掲示板・スレッド詳細
TRPGで使えそうな雑学
77.名無し - 22/02/24 19:19:40 - ID:0vSlem/Hhg
初期のマスケット銃は「性能が低くて弓より弱い事もあった」とよく言われるが、実際のところ「練習撃ちができない」事も性能が低さに拍車をかけている。
当時は「素人でも簡単に習得できるので、工業力さえあれば銃兵の数を増やせる」と言われたが、軍事費の面で見ると、火薬と弾丸は弓矢の矢よりも高くついたため、そもそも射撃の練習ができなかった。銃は弓矢と違って、射撃後に弾丸を回収して使いまわせる可能性はほぼゼロである事も、それに拍車をかけた(弓矢も命中時に軸が曲がってしまう事が多いため、確実に使いまわせるわけではないが)。当然、そのような状況で訓練射撃などしようものなら、訓練費用だけであっという間に軍事費を圧迫してしまう。なまじ人数を集められるだけに、その費用圧迫は深刻だった。
そのため、黎明期の銃兵は練度的に「新兵」状態であり、技能なし値(敏捷力-4)で撃つ事になる。少しでも命中率をあげるために密集陣形を組み、面射撃を行う事で確率の法則で命中数を上げるという「戦列歩兵」の概念が出来上がった(当時の戦列歩兵は民間人同然の者を無理やり動員していたため、敵前逃亡や死んだふりをするのを防止する観点でも密集運用が有効だった)。それでも、一回の一斉射撃で敵の戦列歩兵部隊に与えられる被害は2〜3%ほどだったという。
そのような環境であることから、体格の大きい騎兵の突撃戦術もまだ有効だった。時代が進んだ16世紀にもなってフサリアという重騎兵が復活したのも、銃の命中精度が致命的に低かったという理由が大きい。
だが、銃器が一般的になって民間人でも射撃できるようになり、一方でライフリングの技術で弾丸をスピン化させ、高い命中精度が出せるようになると、今度こそ騎兵はただの標的でしかなくなり、戦場から消えて行った。そして戦列歩兵も、アメリカ独立戦争の際に「民間人のガンナーによる統制も何もないフリー射撃でプロの軍人のはずの戦列歩兵部隊が撃破される」ような事が頻発したため、密集体型が取られる事はなくなった。
最新コメント
2024-05-09
2024-05-08
2024-05-07
2024-05-06
2024-04-22