「デーモン(demon)」の語源は、「守護精霊、神、施す者」を意味する古代ギリシャ語 "δαίμων(daímōn)" です。10世紀ごろから「デビル」と同じ意味で用いられた(devilの同義語だった)ようですが、16世紀ごろから、「デーモン」は「ギリシア神話における下級神や神格化された英雄」の意味でも用いられました。 この「デーモン」は特定の人や場所を見守る存在で、「ダイモン(daimon)」と呼ばれることが多いです。19世紀に入ってからは「デーモン」は、必ずしも邪悪ではない「精霊(スピリット)」や「キリスト教以外の神」の意味でも用いられることから、基本的に「非一神教的な悪魔」と解釈できます。鬼がデーモンと英訳されるのもこのためです。
もし厳密に「デビル」と「デーモン」を使い分けるならば、
- 「デビル」
- 神学由来の学名のようなもので、(常に邪悪な)悪魔、一神教的悪魔を指す。
- 「デーモン」
- デビルを学名とするなら、通名のようなもの。
- (必ずしも邪悪ではない)魔物、妖魔、鬼などを指す。いわば非一神教的悪魔。
悪魔は邪悪な魔法生物で、呪文によって異世界から召喚されます。その存在を「魔法というのは本質的に邪悪だということ」を示す証拠だとみなす人もいます。
悪魔は普通は呪文によって意図的に召喚されます。このような召喚は基本的に邪悪なものです。悪魔が善事を働くことは決してありません(ただし邪悪な目的のために召喚した術者を滅ぼすなど、行動の結果が善いこととなることもあります)。悪魔は呪文のファンブルで登場することもあります。
悪魔が登場した場合、完全に実体化するまでには5秒間がかかります。まず嫌な匂いがして、次に煙の様な姿で現れ、徐々に実体となっていくのです。《魔法障壁》などで封じているのではない限り、実体化した悪魔はまず呼び出した術者(あるいは攻撃が届く範囲にいるキャラクター)を攻撃します。ファンブルによって召喚された悪魔は、術者本人が《魔法障壁》の中にいたのでない限り、障壁の内部に現れることはありません。ファンブルで現れた悪魔は、滅ぼされるまでその世界にとどまります。
悪魔はあらゆる言語を自在に操り、様々な知識を持っています。しかし悪魔は嘘ばかりつくので、そうした知識を役立てることは困難でしょう。知力で抵抗するタイプの呪文に対しては、悪魔は自動的に抵抗に成功します。
負傷に関しては、悪魔も普通の生物として扱います。HPが0になると、悪魔は気持ち悪いドロドロの液体になり、蒸発して消えてしまいます。
悪魔の能力値は固体によって様々です。GMが任意に決定するか、専用のランダム表を振ってください。悪魔を設定する際においては、GMは現実性や常識にとらわれない方がよいでしょう。
悪魔は真に善良であったり、純粋である人物を傷つけることはできません。その人物を苦しめるため、友人達を虐殺し、財産を破壊することはできますが、決して本人を傷つけることはできないのです。誰が「善良?」であるかはGMが決定しますが、その定義は厳密なものでなければなりません。偽善は許されてはなりません。
GMの判断次第では真に善良な人物は単に命令するだけで(あるいは知力判定に成功するだけで)悪魔を送還することができるようにしてもかまいません。
体力5、敏捷力9、知力7、生命力10、受動防御0、防護点0、攻撃は格闘/叩き
特殊能力についてはランダム表参照。
GMが許可すれば、合計200CP以下の下級悪魔の群れを《悪魔召喚》で召喚できます。
総計200CPの下級悪魔の典型例は、常命の世界で最もよく見られるもので、コウモリに似た翼と剃刀のように鋭い鈎爪と牙を持つ醜い怪物です。特に聡明なわけではありませんが、たくましく頑丈で、残虐です。その悪意に満ちたユーモア感覚はよく知られており、どのような任務を与えられるにせよ、破壊の爪痕を残さずにはいられません。
悪魔には様々な種類があります。ここには、手頃で平均的な一例を挙げておきます。
公式のものはエラッタ含めおかしい所が多く、「フェイクトゥルフ」用にアレンジが必要です。
- 暗き外套 [25]
- 知覚されにくい/視覚 5L (防御的:+50%、効果範囲が感知されない:+100%。計+150%) [25]
- 小魔法の拒絶 [25]
- 魔法の耐性 5L (呪文が唱えられる:+150%) [25]
- 燃える唾 [25]
- 蠍の尾 [25]
- 鋼鉄の表皮 [25]
- 防護点を10点に増加 [25]
- 炎の息吹 [50]
- 特殊攻撃/焼きダメージ 5d+2 (正確:+5%、円錐状 最大幅10m:+150%、疲労する 1点:−5%、減衰:−50%、射程減少/最大10m:−30%。計+70%) [48]、<特殊攻撃/息> (易) 敏捷力+1 [2] - 13
- 1点疲労することで、この悪魔は<特殊攻撃/息>技能と「円錐状の攻撃」ルールを使用して攻撃を行うことができます。この攻撃は、1mごとに1mずつ幅が広がり、最大で10mの距離で10m幅になります。この炎に巻き込まれた犠牲者は、悪魔から1m以内にいれば5d+2、それ以降はその半分のダメージを受けます。この攻撃は、悪魔が狙いをつけた場合、正確さ4を持ちます。
- 訳注:「減衰」もついていますので、幅が広がった分だけ、さらにダメージが減ります。この攻撃の場合は、「幅」=「悪魔からの距離」ですので、「悪魔からの距離(m)」でさらにダメージを割ってください。
- 暗黒神官 [50]
- 悪魔の教示者 [50]
- 体力を14 [-30]、知力を12 [40]、HPを20 [-4]、意志力を12 [0]、知覚力を12 [0]、魔法の素質を2L [20]、サディストを(9) [-7]、自尊心が強いを(6) [-5] に変更し、技能に知力の上昇を反映させます。冷淡を削除 [5]。<特殊攻撃/ビーム> (易) 敏捷力 [1] - 12、<特殊攻撃/射出物> (易) 敏捷力 [1] - 12、<商人> (並) 知力 [2] - 12、<指導> (並) 知力 [2] - 12、と25個の呪文を追加します。推奨する呪文リストは、《触感過多》、《動く像》、《窒息化》、《不器用》、《炎作成》、《死の幻影》、《爆裂火球》、《恐れ》、《火球》、《火炎噴射》、《大失敗》、《発火》、《痒み》、《痛み》、《恐慌》、《感情感知》、《敵感知》、《霊魂感知》、《痛がり》、《炎変化》、《悪霊召喚》、《ひきつり》、《朦朧化》、《霊魂召喚》、《戦慄》で、《動く像》だけは (至難) 知力−1 [1] - 11、それ以外は (難) 知力 [1] - 12 です(いずれも魔法の素質による+2を含んでいます)。この種の悪魔は一般的に召喚されますが、戦闘目的ではなく(もちろん戦うことも可能で、呪文の選択により非常に危険な戦力になりますが)、他人と関わりづらいか、特定の違法な呪文や制限された呪文を理解したい黒魔術師にとっての魔法の学習方法の1つとしてです。言うまでもなく、悪魔の教示者が安売りするものが見た目通りの良いものであることはほとんどないでしょう。
- 原書では全ての呪文が「難」と書かれていたが、「至難」の呪文が混ざっていたため、修正。
- 体力を14 [-30]、知力を12 [40]、HPを20 [-4]、意志力を12 [0]、知覚力を12 [0]、魔法の素質を2L [20]、サディストを(9) [-7]、自尊心が強いを(6) [-5] に変更し、技能に知力の上昇を反映させます。冷淡を削除 [5]。<特殊攻撃/ビーム> (易) 敏捷力 [1] - 12、<特殊攻撃/射出物> (易) 敏捷力 [1] - 12、<商人> (並) 知力 [2] - 12、<指導> (並) 知力 [2] - 12、と25個の呪文を追加します。推奨する呪文リストは、《触感過多》、《動く像》、《窒息化》、《不器用》、《炎作成》、《死の幻影》、《爆裂火球》、《恐れ》、《火球》、《火炎噴射》、《大失敗》、《発火》、《痒み》、《痛み》、《恐慌》、《感情感知》、《敵感知》、《霊魂感知》、《痛がり》、《炎変化》、《悪霊召喚》、《ひきつり》、《朦朧化》、《霊魂召喚》、《戦慄》で、《動く像》だけは (至難) 知力−1 [1] - 11、それ以外は (難) 知力 [1] - 12 です(いずれも魔法の素質による+2を含んでいます)。この種の悪魔は一般的に召喚されますが、戦闘目的ではなく(もちろん戦うことも可能で、呪文の選択により非常に危険な戦力になりますが)、他人と関わりづらいか、特定の違法な呪文や制限された呪文を理解したい黒魔術師にとっての魔法の学習方法の1つとしてです。言うまでもなく、悪魔の教示者が安売りするものが見た目通りの良いものであることはほとんどないでしょう。
- 影化 [50]
- 影の体 [50]
彼らは既に10億人程度の人間を信徒や加担者として麾下に置いているようです。性質は邪悪な者が多いのですが、「悪魔」という名称は一神教勢力が便宜上定義したものにすぎず、他宗教では「神々」「明王」などとも呼ばれ、人間と共存したり、契約によって人間に益をもたらす者もいます。人間が魔法や錬金術を得てきたのも悪魔/魔族から学ぶことによるところが多いようです。たとえば、酒という文化(あるいは悪習)は悪魔がもたらしたもの、という伝説もあったりします。
フェイクトゥルフ世界における悪魔/魔族は『7つの大罪(傲慢・色欲・食欲・嫉妬・強欲・怠惰・怒り)に属する欲望や感情を承認力の源泉とする派閥に属する者もいます。そのせいか彼ら魔族は、(かれらの糧である、人類の存続を脅かす)CMB及び禁断魔術とはお互いに反発し合う傾向が有ります(ルナルにおける、黒の月と銀の月の関係のようなものです。一般人から見たら、両方とも同じように見えるでしょうが…)。ただしシャイアーテックス(ザ・ビースト)のように、あえて神話生物と付き合いのある例外的な勢力もあります。
悪魔達の世界の霊薬の相場は「普通に流通している」です。
魔界は人間より遥かに強力な魔術師が沢山いる世界なので、魔化アイテムの作成費用自体は人間界よりも安くなるかもしれませんが、強力な魔術師が多いため相場が形成され辛いこと、人間界にいけばより高く売れることから実際の取引額は人間界とさして変わりません。ただし、ゲームが始まった後ならば、魔界を訪れた際に「親切な悪魔」が安く売ってくれるかもしれません。
「神聖な品物を装備ができない」は0cpの特色です。これは、悪魔にとってほぼ実害がないためです。悪魔の力を持ってすれば「神聖な品物」に頼る必要もありません。「神聖な品物」の中には同族殺しとして優秀な武器もあるかもしれませんが、「邪悪な品物」にも同様に強力な同族殺しの武器は存在しえます。「神聖な品物」に対する「嫌悪」「弱点」「苦手」「弱み」であれば、不利な特徴に値します。
付け加えておくと悪魔が醜い姿をしているという俗説は必ずしも真実ではなく、外見も人間とそう変わらないケースは結構あったりします。
「我々は何者だ? あんたら人間は、我々魔族はあんたらを誘惑する存在だと言うが、本当のところ、我々は鏡に映ったあんたらそのものだ。あんたらの欲望や、恐れ、野望、憤激が具現化したものが、我々なんだ。そんな相手と、どう戦うつもりか? あんたらの人間性と闘うって事なんだぞ。そんなことがしたいのか❓ しかも、生命そのものと闘う事になるんだぞ。だって、魔とは生命そのものじゃないか」
――ニューヨークにて、ガンチェリーの問いかけに答えて某デーモンが語る――
「人間は敵に入らないよ。奴らのおかげでわしらの食い物がよく育つんだし、やつら自身、とってもおいしいじゃないか」
――ベルゼブルの語録――
以下は妖魔夜行や百鬼夜翔とはまた違った現代(文明レベル8)の地球に登場する悪魔の候補です。画像は主に、いらすとや様、白ばらコーヒー牛乳様、とり夫様、ブリリアントサービス様、マゼラン様、ゆるドラシル様、YS様の作成した素材です。リンク先がないものは設定がまだないものです。
なお、悪魔キャラクター作成の一助として悪魔/魔族の類型(テンプレート集)が用意してありますので、ご自由にご利用(もしくは改変)くださいませ。
卵塊の悪魔
植物の悪魔
獅子の悪魔
人だったもの
悪魔に魅入られた者
悪霊之悪魔
剣の悪魔
道化師の悪魔
接続の悪魔
門の悪魔
亜空間の獣
“バグス・デーモン”メギロート
魔導書の悪魔
魔術師の悪魔
騎士の悪魔
肥満の悪魔
復讐する女
王道的悪魔
別名は蒼鬼獣魔。悪魔/魔族の類型(テンプレート集)にテンプレートあり。
グレーター・デビル
魔界の神官である知恵の悪魔デビル/バーテズゥのひとり。シャイアーテックスに勤務し、大道寺会長の直属の部下を務める(要は(無印)妖魔夜行の妖怪サラリーマン的なポジです。)。
悪魔人間
“フラワー・デビル”フーレ
アーク・デビル
万能魔法を操り、クリティカル・アーマーブレイク・後衛攻撃に4回攻撃などの魔力・妖力を自在に行使し、悪魔/魔族において最高クラスの能力を持つ。
だが何よりの脅威は耐久力(HP+VR)の高さ。もし敵に回せば時間がかかればかかるほど、最凶の攻撃を立て続けに食らうことになる。
《魔化》の儀式の間、転生希望者(総計cp200以上の者)と生け贄の女性が儀式的に交わる必要があります(最低でも2時間、「ゆっくり確実な魔化」なら終了までの間は毎日)。儀式の詳細はGMが決定して下さい。後述する理由により合法なものである可能性は低いでしょう。一方で、強力な魔法の品物/妖具などを生贄に捧げると、《魔化》の成功度にボーナスがあります。
《魔化》が終わってもまだ変化はしません(オーラだけは悪魔のものになります)。
呪文が発動するのは、儀式後に転生希望者が死んだときです。成功していればかれの魂は生け贄の女性の肉体を体内から変容させ、肉体を有した悪魔として物質界に受肉転生します。転生後の悪魔のレベルは転生希望者の生前の総計cpに比例します(最低でも400cp級にはなります)。
GMの裁量によっては、生け贄の女性も実力(総計cpとか)が高かったり、彼女と転生希望者との間に、何らかの精神の絆や縁(えにし)とかがある場合、成功度にボーナスやペナルティを与えても構いません。
エネルギー消費=悪魔になった時のCP総計+300(最低700)
前提=魔法の素質3レベル、知力13以上+《魔化》+《魂の壺》+《悪魔召喚》
『契約』をかわした対象を自らの『しもべ』にします。『しもべ』になった人間には様々な能力的特権が与えられます。優れた能力値や魔法の力を得たり、富を得たり、病から解放されたりーーなんでも構いません!
契約相手は術者に対する熱狂を獲得し、術者はこの呪文から契約相手をしもべとして登録するcpを獲得します。
強い意志力や生命力の持ち主はこの呪文による誘惑を跳ね除けることができます。「人間としての生を全うしなければならない明確な理由」があれば抵抗判定に+5から+25の修正があります。例えば「生きて家族を守らねばならない」と言うのは人間として生き抜く理由に含まれるでしょう。強い愛の力は時にサタンの誘惑すら跳ね除けるのです!
逆に力に対して強い執着があったり、そもそも死の淵にあるなど「人間の側から離れかけている」人物は、抵抗判定にー5からー25のペナルティを受けます。
この呪文は《呪い除去》などで解除することができません。
呪文名の元ネタは『ロードス島伝説』に登場する、人間と魂の契約をする魔神に由来しています。
▲持続:永遠
●エネルギー消費:詠唱20点、さらに契約相手をしもべとして登録するcp×1点分のエネルギー
★前提:悪魔/魔族であること。
■魔化:所有者や使用したものをしもべに変える呪いのアイテム。どんなもの、あるいは場所にでも魔化できる。必要エネルギー100以上。
このページへのコメント
7つの大罪は、あくまで悪魔の派閥みたいなもので、それが根源みたいな設定は、コレじゃない感があります。
自分としては悪魔/魔族とは、人間達の欲念の集積体というイメージがありまして、人類の欲ある限り死んでも復活する(不滅)であり、彼らの存在を断つには人類そのものを殲滅するしかないのでは…と思っています。
故にかっての唯一神は、「ハルマゲドンによる既存の人類の殲滅」を志した訳でして…。
詳しい設定は「フェイクトゥルフ」の「社会・勢力・組織について」にまとめて置きましたので、それをお読みくださいませ。
質問です…。
悪魔/魔族の大まかな位階としては
総計25cp〜200cp級 ビースト(獣の悪魔)
総計201cp〜599cp級 コモナー(一般的な悪魔)
総計600cp〜800cp級 ナイト(悪魔騎士)
総計801cp以上級 ジェネラル(魔将)やロード(魔王) ソロモン72柱とかもここらへんに含まれるか?
といったところでしょうか?
あくまでルナルの〈悪魔〉の階級から類推したものですが…?
そんな感じでもいいと思います。
ただ、CP総計に関しては、NPCであること利用して上限のない不利な特徴大量取得でCP総計詐欺を試みるため、CP総計が必ずしも悪魔の強さに直結するわけではありません。
第4版では《悪魔召喚》のエネルギー消費は最低20ですが、細かい内訳としては、悪魔の総計10CPにつきエネルギー1点です。
合計200CP以下であれば、悪魔の群れで召喚できるため、山場の戦闘で大量投入できるラインを200CP以下と見なしています。
100CP以下は使い魔として人間にも扱えるレベル。
350CPや600CPはルナル基準ボスだったり、妖魔夜行基準の主人公と真っ向戦闘できるレベルを想定しています。
有名どころの悪魔は弱点が少ないなら大抵1000CP級以上になると思います。
人間の探索者が戦うボス用の悪魔「多芸な悪魔」を書き加えました。