汎用TRPG「ガープス(GURUPS)」について、だべったりつづったりする所。 魔法関連ルールの編集者募集中!

翻訳途中です。この世界観設定は基礎教養にTRPG『D&D』(ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ)があることを前提にしているようです。なのでその専門用語が前振りなく登場するため、本ページではなるべく分かりやすい形に訳しています。

『The Lost Universe』とは、NASAが公開したTRPG向け設定集である

 以下、日本語で紹介している記事より抜粋
 アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年3月5日、TRPG向けの世界観とシナリオを収録した「The Lost Universe」を公開した。異世界に召喚されたハッブル宇宙望遠鏡をめぐる冒険を楽しめる。
 The Lost Universeは、魔法と科学の両面が発達した異世界の自由浮遊惑星「エクスラリス」(Exlaris)を舞台にしたTRPG用シナリオだ。
 かつてのエクスラリスはハビタブルゾーンに存在し,豊かな生態系を形作っていた。しかし、ブラックホールの接近によって軌道が変化し,環境が激変してしまう。
 それでも、魔法使いたちは総力を結集して“本来の惑星環境”を模倣するシールドを作り上げ、環境を維持していた。シールドは「真空エネルギー」(Vacuum energy)によって作られたが、研究はまだ途上にあった。その過程で、魔法使いたちは異世界(プレイヤーにとっての現実世界)でダークエネルギーやブラックホールの観測を行うオブジェクト「ハッブル宇宙望遠鏡」の存在を知ることになる。
 当初は観測データをコピーして利用していたが、ある魔法使いがハッブル宇宙望遠鏡と科学者たちを、地球からエクスラリスへと召喚してしまう。プレイヤーは地球から呼び寄せられた人間の1人となり、エクスラリスでの冒険に旅立っていく。
 収録されているアドベンチャーは全2編(レベル7〜10のキャラクター4〜7人向け)で、いずれも3〜4時間程度で攻略可能な内容とのことだ。特定のシステムに依存する内容ではなく、好みのシステムに合わせて改変できる形式になっているという。
 全編英語で分量もかなりのもの、かつ科学知識も求められるヘビーな内容だが、それだけに深く“刺さる”人もいそうな内容だ。興味を持った人は、NASAの告知ページからデータをダウンロードしてみよう。

■目次(Table of Contents) p.2


■はじめに(Introduction) p.3

[[はじめに>The Lost Universe#Introduction]]
 冒険者の皆さん、ようこそ! あなたはこれから、科学と魔法が出会う世界「エクスラリス」(Exlaris)に入ります。 そこは地球とはまったく異なる道を進んだ世界です。エクスラリスは、自由浮遊惑星として宇宙を孤独に放浪しています。

原書表記

■ゲームの進行(Running the Game) p.3

[[ゲームの進行>The Lost Universe#Running_the_Game]]
 このゲームには2つのパートがあり、どちらも1回のセッションを約3〜4時間で完了できます。 セッション前に、冒険の背景ノンプレイヤーキャラクター(NPC)を確認することを忘れないでください。この情報は、ゲームをスムーズに実行するために非常に重要です。
 ゲームの最初のパートは世界と、プレイヤーがいる都市の紹介です。ゲームのこのパートでは、プレイヤーは自分が作成したキャラクターの体内に取り込まれていることに気づきます。 彼らは地球上で通常知っていることを知っていますが、自分たちが今いる場所(惑星エクスラリス)については何も知りません。彼らはお互いを認識せず、他のプレイヤーが彼らを見たときに何が見えるかを伝える必要があります。 ただし、呪文使いであれば、自分に魔法能力があることが直感的にわかり、ゲームの初期の遭遇でそれを扱う方法を学ぶことができます。 このセクションで彼らが出会うNPCは、この世界に対する彼らの見方に影響を与えます。
 「冒険の背景」セクションと「概要」セクションからの惑星に関する情報は、これらの遭遇を通じてGMの裁量で提供できますが、どのキャラクターが共有する可能性が最も高いかについてのガイドがそれぞれに含まれています。 プレイヤーには探索する道がたくさんありますが、いずれにしても最終的には都市の外に行き着きます。
 冒険の第2部は、都市の外にある近くの遺跡への旅で、そこで技能チャレンジを完了し、研究者失踪事件の背後にいたドラゴンと遭遇します。研究者を回収して家に帰る前に、これらの課題を完了する必要があります。このゲーム全体を通して、さまざまなDC(Difficulty Class、難易度)に関するGM向けのメモが見つかります。これらはGMの裁量で使用し、ゲームプレイに最適化するためのガイドラインです。
コラム:この冒険は、D&Dでのレベル7〜10のキャラクター4〜7人のパーティー向けに設計されています。これは王道ファンタジーにおける「国家の英雄」レベル……様々な高位魔法を使える第一線級の冒険者パーティが挑む冒険です。

原書表記


■冒険の背景(Adventure Background) p.4

[[冒険の背景>The Lost Universe#Adventure_Background]]
 400年前の時代、エクスラリスと呼ばれる惑星は、その星の生命居住可能領域(ハビタブルゾーン)内を快適に周回していました。 この精妙な領域内で、惑星は生命を育めるほど成長し、生命は知性を獲得し、強固な社会を発展させ、生来の魔法能力を活用することを学びました。 そして知識を何よりも重んじる平和な世界がそのあり方を整えました。 彼らは農業に注力し、医学研究や魔法能力を磨くことで社会を改善することに重点を置いたのです。 この世界における「魔法」は、少数の住民が真空エネルギー(詳細は「付録A」を参照)、つまり周囲の宇宙を満たすエネルギーの利用手段を発見したときに生まれました。 彼らがそれを利用する能力やエネルギーそのものについてはまだよくわかっていませんが、研究は現在進行中です。その間に、エクスラリスの住民の多くは、勉強を通じて、また生来の才能によって、このエネルギーを利用することを学びました。ただし、そのエネルギーは変動する傾向があり、常に信頼できるわけではないため、研究者は問題を解決するためにエネルギーをより完全に理解することに熱心です。
エクスラリスの魔法を既存TRPGシステムの魔法体系と差別化したい場合、便宜上この魔法を「真空魔法」(Vacuum Magic)と呼ぶことにします。

原書表記


 しかし、ブラックホールが惑星エクスラリスに接近したとき、その平和だった社会性質は変化しました。ブラックホールの接近は、惑星を飲み込むほどではありませんが、惑星軌道を激変させるには十分なほど近かったのです。エクスラリスはその月――衛星ノル(Noru)――とともに独自の惑星軌道をとるようになりました。そして世界の住民には衝撃が走り、大混乱が巻き起こりました。 この恒星系内の他の惑星もそれぞれ同じ運命をたどりましたが、生命を維持したのはエクスラリスだけでした。 「大崩壊」(The Breaking)として知られるこの出来事は、エクスラリスを自由浮遊惑星に変えたのです。

原書表記


 この惑星に住むエルフやダークエルフのような長命種の中には、この時のこととその後の大混乱を今でも覚えている者もいます。 太陽光が闇に消えたとき、この世界の住民「エクスラリ」(Exlari)は、生きていくためにできる限りの資源を蓄えました。 平和な惑星エクスラリスは、すぐに生存競争と混乱の坩堝(るつぼ)に変わりました。

原書表記


 混乱のさなか、大魔術師は学者、魔法使い、妖術師、指導者からなるチームを結成し、知恵を結集させてこの問題を解決しました。 彼らは惑星を覆うシールドを開発しました。これは、エクスラリスの元の大気構成を模倣して、惑星元来の温度を維持しながら、彗星、小惑星、および宇宙旅行におけるその他の危険からエクスラリスを保護するものです。 このシールドは、大魔術師たちが周囲の宇宙から集められる限りの真空エネルギーを利用し、それを彼らが所有するテクノロジーと魔法を組み合わせて作成されました。 エクスラリスは今や自由浮遊惑星となったため、彼らは想定以上に多量なエネルギーを利用することができました。 シールドが効果を発揮し、惑星が安定し始めると、魔術師たちはシールドがいずれ解除されるかもしれないことに恐怖を抱きました。 彼らは、真空エネルギーの大量利用方法の知識を封印し、それをシールド維持のために彼らの間でのみ使用しました。 彼らはこれまでそのエネルギーをこれほど強力に利用する能力を持っていなかったので、その知識を秘密にすることに問題はなく、安心していました。
 一方、都市内では、彼らはシールドと同じエネルギーと技術を使用してランプを作成しました。これはシールドほど強力ではありませんが、これらのランプは太陽が周回していた頃の動き、つまり昼と夜のサイクルを模倣することができました。中でも非常に強力なランプが与えられたのは農民です。 これにより、国民に食糧を与え続けるために作物を健康に保つことができたのです。 惑星の大部分は常夜のままでしたが、社会はやがて再建を始め、惑星に平和が戻りました。 この間、かつては光を嫌い、影に追いやられていた生物たちが地下から現れ、今では暗闇を自由に歩き回っています。

原書表記


 惑星の歴史は「大崩壊」をきっかけに、新たな章を始めました。 エクスラリを救った勤勉な人々は指導的役割に昇格し、「情報を常に開示にしてアクセスできるようにする」という原則に基づいて社会を再構築しました。この伝統は今日も続いています。 社会から離れて一団を組んで放浪することを好む人もいますが、ほとんどは平和で日常的な生活に戻りました。 エクスラリスの在り方は永遠に変わり、彼らは学術的な興味を新たな焦点――周囲の宇宙――に当てました。

原書表記


 「大崩壊」以来何世紀にもわたって、この世界の宇宙研究は具体化し、知的種族のいる異世界、自由浮遊惑星、そしてブラックホールと真空エネルギーへの研究に特別な関心の焦点を当ててきました。近年、大都市アルダストロン(Aldastron)の魔術師エイリク・ハズン(Eirik Hazn)は、惑星とその文明、そして恒星系内をどのように移動するかについて観察以上の干渉方法を手に入れ、地球とつながれる呪文を開発しました。 エイリクは、地球におけるブラックホールとダークエネルギー (真空エネルギーに似たもの) の理解を促進する観測結果を知った後、ハッブル宇宙望遠鏡にリンクし、彼と選ばれた他の研究者が宇宙望遠鏡の一部を解読するために、地球の使用データをコピーしました。 それは彼ら自身の惑星の謎を解明し、新たな研究分野をさらに推進するための行いでした。しかし彼らは知りませんでした。このことはエイリクが作成した呪文を盗んだ若いドラゴン「イシリアス」(Isilias)の関心を引いてしまったことに。若緑竜イシリアスは知識を独占するべく、エイリク自身と彼の研究者仲間、果てには地球のハッブルそのものをも自分の根城に連れ去ってしまったのです。それは謎の大事件として注目を集め、プレイヤーキャラクターの冒険に繋がって行きます。

原書表記


 エクスラリスには、アルダストロン(Aldastron)、サルテリオス(Sarthelios)、ベスカ・ペレイア(Beska-Pereia)、パレレイドン(Palereidon)、アルケトナム(Arketnum)の5つの主要都市があります。 これらの都市はそれぞれ特定の学術に重点を置いています。都市間では公然と貿易が行われており、最も一般的な都市間移動は瞬間移動呪文によって行われます。しかし、場合によってはその都市間の暗闇の領域を直接移動して行われます。 各都市には特定のテーマに関する知識と研究のほとんどが集中していますが、研究者が都市間をローテーションして多くの異なる分野を学ぶことは非常に一般的です。 この世界には5つの主要都市がありますが、無数の小さな町や都市が点在しており、その中には独自の学術的関心を持つものもあれば、農業または社会のその他の側面に焦点を当てているものもあります。

原書表記


 なお、暗闇の領域中には「大崩壊」以前の生活がどのようなものであったかの痕跡を見つけることができます。 当時の主要都市のいくつかは大混乱を生き残れず、旅行者は今でも荒らされた廃墟を見つけることができます。 しかし、これらの遺跡の中を旅する勇気のある人は、めったに戻ってきません。なぜなら、そこには、暗闇に潜んで待ち構えているさまざまな種類の危険生物の住処があるからです。これが、ほとんどが旅行にテレポーテーションを使用する理由です。

 この世界でのテレポートは、主要都市間では簡単ですが、遠隔地になるほど難しくなり、魔法で接続された一連のポータルを通じて行われます。 すべてのポータルが常に開いているわけではありません。 エクスラリスでのテレポートは、地球上の主要都市の交通ハブに、多くの点で似ています。

原書表記


コラム:都市と基本情報:(CITIES & BASIC INFO:) p.5

コラム:[[都市と基本情報>The Lost Universe#都市と基本情報]]
主要都市の名前重視・注力している学術分野
アルダストロン(Aldastron)天体物理学(Astrophysics)
サルテリオス(Sarthelios)太陽科学(Solar Science)
ベスカ・ペレイア(Beska-Pereia)生体システム学(Biological Systems)
パレレイドン(Palereidon)惑星科学(Planetary Science)
アルケトナム(Arketnum)航空学(Aeronautics)
アルダストロン(Aldastron)
●ここが私たちの冒険の舞台です。エクスラリスの中で最大規模の都市であり、首都であり、学術研究と貿易の最大の中心地として機能します。

アルダストロンはインナーとアウターに分かれています。
  • インナー・アルダストロンは大きく平らな台地の上にあります。そこでは天文台、大学、さまざまな商業施設が運営されています。
  • アウター・アルダストロンは台地の基部から数マイル外側に広がり、最も古い建物は台地の基部にあります。 農民が住むアウター・アルダストロンは台地よりもはるかに新しいです。周囲の農地は、世界の他の地域が真夜中であっても、常に日光に照らされており、したがって惑星上で最も実り豊かで重労働の農地となっています。

原書表記


■概要(Overview) p.6

[[概要>The Lost Universe#Overview]]
 惑星エクスラリスは、興味深い生命が混在する場所です。 太陽がないため、すべてのクリーチャーはデフォルトで暗視を持っています。プレイヤーは周囲を見回せば、ダークエルフとエルフからオークとゴブリン、ハーフリング、ティーフリングに至るまで、さまざまな生物が混ざり合っていることに加え、前述の種族のさまざまな組み合わせを見つけるでしょう。 プレイヤーは、ここが非常に包括的な社会であることをすぐに推測できます。

原書表記


 この惑星文明は学者を主要なリーダーとして認めています。 勉強に専念する人(魔法使いなど)は特別な敬意を払われ、法の支援を受けて社会をより良くすることが彼らの責任であると考えられています。 すべての主要都市には、その都市の重点分野に特化した主要な研究センターと、より幅広いカリキュラムを備えた大学があります。 社会の幸福が重視されているにもかかわらず、依然として地下犯罪コミュニティが存在します。 プレイヤーは、選択した道に応じて、ゲームをプレイしながら社会のあらゆる側面と対話する機会を得ることができます。

原書表記


 ゲームは、プレイヤーがポータルを通してアルダストロンの街に入ることから始まります。 アルダストロンは交通の要所であるため、プレイヤーは転移呪文が唱えられたときに別の都市から旅行してきたエクスラリスの人々に「巻き込まれる」ことになります。 プレイヤーが町を探索すると、さまざまな NPC と交流する機会があり、最初のストーリーフックである連続失踪事件に遭遇します。
町は地区で構成されており、学業地区が中心にあり、その他の地区が外側にリング状に広がっています。 いくつかのビジネスが注目に値しますが、特筆すべきは居酒屋「馬頭亭」 (ホースヘッド・タバーン。Horsehead Tavern) です。 貿易地区の町の広場のすぐ外にある居酒屋「馬頭亭」は、ゲームの出発点として機能し、潜在的な同盟者であるフェルウィンの本拠地となります。 ここでプレイヤーは自分の新しい能力を試し、街で何が起こっているのかを学び、さらにフェルウィンから任務を得る機会があります。
居酒屋「馬頭亭」は、地下犯罪ネットワークと社会のより近づきやすい部分との間の架け橋としての役割を果たしています。 プレイヤーは、フェルウィンからの仕事を受け入れるかどうかに関係なく、ここでダミアンと友達になる機会があります。 ダミアンは町の周りで起きている出来事の多くを知っているため、プレーヤーのガイドとして役立ち、どこに行く必要があるかを示してくれます。 ダミアンは居酒屋「馬頭亭」でバーテンダーを務めており、フェルウィンの右腕です。

原書表記


 また、貿易地区では、プレイヤーは警備隊の本部を見つけます。 警備隊はさまざまな興味深い人物で構成されており、その気になれば誰にも気付かれずに街を歩き回れるように全員が紺色の服を着ています。 警備隊を率いるのは、街の繁栄を望む中立・善良なハーフオークのロクサーナ・トレバン隊長です。 彼らの主な使命は国民の保護と支援であり、彼らはこの使命を非常に真剣に受け止めています。 プレイヤーが警備隊に所属することを選択した場合、彼らは信頼できる同胞であり、割の良い仕事であることがわかります。
警備員のパトロールは市内全域で定期的に行われますが、隠れた警備員が近くの物陰に潜んで、監視を強化している可能性が常にあります。

原書表記


 天文台の主力研究者の何人かが行方不明になっているため、ここ数週間、警備員の存在が増えています。トレバン隊長とフェルウィンは何が起こっているのかを解明するために各々が注力しており、街全体が厳戒態勢にあります。 二人とも、これらの行方不明者の研究内容が非常に重要かもしれないと認識していました。これまでのところ、彼女らの努力は方向性以外にはほとんど成果を上げていません。せいぜいが、「街の外の遺跡には何かが潜んでいる」「それは今のところ、彼女らどちらも近づくことができないものだ」ということぐらいです。

原書表記


 解決策がないまま失踪事件が長引く中、市内の緊張は高まっています。 学生たちは大学を出て他の都市へ向かい始めており、一般の町民は警備が緩くなったのではないか、それともさらに大きな陰謀が進行しているのではないかと疑問に思っています。 この状況が長引けば長引くほど緊張は高まり、アルダストロンの周囲には恐怖と不信の空気が漂います。 平和な世界では、都市内での失踪は稀で、ましてや複数の失踪は稀です。 人々が失踪に対する非難を投げかける中、街路や広場、居酒屋などでいくつかの争いが勃発し始めています。

原書表記


 最近の失踪者は、この天文台で研究をしている4人の著名な学者、エイリク・ハズンザニア・ヘスクテルテン・テレディンカヴ・グレンナーで構成されています。 これらの人々は最近、「大崩壊」を研究し、他の自由浮遊惑星やブラックホール、さらに何世紀にもわたって使用されているにもかかわらずほとんど謎の真空エネルギーに関する情報を探ったり、自分たちの現状を正確に理解しようとしたり、この惑星文明の特殊性に疑問を抱いていたりしています。

原書表記


 彼らは研究を進めながら、地球――具体的にはハッブル宇宙望遠鏡――と魔法で繋がりました。ハッブル宇宙望遠鏡はエクスラリスが何なのか、あるいはかつてはどのようなものであったのかを知る基点として機能し、次元間差異の比較に役立ちました。 しかし、この研究を行っている間にハッブル宇宙望遠鏡自体が地球次元から消滅し、地球人達にはそれが最初からまったく存在しなかったように扱われました。

原書表記


 研究者たちは、ハッブルがどこに行ったのか分からず、自分らの魔法が原因であることを恐れました。そして後に行方不明になる研究者たちは、ハッブルのデータをコピーする際に使用した呪文を改造したものを唱えました。今回の呪文は、協力者となる個人の意識を呼び寄せる仕様に改造されたものです。 研究者らは地球側からハッブル宇宙望遠鏡の縁を手繰り、望遠鏡を見つけて返却するのに協力してもらうつもりなのです。

原書表記


 されど、これらの召喚対象者がいつ現れるか分かりません。研究者らはアルダストロン中の同盟者に、場違いな人物、ポータルを通ってやってくると思われる人物に注意するよう伝えました。彼らは、これらの人々が到着したら天文台に連れて来てほしい旨を確実に周知させました。

原書表記


 これらの研究者はそれぞれ、召喚者が到着する前に行方不明になりました。 それらはすべて若きドラゴンのイシリアスによって連れ去られたのです。若緑竜イシリアスエイリクの呪文を盗み、改造し、使用しました。呪文はデータを複製転送する代わりにハッブル宇宙望遠鏡そのものをエクスラリスに輸送しました。そしてイシリアスは自分自身のためにハッブルを機能させ、情報を保持するために研究者を捕らえました。 エクスラリスはそれが魔法や宇宙の真理を暴き、エクスラリス最強生物になるための方法だと信じています。

原書表記

■ノンプレイヤーキャラクター(NPC)(Non-Player Characters (NPCs)) p.8

[[ノンプレイヤーキャラクター(NPC)>The Lost Universe#NPCs]]

首都警備隊隊長 ロクサーナ・トレバン(Roxanna Treban) p.8

● 40歳以下のハーフオークの女性。 背が高く堂々とした姿で、髪は常に結われており、筋肉には目に見える多数の傷跡がある。 中立・善。
トレバン隊長は成人してからアルダストロン市警備隊に勤務し、市を悩ませている問題の真相を解明し、市民の利益を心に留めているという評判を築いてきました。 PCが彼女から失踪事件を解決する仕事を受け入れることを選択した場合、彼女は安定した信頼できる味方になるでしょう。しかし、PCたちが社会のために働かないことを示せば、彼女は敵対的になるでしょう。 PCがフェルウィンと関係を持つ場合、トレバンはPCに目を光らせます。PCがフェルウィンとの同盟についてトレバンに近々話してくる場合、彼女はより良い同盟を追求するよう警告することでしょう。 トレバンフェルウィンは緊迫した休戦協定を結んでいますが、秩序を維持する上での互いの役割を認識しているにもかかわらず、お互いを信頼していません。 しかしまれな状況ですが、彼女らは協力してきましたし、今後も協力することもあるでしょう。

原書表記

天文台の所長 モーガン・シャリー(Morgan Sharey) p.8

● 50歳以下のノンバイナリーの人間(なので原書での三人称は性別不明の「They」)。 銀色の房のある茶色の長髪。 秩序・善。
モーガン・シャリーは、約10年間天文台の研究主任を務め、研究者が興味を追求するための最良の環境を提供することに専念してきました。 モーガン・シャリー所長はこの天文台を、研究によって従来の考え方が頻繁に検証される創造的な拠点に構築しました。 所長は理解したいという衝動に駆られており、新しい情報に出会うとすぐに好奇心が湧いて近くのノートにメモを書きます。 所長はオフィスを離れることはめったにありませんが、オープンドアポリシーに誇りを持っており、情報を求めてやってくるキャラクターたちを歓迎し、常にお茶と時にはクッキーを提供します。

原書表記


馬頭亭の顔 ダミアン(Damien) p.8

● 200歳未満のダークエルフ男性。 褐色の肌と肩までの長さの白い髪。 真の中立。
ダミアンはバーテンダーであり、フェルウィンの右腕です。彼はプレイヤーが最初に遭遇する可能性のある NPC の1人です。 彼はいつでも飲み物を注ぎ、食事を提供し、登場人物の話を笑顔で聞く準備ができています。 彼は居酒屋「馬頭亭」の顔であり、かなり洞察力を持ちます。彼は登場人物が上司のフェルウィンに出会うための窓口となります。ダミアンフェルウィンに非常に忠実です。 彼は過去数十年間、「馬頭亭」で働き、フェルウィンの右腕として活動するまでに努力してきました。 彼はフレンドリーですが、トラブルに備えて短剣を常に持ち歩いています。 彼はかつて大学の有望な若手学生でしたが、いくつかの厳しい休暇を経てその道を離れ、最終的にフェルウィンの下で働く場所を見つけました。 彼は雇用主よりもはるかに信頼でき、すぐに友達になることができます。

原書表記


馬頭亭の主 フェルウィン(Faelwyn) p.9

●長い金髪を持つ400歳以上のエルフの女性。 混沌・中立ですが、PCの行動によっては混沌・悪に陥る可能性があります。
●居酒屋「馬頭亭」のオーナーであるフェルウィンは、過去1世紀以上をアルダストロンの街で過ごし、街で起こっているあらゆる側面に関わってきました。 彼女が気づいていないことはほとんどなく、気まぐれではあるものの、パーティーにとって非常に貴重な味方となる可能性があります。 かつては「大崩壊」の影響で研究者として称賛されていた彼女は、世界のより強力な魔法の仕組みについて直接知識を持っていますが、脚光を浴びることを望まず、高いリーダーシップを保っていました。
彼女は非常に分析力があり、最初の話し合いでPCらが積極的に協力する姿勢を見せた場合は、仕事斡旋者かつ良い情報源となるでしょう。 彼女とロクサーナ・トレバンはお互いを信頼しておらず、PCがフェルウィンと提携している場合、彼女はトレバン隊長との提携について言及しないことを推奨します。 フェルウィンは影の人物であり、彼女への洞察力チェック(正体を突き止めようとする判定)は高DC(“難易度:高”、対応する技能なしだと成功率は5%以下) にあり、彼女が己の企みのために働いていることだけが明らかになります。 ただし、必要があれば、彼女はPCたちにネットワークのサポートを提供します。

原書表記


若緑竜 イシリアス(Isilias) p.9

● 若緑竜(若年のグリーン・ドラゴン)、約70歳。(性別未定のため原書での三人称は「They」) 混沌・悪。
● 約70歳という年若い竜イシリアスは最初の40年間を惑星エクスラリス中を旅しながら、暗闇の大地を避け、追ってくる冒険者たちをなんとか出し抜いて過ごしました。 約30年前、イシリアスエクスラリスの旧首都モクサナの遺跡に定住し、廃墟となった街の膨大な図書館を獲得して知識を蓄え始めました。 これはイシリアスの欲望を長期に満たすほどではなかったため、イシリアスはエルフの姿に変身して他都市への旅を始めましたが、未熟なイシリアスの変身魔法は肌の緑色の色合いを完全に隠すほどのものではありませんでした。 自分の既知を超えた知識への欲求は、最終的にイシリアスをハッブル宇宙望遠鏡奪取と、その研究者たち(プレイヤーの救出対象者)の誘拐へと駆り立てました。

原書表記


地球接続呪文の発明者 エイリク・ハズン(Eirik Hazn) p.9

● 約40歳の紫色のティーフリングの男性。 秩序・善。
エイリクは常に勉強するのが大好きで、生涯を通じて本を手に持たないことはほとんどないほどでした。 このため、研究は彼の天職であり、彼は天文台での仕事が大好きです。 彼は別次元に接続してデータ転送できる呪文を開発しました。特にハッブル宇宙望遠鏡は、彼や他の人々の研究を促進し、彼らの世界だけでなく、彼らの周りの宇宙、そして他の次元に広がる宇宙の謎を解明するのに役立ちます。 そもそも研究者にとっても真空エネルギーについては未だに良く分かっておらず、それを謎のままエクスラリスで大規模利用している現状に対し、エイリクは常に不安を感じていました。 彼がハッブル宇宙望遠鏡に接続する主目的は、この神秘的な物質についてさらに学び、真空エネルギーを世界にとって安全で持続可能で信頼できる無限のエネルギー源にするべく取り組むことでした。

原書表記


エイリクの右腕 ザニア・ヘスク(Zyania Hesk) p.9

● 20代半ばの人間の女性。 秩序・中立。
● 行方不明の研究員の中で最年少であるザニアは、エイリクの右腕を担っています。 彼女は地球に魅了されており、おそらくメモを取りながらプレイヤーにたくさんの質問をするでしょう。 彼女の研究は、地球をテンプレートとして使用して、エクスラリスを「大崩壊」前の状態に復元する方法に焦点を当てています。 彼女の目標は、最終的には自分自身が研究主任になることであり、そのための素晴らしい出世街道を進んでいます。 彼女は非常に鋭く洞察力に優れていますが、常に慎重です。エイリクは研究の特定分野で「ウサギの穴に落ちる」(沼に落ちる。脱線したまま戻ってこなくなる)傾向があるのに対し、ザニアはどちらかというと全体像を考えるタイプで、さまざまな部分がどのように組み合わされるかをより簡単に理解できます。

原書表記


移り気な研究員 テルテン・テレディン(Telten Theredeyn) p.10

● 60歳のハーフリング女性。 混沌・善。
テルテンは人生のほとんどを研究者として過ごしてきましたが、ランダムなアイデアを追い求める傾向があり、キャリアを伸ばすことができませんでした。 彼女はそれを気にしていません。むしろ勉強していることを楽しみたいし、仕事にも満足しています。 エイリクが彼女の独自の視点で物事を観察するよう彼の研究グループに加えてほしいと彼女に持ちかけたとき、彼女はとても新しくて興味深いことに参加できることをうれしく思いました。 彼女は鋭い観察者ですが気が散りやすいため、プレイヤーは彼女から何かを得るのに苦労するでしょう。

原書表記


天文台の常駐講師 カヴ・グレンナー(Kav Grenner) p.10

●35歳のオーク男性。 中立・善。
カヴは優しい魂を持っており、他の人よりも本と一緒にいることを好みます。 彼は天文台の常駐講師を楽しんでおり、他のことをする気はありません。 研究への参加も散発的です。 通常、彼は主任研究員からこの問題について小突かれる必要がありますが、同僚は彼の洞察力を高く評価しています。 彼の真の愛情は若者の心を育むことであり、それが生徒たちの役に立つのであれば時には規則を曲げることも厭いません。 常に穏やかな話し方で、プレイヤーに心地よいお茶や会話を提供してくれる彼は、常に心を落ち着かせる存在です。

原書表記


■舞台は整った(The Stage is Set) p.10

[[舞台は整った>The Lost Universe#The_Stage_is_Set]]
原書では地球人キャラクター(そのステータスは実質不要)のこともプレイヤーと呼んでいてややこしいので意訳しています。
 ゲームはまず、惑星エクスラリスのキャラクターではなく、惑星地球にいる人間、少なくとも地球の時間軸(並行世界)の1つ、つまり「ハッブル宇宙望遠鏡のない時間軸」の地球人キャラクターから開始します。 プレイヤーにストーリーを紹介するときは、「ハッブルのない時間軸」では、地球人キャラクター全員がミッションに関与していたことに留意してください。 これは結末で彼らに明らかになります。 このハッブル有無の違いにより、彼らは自分たちの世界に「何かが欠けている」と感じます。 以下のテキストを使用して、プレイヤーにストーリーを紹介します。

 「時は1990年に遡り、NASAはハッブル宇宙望遠鏡と呼ばれる革新的な天文台を地球低軌道に打ち上げました。 スクールバスほどの大きさのハッブルは、その高解像度の宇宙観測能力によって人類の宇宙観を変える運命にありました。
 地球の濁った大気の上に望遠鏡を設置すれば、雲や光害、大気の歪みなどの干渉を受けることなく宇宙を観測できるようになるのです。
 ハッブルの視覚は人間の目で認識できる範囲を超え、紫外線および近赤外線の範囲にまで広がります。 この望遠鏡の配置と設計は宇宙に対する私たちの理解に革命をもたらし、前例のない天文学的発見の時代を切り開くことになります。
 さらに、ハッブルの設計には宇宙飛行士が宇宙で修理できる機能が含まれており、望遠鏡を何度も修理したりアップグレードしたりすることができました。
 しかし、この世界では、ハッブルなど存在しなかったかのようです。 そして、ハッブルのない世界では、宇宙の年齢も、銀河の中心にブラックホールが潜んでいることも、宇宙がどれだけ美しいのか、誰も知りません。ハッブルがなければ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も存在しません。 宇宙飛行士が宇宙で完了したミッションの整備という重要な経験がなければ、国際宇宙ステーションも実現しませんでした。 がんの検出、絶滅危惧種の追跡、古文書の解読などの技術も不足しています。
 そして、あなたとあなたの友人は、アメリカのメリーランド州グリーンベルトにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターで働いています。あなたの仕事は刺激的で充実しており、毎日自分の惑星や宇宙についてさらに多くのことを発見しています……しかし、謎の大きな欠落感を決して払拭することはできません。 心の中には、何かを忘れているような、かすかな痛みが存在しますが、それはいつも手の届かないところにあります。 思い出そうとすればするほど、痛みは悪化します。
 この気持ちは皆さんそれぞれにあると思いますが、最近では無視できなくなってきています。 あなたは頭をすっきりさせるためにゴダードのキャンパスをグループで散歩することを提案しましたが、建物の周りを歩き回っていると、頭が痛くなり、極度の疲労感に襲われます。 まるで居眠りしているかのようですが、そうではないことにすぐに気づきます。 あなたは突然、首の後ろの毛が逆立ち、暗闇に引き込まれます。」

 冒険は13ページの第1部から始まります。

原書表記


■第1部:冒険の始まり(Part 1: The Adventure Begins) p.13

「[[第1部:冒険の始まり>The Lost Universe#Part1]]」
[[第1部>The Lost Universe#Part1]]
 地球人キャラクターの精神は、エクスラリス最大の都市、アルダストロンの中心で目覚めます。 彼らは地球での生活のすべての記憶を保持していますが、周囲の惑星についてはまったく馴染みがありません。 彼らはプレイヤーが作成したキャラクターの体に転送され、それぞれが肉体に宿る魔法能力や武器の使い方について直観的に理解し、その知識を得ます (これは最初の戦いや他のゲームプレイを通じて明らかになる可能性があります) 。しかし、地球人キャラクターの精神は、自分たちがこの世界で誰なのかについては何も知りません。 そして同じくエクスラリスに呼ばれた仲間と(姿が別人なので)お互いを認識しなくなります。 この冒険はバス停に相当する場所から始まります。 次のテキストを使用して、パーティのシーンを設定します。

 周囲の暗闇が消え、あなたは自分がポータル(テレポート用のゲート)のように見えるものの前に立っていることに気づきます。それは、周囲の賑やかな空間にいくつかあるポータルのうちの1つです。 これは地球上のバス停のような、見慣れたものです。 周囲のさまざまなポータルにはそれぞれ、そこまで続く通路があり、上には次のような看板がぶら下がっています。

サルテリオス(Sarthelios)
ベスカ・ペレイア(Beska-Pereia)
パレレイドン(Palereidon)
アルケトナム(Arketnum)

 あなたはこれらのポータルのそれぞれが別の都市につながっていると推測でき、そして、すべてを理解して、空中に大きな文字で、「アルダストロンへようこそ!」と書かれた看板を見ます。周囲には、あなたがこれまで見たことのない様々な種族の人々が行き交っており、様々な言語の会話が聞こえてきます。あなたは、これらの奇妙でありながらどこか懐かしい環境を深く理解すればするほど、すぐに、自分が経験しているのと同じ混乱を抱えているように見える人々のグループがあり、自分もその集団の一員であるかのように立っていることに気づきます。

 他のプレイヤー(が操作している地球人の精神が憑りついたキャラクター)の目には、あなたが何に見えるでしょうか?

 プレイヤーキャラクター(略記はPC)が周囲の状況を把握している間、人々はPCの周りを歩き続け、次のような文言を含む会話の一部を耳にすることができます。

「夕食にちょうど間に合ったな。居酒屋「馬頭亭」に行こうか。」
「いい案だね。ダミアンはいつも何か面白い話をしてくれるし、酒を1杯頂くのもいいな。」

 二人はあなたの存在を気にすることなく通り過ぎ、あなたが出口と認識できる場所に向かって進みます。

 通りを見下ろすと、街路灯と、にぎやかな通りの照明ポールにぶら下がっているランタンの間に、十字のようなものが見えます。 さらに視線を下げると、建物から垂れ下がった広い看板があり、そこには真っ赤な野原に黒い馬の頭と泡立ったマグカップが描かれています。 その建物のドアを半円状に囲む人々がいるように見え、ドア内の誰かと中を覗いている人々の両方が大声で叫んでいるようです。

 あなた達が居酒屋の周りの喧騒を無視して歩き回って自分がどこにいるかの手がかりを探すことを選択した場合、または自分の状況を人々に伝えようとした場合は、次の2つのセクションの内の最初 (次のページ)を用いてください。 あなた達が騒ぐ人々の方――居酒屋「馬頭亭」――に行くことを選択した場合は、2番目のセクションを使用してください。これらの選択肢の結果は両方とも、第1部3番目のセクションで合流します。

原書表記



□□1.プレイヤーが街を見て回る場合(If players look around the city:) pp.14-16

[[プレイヤーが街を見て回る場合>The Lost Universe#If_players_look_around_the_city]]
 プレイヤーが街の様子を観察するために歩き回ることを選択した場合、居酒屋での騒ぎに遭遇したり、不審な行動をしているために近づいてきた警備員に尋問されたりする可能性があります。 もう1つのオプションは、プレイヤーが知覚チェック(知覚判定)することです。

 プレイヤーは知覚判定を行うことができますが、誰かが簡単なDC(“難易度:低”、対応する技能なしだと成功率50%ほど)に勝つ限り、街での出来事について伝える掲示板を見つけることができます。 次のテキストを使用します。

 このバス停の中に掲示板があり、そこにチラシが貼ってありました。 かなり前から存在しているように見えるチラシもありますが、新しいものもいくつかあります。 あるチラシは、迷子になったペットを探している子供のように見え、別のチラシは、地元の天文台によって毎年行われるライトアップの祭典であると思われる今後のフェスティバルについて言及しており、ボードの中央にあるチラシは、いくつかのボードの上に貼り付けられています。 他には、推定される一連の誘拐事件に関する情報提供に対する懸賞金に関するものです。

 失踪事件に関するチラシは、PCたちに市の警備隊を案内し、警備隊隊長であるロクサーナ・トレバンから追加情報を得るようにと指示しています。 この時点から、PCはパトロール中の警備員2名を簡単に見つけて、調査のために隊長のもとに連れて行くようリクエストできます。

 PCが街を探索すると、すべてを照らすために街路のあちこちにランプが点在する多くの建物が見えます。歩き回っていると、夕方に閉店し始めたさまざまな店を通り過ぎたり、レストランから美味しそうな食べ物の匂いがしたりすることがあります。人々は道を行ったり来たりしながら話し合っています。 PCは行方不明の研究者に関する会話をよく耳にすることになります。 PCたちは警備員2名に近づかれ、場違いなようで道に迷ってしまったのかと尋ねられます。 PCたち(が混乱していたり挙動がおかしいこと)に違和感を覚えた警備員たちは、PCらをトレバン隊長に会いに連れて行きます。

 警備員のペアはPCを駐屯地に連れて行き、警備隊隊長の準備が整うまで外で待機します。 移動中、PC同士や同行する警備員と話す機会があります。警備員が前を歩いている場合、これはPC間でロールプレイをするのに良いタイミングです。警備員の横にいて会話することを選択した場合、PCの動かし方に応じて、市内とその周辺での出来事について次のことを学ぶ機会があります。

トレバン隊長は市外にパトロール隊を派遣しており、その理由は分からないが、パトロール隊のほとんどが戻っていないことは知っている。 彼らは、暗闇で活動している盗賊が大胆になってきている可能性があり、隊長はパニックを避けたいと考えています。

● 街の外の遺跡、「大崩壊」以前に存在していた文明の残骸で、妙な動きがあるようです。 警備員たちは、「大崩壊」の記念日が近づくにつれて幽霊が戻ってきてこの惑星に取り憑いたのではないか、それとも暗闇から現れた怪物が光を恐れなくなり都市に近づいてきたのではないかと議論します。 二人とも、後者が本当なら警備員が迅速に対処するだろうと確信しています。

● 彼らは居酒屋「馬頭亭」の噂を聞いたそうです。なんでも、そこのオーナーであるフェルウィンが天文台の周りで聞き込みをしていたらしいと。 警備員らは多くを語りませんが、PCは彼らはバーテンダーのダミアンを信頼していないことにすぐ気づきます。

● PCが天文台について尋ねると、警備員はすぐに天文台が担っている研究の優秀さを賞賛します。PCはこの惑星の研究者が多かれ少なかれ競争しており、それぞれが最高品質の研究成果を生み出し、それを国民に配布したいと考えていることがわかります。

● PCが失踪事件について尋ねると、警備員は険しい表情になり、最も優れた研究者の何人かが跡形もなく消えてしまったことを嘆きます。 警備員コンビはそれぞれ独自の見解を持っており、1人は想定される誘拐の背後に犯罪ネットワークがあると信じており、もう1人は別の世界からデータを借りているという噂に言及して、「研究者の理解不能な領域」が失踪事件に関係があると信じています。

 隊長に会うために連行されたPCらは、顔と腕に目に見える傷跡を残した、背が高く筋肉質のハーフオークの女性を目撃します。 彼女は明らかに戦闘経験者です。 彼女は失踪事件について、街の外の森までの足跡をたどったこと、そこの遺跡に何かが潜んでいると信じていることなど、失踪事件について話すとき、彼女は厳粛かつ真剣な表情で話します。しかし、彼女が調査のために派遣した警備員は有益な手がかりを掴めずに戻ってきたり、PCの街中での不審な行動について尋ねたりしました。 隊長を紹介するには、次のテキストを使用します。

 厳しい表情をしたハーフオークの女性、トレバン隊長があなたをオフィスに迎え入れます。 彼女は皆さんに座るように勧め、その後再び大きな木の机の後ろに座り、両手を組んで机にもたれかかります。 話す前に、彼女はあなた一人一人を注意深く見ます。
「ウチの警備員は、アンタ達が今少々お困りだと言っている。もしかしたらアタシが手伝ってやれるかも知れないよ。」
皆さん一人ひとりを受け入れて、彼女は続けます。
「アタシはアンタらが あるところから遣わされた者である可能性が高いと思ってる。だから、ここに来るまで、色々戸惑ってたんだろうね。 ズバリ聞くが、アンタたちは地球から来たんだね?」

 PC(の精神)たちが地球から来たことを確認した場合、彼女はPCを天文台へ連れていくための護衛を即時設定します。彼女は詳細は知りませんが、PCらは地球から奪われた ある望遠鏡を見つけるのを手伝うためにここに連れてこられたことは知っています。そして彼女はPCらの活躍を期待していると伝えてきます。 何でも、その望遠鏡を捜索すれば、行方不明の研究者も見つけられるというのです。

 プレイヤーが失踪事件について尋ねると、彼女はこう言うでしょう。

 「天文台の研究者失踪事件はもう何週間も続いているよ。 アタシらは、研究者ザニア・ヘスクが最初の失踪者になって、その調査した後、深刻には考えていなかった……彼女は単に、誰にも知らせずに別の都市に研究調査に行っただけだってね。別にそれは初めてのことではなかったようだし。しかしその後、他の失踪者たちも同様にこの都市を出て行き始めたんだ。 現在4人が行方不明だ。彼らは何らかのプロジェクトで一緒に働いていたようだが、それが何なのかは分からない。そこもさらに調査するつもりだが、パトロールの増加に人員を割かれ、もう人手に余裕がないんだ。調査派遣もしてるせいで、すでに都市の警戒網が薄くなっちまってる。」

 彼女には、研究者を失踪させている何者かがどのように、そしてなぜ都市に侵入するのかわかりません。しかし彼女は市民の安全を心配しており、大規模なパニックを防ぐために事態の深刻さには蓋をし続けています。 彼女はPCたちに尋ねます。君らが任務遂行できると信じても良いのかと。

 トレバン隊長はPCたちを天文台に案内し、所長のモーガン・シャリーと会うために必要な書類を渡します。 PCらは天文台までの護衛が与えられ、直接シャリーのところへ連れて行かれることになります。

第1部の3番目のセクションで冒険を続けます。

 プレイヤーが居酒屋「馬頭亭」を訪れて噂に従うことを選択した場合は、次のページに進みます。

原書表記


コラム:トレバン隊長のロールプレイング(Roleplaying Captain Treban:) p.16
[[トレバン隊長のロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Captain_Treban]]
 トレバン隊長は無愛想で、率直で、真面目な性格です。 彼女はPCを騙す努力は一切せず、見返りを期待しています。 彼女は、PCが最初にオフィスに入ってきたときに彼らのサイズを測り、彼らの信頼性を測り、彼らが情報を隠しているかどうかを知ることができます。 PCが情報を差し控えると、彼女は彼らを警戒し、彼らの動機を完全には信用できないかもしれませんが、それでも事件の謎が解明されるのを見たいと思っているので、とにかく彼らを天文台に案内し、何か不審な点があれば報告するようにという命令とともに警備員を同行させるだけです。PCが居酒屋「馬頭亭」について尋ねると、隊長はフェルウィンダミアン、その他の犯罪組織については話したくないとして回答をためらいます。 彼女はそいつらや噂に耳を貸さないように、そして研究者たちをまだ救おうとしているなら、迅速に救出することが最優先であるとPCに告げるでしょう。PCは、彼女の荒々しい外見が思いやりのある内面を覆い、その性格が彼女を優れた警備隊長にしていることをすぐに推測できます。 彼女は常に街と、自分の管理下にある住民が安全に保たれることを望んでいます。

原書表記



□□2.プレイヤーが酒場に行く場合(If players go to the tavern:) p.16

[[プレイヤーが酒場に行く場合>The Lost Universe#If_players_go_to_the_tavern]]
  • このセクションを始めるには、以下の抜粋を使用してください(Use this excerpt to begin this section:) p.16
    •  メインストリートと思われる道を歩いていくと酒場らしき店があり、ドアの上に掲げられた看板には居酒屋「馬頭亭」(ホースヘッド・タバーン)と書かれている。
    • そして、その酒場の中で騒ぎの音が聞こえてくる。 店内から叫び声が聞こえるので、店の前の通行人はそこから広く間をとっている。 ためらいつつ店に近づき始めた人もいるし、好奇心で中に入る人もいるようだ。

 プレイヤーが酒場に入ると、大声で叫ぶ声が聞こえ、口論の最後の発言は乱闘に向かっていました。

「何言ってんだ?!? いいか、旧首都モクサナの幽霊が研究者たちをさらってるんだよ!」

「そりゃナンセンスだ。実際に起こったのは悪党による誘拐さ。この街の犯罪組織がもう手に負えなくなってるってことだ。横行する誘拐事件がその証拠さ。 警備隊がいかに無力かよく分かっただろ!」

「違う違う違う! 隊長は警備員を街の外に送り続けている、ってことは問題は都市の外にあるんだ。 賭けてもいい!」

 その言葉を聞くと、チビ男(ノーム族のような小人族)はテーブルに飛び乗って警備員を批判した人間を殴り、すぐに合計4人の戦闘員を含む乱闘が勃発した。 バーテンダーが戦闘員たちに「やめろ」と叫ぶのは、おそらく戦闘が始まって以来初めてではないでしょう。 知覚や洞察力の判定すると、室内には大きな緊張があり、街中でも緊張が見られ、緊張が沸騰するとさらに喧嘩が起こるのは必至だということがわかります。
もしプレイヤーが争いに参加した場合は、1d4(4面サイコロ1個)を振って、PCに対して敵対的な人物が何人いるかを確認し、標準の警備員のステータスを使用します。 戦闘に参加している敵対的ではないキャラクターは、PCパーティーが巻き込まれると自動的に逃げます。
プレイヤーが戦いに参加することを選択した場合、HPが6(常人のHPの約半分)以下のNPCは逃げ出します。 プレイヤーが最初にバーテンダーと話すことを選択した場合、バーテンダーは戦闘を治めてくれるなら代わりに無料の飲み物を提供しますが、戦闘員は解放されるべきであると表明します。 戦いに参加するPCは魔法や武器を使用するための肉体的記憶を持ち、新しい能力を探ってみる機会を与えられます。

 戦いが終わると、バーテンダーはPCに歩み寄り、PCが戦闘員に質問している場合は、彼らを解放するよう勧めます。 バーテンダーはダミアンという名のダークエルフの男性で、中くらいの長さの白い髪と温かい笑顔を持っています。

 プレイヤーが街で何が起こっているのかについて質問し始めると、ダミアンはPCの質問内容に応じて次のことを伝えます。

● 連続失踪事件以来、市内の緊張は高まっている。有力な研究者たちが地元の天文台で宇宙の研究を続けているが、次々と行方不明になっている。 警備員が任務を怠っていたと考える人もいれば、研究者が不注意だったと考える人もいる。
誰もが恐怖の反応をしている。 そのせいで居酒屋の営業が低迷しており、彼はそのことに不満を抱いているようだ。彼は、研究者たちが研究調査に熱心になりすぎたかもしれないと言うが、それ以上は詳しくは述べなかった。

● 旧首都モクサナの遺跡に何かが住み着いたのではないかという噂が警備員からいくつか聞こえてきたが、彼はそれが何であるか知らない。あるいはそれが何であると信じているかを語ろうとしない。

 PCたちがダミアンに話しかけると、彼は戦いの収束を手伝ってくれたことに感謝し、PCらのために何かできることはないか尋ねます。 PCたちが警備隊に行きたい場合は、ダミアンは戦いについて心配しないように勧めます。こういった騒ぎはいつものことなのです。
PCたちが自分たちの状況をほのめかした場合、彼はPCらを裏部屋に連れて行き、すぐに酒場のオーナーであるフェルウィンに会わせます。 彼は主に研究者たちがこの惑星の情報を得るために地球と接続していたという噂と知識、つまりフェルウィンとの仕事から学んだ情報によって地球のことを知っていますし、地球の人々が地球で行方不明になった望遠鏡の発見を手伝うためにアルダストロンに到着するはずだったということも知っています。
PCらが自分たちの状況をほのめかさない場合、それでも彼はPCらが戦いで役に立ったので、PCらに仕事を提供することを提案し、彼らをフェルウィンに会いに連れて行くでしょう。

原書表記

  • これを使用してプレーヤーにシーンを説明します(Use this to introduce your players to the scene:) p.17
    •  ダミアンを追って居酒屋の裏に行くと、彼はあなたをオフィスに案内する。
    • そこはシンプルなエリアだが大きな机があり、その後ろには長い金髪のエルフの女性が立っており、こちらに背を向けていたが、君たちが入室すると振り向いた。
    • 彼女は微笑んでいるが、目には警戒の色が見え、一目見ただけであなたたち一人一人の力量を判断したようだ。
    • 「ありがとう、ダミアン。今のところはこれですべてのようね。」
    • 彼女は何気なく手を振ってをダミアンに退室を促す。彼はうなずき、帰り際に後ろ手にドアを閉めた。
    • フェルウィンは机の端に腰掛け、膝の上で手を組んで、あなたたち一人一人と順番にアイコンタクトをとるのだった。

 フェルウィンは呪文を唱えるときに一瞬目を輝かせ、PCたちを見渡しながら彼女の顔に小さな笑いを浮かべた。
「確かに、この辺の人じゃないわよね? 次元跳躍するには強力な魔法が必要だけど、意識だけを転送するのはまったく別ものということかしら。 私たちが地球から待っていたのはあなたたちでいいのかしら?」

 PCたちがフェルウィンに自分たちの事情を語り終えた後、彼女は応答する前にしばらく考え込んで座っています。
「行方不明の研究者たちがあなたを元の場所に送る鍵を持っているわ。 彼らはあなた方の世界と接続し、ハッブル宇宙望遠鏡と呼ばれるものから情報を取得していたの。 数週間前、その望遠鏡があなたの時間軸から消されたようだけど、それには相当な魔法を要することだわ。 研究者らは、その望遠鏡が何らかの形でこの世界に行き着いたのではないかと理論立ててるの。私の知る限り、彼らはその望遠鏡に詳しい皆さんを呼び、望遠鏡の発見・返却を手伝ってもらうよう、方々の伝手に呼び掛けたようね。
 私たちはこの世界で魔法のための強力なエネルギー源を利用しているのだけれど、私たちの誰もそれを本当には理解していないの。そのため、研究者たちにもあなたたちがいつ到着するかわからなかったようね。 それから研究者たちは次々と行方不明になり始めた……。 天文台で必要な紹介をしておくわ。研究者たちが戻ってきたら私を訪ねるよう伝えてくださいな。 もちろん、見つけたくなければ、残りの人生を私たちの小さな世界に楽しく費やすことになるでしょうけどね。」

 最後のセリフは漠然と脅しのように聞こえます。 会話中、彼女の姿勢は、キャラクターが登場するかどうかに関係なく、基本的な不信感を示しており、PCの誰かが呪文を唱えようとすると、彼女はすぐに呪文を打ち消します。 彼女はPCらがどこから来たのか、ハッブルについて何か知っているかどうかについて質問します。
彼女はPCらの反応をメモし、紙を折りたたんで脇に置きます。 会議の終わりに、彼女は短い手紙を書き、天文台の主任研究員に会うように頼むよう勧め、封印した文書をPCに渡します。

次のセクションに進みます。

 この時点でプレイヤーが警備隊のところに行くことに決めた場合、警備員を簡単に見つけて自分の状況を説明することができ、その時点で隊長のところに連れて行かれます。

この対話については、前のセクションに移動してください。

原書表記




コラム:ダミアンのロールプレイング(Roleplaying Damien: ) p.18
[[ダミアンのロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Damien]]
 ダミアンフェルウィンよりも親切で信頼できる人ですが、彼らが何十年も一緒に仕事をしてきたのには理由があります。 かつては将来有望な学生だった彼は、今でも世界の指導者の立場をうらやましく思っていますが、今のところはフェルウィンの右腕にいることに満足しています。 彼は、いつか自分の研究を完了したいと願っており、得られるあらゆる知識に飢えています。 何かが彼の耳に届いた場合、それはフェルウィンにも知られる可能性が高いです。キャラクターたちにとって彼は非常に親しみやすく、興味深い事実や冒険の物語と引き換えに飲み物を提供してくれます。

原書表記




コラム:フェルウィンのロールプレイング(Roleplaying Faelwyn:) pp.18-19
[[フェルウィンのロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Faelwyn]]
 フェルウィンは気まぐれなキャラクターです。 彼女はおそらくダミアン以外の誰も信頼していません、そしてそのことは隠していません。 彼女は世界中に広範なネットワークを持っており、「大崩壊」の後に一緒に仕事をしていた研究者もいますし、彼女に助けやアドバイスを求めに来た研究者もいます。そのことを彼女は知られたくないため、居心地の良い居酒屋にこだわっています。 フェルウィンは己に有利な取引をします。 相手が彼女に何かを求めたら、それが例え後日済ませられる簡単な好意であっても、彼女は何か見返りを求めるでしょう。 彼女の冷酷な性格にはPCもすぐに気づきます。また、彼女の鋭い頭脳は入手できるあらゆる情報に強い関心を持っています。 ただし、彼女は最も信頼できるキャラクターではありません。 彼女の気分はPCの行動に応じてすぐに変化します。彼女が味方であるか、分からないかのどちらかです。 フェルウィンの技術は精妙で、手札を見せることは非常にまれです。

原書表記



□□3.天文台への訪問(Visiting the Observatory) p.19

[[天文台への訪問>The Lost Universe#]]
 PCが展望台に近づくと、中央の中庭から外側に向かって螺旋状に配置された建物のグループが見えます。 入り口を示すアーチの近くにある石の看板には「オリオン天文台と博物館」と書かれており、その文字は輝く星のように見えます。 PCはこれが何らかの形の魔法であると推測できます。 すべての通路はランプで常に明るく照らされており、上から見たら渦巻銀河のように見えるかもしれません。 建物はすべて、その間の通路にマッチする灰色の石でできており、中庭には茂みと大きな木が生い茂り、強力なランプで支えられています。所長を探すPCらは、中庭の反対側にある最大の建物、巨大なドーム型の建物に案内されます。

原書表記


トレバン隊長から(Coming from Captain Treban:) p.19
[[トレバン隊長登場>The Lost Universe#Coming_from_Captain_Treban]]
 PCが警備員の付き添いとともに天文台に近づくと、警備員は受付にいる誰かに短く話しかけ、待ち時間がほとんどなくすぐに主任研究員の元に護送されます。 彼らは受付の人から温かい歓迎を受け、驚きの表情を浮かべます。

原書表記


居酒屋「馬頭亭」から(Coming from The Horsehead Tavern:) p.19
[[居酒屋「馬頭亭」から>The Lost Universe#Coming_from_The_Horsehead_Tavern]]
 PCは自分たちだけで街を通って天文台へ向かいます。 彼らにとっては見つけやすいでしょう。 彼らは、人々がやるべき仕事などの日常生活について話し合うときの会話の断片をキャッチすることができ、時折、街の外の遺跡に関連する懸念について耳にすることもあり、何か闇がそこに住み着いているかもしれないという噂が広まっていることに気づきます。 PCたちは、失踪事件に関連する人々の声からも懸念の声を聞くことができます。

 天文台に着くと、中央の建物を案内され、秘書に自己紹介することができます。 フェルウィンから渡された手紙を提示すると、彼らは疑いの目で見られ、主任研究員に会いに行くまで数分待たなければなりません。

原書表記


主任研究員は次のように話しています(Speaking with the head researcher:) p.19
[[主任研究員は次のように話しています>The Lost Universe#Speaking_with_the_head_researcher]]

 登場人物たちは図書館を通ってオフィスに連れて行かれ、そこで本を取り出すためにはしごを登る長髪の人間を目撃します。 助手が咳払いをして注意を引くと、彼らは梯子を急いで下り、眼鏡を一番下で調整した。

原書表記

  • 以下のテキストを使用してプレーヤーを紹介します(Use this text to introduce your players:) pp.19-20
    •  あなたたちはオフィスに入ると、そこが先ほど通り抜けた図書館の延長であることがわかるだろう。部屋のあらゆる壁やあらゆる面の棚に本が所狭しと並べられているからだ。 これらすべての本の中に、高い棚から本を取り出す梯子の上に、灰色の筋が走っている長髪を持ち、背の高い人間が一人見える。
    • あなたたちが近づくと、その人は周囲に気づかずに静かに独り言をつぶやいているのが聞こえるだろう。 あなたを案内してくれた助手が咳払いをすると、はしごの上にいる人物が向きを変える。
    • 「ああ、大変申し訳ありません。そこにいるのが見えませんでした。」
    • この人物がはしごを急いで降りるた後、自身の眼鏡を調整してあなたたちを見る。
    • 「この時間に来客があるのは珍しいですね。 ご用は何でしょうか?」

 PCが地球から来たことを話すと、彼らは強い興味を持ち、座席の端に座って、全文であろうとなかろうと、PCの言うことをすべて受け入れます。
彼らはPCたちを元の世界から引き離したことを謝罪し、ハッブルを見つけて返して、できればその過程で世界線を本来あるべき姿に戻すつもりなら他に選択肢はないと感じたことを説明するでしょう。 この時点でPCらは、自分たちの世界からハッブルが消えたことで、それがまったく存在しなかった世界線が作られたと説明され、時間が複雑であることについてつぶやかれるでしょう。 彼らは、PCが詳細をすべて共有していなくても、気づかないか、気にしません。 この会話の途中で、彼らはPCに軽食を提供していないことに気づき、すぐにお茶とクッキーを提供し、アシスタントに持ってくるように頼みます。 これが完了するとすぐに、彼らは再び話の続きを始めます。

「もちろん、ハッブルがあなたの世界線から消えたとき、エイリクは悲しんでいました。 彼はあなたの世界にとってこれほどひどい損失を出したのは、自分のせいかもしれないと思っていましたから。しかし、私はもうそうではないと思っています。 彼はそれがこの世界のどこかに行き着いたのではないかと疑っていたので、あなたたち全員を呼び寄せたのです。 皆さんもとてもショックだったのは残念ですが、望遠鏡のことをよく知っているはずです。 きっと見つかるかもしれないと思いました。 もしそれが私たちのせいだったとしたら、心よりお詫び申し上げます。私たちはこの素晴らしい発明を本来あるべき場所に戻してもらいたいと考えています。 それは私たちの両方の世界にとって大きな利益であり、私たちはそれをあなたの世界から奪うことは決してしません。」

原書表記


  • PCが研究者が研究していたことについて質問する場合は、以下のテキストを使用してください(Use this text when your players ask about what the researchers were studying:) pp.20-23
    •  モーガン・シャリー所長は眼鏡を正し、つぶやくだろう。
    • 「うーん、ここにいくつかの書類が転がっていると思うんですが……。」
    • 所長は机の上のバラバラな書類をしばらく探し回り、目当ての書類を見つけると嬉しそうな表情を浮かべた。
    • 「ここにあった!」
    • 所長はすぐに席に戻り、書類をざっとめくってしばらく時間を過ごします。
    • 「研究者たちは最近、次元を越えて別の世界とつながっていました。あなたがハッブルについて何を思い出しているかはわかりませんが、それはあなたたちの世界の非常に強力で便利な望遠鏡、または少なくともあなたが知っている世界の望遠鏡のバージョンです。そこに繋がることで、研究者たちは非常に興味深い観察情報を得ていました。 もちろん、存在次元が異なるため、すべてが正確に当てはまるわけではありませんが、かなり役立つことがいくつかありました。」
    • 「本当は研究室を見てもらったほうがいいかもしれません。 研究者らはそこに大量の情報を保管していますから。」
    • 所長が一連の石造りの廊下を案内してくれる。
    • 展示物を見ている人々で賑わっている廊下もあれば、ずっと静かな廊下もある。
    • 「さあ、ここです。 ここには、明らかなこともそうでないことも含め、大量の情報が含まれています。」
    • 所長は鍵を開けて木製の戸口を押し開きながらそう言った。

 出入り口の向こうには、部屋中にランプが点在する明るい部屋があり、机の後ろには大きな窓があり、その横にはベルベットのような重厚なカーテンがかかっている。 大きな木製の本棚には本が詰め込まれており、その上にはバラバラの書類が置かれているが、机の上はほとんど片付けられている。 所長は机に歩み寄り、不可解なエネルギーの光による投影を起動します。

「その研究者エイリク・ハズンは、真空エネルギーが宇宙の急速な膨張の原因である可能性について研究していました。それが、地球人が私たちよりも多くのことを知っていることを期待して、彼が地球とつながっていた理由です。」
「彼は、地球からの情報が、私たちの魔法が必ずしも意図した通りにいかない理由を解明するきっかけになると考えました。私たちの魔法に利用している真空エネルギーは、常に最も安定しているわけではないのです。エイリク・ハズンは、球状星団というこの特別な現象を観察することで、何らかの情報が得られるかもしれないと考えました。」

「この球状星団の投影法は何らかの方法で変更されており、最後に見たときとは色合いが異なります。 最後に見たときはもっと赤かったかな ――待てよ、それとももっと青かったかな? どうも色合いが頻繁に変化するので、再現するのが難しいです。」

「とにかく、ここに調整ノブがあります」と所長は時計回りまたは反時計回りに回す丸いノブを示すのだった。

 所長は、ハッブル宇宙望遠鏡がさまざまな波長の光を観測していることをPCに伝えます。 これらの波長は、その年齢に関する情報を含め、宇宙物体について多くのことを人々に伝えることができます。 多くの場合、青色の光は物体がより熱く、より若いことを意味し、赤色の光はその物体がより冷たく、したがってより古いことを意味します。 PCが画像をさらに青色の波長にシフトするように要求すると、星の中に「ハッブル発見」というメッセージが表示され、画像を赤色にシフトすると「モクサナに行け」というメッセージが表示されます。 星々が暗くなったり、消えたりするように見えます。

○PCが球状星団について質問すると、シャリーは、球状星団は数万、おそらく数百万の星が重力で強く束縛された星団であり、それらの星が最も集中しているのが星団の中心であると説明します。

○プレイヤーが、なぜ研究者たちが自分たちの周回望遠鏡の代わりにハッブルからのデータを使用しているのかと尋ねた場合、所長は、彼らの惑星の周りのシールドの性質により、地球なら起こりうる大気の干渉がないため、望遠鏡を衛星軌道に乗せる理由がないと説明するでしょう。 研究者らは単に地球の知識が研究に役立つと考えているだけであり、彼らにとって衛星軌道を周回する望遠鏡は興味深いアイデアでした。 所長は、「大崩壊」以前は山や砂漠に天文台がありましたが、今ではどこからでも宇宙を見ることができるようになったと説明します。 「大崩壊」の説明については、「冒険の背景」セクションを参照してください。

○PCがなぜ研究者たちが地球の情報を研究しているのかと尋ねると、地球はかつてエクスラリスが「大崩壊」以前に存在した、普通の星のハビタブルゾーンにある生命を維持する惑星に似ていると説明するでしょう。 人間は宇宙に対して好奇心を持っており、それがエクスラリスの人々に自分たちとは異なる視点を提供し、宇宙についてのより多くの判断材料を与えてくれました。 研究者らは、地球がさまざまな意味で、エクスラリスがどうだったか、またどうなるかの示す、良い研究対象だと考えていたそうです。

パズルが解けて議論されると、所長は教授室に他に何が隠されているのか疑問に思うでしょう。 PCがオフィスを調査することを選択した場合、30分を費やすか、中程度の DC(“難易度:中”、対応技能なしだと成功率25%ほど)の調査判定を行って以下を発見することができます。

● 真空エネルギーに関する注意事項 (「付録A」 に記載)

●ハッブル宇宙望遠鏡の模型。 所長は、教授の理論ではモジュール構造になっているため、軌道上で簡単に修理したりアップグレードしたりできると説明する予定だという。 PCはこのモデルを分解して、さまざまな構造を確認できます (「付録C」 の回路図)。

● 地球の歴史的な天文学者や物理学者に関する本(ナンシー・グレース・ローマン、ライマン・スピッツァー、エドウィン・ハッブルなど)。 それぞれの情報は、以下参照:

ナンシー・グレース・ローマン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%B3%E...
 ナンシー グレース ローマン博士は、NASA の初代天文学部長であり、NASA で幹部の地位に就いた初の女性です。 彼女は衛星とロケットのプログラムを計画し、科学界への助成金を管理し、ハッブル宇宙望遠鏡を管理評議会に承認させるよう努めました。 このミッションでの彼女の働きにより、彼女は「ハッブルの母」という異名が付けられました。
「パズルが好きな人には、科学や工学が向いているかもしれません。科学研究と工学はパズルを解く連続的な作業だからです。 また、新しいことを発見したり、他の人の研究を研究したりすることは、新しいことを学ぶ継続的なプロセスでもあります。 科学は他の仕事と同様、単調で退屈な部分もありますが、基本的には楽しいものです。」
 - ナンシー・グレース・ローマン

ライマン・スピッツァー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E...
 ライマン・スピッツァー博士は、恒星力学、プラズマ物理学、熱核融合、宇宙天文学の分野に重要な貢献をしました。 彼は、地球上のどの望遠鏡よりも鮮明で遠方の観測を可能にする、地球の大気上空にある望遠鏡のアイデアの先駆者でした。 彼はその夢の実現に50年以上取り組み、「ハッブルの父」として知られています。

エドウィン・ハッブル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E...
 エドウィン・ハッブル博士は、天の川銀河の外に他の銀河が存在することを初めて確認し、彼の観測を通じて今日でも使用されている分類システムを作成しました。 ハッブルは、宇宙における私たちの位置そのものを再考しただけでなく、星がスペクトルの赤い端で移動し、宇宙の広がりを示していることも観察しました。

 PCがシャリー所長と話すとき、所長は天文台を訪れていた奇妙な人物についても言及します。その人物はエルフのようですが、少し様子が異なります。 この人物は前回の失踪以来姿を見ていませんでしたが、研究者全員のもとに訪れていました。

 シャリー所長はこの人物を疑っていますが、所長の友人やさまざまな関係者は誰もそのエルフらしき人物について何も知らないと述べています。 他の都市が優位に立とうとしていないことは、ある意味では安心ですが、別の意味では、まったく何も知られていないことはさらに厄介です。 もちろん、それはこの人物が失踪事件について少しでも知っている場合の話です。

○PCが街の外の遺跡について尋ねると、その遺跡はエクスラリスのかつての首都モクサナ(Mokhsana)だったものであると教えられます。旧首都モクサナは「大崩壊」の影響で混乱に陥り、略奪され廃墟となったものです。 かつては真に雄大な都市でしたが、世界が新たな時代に移行するにつれ、完全に取り残されてしまいました。 所長は、そこにはまだ完全な図書館があると述べていますが、何世紀も経って、おそらくいくつかの本は塵と化したに等しいと嘆いています。 彼らがその知識を得ようとするのを妨げている唯一のものは、遺跡とその周囲に住み着いている生物たちです。 所長はそこへ行くのは危険な場所だと言います。

○PCが研究についての詳細を尋ねた場合、シャリー所長は真空エネルギーが惑星上で見られる魔法に力を与えているが、それは常に信頼できるわけではなく、時々変動する傾向があると説明します。 研究者らは、地球はハッブルでダークエネルギーを研究していたため、彼らの知識を地球の知識と組み合わせて、そのエネルギーをより持続的に利用する方法を見つけられることが期待されていたと言うでしょう。 しかし、ハッブルが消滅したことで状況は一変しました。

原書表記


コラム:モーガン・シャリーのロールプレイング(Roleplaying Morgan Sharey:) p.23
[[モーガン・シャリーのロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Morgan_Sharey]]
 シャリー所長はちょっと変わったキャラクターで、少し風変わりですが、とても優しくて、いつもPCを助けようとしてくれます。 彼らの人生の主な目標は、情報を発見し、それを大衆に伝えることです。 所長は天文台にいる人たちを家族だと思っており、失踪を悲しんでいます。 所長は全員が安全に家に帰れることを望んでいます。 このキャラクターは自分の感情を表に出さず、思いついたアイデアをすぐに口に出します。 所長は、このインスピレーションを記録できるように、羊皮紙と筆記用具を常に近くに置いています。 このキャラクターは常に会話の準備ができており、特にPCが疲れているように見える場合には、(通常は)忘れずに軽食を提供します。

原書表記


PCがエルフの人物を追跡した場合(If they pursue the Elven figure:) p.23
[[PCがエルフの人物を追跡した場合>The Lost Universe#If_they_pursue_the_Elven_figure]]
 PCがエルフの人物について一連の尋問を続けることにした場合は、シャリー所長のアシスタントに詳細を尋ねることができます。 これは、エルフの人物がポータルを使用して別の都市に到達するのではなく、単独で都市の内外を行き来したという一部の噂を除けば、これはほとんど実りがないことが証明されています。しかし、世界の暗闇の地域の状況を考えると、これは信じられないほど危険な行為です。 PCが調査に時間を費やすか、中程度のDCチェック(“難易度:中”、対応する技能なしだと成功率25%ほど)を判定することを選択した場合、追加の噂がいくつかあります。
  • 天文台周辺では、その人物が最後に西に向かっているのが目撃されたらしい。
  • 行方不明の研究者の1人であるエイリク・ハズンが失踪する前に一緒に目撃された最後の人物がそのエルフだった。
    • 彼らは街から西の遺跡の方へ出て行ったのではないかと言う人もいる。

原書表記


遺跡へ向かう(Heading for the ruins:) p.24
[[遺跡へ向かう>The Lost Universe#Heading_for_the_ruins]]
 PCが遺跡に行くつもりだとシャリー所長に告げると、所長は顔面蒼白になり、本当にそのような旅をしたいのかと尋ね、そこへ行く人はほとんどおらず、ここ数十年間、行った人は誰も戻っていない、と説明します。 もしそうなら、シャリー所長はPCを別の部屋に案内します。この部屋は静かな廊下の一つにある比較的小さな部屋ですが、同じ建物内にあります。 中に入ると、3つの机があり、それぞれが異なる壁に押し付けられ、コンピュータのように見えるものが置かれています。 大きな正方形のスクリーンは机の下の箱に接続されています。 これらは地球上の古いコンピュータに似ており、1960年代のそれに最も似ています。しかし、電気で動いているわけではなく、PCが街中で見たのと同じ難解なパワーで動作しています。

原書表記


  • 以下のテキストを使用または言い換えてください(Use or paraphrase this text: ) p.24
    •  シャリー所長は再び呪文を使用して、部屋の中央にある投影装置を起動する。
    • 「この技術があなたたちの役に立つかもしれません。 これは重力レンズと呼ばれるものを使用して、目標観察を補助する装置です。」
    • 「私たちは通常、他の星を見るためにこの装置を使用しますが、私たち自身の世界に目を向けることもできます。 重力レンズは、巨大な宇宙物体の重力が空間と時間を歪め、その向こうから来る光の経路を拡大したり曲げたりするときに発生します。 まるでレンズを使っているかのように、より遠くを見ることができるわけです。 私たちの魔法を使えば、この効果を再現することができます。」
    • 彼らが手を振ると投影が消え、都市の外の森とその中の遺跡が表示された。

 重力レンズに関する情報は付録Aにあります。NASAのハッブル宇宙望遠鏡のデータは、重力レンズの科学を大幅に強化しました。 PCはこの科学を利用して今後の道を検討することができます。 (彼らに遺跡について説明するには、次のセクションを使用してください。) このレンズは、遺跡への最適な道を決定するのに役立ちますが、遺跡が霞んで見えるため、遺跡自体やPCが見つける可能性のある罠についてはあまり明らかにできません。
 シャリー所長は遺跡を見ると、机の1つをあさり、小さなレンズ型のデバイスを取り出してPCに渡します。 所長は、これはPCが途中で使用できるミニチュア版であると説明しています。 PCがこの装置を手に入れると、ルートに沿った罠や、ルートに応じてパズルの答えが表示されますが、シャリー所長は、エネルギーは1回しか使用できないと警告します。

 シャリー所長はまた、用心深く彼らに「万が一に備えて」保存していた強力な治癒薬を提供し、地図(付録D)を渡してから、旅の成功を祈り、勇敢な冒険者であっても誰でも幸運が必要であると言いました。

原書表記


https://hubblesite.org/contents/media/images/2014/...
 この図は、大質量銀河団アベル 2744 の重力がその背後にある遠く離れた銀河のかすかな光をどのように曲げて拡大するかを示しています。これは重力レンズと呼ばれる現象です。 図: NASA、ESA、および Z. Levay (STScI)。 科学: NASA、ESA、A. Zitrin (カリフォルニア工科大学)、および J.Lotz、M. Mountain、A. Koekemoer、および HFF チーム (STScI)

原書表記



https://www.esa.int/ESA_Multimedia/Images/2023/11/...
 銀河団 MACS0416 のこの図は、ウェッブからの赤外線観測とハッブルからの可視光データを組み合わせたものです。 この星団は重力レンズを形成し、天文学者は拡大された超新星や、非常に拡大された個々の星を識別することができます。 最も青い銀河は比較的近くにあり、ハッブルによって最もよく検出される激しい星形成を示すことがよくありますが、より赤い銀河はより遠くにあるか、大量の塵を含む傾向があり、ウェッブによって最もよく検出されます。 ハッブルとウェッブの両方の力を組み合わせることによってのみ、このような詳細を見ることができます。 NASA、ESA、CSA、STScI、ホセ M. ディエゴ (IFCA)、ジョーダン C. J. ディシルバ (UWA)、アントン M.Koekemoer (STScI)、Jake Summers (ASU)、Rogier Windhorst (ASU)、Haojing Yan (ミズーリ大学)

原書表記


■第2部:遺跡(Part 2: The Ruins) p.26

「[[第2部:遺跡>The Lost Universe#Part2]]」
[[第2部>The Lost Universe#Part2]]
 PCが進む道は都市の端に収束し、「赤柳の森」(あかやなぎのもり。レッドウィロー・ウッド。Redwillow Wood)として知られる、光が散発的であることがわかっている暗い森に面しています。PCの使命は、「大崩壊」後の混乱で破壊され、廃墟となった都市モクサナの遺跡を発見することです。 アルダストロンの西約45kmに位置するこの場所は、訪れるには危険すぎると考えられています。 そこへ行く冒険者たちは近年全く戻ってこないそうです。 最盛期には大都市であり、かつてはエクスラリスの首都でしたが、今は残っているものの大半は植生に占領され、ほとんどが近づくことができません。また、1世紀前にその上の山から起きた地滑りの影響も少なくありません。 暗い森の中の道は遺跡から約1.5km離れたところで方向を変えますが、この地点までは何の問題もなく進むでしょう。 PCが最近使用されたと思われる経路を見つけることができます。 中程度の DC(“難易度:中”、対応する技能なしだと成功率25%ほど) での生存判定では、何か大きなものがそこにいたことが明らかになりますが、その生物が何であるかは分かりません。

 このセクションには、プレイヤーが選択するさまざまな道に応じたさまざまなパズルがあります。 これらのパズルがプレイヤーにとって難しすぎることが判明した場合、研究者の1人が脱出し、ストーリーを進めるためのガイドとして行動することができます。
PCがこのセクションを進めていく中で、遺跡の地上に魔法を発動しようとすると、周囲がほとんど霞んで見える天文台で重力レンズを通して見たのと同じような効果になります(つまり魔法で妨害されているかのように機能不全になります)。強力な妨害魔法が(おそらく近くに)あることはわかりますが、 発信源が正確にどこにあるのかまでは分かりません。

 プレイヤーがこの道をたどると、遺跡の端と思われる場所に導かれます。

原書表記


  • 以下のテキストを使用してシーンを設定します(Use this text to set the scene:) p.26
    •  遠くに、この都市の破壊から生き残った数少ない高層建造物の1つと、それから経過した時間が見えます。
    • この塔の残骸はかつて刑務所だったが、現在は元の高さのおよそ半分になり、頁岩(けつがん)と岩の海の上に墓のように突き出ている。
    • その監獄塔の向こうには、部分的に廃墟となった巨大な建物が見える。柱は砕け、長い間朽ち果てたドアに続く大きな階段があるようだ。
    • ここはかつて、主任研究員シャリーが話していた図書館だった。
    • これらの建物の周囲には、ほとんど倒壊した他の建造物が多数あるが、これら2つが最も原形に近いように見える。 こういった建造物は広範囲に点在していたようだが、大昔の地滑りによってほとんどが埋もれてしまったらしい。 監獄塔も部分的に埋もれているようで、通行可能な都市遺跡の境界線となっていた。

 PCは遺跡を探索することができますが、見つかるものはほとんどありません。 時間の経過とともにすべてが朽ち果てたか、略奪されたかのように見えます。 プレイヤーは、一見無傷に見える2つの建物のうちどちらから探索を開始するかを選択できます。 探索を開始するには、次のセクションを参照してください。

原書表記


監獄塔(The tower:) p.27

「[[監獄塔>The Lost Universe#The_tower]]」
 PCは監獄塔に向かって丘を登り、窓から塔に入り、そこから下りることができます。

原書表記

  • このテキストを使用してシーンを設定します(Use this text to set the scene:) p.27
    •  あなたたちは監獄塔の崩れかけた残骸の中に入ると、周りを見渡し、周囲の壊れかけた壁、つまり、開いたままになっている長く曲がって錆びた独房の棒、つまりあなたが今立っている場所を観察した。
    • そこには、部分的に壊れた階段が下に続いているが、崩れる心配はなさそうに見える。 この角度からでは、どのくらいの深さがあるのか正確にわからない。

原書表記


 PCが下りることを選択した場合、階段は下のトンネルへと続き、先ほど通過してきたエリアよりもはるかに簡単に通過できます。 降り階段の底に到達し、トンネルを通ると、2つのアーチのある踊り場があります。2つのアーチは2つの道であり、その1つは青い炎の壁、もう1つは赤い炎の壁で覆われています。 PCはゲームの早い段階での光の波長を覚えているかもしれません。 その知識を使えば、青の波長はより若くて高温を意味し、赤はより古くてより低温であることを意味します。 この場合、赤が正しい通路で、PCは(炎の中に留まらない限り)無傷で炎を通過できます。 この時点でPCが重力レンズを使用すると、赤が正しい道であることがわかり、研究者が捕らえられているものの、通路の終点の部屋で生きていることもわかります。 PCが青い炎を通過しようとすると、1d6点の火炎ダメージ(6面サイコロ1個振って出た目の値で、これは常人なら最大HPの10〜60%の被害)を受け、踊り場に続いていたトンネルの出口に戻されます (ダメージはGMの裁量に基づいてを調整してください)。 赤い道を少し歩くと、「道の合流地点」(Paths converge)セクションに到着します。

原書表記


図書館(The library:) p.27
「[[図書館>The Lost Universe#The_library]]」
 PCは旧首都の中心近くにある、かつては図書館だった場所に近づきます。 腐ったドアを通って中に入ると、周囲には長い間廃墟とされた本の残骸と、崩れた天井の瓦礫がありました。

原書表記

  • 以下のテキストを使用してシーンを設定します(Use this text to set the scene:) p.27
    •  いくつかの大きな階段を上がって図書館に入り、周囲を見回すと、いくつかの巨大な本棚がまだ立っており、その下に本が散乱しているものの、その上に本が残っている。 他の棚も倒れ、さらに多くの本が床に散乱している。 そう、いたるところに本があるのだ。
    • そしてここはかつては壮大な図書館だったが、今はそのまま放置されて残っている。
    • あなたたちが棚の間を進んでいくと、瓦礫の中を通る道があるように見えた。
    • それは、人が通れるだけの幅の場合もあれば、はるかに広い場合もある。
    • 何らかの理由で、この図書館に収容されていたであろう本のほとんどが、まだそこで維持されているようだった。

原書表記


 PCが本をじっくり見てみると、一部の本は他の本よりも新しいように見え、もともと図書館の一部だったとは思えないほど新しすぎます。 ここから、PCは図書館を通って奥の大きなドアにたどり着くことができます。このドアは周囲にある他のドアよりもはるかに新しく見え、閉じられていますが、鍵はかかっていません。 PCらはこの道を簡単に通ることができます。

原書表記


 PCらがたどる道は、壁画が描かれた壁にたどり着きます。 色あせているものの、壁画はちゃんと判別できる状態です。この壁画には天文台の研究者のオフィスで見たものと同様の球状星団が示されており、天文台で見たものよりも大規模な重力レンズで焦点が当てられています。 ここまでに、両者のつながりを登場人物たちが示唆しているのが望ましいです。 壁画をより鮮明に見るためにシャリーがくれた魔法のレンズ(重力レンズのデバイス)を使用した場合、これが下の階段を隠している幻であることがわかります。 この画像は、「付録E」にある相対性理論のリングの画像です。PCが重力レンズを使用しなくても、壁に触れたり、通り抜けたりすると、壁が幻であることがわかります。

原書表記


 PCがそこを通過すると、トンネルに続く下り階段が見えます。それは遺跡と同じ年代のものです。トンネルも途中、多少の落石はありますが、比較的走りやすい地形です。 PCがこのトンネルを突き進む場合、数分間歩きますが、まだ何も遭遇しません。

 次のセクションに進みます。

原書表記




道の合流地点(Paths converge:) p.28

「[[道の合流地点>The Lost Universe#Paths_converge]]」
  • 以下のテキストを使用してシーンを設定します(Use this text to set the scene:) p.28
    •  あなたたちが歩いていると、大きな金属製のドアにたどり着いた。それは比較的新しく、横にはたいまつまで灯っている。
    • つまり、誰かがつい最近までここにいたということだ。
    • あなたたちは直観する。どうやらここに、探していたものがあるのだと。

 もしPCが罠をチェックしなかった場合、または中程度のDC(“難易度:中”、対応する技能なしだと成功率25%ほど)の調査判定をしてに失敗した場合、ドアが開き、ホールの端の壁から6本の矢が発射され、ドアに最も近いパーティー・メンバーを目標に飛んできます。

1d20(20面サイコロ1個)を振って、矢が当たった数を決めます。
出目確率矢の命中数
1-525%命中なし
6-920%1本命中
10-1215%2本命中
13-1515%3本命中
16-1815%4本命中
195%5本命中
205%6本すべてが命中

 各矢は1d6点のダメージを与え、GMの裁量で配分されます。 調査判定で成功していれば、当事者は罠の仕掛けの針金を簡単に見つけて切断することができます。

一行がドアを通過すると、そこは大きな部屋でした。

原書表記


  • 次のテキストを使用します(Use this text:) pp.28-31
    •  円形の石造りの部屋に入ると、あなたたちは冷たい空気とカビ臭さを感じる。
    • そしてまず目に入るのは、あらゆる面に積み上げられた本の山だ。
    • この部屋にある本は、周囲の遺跡よりもはるかに新しいものだ。
    • 続いて本の向こうに、スクールバスほどの大きさの望遠鏡があるのをあなたたちはすぐ目にするだろう。
    • この望遠鏡は、天文台で見た模型に似ているため、あなたたちはすぐに気づく。
    • これがハッブル宇宙望遠鏡なのだと。
    • 様子からしてハッブルは今現在、機能を止めているようだ。
    • 部屋は薄暗く、一人の人物を除いてほとんど人影がいない。
    • 人影が振り向くと、それはエルフのように見えた。しかし光のいたずらかもしれないが、その人物の肌にはかすかな緑色の色合いが見て取れるだろう。
    • 「あなた達はアルダストロンの警備員ではありませんね。」
    • そう言いながら人影は近づいて来る。その動きはほとんど“捕食獣の間合いの詰め方”だった。
    • 「勇敢で小さな冒険者達よ。 ここまで来てしまうとは、大きな過ちを犯しましたね。」

原書表記


 エルフの人物は自分がイシリアスと呼ばれていることを明らかにし、PCとの短い会話の中でイシリアスの「蓄え(財宝、コレクション)」に繰り返し言及し、PCは研究者もイシリアスが持つ貴重な知識も手に入れることができないと伝えます。 イシリアスは、自分だけが真空エネルギーの知識を保持し、部屋にある「強力な機械」を通じてこの惑星の力そのものを掌握するようになるだろうと主張し、ハッブルを身振りで示しました。 研究者はそれが確実に起こるかどうかの鍵であり、イシリアスは彼らを解放しません。
今まで(ここまでたどり着けた警備員も含め)冒険者達はイシリアスに敗れ、その暴挙を止めることはできませんでした。
PCが周りを見回せば、部屋の反対側の出入り口から独房のようなものが見えます。檻の棒は見えますが、その後ろに人がいるかどうかはわかりません。 会話が長くなるにつれて、イシリアスは怒りが最大に達するまでイライラしやすくなり、その姿が変化し始め、エルフの姿ではなく若い緑のドラゴンになります(ステータスは選択したシステムに関連付けられています)。 ドラゴンはすぐに一行を攻撃し、己の蓄えを守らなければならないと主張します。 戦闘中、イシリアスはパーティの呪文詠唱者を最初にターゲットにし、周囲のエネルギーを利用する彼らを最大の脅威として認識します。 戦いがプレイヤーに有利になると、イシリアスは知識を漏らさぬよう、いくつかの本を破壊するかもしれません。

原書表記


 プレイヤーにとって戦闘が簡単すぎる場合、イシリアスは1冊(または相応しい数量)の本を疑似生命化して各パーティー・メンバーを攻撃するアクションを使用できます (ステータスは選択したシステムに基づいてGMの裁量で決定されます)。 さらに、戦闘がプレイヤーにとって非常に不利な方向に進んでいる場合、研究者の一人がイシリアスの束縛から逃れて、イシリアスに麻痺呪文(1ラウンド間だけ有効)を唱えることができます。

原書表記


コラム:イシリアスのロールプレイング(Roleplaying Isilias:) p.29
「[[イシリアスのロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Isilias]]」
 イシリアスは欲望に突き動かされたキャラクターです。この世界で最も貴重なものは知識であり、したがってイシリアスの目には知識は大きな価値を持ちます。 イシリアスは過去30年間、廃都モクサナで過ごし、その広大な図書館を自分のものだと主張し、時折エルフの姿をとって他都市に出て、財宝コレクションのためにさらに多くの本を集めてきました。 モクサナでは、イシリアスはほとんどドラゴンの姿のままでおり、近づきすぎた(またその可能性のある)者たちを素早く仕留め続けた結果、遺跡が危険だという評判を高めることになりました。 数か月前、イシリアスアルダストロンを訪れた際に、天文台の研究者たちがハッブルのデータを研究のために採取していることを知りました。そしてそれを手に入れる必要があったため、ハッブルの奪取とそれを理解できる研究者の誘拐を画策しました。 イシリアスは、研究者らがゼロ点エネルギーを安全利用する秘儀――つまり世界のエネルギー供給を効果的に制御できる知識――を発見したのだと信じていました。 イシリアスは、この大いなる知識とそれに伴う可能性のある力を手に入れようとしたのです。そして英雄譚は、この未熟な竜の暴挙に対し、死を望んでいます。

原書表記


戦闘後
 戦闘後、プレイヤーは部屋を探索することを選択できます。 もし発見できれば、約1,000枚の金貨と、さまざまなテーマに関する数十冊の本を見つけることができますが、そのほとんどは真空エネルギー、ブラックホール、その他の自由浮遊惑星の研究に焦点を当てたものです。 イシリアスは金よりも知識を重視しているようでした。 PCがハッブルを観察すると、望遠鏡が元の状態にあることがわかりました。

原書表記


 PCが独房の出入り口を通過すると、行方不明の研究者を全員見つけることができます。 彼らは全員疲れ果て、ボロボロになっていますが、ほとんど無傷です。 イシリアスは彼らの秘密をすべて明らかにさせようとして、また ただの知識媒体として彼らを保管していました。 PCが主に話しかけるのはエイリク・ハズンです。

 エイリク・ハズンが解放されると、PCたちに感謝の意を表し、どうやって見つけたのか尋ねます。 研究者らは数日前にアルダストロンの警備員がドラゴンに話しかけるのを聞こえていましたが、警備員はドラゴンを倒すことはできませんでした。 彼らやPCの誰かが戦いで生き残れなかった場合、エイリクと他の研究者は哀悼の意を表し感謝の意を表し、戦死した人々に自分たちの研究を捧げることさえ約束します。これは非常に名誉なことです。 全員がシーンを評価する際に、PCは実施していた研究についてより詳細な質問をする機会があります。 研究者らは真空エネルギーについて多くのことを学んできたものの、世界のエネルギー問題の課題を安全にクリアできる規模の利用方法は発見できていませんでした(話をしたPCはそれに気づくことができます)。 彼らは今後も、真空エネルギーが正確に何なのか、そしてそれが社会を助けるためにどのように利用できるのかを評価し続けることでしょう。この問題は、地球の科学者も発見に取り組んでいることを彼らも知っており、地球の知識に基づいて発見できると期待していました (付録Aの暗黒エネルギーと真空エネルギーに関する追加情報)。

 これらの会話が行われると、エイリクイシリアスがハッブルを盗むために使用した呪文を唱えて、ハッブルを地球上の適切な場所に戻すことができるようになり、ハッブルが撮影時刻にできるだけ近い位置を特定します (地球上の人々がデータの不具合に気づく程度には近いです)。
魔法設定に関する注意点。エイリクが単独(さらに疲労困憊状態)にも関わらず、異世界への巨大物質の転送呪文が可能な場合、これらの「安易に行使できる次元間転送呪文」の存在は、間違いなく今後の大きなトラブルの種になります。劇中では研究者たちの善性で有耶無耶にされていますが、これらの呪文を組織的に活用すれば(または個人の術者であっても)、地球人に気付かれないまま大量の資源を一方的に奪い続けることが可能になってしまいます。少なくともこれらの呪文はさらに発展改良されていく価値は十分あり、その間 悪党に技術が流れる確率はかなり高いでしょう。イシリアスがまさにその証明です。
 そのため、GMはこの呪文の再現性に枷を与えたい場合、エイリクが単独で使用できたのは、何かしらの呪文支援してくれる仕組みを利用したからということにした方が良いでしょう。例えば、「この場が特定呪文を強化するための儀式場を兼ねていたから」や「ハッブルの点検中に呪文を補助する細工を仕込んでいたから」や「今は星辰の配置がちょうど良かったから」や「イシリアスのような竜族の肉体(遺体含む)やその財宝が強力な魔法強化材料として使えたから」などといったようにです。

 PCがエリアの確認と研究者への質問を終えたら、アルダストロンへの帰還を開始できます。 PCが最初に休憩を取ることを選択した場合、中断されることなく完全な休息を得ることができます。 アルダストロンへの帰還は何事もなく、無事に街に到着します。 アルダストロンに戻った研究者たちは、自分らを天文台に届けるように要求します。

原書表記


コラム:エイリクのロールプレイング(Roleplaying Eirik:) p.29
「[[エイリクのロールプレイング>The Lost Universe#Roleplaying_Eirik]]」
 エイリクは、すべての人々の利益のために勉強と研究をするという強い意欲を持っています。 彼は、研究を通じて全員が団結できると信じており、自分の研究結果が誰でも簡単にアクセスできるようにするために精力的に取り組んでいます。彼は都市間の地域を旅行したことがなく、暗闇が怖いですが、最善を尽くすために勇敢な面も見せるつもりです。これは可能な限り頻繁にあらゆる方法でPCを助けてくれるキャラクターということを意味しています。彼はこの世界や他の世界についての優れた情報源になってくれるでしょう。

原書表記

帰還後
 彼らの帰還はちょっとした騒ぎを引き起こし、すぐに彼らは非常に興奮した主任研究員シャリーと話すために案内されました。

 彼らはシャリーのオフィスに座り、全員にお茶とさまざまなペストリーを配りながら、何が起こったのか話し合うよう研究者たちに勧めます。
研究者の話は次のようになります。研究者仲間のイシリアスがそれぞれの研究者を訪問し、彼らが何を研究しているのか知りたいと申し出ました。 彼らが自分たちの研究についてイシリアスに話すと、彼らは他の都市のいずれかへ、それぞれ別の場所へ旅行するようそそのかされ、そこで見るべき関連する新しい研究があると告げました。 しかし、彼らが都市から出るとすぐに、イシリアスは真の姿をとってモクサナに彼らを飛ばし、そこで彼らは捕らえられ、イシリアスは彼らに尋問し、ハッブルとエクスラリスでそれを機能させる方法についてできる限りの情報を入手しようとしました。
イシリアスと過ごした時間は様々ですが、彼らは皆同じ経験をしていました。

 プレイヤーが自分たちの状況について話し合うとき、エイリクは声を上げます。
  • 次のテキストを使用します。
    • 「今回の件で皆様にご迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思っております。 私たちは、両方の世界に対する唯一の希望は、あなたをここに連れてくることだと信じていました。 あなた方一人ひとりは、適切な世界線でのハッブルのミッションにおいて大きな役割を果たしました。 私は地球を本来あるべき姿に戻したいと願って、地球を奪われた当時の状態に戻すために最善を尽くしました。 私たちはあなたのご支援に永遠に感謝しており、私たちの両方の世界が恩恵を受けることを確信しています。 準備ができたら、いつでもあなたを元の世界に送り、あなたが生きるはずだった人生と、この素晴らしい望遠鏡のすべての恩恵を享受できるようにします。」

 PCが準備完了の合図をするとすぐに、エイリクは呪文の詠唱を開始します。

 PCが地球に戻らずにエクスラリスに残ることについて話し合った場合、シャリー所長とエイリクは再考するよう勧めますが、簡単なDC(“難易度:低”、対応する技能なしだと成功率50%ほど)による説得判定によりプレイヤーが滞在できるように説得され、できる限りエクスラリスに適応できるよう支援します。おそらく天文台での仕事も紹介してくれます。

原書表記


PCが酒場に戻る場合(If the players decide to return to the tavern:) p.31

「[[PCが酒場に戻る場合>The Lost Universe#If_the_players_decide_to_return_to_the_tavern]]」
 PCが酒場に戻ることにした場合、研究者とシャリー所長を招待するかどうかを選択できます。 そうすれば、研究者の内テルテンザニアだけが参加し、他の人たちは家に帰るかオフィスに行くことになります。PCは、希望に応じて他のNPCを簡単に集めて酒場に参加させることもでき、多くの学生が喜んで受け入れるでしょう。
 彼らが酒場に戻ると、ダミアンは彼らを歓迎し、飲み物を注ぎ、PCの要求に応じてフェルウィンの下にPCを連れていくか、彼女を外に出させます。 彼女がメインエリアに出てきた場合、彼女はPCが話をしている間バーの後ろに残り、研究者を彼女のオフィスに招待して、PCなしで話をすることになります。
 PCがこの世界に滞在して彼女の下で働けるように説得しようとした場合、彼女は中程度のDC(“難易度:中”、対応技能なしだと成功率25%ほど)の説得判定でそれを許可し、研究者と話した後、パーティーの帰還組を除いて彼女のオフィスに来るように招待します。 そのキャラクターはバーでダミアンを手伝い、フェルウィンのために情報収集するように仕事を割り振られます。
 この時点で地球に戻ることを決めたPCは、天文台のオフィスにいるエイリクと簡単に接触でき、彼は自分自身、仲間たち、そしてエクスラリス全体からのさらなる感謝を込めて、喜んでPCらを元の世界に帰還させるでしょう。

原書表記


■終局(Conclusion) p.32

「[[終局>The Lost Universe#Conclusion]]」
 PCたちが再び目覚めたとき、彼らの地球人としての精神はメリーランド州グリーンベルトにあるゴダード宇宙飛行センターに戻っていることに気づきました。 今回を除いて、彼らは「Mission Operations」(ミッション・オペレーション)と書かれた建物の外に立っている。 PCは、ハッブルのない世界に住んでいたという記憶を保持し、実際の現実との違いを認識し、また、この世界線を復元するために取り組んだエクスラリスでの冒険のことも思い出すでしょう。 PCのいずれかが エクスラリスに残ることを選択した場合、グリーンベルトで目覚めるのは、エクスラリス出身者として作成したキャラクターです(つまり当人同士の精神が入れ替わった状態が維持されます)。

原書表記


 GMは、PCに関する知識を組み込んで、各PCが地球人としてどのようにハッブルに結び付けられているかを選択できます。 これらの仕事には、科学者、研究者、ミッション管制官、通信者、エンジニア、ハッブル整備ミッションに参加した宇宙飛行士などが含まれます。 あるいは、ハッブルの公開データを使用して研究を実施し、発見を行う市民科学者になることもできます。

原書表記

  • 下記のテキストを使用します。
    • 無言で、皆さんは建物の中を歩くことにしました。 長い廊下を進むと、ハッブル宇宙望遠鏡の大きな模型が置かれたロビーエリアに到着します。
    • 壁には、望遠鏡を整備する宇宙飛行士の写真や、創造の柱として知られる美しい星形成領域の写真が飾られています。
    • 看板には、30年以上にわたって発見があり、その後も発見が続いていることが宣言されています。
    •  あなたは探索を続け、息をのむような宇宙の画像が並ぶ廊下を進みます。
    • あなたはそれぞれの画像を認識しています。
    • 太陽系の惑星を映すものもあれば、何十億光年も離れたところから豪華な銀河を捉えるものもあります。
    • 廊下の突き当たりには、ハッブルの運用管理センターがあります。
    • モニターの列とエンジニアのチーム全体がハッブルの追跡と指示に専念しており、これにより天文台は天文学において重要な進歩を遂げ続けることができるのです。
    •  周りを見回せば見るほど、より多くの思い出がカチリと音を立てて甦ってきます。
    • 皆さんはこれらの事実を興奮してお互いに共有します。
    • ハッブル・ディープ・フィールド観測のおかげで、私たちの銀河以外にも何十億もの銀河が存在することを覚えているでしょう。
    • 太陽の向こうの恒星を周回する惑星が無数にあることはご存知でしょう。
    • ダークマターとダークエネルギーが宇宙の大部分を構成していることは理解されています。例えそれがどのように機能するかはまだよく分かっていなくともです。
    •  さらに、ハッブルの遺産によって可能になったさらに多くのミッションが現在も運用されていることに安堵感を覚えます。
    • ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も現在運用中であり、光の赤外線領域のさらに奥深くまで観測しています。
    • 間もなく、ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、宇宙についての私たちの理解をさらに発展させる驚くべき観測を行うでしょう。
    • 宇宙遊泳ですら、ハッブルの整備ミッションのおかげでより高度なものとなっており、多くの場合、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士によってこなされています。
    •  地球は、がんの兆候の特定、コンピュータ・チップの改良、古文書の解読、絶滅危惧種の追跡などを支援するために、もともとハッブルのために開発されたテクノロジーを利用しています。
    • 皆さんはお互いに笑い合います。
    • これらすべてが非常に見慣れたものに見える一因は、皆さんがハッブルを使用して私たちの宇宙に関する独自の研究を完了し、宇宙とその中での私たちの位置についての理解を進めてきたからです。 さらに良いことに、すべてのデータは一般に公開されているため、誰もが理解できます。
    •  ハッブルと、それをあなたの世界線に戻すのを手伝ってくれたエクスラリスの新しい友人のおかげで、さらなる発見が待っています。

原書表記

■付録A(Appendix A) p.35

[[付録A>The Lost Universe#Appendix_A]]

真空エネルギー(Energy of the vacuum) pp.35-36

[[真空エネルギー>The Lost Universe#Energy_of_the_vacuum]]
● 真空エネルギー(オープンスペースの「ゼロ点エネルギー」の一例)は、ダークエネルギー源の候補です。このゲームでは、エクスラリスの魔法のキャラクターが宇宙を移動するときに魔法を強化するために利用するものです。地球と同様に、この力の源についてはほとんど知られていません。 これは、研究者たちがさらに詳しく知るために地球に接続しようとしていたものです。

● ダークエネルギーに関しては、知られている以上に未知のことが多い。 私たちはダークエネルギーが宇宙の膨張にどのような影響を与えるかを知っているので、どれだけのダークエネルギーがあるのかを知っています。 それ以外は全くの謎です。 しかし、それは重要な謎です。宇宙の約68%はダークエネルギーであることが判明しました。 暗黒物質は約27%を占めます。残り――地球上のすべてのもの、これまでに私たちのすべての機器で観察されたすべてのもの、すべての通常の物質――を合計すると、宇宙の 5% 未満になります。考えてみれば、それは宇宙のごく一部であるため、「普通の」物質と呼ぶべきではないかもしれません。

 ダークエネルギーの説明の一つは、それが空間の特性であるということです。アルバート・アインシュタインは、空の空間は無ではなく、独自の特性を持つ何かであることに気づいた最初の人物です。彼は追加の空間が存在する可能性があることを発見し、「空の空間」がそれ自体のエネルギー (別名「真空エネルギー」) を所有できると推論しました。このエネルギーは空間そのものの性質であるため、空間が膨張しても弱くなることはありません。より多くの空間が存在するようになると、追加の空間エネルギーが現れるでしょう。 その結果、宇宙はますます速く膨張することになります。

 空間がどのようにエネルギーを獲得するかについての別の説明は、物質の量子論から得られます。 この理論では、「空の空間」は実際には、継続的に形成されては消滅する一時的な (「仮想」) 粒子で満たされています。しかし、物理学者がこれによって空の空間が得られるエネルギーを計算しようとしたところ、答えは間違っていました。大幅に間違っていました。出た数字は10120倍でした。それは 1 の後にゼロが 120 個付いたものです。

 ダークエネルギーのさらに別の潜在的な説明は、それが新しい種類の動的エネルギー流体または場であり、空間全体を満たしているが、物質や通常のエネルギーが持つ効果とは反対の宇宙の膨張に影響を与えるものであると推測しています。一部の理論家は、ギリシャ哲学者の第5元素にちなんで、これを「クインテッセンス」(quintessence)と名付けています。しかし、クインテッセンスが答えであるとしても、それがどのようなものなのか、何と相互作用するのか、なぜ存在するのかはまだわかりません。

 最後の可能性は、アインシュタインの重力理論が間違っているか、彼が何かを見落としている可能性です。ダークエネルギーについてのこの見方には、新しい重力理論またはその修正が必要になる可能性があります。 いかなる変化も、宇宙の膨張に関する私たちの考えや、通常の物質がどのように動作するかについての理解に影響を与えるでしょう。銀河団がどのように形成されるかを研究することで、ダークエネルギー問題の解決策が新しい重力理論であるかどうかを発見できるかもしれません。新しい理論が必要な場合、アインシュタインの理論がすでに行っているように、宇宙におけるダークエネルギーの役割を説明する方法を提供しながら、どのようにして太陽系内の物体の運動を正確に説明できるのでしょうか? 候補となる理論はありますが、どれも説得力のあるものではありません。 ということで、謎はまだまだ続きます。空間の性質、新しい動的流体、または新しい重力理論といったダークエネルギーのパズルを解くために必要なのは、より多くのデータです。
ダークエネルギーに関する詳細情報


原書表記



重力レンズ(Gravitational lensing) p.37

[[重力レンズ>The Lost Universe#Gravitational_lensing]]
● 重力レンズは、巨大な天体 (ブラック ホールなど) または天体の集合体 (銀河団など) が時空を十分に歪め、より遠くの天体からの光を曲げ、拡大し、強めるときに発生します。光を湾曲させる介在質量は重力レンズと呼ばれます。

 重力レンズは遠くの物体の光を拡大するため、ハッブル天文台やその他の天文台は、重力レンズを使用して、そうでなければ検出できないほどかすかで遠すぎるターゲットを発見し、研究します。 天文学者は重力レンズの助けを借りて、これまでに見た中で最も遠い個々の星、超新星、銀河を観察してきました。ハッブルは、その高解像度と極めて高い感度により、重力レンズによって拡大され明るくされる非常に暗くて遠い天体さえも観察することができます。 これらの中には、地球の濁った大気による歪みのため、地上の天文台では観測できないものもあります。 これは、ハッブルが地球低軌道に配置された理由のもう 1 つの例です。

 重力レンズの詳細については、こちらをご覧ください。

● このゲームでは、所長からプレイヤーに与えられたレンズが魔法によって重力レンズの効果を生み出し、プレイヤーはさらに先を見たり、罠を発見したりすることができます。 この魔法はレンズの周りに歪曲フィールドを作成し、時空を歪める巨大宇宙物体の効果を再現します。

原書表記


赤方偏移/青方偏移(Red shifts / blue shifts) p.38

「[[赤方偏移/青方偏移>The Lost Universe#Red_blue]]」
[[赤方偏移>The Lost Universe#Red_blue]]
[[青方偏移>The Lost Universe#Red_blue]]
●宇宙が膨張するにつれて、星や銀河などの物体はその大きさを維持しながら、それらの間の空間が増加し、互いに遠ざかっているように見えます。 これにより、観察者と光源の間を伝わる光波が引き伸ばされます。 後退運動により光の波長が増加し、スペクトルの赤い端に向かってシフトします。これを天文学者は「赤方偏移」と呼んでいます。 後退の速度は距離に比例するため、宇宙の生涯の初期に形成された可能性が高く、より遠くにある物体ほど、より高い速度で遠ざかっているように見えます。 非常に遠くにある物体では、可視光のほとんどが赤方偏移し、赤外光と呼ばれる人間の目で見ることができるよりも赤い波長 (色) になることがあります。 これが、最も遠い、最も初期に形成された最初の銀河の探索に、赤外線に敏感な望遠鏡と検出器を使用する理由です。

 もっと近くで見てみると、私たちの「局所宇宙」では膨張率が比較的遅く、星や銀河の個々の運動によって、各観察者の視点から、物体が離れて光波を伸ばしているのか(赤方偏移)、それとも近づいて光波を圧縮しているのか(青方偏移)が決まります。

詳細については、こちらをご覧ください。

原書表記

■付録B(Appendix B) p.39

[[付録B>The Lost Universe#Appendix_B]]
 このセクションでは、ゲーム終了時にハッブル・コントロール・センターを通過するプレーヤーを示す一連の画像を紹介します。ルールブックでは使いやすさのために(サムネイルとして)ここにありますが、GMは自分が気に入ったハッブル画像を持ってきて使うことをお勧めします。

原書表記



■付録C(Appendix C) p.40

[[付録C>The Lost Universe#Appendix_C]]
 以下は、教授のオフィスを調査を選んだプレイヤーがモデルを見つけるハッブル図表です。

原書表記


■付録D(Appendix D) p.41

[[付録D>The Lost Universe#Appendix_D]]
 アルダストロンの地図




■付録E(Appendix E) p.42

[[付録E>The Lost Universe#Appendix_E]]
 ライブラリ内の重力レンズ パズルの画像です。目的は、プレイヤーが校長から提供されたレンズと重力レンズを画像内に並べることです。
南半球の星座「ろ座(炉)」にあるGAL-CLUS-022058の映像。
 「溶けた指輪」(モルテンリング。Molten Ring)という愛称が付けられた GAL-CLUS-022058 は、宇宙で最大かつ最も完全なアインシュタイン リングの 1 つです。 NASA、ESA、Anastasio Díaz-Sánchez (カルタヘナ政治大学)、Saurabh Jha (ニュージャージー州立大学ラトガース校)。

謝辞: レオ・シャッツ(Leo Shatz Learn 相対性理論のリングについて詳しく学びましょう。

原書表記


■クレジット(Credits) p.43

  • NASA ゴダード宇宙飛行センター(NASA Goddard Space Flight Center)
  • アドベンチャーデザイン(Adventure Design):
    • クリスティーナ・ミッチェル(Christina Mitchell)
  • グラフィックデザイン(Graphic Design):
    • ミシェル・ベルヴィル(Michelle Belleville)
  • 開発と編集(Development and Editing):
    • ケネス・カーペンター(Kenneth Carpenter)
    • ケイティ・コードリー(Katy Cawdrey)
    • ロブ・ガーナー(Rob Garner)
    • カール・ヒル(Karl Hille)
    • ピーター・ジェイコブス(Peter Jacobs)
    • ジム・ジェレティック(Jim Jeletic)
    • エスベン・ジェプセン(Esben Jepsen)
    • ポール・モリス(Paul Morris)
    • ゲージ・T(Gage T)

原書表記


■製品使利用法(Product Use) p.43

 NASA は、ブランド、商品、メディア、科学および技術情報などの使用に関する特定のガイドラインを定めています。次の Web ページにそれらのガイドラインが記載されています。 NASA がこの資料の出典元であることは承認されるべきです。
https://www.nasa.gov/nasa-brand-center/images-and-...
https://www.nasa.gov/nasa-brand-center/
https://sti.nasa.gov/disclaimers/
フォント提供: Pete Klassen
イラスト: iStock

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