555 60=152 その1 sage 2012/01/28(土) 19:55:40.10 ID:KjAEe9JG0
ちょいとSS投下します。雪菜true直後なんですがなんかかずさメインに。
この場合投下先迷うんだけど雪菜スレなら受け入れてくれるかなぁ、と。



「春希くんのお母さんに、会おうと思ってるの」
最近またよく来る様になったファミレスで待ち合わせていた相手は、珍しく躊躇し、迷いを含んだ様子でそう言ってきた。
その言葉の内容自体は、婚約者が相手方の母親に合うという在り来りなものであったが。
「……雪菜、それは」
確か、あいつと母親は…
「前から考えていたことでは、あるんだ」
「……そう」
前々から考えていたことの割に雪菜の歯切れは悪い。
この様な雪菜を見るのは珍しいことではあったが……
(でも、そうでもなかったのか?)
ふと、先月ピアノを弾く意義を見い出せずに引きこもっていたころに、雪菜に何も言わずにホテルを抜け出し練習に行った時のことを思い出す。
あの時の雪菜は、あたしが自殺でもしたんじゃないかという失礼な勘違いをしてかなり慌てていたんだっけ。
(見た目ほど、雪菜も余裕があるわけじゃないのか)
そう言えば、雪菜の交友関係は思っていたよりも狭い様に見える。
というか、学園時代から殆ど変わっていないのではないのか?
(……タンカを切ったものの、どうしようか思い悩んで相談相手を探していたってところか)
その相談相手がよりにもよって私だという所に、雪菜の交友関係の狭さが如実に現れてるように見える。
「……全く、雪菜も物好きな奴だよな。せっかく面倒な女の件が片付いたのに、もっと面倒な女にわざわざ挑戦するなんて」
取り敢えず思いついたことを正直に言ってみた。
「……そんな風に言わなくても」
微妙な表情での答えも、なんとなく予想通りのものだった……まあ、自分でもそう思うし。
ともあれ、一つ深く息を吐いて、続ける
「わかった……応援してやるよ。私が役に立てることなんて何も思い浮かばないけど……いいさ、文句や愚痴くらいは聞いてやるよ」
その言葉を聞いた雪菜は、
「……ありがとう、かずさ」
そう言って、今日、初めてかずさに顔を向けた。

軽く食事をとった後、雪菜と別れ、一人で帰路に着く。
(まさか、雪菜から相談を受ける日がくるとはね)
そもそも、もう二度と会うことは無いと思っていた。ほんの数ヶ月前までは。
あいつに会うことも、日本でコンサートをやることも、母さんの病気も、日本でまた暮らすことも。
あいつにフラれることも、フラれても好きでいることも、そんな自分が未だにあいつらのそばにいることも。
この数ヶ月で起こったことは、以前では想像もできないことだらけだった。
そしてなにより想像できなかったことは、
(こんなことがあったにも関わらず、相変わらずピアノを弾き続けているあたし、か)
結局、未来は私の思うようになんていかないということか。
(そう言えば、別れを伝えに日本に来たんだっけ)
そんなことも、ひどく遠い昔の事のように感じる。
(しかしまあ、よくよく考えればひどい話だよな。フラれた女に、その女をふった男の相談をするだなんて)
それもその男のことを未だに好きでいる女に対して。
全く、ひどい奴だ。
(でも、まあ……付き合うよ)
ここで生きて行くと決めたのは自分だ。これくらいのことに付き合う義理はあるのだろう、友だちなら。
未だにあの二人を見ると胸は痛むけれど。
たどり着けなかった未来を想像し、泣きたくなることもあるけれど。
(だって、友だちに…雪菜に頼られたことを嬉しく思う私だっているんだから)


557 名無しさんだよもん sage 2012/01/28(土) 19:58:46.22 ID:KjAEe9JG0
以上でした。
前回のはオチがギャグめだったのでちょっと真面目に。

このページへのコメント

ああ、これ、いいな。

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Posted by のむら。 2017年01月22日(日) 01:12:57 返信

GZbA9y Thanks for sharing, this is a fantastic post.Thanks Again. Want more.

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Posted by awesome things! 2014年01月21日(火) 09:16:43 返信

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