最終更新:ID:lDq4L4Urkw 2021年01月25日(月) 02:27:34履歴
以下のストレスルールは、クトゥルフ神話TRPGのような「精神的負荷を主軸に置いたシステム」に向いた追加ルールです。
『百鬼夜翔』のSPルールに手を加えた物です。
- 「心労点」(SP。Stress Point。ストレスポイント)
- 「精神的耐久力」(MD。Mind Durability。マインドデュラビリティ。精神的な耐久力。通常は意志力×(1〜3)と同値で、GMによって異なる)
- 「心労限界」(SO。Stress Over。ストレスオーバー。ストレスが精神的耐久力以上になった状態、場合によっては発狂状態)
- 「狂変回数」(MC。Madness Count。マッドネスカウント。心労限界になった回数。通常は40回で精神崩壊しNPC化、GMによって異なる)
- GM=ゲームマスター。
- PL=プレイヤー。
- PC=プレイヤーキャラクター。
- キャンペーン=一つの世界観、話が繋がっている一連のシナリオ・物語の塊、
- 意志力=知力+「意志の強さ(弱さ)」
これは、精神的な圧迫や、欲求不満などに、どの程度耐えられるかを表す数値です。精神的特徴に関わる意志判定や恐怖判定、生命の危機等、様々な状況で、心労点(ストレスポイント。以下SPと略記)が増加してゆきます。溜まったSPがMD以上になることを「心労限界」と言います。心労限界になると、自分の衝動を抑えられず、恐怖にも耐えられなくなります。
妖術[心理攻撃]は、ダイレクトにSPを増加させることにもできます(その場合、本来のルールは無視することにしても構いません)。GMは、他の系統に属する妖術や呪文等でも、精神的プレッシャーを伴うと判断したら、SPを増やせます。人間が獣に変化させられたり、小さな人形に変えられてほうっておかれれば、かなりのストレスでしょう。
恐怖判定も、自動的に失敗になります(この失敗でSPが増加することはありません)。失敗度を決めるためにダイスは振ります。本来なら成功している出目なら、失敗度は0とみなします。もし、SPが限界を越えていれば、その分を失敗度に加算します。恐怖の影響から回復すると、SPはやはり2D点減少します。
GMが望むなら、呪文・妖術の抵抗や戦闘における気絶判定等「意志の強さ/弱さ」で修正される判定全てに関係することにしても構いません。ただし、そういった判定では、失敗してもSPの回復は起こりません。
ダイス運が悪いと、一度くらいの発散では、溜まったSPがMD以下に戻らないかもしれません。その時は、回復するまで意志の必要な判定に失敗し続けます。
選択ルールとして、心労限界の状態で、不利な特徴の命じるままに行動すると、普段より過剰で派手な行動になってしまうことにもできます。「好色」なキャラクターなら、口説く手間をかけずにいきなり押し倒そうとするでしょう。「正直」であれば、自分の知っていることを何もかも話し始めます。ずっと隠しておいたことを、脈絡もなく話しはじめるかもしれません。
行動するすることで、ゲーム的になんらかの不利な結果が明白に生じるまで、この行為はおさまりません。トラブルが起こった後で、ストレスをどの程度発散したかの判定を行います。MD以下になっていれば、普通に意思判定が行えます。そうでなければ、周囲が強制的に止めさせねばなりません。
GMは、これらの行動がなるべく最悪のタイミングで起こるようにします。押し潰されそうな心理状態の者は、周囲のことなど見ている余裕はなくなっているのです。
セッション中においては、次のような手段で回復させることができます。
もちろん、キャラクターの本当の心は、PLとGMが相談して決まることですが。
GMが認めるなら、自主的に不利な特徴に従って行動し、ストレスの発散を望むこともできます。その行為によって、ゲーム的な不利に関わる結果を招くのでなければならず、シナリオに深く関係した行動でないと、ストレスの発散は認められません。「乱暴者」なら、協力してもらわねばならない重要なNPCに嫌がらせをし、「騎士の名誉」の持ち主なら、不利と分かっている一騎打ちを申し込むのです。
GMとプレイヤーが望むなら、普段の自分と正反対の行動をとることで、ストレスを発散できることにしてもいいでしょう。周囲にばれると、努力して評判を勝ち取るまで、反応が-4されます(あるいは自分が望まない役割を期待されます)。
これらのルールを採用して、キャラクターが自発的に抑圧の解放を行った場合は、1D点しかSPを減らせません。
安全が保証された静かな部屋で、カウンセラーと二人きりにならねばいけません。できるだけ信頼関係が築かれていなければなりませんが、それはロールプレイで行ってください。2時間かけて、落ち着いて会話を行います。そして<精神分析>判定を行います。成功度に等しい点数(最大で6点)、SPを減らせます。
自分自身に対して、<精神分析>は行えません。非常に親しい友人や家族との落ち着いた会話や相談も、似たような効果をもたらすことがあります。GMの判断で、1〜3点の発散を認めてあげて下さい。
最低でも丸一日、自分の趣味にひたります。読書でも音楽鑑賞でもプラモ作りでも、河原での石拾い等でも構いません。その後、該当する趣味技能(技能がないような趣味なら、知力-2)判定を行います。
成功度2につき、SPが1点程度のSPを発散できても構いません。
この使い方なら[心理強化]の影響を受けても、SPを溜めることはありません。
恐怖判定を頻繁に行うようなスタイルなら、意志力の2倍を限界にしても構いません。妖怪ではなく、人間を主人公として、怪奇現象にチャレンジさせるようなキャンペーンに相応しいでしょう。
SPを精神的な疲労点として扱うこともできます。妖術や魔法、超能力による疲労を、これで表現する訳です。この場合、ストレス限界は意志力の3倍程度にしてもいいでしょう。限界を越えると恐怖判定表を振って結果を適用するとか、睡眠で1D点程度回復したりといったルールを付け加えることもできます。
GMは認めるなら、PL自身が新しい特徴を決めても構いません。なるべくなら、それまでのキャラクター設定とかけ離れた、「壊れてゆく」雰囲気の出るようなものがいいでしょう。「偏執狂」や「恐怖症」「狭量」「サディスト」等です。
こうして、MC40に達したら(-40CP分の不利な特徴が溜まったら)、そのキャラクターの精神は限界に達して、崩壊してしまいます。以後、そのキャラクターはNPCになってしまいます。死亡したわけではありませんが、ゲームに参加できないということでは、同じようなものです。
経験点として与えられたCPで、これらの不利な特徴を買い戻すことができます。特になくなる理由を作られなくても構いません。
こういったルールは、ホラーでも『妖魔夜行』や『百鬼夜翔』より、普通の人間が怪奇現象や邪悪な心霊に立ち向かうようなホラー世界に、さらに向いています。恐怖判定の機会が多いこともありますが、そういった世界の方が、自分が徐々に狂いつつあることを”楽しみ”やすいからです。崩壊に達するのに必要なCPの量を、もっと少なく設定しても構いません。例えば、限界を越えるごとにストレス耐久値が1点減ってゆくといったルールもありえるでしょう。
CPで買い戻せることにするなら「意志の強さ」に必要な4CP程度が目安になります。
GMが、キャラクターの心の傷を癒すシナリオを作ってくれたなら、一度NPCとなった仲間を取り戻そうと試みることもできるでしょう。
的確な台詞を選び、技能判定成功することで、SPを増加させてゆき、精神的耐久値の限界を越えると、相手の意志がくじけて説得に抵抗できなくなります。
説得しようとする側の<言いくるめ>や<外交>、あるいは知力で、目標の意志力と即決勝負を行います。どういう理論で説得するのか、プレイヤーが考えねばなりません。
それが的を得ているかどうかで、使う技能を決めます。ロールプレイとして説得側が口にした言葉で、ボーナスやペナルティを与えてください。まったく的外れな台詞なら、判定させなくて構いません。
説得する側が勝てば、目標に成功度の差分のSPを与えます。ストレスが限界に達すると、説得に抵抗する意思が挫けたことになり、相手の言葉に従います。説得の効果がどの程度続くかは、現状に応じてGMが判断して下さい。その場では説き伏せられても、後で考え直すかもしれません。<言いくるめ>等、当座をしのげるだけの技能で判定したなら、再び考えを翻す可能性は高いでしょう。
シナリオを進めてゆく上で、ポイントになるような説得は、単純な説得では効果がないことにできます。 説得のためのキーワードを一つ決めておきます(もちろん、キーワードがたくさんあっても構いません)。PL側が、うまくそのキーとなる言葉を口にしない限り、どれほどの成功度があっても、ストレスを与えることはできません。
もし「執念」や「誓い」などの不利な特徴を放棄させたなら、即座にCPで買い戻すか、別の不利な特徴で穴埋めしなければなりません。新しい特徴が精神的なものの場合、状況が許せば、即座にその特徴に従った行動をさせて下さい。新しい衝動に身を任せることで、SPを発散することもできます。それができなければ、しばらくの間、ストレスが限界に達したままでいるはめになるでしょう。
一定の時間ごとに、誘惑する側の適切な技能レベルと、誘惑される方の意志力で即決勝負を行います。
この場合「14以上は失敗」のルールは無視します。
成功度で、誘惑する側が勝てば、誘惑側の技能判定に、成功度の差分のSPが溜まります。成功度に従って、ちょっとした行為をさせても構いません。
逆に、誘惑される側の意志が勝てば、誘惑側の技能判定に、差分のペナルティが加わります。このペナルティは累積してゆきます。誘惑側の判定の目標値が2以下になれば、もはや誘惑は通用しません。
不利な特徴に関わることなら、意志力に-5のペナルティが課されます。何か抵抗しやすい要因があるのなら、意志判定にボーナスを加えます。
その他、適切なロールプレイや面白いアイデアがあれば、GMは意志力や技能レベルに修正を加えて下さい。
心労限界なら、誘惑に負けて行動してしまいます。この誘惑によって受けたSPは、誘惑に負けたか我慢したかに関わらず、この判定が終了すると発散されてなくなります。もともとあった分は残ります。ストレスが溜まっている状態だと、誘惑に惑わされやすいでしょう。
シナリオ上必要だったり、ロールプレイ上でそうした方が適切なら、このルールを使わずに結果が出たり、一度の意志判定で我慢できて構いません。物語の展開上で重要なポイントを、ダイスの一振りで決めず、じっくり楽しみたい時に使います。
抑圧を解放した時に、発散できるストレスを決めるダイスを振ります。この時、2Dの出目が12(6ゾロ)だった場合、抑圧を解放するための行動によって何らかの有利な結果が起こったことにできます。一瞬の狂気がユニークなアイデアを与えてくれたり、無我夢中で放った一撃が見事な先制攻撃になってくれたり、勢いに驚いた相手が無茶な条件を呑んでくれたりするのです。結果が上手くいったおかげで、多くのストレスが発散できたのだという、逆方向からの見方もできるでしょう。PLが内容を考え、GMが最終的な決定を行います。
逆に、出目が2(1ゾロ)だった時は、何か致命的な失敗を招いたことにもできます。大事な品物を壊してしまったり、罪もない相手に暴言を吐いたりしてしまうのです。失敗した後悔のせいで、ストレスが発散できなかったのかもしれません。
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