最終更新: tyounekogami 2022年11月12日(土) 09:51:58履歴
すべての呪文は2つの要素からなっています。「なにがなされるか」と「なにになすか」です。同様に、「術語」には2つの種類があります。1つは「動詞」と呼ばれるもので、「作成する、移動させる、治癒する」などです。もう1つは「名詞」で、作成や移動の対象となるものを示します。1つの術語(Word)は、それぞれ「知力/至難」の技能です。魔術師は「術語」を学ぶさい、「魔法の素質」を知力に加えます。
エラッタ修正:【誤】「精神/至難」の技能です。 【正】「知力/至難」の技能です。動詞は10個あります。伝達する(Communicate)、治癒する(Heal)、感知する(Sense)、弱体化する(Weaken)、強化する(Strengthen)、移動させる(Move)、保護する(Protect)、作成する(Create)、制御する(Control)、変化させる(Transform)
名詞は14個です:「風、動物、肉体、土、炎、食料、イメージ、光、魔法、精神、植物、音、霊魂、水」。
GMの判断でこれらの「術語」を抜いたり、つけ加えたりしてもかまいません。
目次
- 術語魔法(SYNTACTIC MAGIC) p.195
- 関連
[[呪文の要素>術語魔法#Spell_Parameters]]術語魔法を唱える前に、プレイヤーはどのような呪文をかけるかを宣言し、利用する動詞と名詞を選びます。呪文の効力はプレイヤーが自由に想定します。その後、GMは狙った効果が得られるかどうか、またプレイヤーの選んだ「術語」が適切かどうか、提案された呪文がどのタイプか、その即興呪文に必要なエネルギー消費はどれくらいか、技能にペナルティがかかるとすればどのくらいかを判断します。
即席魔術師が既存の記憶型の呪文と同じのものを即興で作成するなら、記憶型呪文と同等の要素を課してかまいません。しかし、提案された呪文と同等のものが見つからなかったり、GMやプレイヤーがゲーム中にあれこれルールブックをめくったりしたくなければ、つぎの指針に従がってください。「呪文を作る」の下に記載された指針も役に立つでしょう。
原則として、目標に直接影響する攻撃呪文には「肉体」を使います。たとえば、骨折させる呪文なら「肉体を弱体化する」となるでしょう。しかし、大規模な雪崩を起こす呪文は「土を移動させる」となります。術者自身に直接影響を与える呪文には「肉体」か「精神」を使います。
2つ以上の術語を使用する場合、使った動詞と名詞のうち、もっとも低い技能レベルによって判定します。追加した術語1つにつき、-1の修正を受けます。しかし、どの動詞や名詞をもとに、エネルギー消費や準備時間を決定するかは術者が自由に決定してかまいません。専門技能によってエネルギー消費と準備時間を軽減するためだけに、特定の術語を導入する場合もあるでしょう。たとえば、火霊系魔術師なら炎によって準備時間を短くするために、「炎で肉体を弱体化する」という術語を利用して攻撃呪文を唱えるでしょう。
どちらか一方の判定に失敗すれば、魔力は発動するものの、術者の狙いどおりの結果は得られません。ただし、あまり手厳しく処理する必要はないでしょう。たとえば、だれかにくしゃみをさせるつもりだったなら、鼻孔が膨らんだだけで鼻水を飛ばすには至らなかったとかです。その呪文に本来必要なエネルギーが丸々消費されます。
もし両方の判定がふつうの失敗なら、なにも起こりません。術者はエネルギーを1点消費しなければなりません。
どちらかの判定にファンブルすれば、悲惨なことが起こります。万一、両方の判定にファンブルすれば、目もあてられないことになるでしょう!
魔術師本人には必ず、呪文が失敗したか成功したかがわかります。失敗した場合、どのような結果になるか正確には把握できませんが、望んだ結果にならないことはわかります。
[[“変化させる”>術語魔法#Transform]]動詞「変化させる」は他の動詞より少し複雑なので、特別な扱いをします。他の術語呪文とは異なり、この呪文には判定が3回必要です。動詞「変化させる」について1回、変化前の材料の名詞について1回、最終的にできあがる材料の名詞について1回です。同じ名詞が両方の材料に使われる場合でも、判定はそれぞれについて行なわねばなりません。したがって、人間から動物に変身する場合、呪文は《肉体を動物に変化させる》となり、「変化」と「肉体」と「動物」それぞれについて判定を行います。しかし、イチジクをアザミに変える場合、呪文は《植物を植物に変化させる》となります。この場合は「変化」について1回、「植物」について2回判定を行います。しかし、3つめ「術語」を使ったことによる-1のペナルティは受けません。
変化後の目標が損傷を受けないかぎり、もとの完全な姿にもどることができます(新たな呪文や《呪い除去)》を使います)。損傷があれば、もとの姿にもどったとき、相応のダメージを受けているでしょう。
変化後の目標を扱う場合、GMはさまざまな判断をしなければなりません。一般に、変化した目標は自然のものとまったく同じように振舞います。ただし、「変化させる」の呪文によって、目標の知力や知識を大きく上昇させることはできません(犬を変身させると、忠実な従者になりますが、犬だったときより賢くなることはありません)。
[[術語呪文のマスタリング>術語魔法#GMing_Syntactic_Magic]]術語魔法はGMには負担の大きいものです。その自由度の高さから、術語魔法の魔術師がキャンペーンを台無しにする可能性があるからです。あらゆる魔法知識に精通したプレイヤーがいかなる行動に出るか、GMが予測するのはほぼ無理でしょう。
したがって、制限を設けることが大切です。プレイヤーがある効果を想定できるからといって、必ずしもそれを実現できるとはかぎりません。いっぽう、呪文がいっさい効果を発揮しなければ、魔術師をやる楽しみはないでしょう。ましてや、呪文が正しく発動しなければ、もっと悲惨かもしれません。
大まかに言えば、納得の行く制限を設けつつ、プレイヤーがやろうとしている核の部分を受け入れることが、適性なバランスにつながるでしょう。そうした判断をする上で、通常の呪文体系が良い試金石となります。提案された効果は通常呪文に可能な範囲内でしょうか。同様の通常呪文のエネルギー消費は? 記憶型の呪文を操る魔術師は、その魔法に同じだけのCPを費やすことによって、同じだけの結果を得られるでしょうか。
プレイヤーにしてみれば、「だめだ」と一言で片づけられるより、「それはいいね。でも.........」と言われるほうが納得がいくものです。提案された呪文をただ却下するのではなく、表現を考えてください。「そうだな、不可能ではなさそうだ。ただ、望みどおりの効果を出すには、準備時間に約15分、エネルギー消費は200かかる。城を丸ごと破壊するのでなくていいなら妥協案が見つかると思うよ」
どのような呪文が適切か、プレイヤーとGMのあいだに合意が取れるには時間がかかるでしょう。あらゆる面で忍耐が必要です。ゲームを台無しにしない範囲で、プレイヤーの創意工夫を促してください――それが肝心です。そして、プレイヤーたちがすばらしく冴えたアイディアを思いついたら、ともに喜ぶことを忘れないでください。
[[術語呪文の例:防水>術語魔法#A_Syntactic_Spell]]魔術師のモリスとその仲間が川を渡る準備をしています。モリス自身は濡れずに川を渡る方法を知っていますが、疲労が大きすぎて、仲間全員にそうした呪文をかけることはできません。ただ、できるなら濡らしたくない貴重な書物が何冊かあります。そのため、モリスはそれらの書物を大きな山に積み上げ、即席で《防水》の呪文をかけて、書物の山全体を守ろうと考えました。
GMとモリスのプレイヤーが話し合った結果、この呪文を作り出すにはいくつか方法があるということになりました。書物の材料は木材なので、《植物を保護する》も一案です。《水を弱体化する》や《水を制御する》も使えそうです。モリスは《植物保護》が最も成功の可能性が高いと判断しました。直径1メートルほどの本の山はサイズ修正-2なので、通常呪文を選びました。標準的な指針(上記の表参照)に従えば、《植物を保護する》はエネルギー消費2、準備時間6です。これは《雨傘》の2倍のエネルギー消費なので、GMは妥当だと判断しました。もしモリスが《水を弱体化する》を使っていれば、準備時間は短くなりますが、エネルギー消費は増えていたはずです。GMはまた、今回の呪文は動かない物体にだけ効果があると宣言しました。いずれモリスがこの呪文を使って溺れるのを免れようとするかもしれないからです。
モリスの「保護する」技能レベルは14、「植物」の技能レベルは15です。まず動詞について、14の判定には成功しました。ついで名詞「植物」に対して15の判定を行ないます。両方の呪文が完全に失敗するか、両方の判定がクリティカルするかしないかぎり、エネルギーは丸々支払わねばなりません。
呪文が成功したかどうかは、モリスにはわかります。成功すると、少なくとも次の1分間、書物には防水が施されます。片方の判定しか成功しなかった場合には、ちがった効果が現われます。正確になにが起こるかはわかりませんが、モリスには呪文が狙ったのとちがう効果を発揮するのはわかります。一か八かで川を渡るべきか、中止するべきか、モリスは自分の意志で選択できます。
判定の一方が失敗した場合、なにが起こるかはGMが管理します。ただし、ひどい事態に陥るのはファンブルが起こったときだけです。たとえば、2回目の判定が失敗すると、呪文は水ではなく油を防いだり(これでは、モリスには何の役にも立ちません)、1分ではなく1秒しか持続しなかったり、あるいは水ではなく埃を防ぐだけかもしれません。一方がファンブルだった場合は、書物を水に浸けるまでもなく、インクがにじみだすかもしれません。両方がファンブルだったら、書物は完璧に脱水され、粉々になってしまうでしょう!
コメントをかく