを意味しているのかと思ったのですが、言い得て妙ですね。
ですが、我々にとってのWA2自体が心の永住者なのでは?と最近考える様になってきました(笑)

0
Posted by TakeTake 2014年11月01日(土) 02:46:49 返信

二組の親子の対比、それぞれの親子の距離感が良い味出してましたね。
春希の母が登場したとなると、彼女も今後coda編に影響及ぼすことがあるのでしょうか。今後の展開を楽しみに待っています。

0
Posted by N 2014年10月30日(木) 21:24:12 返信

前半の冬馬親子の会話はほのぼのとした幸せを感じさせましたが、後半の春希サイドに戻って久し振りに会話する北原親子はどこかぎこちないところが対象的ですね。春希はおそらくNYへ行くことを母に告げるのかな?
次回も楽しみにしています。

0
Posted by tune 2014年10月28日(火) 04:36:24 返信

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